『マザー』は、私からなにも奪わなかった。
ただ、力を与えてくれた。私を助けるために。
私がこの先、ひとりでも生きていけるように。
それ以外はなにも変わっていない。

だから、真夜中の校舎はやっぱり少し不気味。
だれも居ないはずのなのに、誰かが出てきそうな気がしてしまう。

「…と、よっと」
足元に出ていた防犯センサを注意深く跨ぐ。
赤外線のレーザーですら今の私には丸見えだし、見つかったときの言い訳用に制服を着てはいる。
でも昼の学校のが活動しやすいのは言うまでもない。
わざわざ人の居ない夜中を選んだのは…カタが付くまでクラスメイトに会いたくはなかったし…それに、『アレ』を見つけたあとの行為を考えると…

そう、今、私は『アレ』を捜して校内を歩いている。
ひとつひとつ教室をまわり、トイレの個室までチェックする。
1-1、1-2、1-3…流石にこれだけ大きな建物だと、捜すのは大変。
1-4、ああ、ここにもない。私は大きな溜息をついた。

そして、何度目かの溜息をつきながら開けた3-2の教室。
蜂を誘うような甘い香りが、微かに私の鼻をつく。
「この教室ね」
匂いを頼りに念入りに捜してゆくと、黒板の下の白い壁にようやく見つかったのだ。
無機質な建物にふさわしくない、綺麗なピンク色をした、指を2本並べたぐらいの小さな肉の裂け目。
少しグロテスクなそれは、私にだけ見える、この建物の…女陰。

「やっと見つけた…」
くすりと笑いながら座りこみ、私はそれに舌を這わせはじめる。
その刺激に、陰唇がぴくん、ぴくんと返事を返す。
とろりとした甘い汁が流れ出はじめ、少しずつ、裂け目が大きくなってゆく。
簡単に指が入りそうな大きさになったところで、私はぺろりと指を舐め、中を撫ではじめる。

にゅる、くちゅ、くちゅ…

細かな肉の襞が、やわらかく私の指を撫であげるたび、ぞくりとした快感が走る。
私はそれをちょいちょいと、指で撫で返す。 するとぴくぴくと、かわいらしく震えて返事を返す。
周りのコンクリの壁は冷たいのに、中はとてもあたたかい。蜜がどんどん溢れ出し、私の腕はすでにどろどろだ。

ぐちゅ、にちゅ、むちゅ…

大きな女陰から響く淫靡な音に、いつのまにか私の片腕が自分の股間へと伸びていた。

くちゅ、くちゅ、きゅ…
「ん、あ、あはっ…」

その間にも女陰はどんどんと大きくなってゆく。
もう握りこぶしが呑めそうなほどの大きさ。
「くす、きもちいいのね…もっと受け入れたいのね…」
私はこぶしを作り、裂け目へと当てる。
「じゃあ、こうしてあげましょう」
私は勢いよく、腕を肩まで突っこんだ!

じゅぶぶぶぶぶぶう゛う゛う゛う!
…びく、びくびくびくぅ!

腕全体から、肉の痙攣を感じる。
「あら、いっちゃったのかしら?」
自然と顔に笑みが浮かんでしまう。…私は、意外にSだったらしい。
「…でも、まだ終わらないわ!」
そう宣言すると、今度はつっこんだ腕を前後へ激しく動かしてゆく!
中で肘を曲げ、蜜をかき出すように暴れさせる!

ぐじゅ!ぼじゅ!ぶじゅ!がじゅ!
「うふふ、いいでしょう?とっても良いでしょう?」

私の動きに合わせ、女陰はびくん、びくん、びくんと大きく震える。
そしてついには、私の顔めがけて、勢いよく蜜が吹きだしてきたのだ!

ぷっしゃぁぁぁぁぁあああ!

私は、顔でシャワーを受けとめた。髪の毛までぐっしょりと粘る蜜を浴びた。

「…ふう。私の手で感じてくれてありがとう」
体力テストの懸垂のあとのように、私の腕は棒のようだ。
でも蜜でぐしょぐしょの顔を手でぬぐい、ぺろりと舐めると、身体を癒す甘味が口内に広がる。

「…でも、満足してないでしょう?」
左手は自分の股間をまさぐり、陰唇のふちを舐めながら、私は続ける。
「それに、私も気持ちよくなりたいの。ねえ、奥に入れてくれないかしら?」
と、それに答えるように、女陰が大きく開いてゆく。

ぐじゅぁぁぁああ

蜜を垂れながしながら、それは人がなんとか通れるほどの大きさに広がった。
蜜を滴らせた肉の襞が幾千にも連なる様子が外からでもわかる。
「ありがとう。では、おじゃましますね…」
私はずぶりと、その肉のクレバスの中へと潜っていく…

私が中へと消えると、そこは何もなかったかのように、白い壁に戻っていた…

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狭い肉の裂け目は、私を受け入れると足元から収縮し、蜜を潤滑剤に奥へと導いていった。
蠢く肉の襞が進むたび私の肌を撫で上げる。
刺激的ではない、戯れ合うような快感。
ぬるぬるぬる。気持ちいい。

目を閉じ、味わうように楽しんでいると、ぼちゃりと、少し広めの空間へ出た。
回りを見まわせば、幾千の触手がのたうち、どくんどくんと空間全体が脈動し、ぽたぽたと蜜を滴らせる肉の部屋。
「さながら、私のための肉の教室、かしら…」
部屋の中央に立っている、いや、肉から生えている女性に、私はそう話しかける。
足は床の肉に繋り、髪の毛がわりの触手は周囲の壁と繋っている。グロテスクでありながら、美しさを合わせもつ女性。
『彼女』は言葉では答えずに、くすりと笑い、私の体を求めてくる…

「さあ、繋がりましょう?」

『彼女』から口移しで蜜を与えられながら、私は力を開放していった。
着ていた制服は肉色へと変じ、私の身体へと還っていった。
足は幾本もの触手へとほどけ、いつかどこかのエロサイトで見た、スキュラのような姿へと変貌した。
大量の触手は肉の部屋全体へと伸び、広がってゆく。
そしてぐじゅぐじゅりと部屋中にある『彼女』の触手と絡みあい、淫靡な大合唱が部屋中で奏ではじめる。

ぎゅうと『彼女』を抱きしめていた私の指の一本一本が、ふいにずぶりと呑みこまれる。
『彼女』の背中に小さな陰裂が現われ、指を受けいれたのだ。
私は指をも触手へと変じさせ、求めに応じずぶずぶと奥へと突き進ませる。

ぐじゅ、じゅぶ、じゅる、ぶじゅう!
「ん、あ、あはっ、ああっ」

びくん、びくんと、『彼女』も私も身体を震わせ続ける。
と、背中を抱き寄せていた『彼女』の手が、しゅるしゅると触手のように巻きつきながら、下へと伸びてゆく。
私も、『彼女』の中へと突っこんでいた指先を戻し、『彼女』の股間へとのばしてゆく。
そして『彼女』も私も、同時に中へと侵入した!

ぐじゅぶう!
「「〜〜〜〜〜っ!!」」

『彼女』も私も、どくん、どくんと体中に震えが走る。
ただそれでも腕は止まらず、一気に目的のものへと突き進んでゆく。
そして最奥でそれを掴んだのも同時。私達は今度は一気に引きずり出した!

じゅるるるるるぅ〜〜〜っ!
びくっ、びくん、ぷしゅぁああっ!

そうして取り出されたもの。それは臍の緒だった。

私達は御互いの臍の緒を巻きつかせると、『彼女』は私から伸びた、私は『彼女』から伸びたそれを、自分の臍へと突き刺した。
じゅぷん…
と同時に、そこらじゅうで行なわれていた絡み合いの様子も変わってゆく。
テンポが落ち、どろりと溶けあって、ひとつに繋ってゆく…

「これでいつでも、あなたと私は繋っていられるね…」
私の言葉に、くすりと『彼女』は微笑んだ。

私は臍の緒を通じて、彼女へと情報を送る。
「このひとたちが、友達になりたいって言ってるの」
「ここへ案内しても、いいかしら?」
「そう。ここでずっと、遊んであげるの…。ずっと、ずっと…。あなたと、私で。」

明日から、この校舎で夜の不気味さを感じることはないだろう。
ここは『彼女』と私の体内。感じるのは…むしろ安心。
もう、どんなことがあっても、『彼女』が守ってくれる…

肉の中、私は『彼女』と繋ったまま、眠りに就いた。




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