私が彼女とクエストを行うことになったのは、ただの偶然だ。たまたま、町から三日ほど行った場所にある洞窟に怪物が出現して、討伐メンバーを募集していたところに、たまたま懐具合が寂しくなりかけている私が志願して、たまたま同じ仕事を請け負うことになった。それだけだった。

「ブルー・プティングよ。よろしくね」


彼女の姿は――何と言うか、絶句するしかなかった。武器は兎も角、身に付けているものは簡素な胸当てと、皮の下着。それ以外はちょっとした装飾品しか身に付けていなかったのだ。その胸当てすら、こぼれ落ちそうな程に巨大な胸に押されていて、谷間らしきものが隠しきれていない。いや最早谷間などと言う生易しい言葉で表現できる代物ではない豊満さを誇る両の胸だ。もし娼婦か何かであれば、巨乳派の男共が全て野獣と化しこの女の乳に群がっていくだろう。
だが……冒険者としてみれば、あまりにも場違いと言わざるを得ない。
この女……クエストをバカンスか何かと勘違いしちゃいないか?斡旋屋、メンバーは考えるべきじゃねぇか?いくらなんでもこれはないだろ……。回りからの囁きが聞こえる。彼女はそんな声を聞きなれているのかいないのか。胸元を強調せんばかりの前屈みで地面に荷物を降ろし、中から何かを取り出す。その挙動の一つ一つが、男を誘うのに特化されたような代物だ。気付けば、何人かの男達が既に前屈みになっている。……私も、下手をしたら前屈みになっていたかも知れない。たまたま股間を隠すように垂れ下がったウェストポーチが、ちょうどいい具合に股間を他人の視界から遮っていたからだ。当然その下では――ズボン越しでも分かるくらい盛り上がった股間の逸物がある。
「んふふ……流石に冒険中はこれを着てるわよ。心配しないで」
荷物の中から取り出されたのは、世間一般の冒険者が大概身に付けている服だ。千切れにくく破れにくい繊維構造をしており、獣の爪を通しにくくしている。
だが……明らかに胸元のサイズのみがおかしい。内側からかなり圧迫されているらしく、その部分だけ生地が薄くなっている。
「…………」
これは胸を撫で下ろすべきなのか、それとも呆れた溜め息をつくべきなのか。惑うところだ。私は後者を選択したが、耳を澄ませば大多数がそれを選んだらしい事が容易に分かる。
「ん……しょ……っと」
そんな視線など露知らない様子で、彼女は服を着だした。引っ掛かるかと思われた胸元は、案外すんなりと服に収まり、ただの巨乳(と呼ぶには些か大きすぎる胸だが)がぼいんと見事に谷間を見せびらかしている以外は、外観上は普通の冒険者と何ら変わらなくなった。……チラリズムを意識したら敗けだ。頭を振って雑念を払い、私は他のメンバーにそろそろ出発しようと告げた。

クエスト自体はかなり楽に終わった。この事件の原因である怪物は、洞窟の奥で実験をしていたネクロマンサーによって創造されていたゾンビであった。それを突き止めた私達が所謂フルボッコを実行。研究の邪魔をされると思った相手も当然のように魔法で応戦していたが、先程のブルー・プティングが壁役となって受け止めつつ武器で相手を打ちのめしていた。
私もショートソードで切り伏せ援護を行い、他の仲間達も瞬く間に敵を全滅させた。
このように成功のうちにクエストが終わることは少ない。大概は中途半端な成功か、最悪失敗して全滅、などと言うこともありうる。
冒険者とはそういうものである。それだけに――このような成功は貴重なのである。

報酬と洞窟にあった財宝、ネクロマンサーが隠していた宝物などを山分けし、魔導師をやっていた女が『上質な魔導書』を手にし、このクエストは無事何事もなく終えた……筈だった。

だが――。

「んふふ……ねぇ、私と一緒にならない?」
誰も居ない筈の一軒屋、つまり私の自宅に帰ったとき既に、彼女は私の部屋にいた。ベッドに寝転がり、夫を待つ妻のごとく膝を畳んで手招きしている。
「………」
私は記憶を探り直してみた。果たしてこの女に自宅の位置を教えたかどうかを。そもそも自宅が出るような話題をしたかどうかを。
既に冒険服は愚か胸当て、そして皮の下着まで脱ぎ去っていた彼女は、そこまで大きくない私のベッドの上から起き上がり、私の方にゆったりとした足取りで近付いてきた。ぽよん、ぽゆんと大きく、彼女の乳が体に合わせて揺れる。それに合わせて私の首も知らずに上下していた。
「んふふ……、あなたの住所はこの辺りを遊んでた男の子に聞いたわ。可愛いものよね……私の胸に甘えちゃって、あっさり口に出しちゃうんだもん。思わず抱き締めちゃったわよ♪」
そのときの子供の感触でも思い出しているのだろうか、両手で支えきれないほど大きな胸を、彼女は両腕でぎゅっと抱えた。ゆさん、と大きな音を立てたような錯覚を覚える動きで乳房が持ち上がり、重力に押されて形を変える。腕の上で寝そべるように広がるそれは、視覚的にも相当の柔らかさを伝えてくる。
私は正直、誰かは知らないが近所の男の子とやらに心の中で合掌した。あんな巨大で柔らかく弾力性のありそうな乳を目にしたら、顔を埋めてみたくなるのが男だろう。正直、私自身もその衝動に今襲われている。だが……なんとか理性で抑えている状態だ。
無断で部屋に入り込んでベッドの上で股を開く用事で人を誘うような女、そんな女がまともである筈がない。早々に追い出すべきだ。私の心も理性もそう叫んでいる。だが男としての本能か、それとも種としての叫びか、私の体は既に臨戦態勢に突入しようとしていた。
「んふふ……体は正直よねぇ……♪」
私の視界は、彼女のプロポーションをすべてしっかりと捉えていた。少女と女性の過渡期にあるような可愛さと美しさを兼ね備えた顔には、母性にも似た表情が浮かび、左右色違いのオッド・アイには愁いを含んだ、引き寄せられるような光が宿っている。巨大な胸はしかし重みに負けて垂れることなく球体を保ち、双球の中心に深く刻まれた谷間は、安らぎを求める人が招かれるのを今か今かと待ち望んでいるかのよう。腰回りは体にみ合った引き締まり方をしており、体全体で滑らかなラインをえがいている。肉付きの良い安産型の尻は、胸と同じように弾力性と柔らかさを兼ね備え、そのまま手で揉み込んでみたくなるものだった。そしてしなやかな両腕に、ムッチリとした太股……。
これらの体の全てが絹のようにキメ細やかな皮膚で覆われていて、体に浮かぶ珠のような汗がその瑞々しさを証明していた。
「んふふ……いけない人。もっと自分に正直にならなきゃ。ね♪ここで盛り上がってる、あなたのオチンチンのように……」
「や……やめてくれ……」
彼女に魅入られてしまったかのように、いつの間にか指一本動かせなくなっている私に対し、彼女は衣服を脱がせ始めた。力の入らない体ではそれを止めることなど出来ず、あっという間にすっぽんぽんにされてしまった。半端に脱がされたズボンとパンツは、私の両足にいい具合に絡まって、足を動かせない状況を作り出している。
「んふふ……止めないわよ。アタシの胸に甘えたいんでしょう?ずっと見つめちゃってぇ♪」
私の目の前で、巨大な胸がたゆん、たゆんと揺れる。早く来て甘えなさい、私はあなたを待ってるわ、ねぇ、恥ずかしがらないで、早く来ちゃって、ここがあなたの帰る場所よ、そんな声が聞こえてきそうだ。
――いや、それは私の本心なのか?
「!!!!!!」
違う!私はそのようなことを望んではいない!心の中で何度も首を横に振り、雑念を追い出そうとした。だが、その思いは抜けるどころか徐々に強くなっていった。
――あの巨大なおっぱいに顔を埋めたい。むにむにと挟み込まれ柔らかな乳肉の底無し沼に溺れたい。乳房から発散される甘い香りを思うままに吸い込んでいたい。ヴァイブレーションに全身を浸らせていたい。乳首を思うままに貪りたい、むしゃぶりついて白濁した甘露を飲み干してしまいたい。そしてそのまま、彼女と――ッ!?
(あああああああっ!)
心の中で大声を出して、無理矢理雑念を振り払い、私は彼女と向き合った。乳からの声に耳を塞ぎ、不思議な光を秘めた色違いの両眼を見つめたのだ。その瞳は性交の期待を込めて幽かに潤み、吐息はさして寒くないこの部屋でも白く、顔全体が火照ったように薄ら朱が差している。時おり口元から覗く桃色の舌は可愛らしさと悪戯さを演出する。そして彼女の肌から、吐息から香るのは熟れた果実のように甘い芳香。
「んふふ……さぁ、あなたのココロを聴かせて……♪」
彼女の唇が、私の目の前でそう紡ぐと――?

ふにょん


――一瞬、何が触れたのか私には分からなかった。何だろう。胸は愚か、脇の辺りまで覆ってしまいそうな、柔らかくどこまでも埋まってしまいそうな代物は。
とくん、とくんと私の心臓は高らかに音を立てている。それを感じて、私の胸に当たっている、柔軟で弾力性のある物質はふるふると震えている。私の鼓動を、私自身が体全体で感じているのだ。人肌より幽かに冷たいそれが、私の体に与える心地よさを増加させている。
だが……なぜ股間が震えるのだ?なぜ股間の逸物が反り立ち、大きく戦慄いている?なぜ私はイキそうになっているんだ?
そういえば……私を囲う空気が、妙に甘くなった気がする。何だろう……どこか懐かしさを感じつつも、心の底に火をつけ、そこに送り込んで燃焼させるようなこの気体は……。

下を向いた瞬間、私の全ての疑問が、思考が、消失した。

おっぱい。
ブルー・プティングのおっぱい。
暴力的な質量を持ち、全てを埋め込んでしまいそうな程に柔らかく、またむにむにとした弾力性を持つ巨大な双球。
それが乳首の先端同士を合わせた状態で私の体を這うように乳肉が広がり、脇の辺りまでむっちりと包み込んでいったのだ。
谷間に濃縮された彼女のフェロモンが少しずつ放出され、私の脳に染み渡っていた。力が完全に抜けていた筈の私の体を、彼女が支える。乳肉ごと私の体を抱き締めてきたのだ。
サラサラとしたキメ細やかな肌の感触、胸の辺りを中心に私を優しく圧迫していく乳肉の感触、彼女のやや人肌より涼しい肌の感覚、そして……。
「んふふ……やっぱりカラダは正直よね♪」
視界一面に広まる、彼女の笑顔。それをだらしなく見つめる私。媚香にやられた私の脳が、彼女の乳の感触がもたらす快感に耐えきれなくなったのだ。
「あ……あは……」
もう、思考力もない。そんな私に彼女は――優しく口付けをしてきた。まるで乳肉と同じように柔らかく、またぷにぷにと押し返すその感触に――、

びゅるるっ!びゅっ!びゅっ……。

「!あはぁぁぁっ………」

私の股間の蛇口栓が耐えきれず、締め付けを緩めてしまった。
「あっ♪あはっ♪」
密着していた彼女の胸からお腹にかけて、盛大に私のスペルマが吹き上がる。彼女はその隙間から手を通すと、白くネバついたそれを私に見せつけるようににちゃにちゃと掌で弄った後、そのまま口の中へと入れた。
「……んふふ♪お・い・し♪」
淫靡な笑みを浮かべながら、彼女は私を押し倒していく。射精後の脱力感で全く力が入っていなかった私は、彼女の為すがままに押し倒されてしまう。私のズボンとパンツは相変わらず私の両足を拘束していた。床に倒された後、彼女によってその拘束は解かれたが、その時には私は、彼女から逃げ出そうという気など一切起こらなかった。
ただ――密着した肌の感触がたまらなく気持ち良くて――。
「んふふっ♪」
ぬらぁ……ぬらぁ……
彼女の体が、精液を塗り広げるように前後に動く。彼女のかいた汗が精液を乾かすことなく水分を与え続け、粘着性と潤滑性を持つコロイド溶液へと変化させた。まるでローションのようにヌメヌメと滑る精液と、不思議な弾力性を誇るブルー・プティングの体の感触で、一度萎んだ筈の私の逸物が、また反り立ち始めた。
心の片隅で、おかしい、いくら何でも早すぎる、そう叫ぶ声があった。射精したばかりだと言うのに、こんなに早く復活する筈がない。そう叫んでいるのだ。
確かにそうかもしれない。……そうかもしれない?疑問が私の心理を覚醒させ始めた、まさにその瞬間だった。

「んふふ……?駄目よ。アタシの事を考えてなくちゃ♪」

ばふっ、と音がしたと思う。だがその次の瞬間が分からない。視界が闇にいきなり閉ざされた。何か柔らかいものが左右同時に一気に押し付けられ、ぐにぐにと揉み合わされている感じがした。まるで自分の顔がパンに挟まれたチョコか何かになったように、挟まれた何かに顔が、私自身が溶かされていく感覚を覚えた。
遠くで、何かがぬるぬると私の体に刺激を送っている。その感覚すらもどかしく気持ちいい。その上、新たな粘液も現れ始めている。彼女が前後に動く度、その溢れ出す粘液が潤滑剤となって私の剥き出しの肌にぬるま湯のように染み込んでくる刺激を送り付けてくる。
そして――呼吸は苦しくなった私だが、嗅覚はまだ正常に働いている。その嗅覚が捉えるのは、先程の甘味。味わえば味わうほどに意識が深淵に追いやられていくこの媚香。ふやふやに蕩かされた私が、この香りに耐えることなど出来やしなかった。
「んっ……んむぅ……」
無意識のうちに私は、腰を上下に動かしながら彼女の胸に深く埋まろうとしていた。もっと彼女の香りを深く味わうために。彼女の両の胸が与える柔らかな包容感と瑞々しい肌が持つ弾力、そして豊富な肉感を脳が蕩けるほどに味わうために……いや、既に蕩けているようなものか。
鼻が、口がむっちりとした乳肉によって塞がれる息苦しさすら、彼女の放つ甘く切ない香りによって快感と化し、顔を受け止める乳房が持つ柔らかく暖かい刺激が、私の精神を少しずつ退行させていく……。
「んふふっ、いい顔ね♪」
彼女が私に向けて何かを言っている。顔は見えないけれど、どこか嬉しそうだ……。
酸素を吸うことすら忘れた私の意識は、徐々に桃色の霧で覆われていくようだった。仄かに差し込む光が視界に映す風景は、仄かに赤みがかかった肌色と、谷間に出来た濃い影であった。その影の中に、私の心は埋もれていくような……。
「じゃあ……こんなのはどうかしらぁ♪」
――光が突然差した。味気の無い空気が大量に体に流れ込んでくる。私の体はただ機械的に呼吸を行いながら、時おり届く彼女の香りを必死で摂取しようとしていた。
突然夢から醒まされた子供のような、不機嫌な感情が私の中に浮かぶ。けれど……。
「んふふ♪こんなに盛り上がらせちゃって……」
先程までの乳の楽園で完全に反り立った私の逸物を嬉しそうに眺める彼女の、その淫靡で妖艶な笑顔を見ていると、それすら薄れていく……。次に何をするのだろう?次にどうしてくれるのだろう?まるで手品師を目の前にした子供――今の私は、子供以外の何者でもないのかもしれない。彼女の行為全てに心酔し、新しい玩具や遊びを期待して心でねだる子供。
彼女の秘唇からは、とろとろと甘い香りのする液体が流れ落ちていく。それらは私の右太股を濡らし、淫らな膜を作って覆っていく。
「んふふっ♪今は出せないようにしてあげるわぁ♪」
片手で私の逸物を握りながら、淫らな声で呟く彼女。その極上の蜜のように甘い吐息がペニスの敏感な先端に当たるのが、何とも気持ちが良かった。太股では、彼女自身が腰を前後に動かして、秘部を私の太股に擦り付けていた。ぬちゃっ、にちゅっ、と粘っこい音を立てながら、彼女は愛液を私の脚に塗り広げていく……。愛液が私の肌に染み入っていく感触が、何とも心地好く気持ち良い……。
「あはっ♪時々毛が膣の中を擦る感覚なんて最高ね♪」
彼女が体を前後に揺らす度、豊満な胸はぼいんぼいんと音を立てているかのように揺れ、両乳首が縦横無尽に踊っていた。それを見て、さらに私の逸物がいきり立つ。「早く挿れさせてくれ〜!」という逸物の叫びが今にも聞こえてきそうだ。
「んふふっ♪もう出そうなの?さっき出したばっかりなのに……ホント、えっちなんだから♪」
足の裏まで愛液まみれにした彼女は、反対の脚も同じようにした。その過程でも私のモノはピクリピクリと震え、今にも精を吐き出してしまいそうだった。それを防いでいるのは彼女の手。棹を、根元を締め付けるように握り、精が漏れ出すのを防いでいたのだ。
「出したいの?ねぇ、あなたは出したい?」
「……あ……?」
先程から与えられていた緩やかな刺激に陶酔していた私は、彼女の声を朧気に捉えていた。
出したい。脈打った私のペニスからスペルマを思うままに放出したい。びゅくびゅくと震える放出後の快感に身を委ねていたい。
「ねぇ……♪」
M字に股を開いた彼女は、私に見せつけるように秘唇に手を添え、ゆっくりと左右に広げた。くぱぁ……と音を立てて、唇からまるで唾液のように愛液が糸を引いて橋を形作る。所謂ヤリマンと言われる類いの黒ずんだ色ではなく、綺麗な桃色をしている内壁は、数える事が出来なそうな程に数多くの襞が覆い尽くし、今か今かと来訪者を待ち構えている。ごぽり、と吐き出された愛液が、天然のローションとなってペニスに絡み付いた。彼女の温もりを肉棒全体で感じ、私は思わず小声で呻いてしまう。
「んふふっ♪挿れたいでしょう?挿れたいんでしょう?アタシのおマンコの中に挿れてびゅくびゅく出しちゃいたいんでしょう?自分というものを忘れてアタシと一つになりたいんでしょう?ねぇ……♪」
彼女の声が、何重にも私の中で反復される。脳を巡っては。次第に私は、それが自分の意思であるかのように考え始めていた。
「……挿れたい……出したい……挿れたい……一つに……」
気付けば、私の口は彼女の言葉を何度も反復していた。まるでそれが自分の望みであると言い聞かせるように……。
次第に私の息は荒くなっていき、心臓は高鳴り、だらしなく開いた口の端からは涎を垂らしていた。
「んふふっ♪」
そんな私に――

「――でもまだ駄目よ♪」

――彼女は絶望的な一言を告げた。
「!!!!!!!!!?」
驚きのあまり何も言えず、瞳から絶望の涙を流していた私の顔に、彼女は熱に浮かされたような笑みを浮かべると、そのまま額にキスをした。その弾力性のある蛞蝓のような柔らかくぬっとりとした感触に、私の心に安らぎの火が点る。
「こらこら、泣かないの♪」
彼女は私の目を青色の左目で見つめると、可愛げに指を立てて私を指差した。
「まだ本番には早いし……ね♪」
そうなのだ。膣に私のものを挿れるということは、それが行為の終わりであることを意味する。恐らく挿れた瞬間、私の体は全力で精子の放出にかかるだろう。そうすれば気持ち良い――願わくば永遠に続けていたいと思うこの淫らな交わりが、ほんの一瞬で終わってしまう。そうなれば互いに興醒めだし、私としても望ましくない。
だが、逸物は私の支配を離れたようにビクビクと蠢き、ちょっとした刺激でも衝動を解き放ってしまいそうだ。この感情をどうにかしたい……出したい……挿れたい……!
「んふふ……でもあなたは限界なのよねぇ……♪」
彼女は猫のように体をくねらせながらゆっくりと立ち上がる。ぽたり、ぽたりと落ちる愛液が、私の臍からゆっくりと腰回りを覆っていく……胸の楽園の外で垂らされた愛液と混ざり合い、淫らな芳香を私の部屋に充満させていく……。
「――だ・か・ら♪」
そのまま彼女は――!

じゅぬぶぷぶぷっ!

「――んあああああああっ!!!!」
反り立つ私の逸物を、胸と同様に豊かなお尻に招き入れた!尻たぶを開き、本来物体を入れることは想定されていない筈のアナルに、私のペニスを突き刺したのだ!
「あはぁぁぁぁぁあぁぁんっ♪」
その衝撃は、彼女に喘ぎ声を出させる程強いものだったらしい。私もアナルに挿れられた瞬間出してしまうかと思った。だが――!?
「ぐ!!!!!?」
「んふふ……♪まだ出させないわよ♪」
彼女は括約筋をフル活用し、私のペニスを締め付けて精道を塞いでしまった!むっちりとした尻たぶを股間に押し付けつつ、弾力性の強い内壁によって強烈に締め付けてくる!腸壁の襞も、ペニスの各場所をなぶりつつ力強く圧迫してくる!ペニスが戦慄く動きさえ受け入れつつ力で押し込めている!
「ぎっ……ぐっ……がぁ……」
精道を通ることの出来ない精子は全て精巣に蓄えられることになるが、精巣は既に貯蔵量の限界を遥か超えていた。だが、入ってこようとする精子を必死で押し出そうとするが、当の精道は豊満な尻の筋肉によって絞められ、その道を閉ざされている。筋肉の量的に力の差は歴然。結果として精巣にさらに精液が雪崩れ込み、玉袋がさらに膨張するのだった。
気持ち良くなど無い。寧ろ――痛い。いたい!イタイ!
「がぅっ!がぁっ!ぐぅあっ!」
逸物が脈打つ度に、精巣が今にも破れそうなまでに膨張していく!肌触りの良い、私の肌に吸い付く肉感のある尻の感触がペニスを緩めているのに、彼女の締め付けのせいで一滴も漏れもしない!逆に尻が股間に触れていることで精巣に精子が急ピッチで送り込まれていく……!
「んふふ……♪痛い?苦しい?そうよねぇ……こんなに溜まってるから仕方ないわよねぇ……♪」
彼女は尻の締め付けを緩めること無く、玉袋を軽く手に取った。そして……ぴぃん、と何回か指で弾いた。
「がっ!がぁぁっ!がぅあぁっ!」
その度に私は、世紀末を迎えた獣のようにただひたすら、痛みのあまり叫んだ。刺激に反応して精子が作られ、さらに玉袋が膨張する!
彼女はそんな私を見て楽しそうに笑うと――!?

「じゃ、一気に吸い出してあげるわね♪」

悪戯を思い付いた魔女のような気安い一言。それが切っ掛けだった!
「!?」
彼女の尻の中で、腸壁がうねうねと蠢き出した!表面が襞で埋め尽くされていたそれは、私のペニスのあらゆる処に絡み付き、無数の舌同然に舐め回す!さらに、彼女自体も腰を上下させ始めた!
「あぉっ!あぉああっ!」
「あはっ♪あははっ♪あはん♪」
ぺたん、むにゅん、ぺたん、むにゅん
下半身にむにむにと吸い付いては離れ、吸い付いては離れてを繰り返す彼女の尻。その何とも言えず気持ち良い感触に、私はただ叫び声を漏らした。当然だ。肝心の肛門は閉まったままなのだ。いくら刺激を与えられようと、解放には程遠い。
「んふふっ♪じゃあ……」
彼女は相変わらずお尻を動かし続け、それでも締め付けを弛めようとしない。やっぱり一気に吸い出すなんて嘘だったのか……そう心の何処かで思い始めた、その瞬間だった。

「……出していいわよ♪」

股間に意識が行ったのは、彼女が玉袋を手に取り――自らのアナルに挿れた瞬間だった。同時に一瞬括約筋を緩めてペニスを解放。押し込んだ玉袋を――一気に圧迫した!

「―――!!!!!!」
叫び声すら、出なかった。出たのかもしれないが、その声は遥か遠くあまりに弱々しく、自分の声だとは思えなかった。ただ、鮭の川登りの如く逸物を遡っていく大量の白濁した己の子種が、彼女の体内にぶちまけられるその瞬間――

ぶしゃあああああああああっ!
「ああああああああああっ!」
「あはぁぁぁぁぁぁぁんっ♪」

――二者二様の叫び声をあげ、私と彼女は達した。どぷどぷと精液が注ぎ込まれるうちに彼女も絶頂を迎えてしまったらしい。秘部から大量の愛液が私の体に撒き散らされる。とろとろと流れるそれは、力無く地面に横たわった私の腕をも全て覆い尽くした。
「あはぁっ♪すごい、すごいわっ♪せーしが、あなたのせーしがどんどんはいってくるわぁっ♪」
興奮のあまり彼女はさらに腰を上下させ始めた!一滴たりとも逃すまいと尻全体で圧迫し、私の陰嚢に溜まった精液を根刮ぎ吸い出してくる!
「ああああああああああっ!」
それに合わせるように私も腰を盛大に振った。まるで彼女の体をそのまま貫かんとするばかりに。
さながら本番のように、歪んだ交わりは暫く続けられていった。私が突き上げたら彼女が絞め、彼女が絞めたら私は突き上げる、と言った具合に……。

それから幾度突き上げた頃だっただろうか。
「……っはぁ……んふふ……中々気持ち良かったわ……♪」
私の陰嚢がすっかり空になってしまった後、彼女は私のペニスをアナルから抜いた。ぶぶぽっ、と空気が入る音がして抜けたその場所は、不思議なことに精液の一滴も付着していなかった。普通なら、一滴くらいは落ちてきてもおかしくない筈だろうに……?
「んふふ……あらあら♪あなたのおチンチンって元気がいいのねぇ♪」
快感の余波で滲む視界。それでも分かる、茶色の幹に桃色の笠を持つオトコダケ。間違いなく自分のものだ。精が残っていない筈なのに何故だろうか……?
既に私の体は彼女の愛液がかかっていない場所が無いほどに濡れている。そこからは常にあの甘い香りが空気中に発散され、まるで私の体が彼女のそれになってしまったかのようだった。もしかしたらこの香りが、私の体をまだ欲情させているのかもしれない。
「まだまだ……アタシの中に出したいんでしょぉ……?」
いやらしい声で私の逸物に息を吹き掛ける彼女。こそばゆく優しい空気の動きが私の息子をピクピクと蠢かせた。だが中身がない以上、それは痙攣を起こしているだけに過ぎなかった。ただもどかしい感覚だけが、私の陰茎から全身を這い回っていく……。
「あはっ♪素直で可愛らしいおチンチンね……♪」
息を吹き当てながら、彼女の指は私のオトコダケをなぞっていく……裏筋から傘の裏を、微かに爪を立てながらコリコリと弄っていく。指の腹は、ぬるぬるとした彼女の愛蜜によって潤滑性を得て、爪とは対照に私に鈍い刺激を与えていく……。
「ううっ……く……あふぅ……」
だが私の逸物はただ震えることしか出来ない。いわゆる空打ちの状況だ。出すものが、全く精巣にて作られていないのだから。
カリや裏筋を撫でられ刺激される毎に、びくん。
亀頭を撫でられる毎に、ずくん。
鈴口に爪を差し込まれ、尿道出口を弄られる度に、どくん。
彼女の息が陰茎を擦る度に、ぴくん。
ありとあらゆる、私のペニスに対する責めに私は翻弄されていたが、精巣が動きを止めてしまったのか、逸物は固く反り立ったままでも全く解放――射精される事はなかった。
イカせる動きでの生殺し――!?
「……ぁっ……ぁっ……ああっ……」
最早私の頭には、出ることの無い精子を彼女にぶちまけることしか頭になかった。そんな私の心理を見抜いてか、彼女は息を吹き掛けるのを止め、私の顔に目線を合わせた。
「んふふ……♪どうしても……アタシの中に出したい?アタシと一つになりたい?」
理性の声が既に消滅していた私に、肯定以外の意思は無かった。
「………」
こくん、と頭を動かす。まるでおねむが近付いた赤子のような小さな頷き。だが、彼女に私の意思を伝えるのにはそれで十分だった。
「んふふ……♪」
何故か嬉しそうに彼女は笑うと、そのまま私の上半身を抱き抱えて……。

むにゅん

「―――」
彼女の豊かな胸を、私の顔に押し付けられる。だらしなく開いていた口に、乳首が差し込まれていく。ふわふわぱふぱふとしたマシュマロのごとく柔らかい感触と、花の香りを濃縮したような甘い芳香が、私の精神を幸せの里へと連れ去ってしまいそうで――?

びゅっ

「――?」
私の口の中に、何か生暖かい液体が発射された。それは私の舌先に当たると、じわりじわりと染み込んでいく。
「――」
甘い。まるで彼女から発散される香りをそのまま液体化させて放り込んだ感じだ。彼女自身の持つ柔らかな温もりが、そのまま私の中から体を解きほぐしていくような感覚。とくん、とくんと脈打つ彼女の心臓の音に合わせるように、ぴゅっ、ぴゅっと私の中に暖かな液体が流れてくる……。
「んふふっ♪そう……あんっ♪もっと押し付けてぇっ♪あ、そ、歯を立てて……上手いじゃない♪あんっ♪んはぁんっ♪」
最早本能で、彼女の乳に蓄えられた液体を飲み干そうと私は動いていた。下手をしたら私の顔と同じくらいの大きさがある胸に顔全体を押し付け、力の大して入らない顎で乳首を甘噛みする。舌先でその先端を嘗めとりながら、口の中で吸い込んでいく。その度に彼女の乳からは母乳が溢れ、私の体を、心を潤していった。まるで自分の中が蕩けていっているような気さえした。
次第に、脚や腕からさえ力が抜けていく――それとは反対に、私の陰嚢には段々と子種弾が充填されていく――私はこの事に、大きな幸せを感じていた。
いつの間にか、私の全身からは力が抜けていた。腕も、脚も動く気配がない。唯一首と頭はまだ動くが、じきにそれすら動かなくなるかもしれない。
その一方で、私の愚直な砲台は、発射の時を待ちきれずにカウパー液を彼女に見えるように垂れ流している。時折震えながら、命の泉のごとく透明な粘液を沸き立たせ続けている……!
「んっ……んんっ……んっ……」
とくん……とくん……
ゆっくりと、ゆっくりと流れていく……。母乳が、私の中にとくとくと流れていく……。しみしみに、体全体に染み渡っていく……。そして逸物は、バベルの塔かと見紛う程に反り立ち、彼女に捧げる精液は根本に備えられた二つの玉に蓄えられていく……。
「んんっ……」
びくっ、びくくっ
いよいよ、発射間近の衝動を体全体で感じ始めた。陰茎の揺れが、力を無くした全身を揺らす。まるで、逸物が心臓になったみたいに……。
徐々に、陰嚢も大きさを膨らませていった。彼女の乳が体内で精液へと変化し、中に溜められているかのように……。
「んふふっ♪じゃあ――」
彼女は私の口から乳首を、胸を外して立ち上がった。
今にも精液を吹き出してしまいそうな、活火山のような私の逸物の様子を眺めながら、彼女は少し後ろに下がる。そして――!?

「一つに、なりましょ♪」

――一気に、腰を下ろした。

ぐちゅちゅぶぐにゅにゅるぷっ
「――――!!!!!!!!!!!!!!!!」

異様な感覚が走った。まるで肉が肉として形成される以前の物体にそのまま己をぶちこんでいるかのような感覚。どこまでも柔らかく、濃厚に絡み付く、液体とも固体とも付かない物質に、逸物が囚われてしまったかのようにすら感じられた。これが彼女の膣の感触……とても人間の物とは思えない独特の内壁の感覚……!
「あはぁっ♪いいわっ、この感じ……♪」
勢い良く挿入した彼女は、騎乗位の体勢をとっていた。根元と下腹部の辺りを手で押さえながら、ゆっくりとじゃれつくように腰を上下させていく……!
不思議なことに、彼女が腰を上下する時、私も同じように腰を動かすことが出来た。彼女が求めれば、私もそれに応えることが出来たのだ。同時に、私が求めるとき、彼女もそれに応えてくれた。
どぷん、どぷんと、私の陰嚢が揺れる。ぶるん、ぶるんと、彼女の巨大な乳が振動し、先端からちろちろと白濁した甘露が流れ落ちていく。それは私の体や床に当たると気体へと変化し、甘く芳しい香りを放ちながら私達を取り囲む。いつしか私の視界は、彼女以外は真っ白な風景しか映さなかった。
「あはぁっ♪ついてぇっ♪もっともっとぉ♪」
「ふぁっ!ああっ!あぁああっ!」
彼女の叫びに、理性を無くしたような声で応える私。彼女の膣の中で玩ばれている逸物、そこから送られてきている断続的な快感パルスに翻弄され続けているのだ。
彼女の中は、まるで高濃度のローションのようにねっとりと絡み付く異様に柔らかい内壁が、逸物のあらゆる場所に形を変えて入り込んでいる。びっしりと生えた襞が無数の独立した舌であるかのように、オトコダケの各部分をしきりに舐め擽っていく……その一つ一つが彼女の乳房を連想させる柔らかさと弾力性を兼ね備えていて、むちむちと圧し包んでいく。隣り合わせになった襞は尻のようになり、茎やカリ、亀頭周辺にむっちりと腰掛け、中を満たす愛液の流れに沿って前後に擦り上げていく――!
ぬぷっ!ずぷっ!ぬぷん!ずぷん!
「!!!!!!」
引き抜く瞬間と挿し入れる瞬間、膣を満たす愛液が潤滑液となり、スムーズな接合を可能にする一方で、陰茎の根元の周囲に無数の粘着した糸を引かせ、私と彼女をくっ付けようとしていた。そして挿した瞬間膣内の圧倒的な質量に揉まれ、引いた瞬間名残惜しむように逸物を捕らえる無数の襞の感触に、私の逸物はいよいよ大きく震え出した!
「――んふふ♪さぁ……思いきり出しちゃって――一つになりましょ♪」
彼女はそう淫靡な笑顔で呟くと――

――大きく腰を落とし、その肉付きの良い尻で陰嚢を圧し潰した!

「ぁ――」
一瞬ですら、
「――ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああっ!」
耐えられる道理はなかった。皺がなくなるほどに膨れ上がった精液袋は、むっちりとした尻に左右から圧迫され、さして大きくもない精道へと一気に流れ込む!大きく脈打つ肉棒の先端は大きく口を開き、そして――!

ぶびゃびゅるるびゅくびゅるぅ〜っ!

「あはぁぁあぁぁぁんっ♪」

彼女の中に、貯えられた全ての精液を放出した。

――そうして何回か彼女と交わった後、
(……?)
私は……目に映る風景にやや違和感を覚えた。
「んふふ…ほら、あなたのおチンチン、アタシの中にうっすら透けて見えてるでしょう…?」
毛穴や滲み一つ無い健康的な色をした彼女の肌、その奥に見える反り立つ肉の棒は、紛れもなく私の股間から、彼女の中へと入れているそれだった。
(……え……?)
どうにも……うまく頭が働かない。どうして彼女の体から、自分の体が透けて見えるのだろう……。その疑問は、私自身の頭を醒ましてもいい筈なのに……?
「……ぁぅっ……ああっ……」
私の逸物全体に絡み付く彼女の膣肉は、まるでヌメヌメとしたスポンジのように肉の棒を受け入れ、体を洗うようにぐにゅぐにゅとその柔肉を私に押し付けてくる……。襞の一枚一枚がまるで舌のように鈴口、亀頭から皮の裏、浮き出た血管一枚一枚に至るまでしっかり舐め解し、あるいは触手のようにぐるぐると巻き付いて……!
「うぁ……うああっ!」
「んふふ……また出ちゃう……?いいわよ……どんどん出しちゃって♪」
今にも射精しそうな勢いでぴく、びくと戦慄き始めた私の逸物を感じたのか、彼女は再び腰を大きく動かし出してきた!まるで巨大な質量を持った粘体が、いまだ萎えることの無い私の分身を怒濤に巻き込んでいるかのようだ!
ずぷんっ!ぬぷんっ!ずぽんっ!ぬぼんっ!
一回彼女が腰を大きく動かす度に、盛大な音を立ててペニスが擦られる!肌全体に彼女の襞一枚一枚がまるで蛭のように吸い付き、艶かしい感触を与えている!その上、まるで歯の無い口のように蠢く彼女の秘唇が、にゅぐにゅぐと逸物に甘噛みし、くわえ込んでいく!
「ふぁっ!でっ、で……るぁぁぁぁぁっ!」
びゅくっ……びゅるるるっ!びりゅっ!びゅっ……。
そのあまりの威力に耐えきれず、私は再び、彼女に中出ししてしまった。

「ほぅら…アタシの中でだんだん蕩けてきて…」
彼女の言葉通り、私は彼女の責めに、意識までもを段々と蕩かせてきて……もう彼女の事しか考えられなくて……あまりに気持ち良くって……。全てを彼女に明け渡してしまったような、そんな感覚さえした……まさにその時だった。

「あはっ♪先っちょの方からだんだん同化し始めちゃったわよ♪」

「!?っ!?」
彼女の一声で我に還った私は、視点を逸物にずらした!先程までと別段変わった様子は――!?
「なっ!なぁぁぁっ!?」
私の逸物の先端が、徐々にその色を薄れさせていく!?中を迸る精液が、少しずつその白濁した姿を目の前に現していく……!?
咄嗟に彼女の体を押し上げて突き放そうとした!だが……いくら押し上げて腰を動かしても離れる気配がない!?逆に彼女の方に引き寄せられている感覚すらあった!間違いない!私の逸物は彼女と繋がってしまっている!
ぐにょんっ!ぐにゅんっ!ぐにょるんっ!
「あぁっ!あぁあっ!あぁあはぁああっ!」
さらに、繋がった場所から私の中に大量の何かが流れ込んでくる!肉棒の精道部分以外を染み渡って、下腹部から体全体に向けて何か暖かく淫らな波動が伝播していく!気付けば、彼女と私の呼吸のタイミング、鼓動の速度が完全に一致していた!
「うっふっふ…幸せでしょう…?あなたはもう絶対にアタシから離れられないのよ…、このままだんだん溶けて頭の先までずぶずぶ飲み込まれて、中でとろとろになって吸収されて、アタシの体の一部になっちゃうんだもんっ……」
ばふぉんっ
その声の最後はどこか反響して聞こえた。彼女は騎乗位を止め、そのまま私の方に体を倒してきた。通常では有り得ない動き。だがその思考に行き当たるより前に、私の頭は彼女の両胸に抱き抱えられていた。
「……嬉しいでしょう…?自分が自分じゃなくなっちゃう快感、皮膚の、意識の境目を飛び越えて、誰かと本当に『一つ』になっちゃう感覚……普通じゃ到底味わえないわよ……」
くにゅん、くにょんと私の頭を捏ね回す二つの巨大な乳房。その谷間には濃縮された彼女のフェロモンが蓄えられていて、それが私の鼻孔から全身へと染み渡っていく。ただでさえ力の入っていない私の体から、さらに力を奪い取っていく……。もがこうとする意思すら、柔らかな双球に削り取られていく……。
僅かに残った意思ですら、首を動かすのが精々。だがその行為は、自ら乳房に顔を押し付ける行為に他ならなかった。
「んむぐっ……ふむっ……」
口と鼻を完全に挟まれ、呼吸が全く出来なくなる。苦しい状態である筈なのに、体は全く真逆の行為を求めていた。
もっとこのおっぱいに挟まれていたい……ふわふわとした極上の感触と、地球上に他に到底存在し得ない質の甘さを誇る芳香を持ち、薄桃色に染まった柔軟にして適度な反発を持つ二つの果実に身を埋めていたい……。
私は自分の体を押し上げて、彼女の胸に顔を押し付けようとした。僅かな力でも、多少は顔の高さは上がるだろう。そう考えての行動だった。だが――

「………?」

腕の感覚が……無い?肩の感覚は辛うじてあるのだが、そこから先の感覚は最早完全に消え失せていた。まるで最初から、そこに神経など繋がっていなかったように……。
「んふふ……♪アタシの母乳が効いてきたわね……♪」
胸を通じて、彼女の言葉が伝えられていく。同時に、胸の締め付けが弱められ、だらしなく首が横に向けられたまま、頭が地面に吸い寄せられていく……。
ぼやけた視線が捉えたのは――愛液にまみれた腕。だが――その先端にある筈の手が見つからない。いや、むしろ手があった筈の位置に見える、巨大な雫のような青い球体は何なのだろう……いや、待てよ。その青い球体の先にホースから放たれた水のようなものが流れている。私はそれを目で追っていくと――!?

彼女のブロンズのツインテールの先端が、件の水の束らしきものに繋がっていた。

「んふふ……♪そうよ……♪アタシは人間じゃないの」
彼女はにっこりと告げる。だが私はその笑顔すら、ただ恐怖しか感じなかった。被食者が捕食者に対して抱く本能的恐怖は、一時的に彼女のフェロモンを吹き飛ばし、私に本来の心を取り戻させたのだ!
「あああああああああああああっ!」
私はめくら滅法にもがいた。だが既に全身から力は完全に抜けており、腕や脚に至っては逸物と同じように水色へと徐々に変化している!それだけでなく、繋がった逸物が直に感じる刺激が、極端に倍加されて私の身体を巡っていく!
「んふふ……♪アタシの母乳はねぇ……人間の体に入ると、どんな動きでも気持ち良くさせちゃうのよ♪だから……ほらぁっ♪」
ぐにゅん
「!!!あぁはぁぁああっ!!!」
彼女が腰を微かにくねらせる、それだけで私の全身に言葉では表現出来ないような快感が走る!膣にて何も擦ったわけではないのに、私の体はビクビク震え、逸物からは白濁した液が彼女の中に吐き出されていく!
彼女と繋がった逸物は――最早青色の管と化し、臍の緒のごとく私と彼女を繋いでいる!完全に彼女と逸物は一体化してしまっているのだ!
「こんな感じでね……ちょっとした刺激でも、どんどん気持ち良くなれるのよ♪それこそ……蕩けちゃいそうな程にね♪」
見るもの全てを惑わす魔性の笑顔を浮かべると、彼女はそのまま自らの乳を弄くり始めた!
「あっ♪あ…あっ♪あはっ♪あはぁっ♪」
下から掬い上げるように手のひらに乗せながら、乳首には触れず外側から少しずつ揉み込んでいく……。彼女の乳房は掌の上で変幻自在の動きを見せ、ぶるんぶるんと重たく震える。時おり乳首をつまんでは捻ったり、乳房の中に押し込んだりしている……。
同時に、ゆさゆさと身体を揺らし、同化した逸物に膣で食らいついている……。ぐにゅぐにゅと玉袋も飲み込んで、青く染め上げていく……。大量の白濁した液体が、段々と中から透けて現れてきている……!
「うぁぁっ……あっ……あああっ……」
胸からの刺激、膣からの刺激をダイレクトに受け、私は再び身体を震わせていた。微かに感覚の残る逸物の先端が大きく開き、玉袋に溜められた精液が一気に開け放たれていく……!
「……あぅ……ぁぁ……」
びゅる……ぶりゅ……びゅくん……びゅくん……
脈打つ射精の余韻。そのテンポは彼女の脈拍と同じ。既に腰回りまで、彼女の侵食は進んでいた。
抵抗する心すら、脈打つ逸物から抜け落ちていった……。

「んふふ……♪さあ……アタシに全てを委ねちゃいなさい♪」
ぐにょる、ぐにょると彼女の秘唇が、膣肉全体が蠢き始め、私の体を少しずつ呑み込んでいく。脚や腕があった筈の場所には、今や完全に、彼女を取り囲む水色のスライムが陣取っている……。完全に、彼女の一部になってしまったのだ。
「――」
だがそれに対して、私は大して恐怖を抱いていなかった。むしろ心の何処かで歓喜(よろこび)を感じていた。
彼女の脈が、私の体を突き動かす度に――とくん。
彼女の心が、私の心を揺さぶる度に――とくん。
彼女の温もりが、私を蕩けさせていく度に――とくん。
彼女が私に伝わる度に、私はありとあらゆる次元で喜びを感じていた。母乳によって神経が敏感になった皮膚を、甘いフェロモンで和らいだ心を、どこまでも沈んでいきそうな肉の繭に包み込まれていく……。そんな退行的な感覚に、私は陥っていた。
「んふふ……♪じきに全身に塗られたアタシの愛液が、あなたをアタシにしてくれるわ……♪」
彼女の愛液を浴びた箇所は、どういう原理か彼女の体へと変化していくという。しかもその効果は彼女の母乳を摂取すればするほどに大きくなっていくらしい。先程私は彼女の中から絞り尽くさんとする程に母乳を体内に摂取した。故に彼女の愛液は次々に皮膚に染み渡り、先端からその身体構造を徐々にかえていったのだ。
いつの間にか私の腰回りまで、クリアブルーに染まっていた。
さらに、私の逸物から流れてきた液体は、彼女の神経を私の中に伸ばすための浸透剤となるもので、これによって私は、彼女のどんな動きでも、先程の乳房での自慰のように、全身で感じるようになってしまっている。そして……神経が広がる度に、彼女が私の中に入ってくる……。もう、私と彼女の境界線は心の壁だけだった。それすら少しずつ解き解されていき――。

「さぁ……アタシの中で溺れて……蕩けて……一つになりましょう……♪」

人間では有り得ないくらいに拡張された陰唇。それがぐむぐむと蠢いて、私の体を少しずつ飲み込んでいく……。
「――」
じんわりねっとりと巻き付く肉の襞。生まれ落ちた子供を愛撫するようなその動きに、私は安らぎと気持ち良さを覚え、射精をするようにびくびくと震えた。実際に先端から出たのは……彼女と同じ構造になった私の体。
彼女の中に、私を出しているのだ。出された私は、そのまま彼女の肉に溶けて、彼女の体そのものとなっていく……。
やがて、私の顔も陰唇に飲み込まれていく。ぐむ、ぐにゅと耳元で粘液が撹拌されるような音が響く。耳からも鼻からも口からも、ありとあらゆる私の穴からぬっとりと甘い愛液が流し込まれ、体が彼女で満たされていく……。そして彼女へと変わっていく……。
そして――。

にゅるぽん

私の体は、ついに彼女の中に収まってしまった……。

(あはぁぁ………)
全てを他人に優しく包まれている。そう、まるで赤子の頃のように、何も考えず他人に委ねていたあの頃のような感覚。上も下も前も後ろも右も左もなく、ただ中に『いる』状況。純粋に暖かく、まるで日溜まりの中で昼寝をしているかのように安らかな環境の中で、私は徐々に夢心地になっていった。
『んふふ……さぁ……いらっしゃい。アタシの中へ……。もっとアタシの中へ……』
……あ……彼女が呼んでいる……。
声が聞こえた方向へ、無意識に無くなった筈の手を動かそうとする自分。でもその必要はなかった。何故なら、自然と体がそちらの方に流されていくから。
やがて進むにつれて、私の心に不思議な感覚が湧いてきた。浮かんでは消えていく、見覚えのない風景、見覚えのない人物。なのにわたしは、その風景がある場所、時間を、その人物の名前を、声を、体つきを――逸物の固さを、薄らぼんやりと思い浮かべることが出来た。同時に、彼らがわたしの身近にいる、いや、下手をしたらわたしのすぐ側にいる、そう肌で感じていた。
『……そしてあなたは――』
彼女の声が聞こえ、わたしは目を開いた。
肉壁に覆われた世界だった筈のわたしの周囲は、いつの間にか輝かしい黄金色の光で満たされていた。暖かな風がまるで絹の衣のようにわたしを包み込んで流れていく。
風に逆らうように、わたしは光の中に進んでいく。こっちよ……こっちよ……と、体が叫んでいるのだ。体の赴くままに、わたしは光の中を進んでいく。
やがて、光の中に見覚えのあるシルエットを見つけたとき――!

――あぁっ!

愛しかった。嬉しかった。わたしという存在から解放されるようだった。
彼女こそ、わたしが求めていたもの。
彼女こそ、わたしが辿り着くべきもの。
そして――

『――あなたはアタシになるのよ』

わたしは彼女に飛び付いて――アタシになった。




「――んふふっ♪」
男を飲み込んだ後、ブルー・プティングはベッドの上で微かに膨れた腹部を撫でていた。次第に小さくなっていくお腹の内部に、男の痕跡は欠片も残ってはいない。
――?
いや、男を飲み込んだ形跡なら残っていた。

「……あはっ♪また大きくなっちゃった♪」

彼女の胸が、飲み込む前より一回り大きく変化し、尻もさらに肉付きが良くなっていた。彼女が人間を飲み込む度に、こうして巨大になり、濃密なフェロモンを発するようになるのだ。もしこの町の住民を全員飲み込もうものなら、彼女のいる場所から半径50km圏は彼女の事しか考えられなくなるだろう。
だが、彼女にその気はない。少なくとも今のところは。彼女が望むのは――。

「んふふ……♪ねぇ、アタシと一つになりましょ……♪とっても気持ちいいのよ♪蕩けちゃうくらいに……♪」


fin.




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