「うっ……く……くそ……」
「う……うん……外れ……ないっ……」
異様な暗がりの中、男と女が手足を縛られて磔状に拘束されていた。男の身なりは退魔の紋様が彫られたプレートメイルに、腰に差したブロードソードという、所謂典型的な騎士であり、女はというと、これまた退魔の紋様が描かれたローブに、宝玉が埋め込まれたロッドという典型的な魔法使いであった。
二人を縛るものは、金属製の鎖などではなく、ぐねぐねとした肉触手であった。表面から分泌される粘液は、人肌以外のものをどんどんと溶かしていく。魔に対する加護など関係ないかのように、次々と装備品が融解して肌を滑り落ちていく。
「く……ふ……んん……っ」
「ん……んはぁ……んぁっ!」
徐々に身に付けた物が溶かされていき、肌に直接触れられるようになっていく。生物特有の生暖かい温度をもった、繊毛を粘液で濡らした触手に全身をまさぐられる二人。その表情は二人とも嫌悪感に満ち満ちていたが、体の方は力が抜けきってしまっており、入れることすらままならなず、まるで朝顔の蔓が巻き付くように触手が腕に脚に幾重に巻き付いている。

何も初めから二人は罠にかかっていたわけではない。拐われた姫を助け出すために乗り込んだ洞窟の最深部にて、誘拐した魔物――淫魔エニューと合間見えていたのだ。極端に大きな胸を露出させての誘惑と、その強大な魔力で幾多の冒険者をたぶらかし、あるいは葬ってきたエニューだったが、二人息の合ったコンビネーションで、徐々に追い詰めていったのだ。
そして騎士のブロードソードが、エニューの胴を一刀両断したのだった。だが――。
その瞬間、エニューは自らの体を精神に作用する魔法『闇爆(ダークボム)』へと変化させ、騎士達の精神を吹き飛ばしたのだ!咄嗟に魔法障壁を張ることもままならず、彼らの意識は闇へと落ちていった。
――そして目が覚めると、両者共に触手の辱しめを受けていたのだ。

「んんっ……くぁ……っ」
「んはぁ……っ、ほ、炎よ……あぁっ!」
既に両者の武器は全て溶かされ、防具の残骸と思われるものが肌に所々張り付いているだけの状態であった。騎士は瞬間的に力を入れて振りほどこうとしたり、魔法使いは簡易な魔法を詠唱しようとするが、どちらも集中力を乱されて失敗するばかりだった。
次第に精神の抵抗力が磨り減っていくなかで、彼らの防具の最後の一欠片が、溶かされ、地に落ちた――まさにその瞬間だった。

「ふふふ……無様よねぇ、勇者クン、あなた達の大事な大事なお姫さまは直ぐここにいるのに……ねぇ」

その声に、二人はまさか、と思い視線を動かす。優越の結晶とも言える女の声。それが洞窟全てに反響するのと同時に、暗がりの各所から火が上がる。その火は洞窟の内部を豪剛と照らし出し、騎士と魔法使いの眼前に明確な風景を映し出す。

「んはぁ……あふぅ……エニューさまぁ……」

「なっ!」
「そ……そんな……」
それは二人に衝撃を与えるには十分な威力を持っていた。彼らが助けようとしていた姫が、先程、痛み分けに仕留めた筈の淫魔エニュー――それも巨大化していたそれの秘部をぺろぺろと嘗めていたのだ。
それが嫌々でないことは、先程耳に届いた声で十分理解できた。だが、その一方で脳内では理解することを拒んでいる彼ら自身もいた。あの姫が、自分達の助けを待つのではなく、自らを拐った憎むべき魔物を、あろうことか様付けして呼び、見せつけんばかりの痴態を晒しているのだ。連れ去られた時の衣装など微塵もなく、絹で出来たようなブロンドの髪と傷一つ見えない真珠のような肌を持つ裸体をべとべとの蜜で濡らしながら、エニューの巨大な女淫に手を突っ込んで刺激させつつ、漏れてくる蜜に懸命に舌を伸ばしている姫に、在りし日の面影など見てとれなかったのだ。
「きっ……貴様……っくっ……姫になにをした……っそもそも……何故生きて……んんっ!」
触手の猛攻に意識を飛ばさないようにしながら、男は倒すべき魔物――淫魔エニューに向けて叫ぶ。そんな男に、気だるそうに寝転んだまま、巨大な淫魔は答えた。
「あらぁ……あなた達が助けに来るまで、私がお姫様に何かしちゃいけないなんてルール無いでしょ?」
ふふっ、と嫌らしく笑いながら、エニューは一心不乱に舐め続ける姫の背中を、先端が細くなった爪ですっ、と撫でた。
「ひゃあぁああぁあっ!」
それだけで姫の体は絶頂に達し、剥き出しの秘部からは潮と小尿を盛大に吹き上げた。ぷしゅう、という音と液体が吹き出る様子は、触手に全身をまさぐられている二人に多大なショックを与えていた。

「ひ……酷い……」
思わず漏らした魔法使いの呟きを耳聡く聞き付けたエニューは、心の底から蜜を求めて舐め続ける姫の髪を、まるで慈母のような笑みを浮かべながら鋤いた。
「酷いだなんて、失礼でちゅよね〜、気持ちいいでちゅか〜」
姫は、一度舐めるのを止めると、蕩けきったにへらとした笑みをエニューに向けて、甘えるように呟いた。
「はひぃ……きもちいいでしゅぅ……エニューさまぁ……」
そのままエニューの太ももに頬を擦り寄せる姫に、魔法使いは懸命に正気に戻るよう叫ぶが、彼女の耳に届いていないのか、姫はそのまま目を細めて微風のような笑みを浮かべるだけだった。
「ふふふっ……だぁってぇ……あなた達が来るまで、ずっとずっとずぅっと甘やかしてたのよぉ……。出会い頭に魔物をバカスカ殺すあなた達に酷いなんて言われる筋合い無いわよぉ」
嫌らしくそう告げながら、エニューは寝そべる姫を掌に乗せ、胸の辺りにまで持ち上げた。人間の大きさだった時の胸も、メロンでも詰まっているのかと思えるほど大きかったが、女淫の筋が人の子供くらいの大きさもある今の大きさでは、突き出た乳首の時点で人の顔よりも大きく、乳房に至っては牛が四頭ほど入っていてもおかしくない大きさをしていた。
「何をする気だ!おい!やめろ!」
騎士の必死の叫びを聞くこともなく、エニューは惚けてふらふらしている姫に向かって、淫らな口調でこう告げた。
「ねぇ……おっぱい……飲みたい……?」
もう片方の手で、ゆさり、ゆさりとたわわに実った乳を持ち上げ揺らすエニュー。皮膚越しに、液体が揺れるようなだぷん、だぷんという音が姫の体を震わしている。さらに人の顔ほどの大きさもある乳首のその先端では乳腺がぱくぱくと開き、漏れ出る乳白色の気体が姫の周りを白い霧のように覆っていく……。
「く、くそ……うぁっ!……ん……んうっ!」
「あ……や……きゃっ!い……いゃあっ!」
騎士と魔法使いを拘束する触手が、表面の繊毛をぞわぞわと蠢かせ始めた。まるでこれからエニューが姫に対してする行為を邪魔させないようにするかのように、絡む対象の力を根刮ぎ削ぎ落としていく。
痛みの無い、寧ろおぞましさに筋肉を強ばらせながらも顔を上げた騎士は――見てしまった。

「――!あぁあああっ!」

まるで母親に甘える赤子のように、恐る恐るながらもしっかりと腕を伸ばす姫。その瞳は確かな歓喜の色に満ちて、その頬は白く濡れながらも、熟れた桃のように火照っていた。
「うふふふふっ……」
姫の目の前で、エニューはゆっくりと、その巨大な胸を揉みしだいた。根元から、先端へと、牛の乳絞りよりもさらにゆっくりとしたスピードで。
ぷく……と、乳首の先端から乳白色の液体が珠のような形で溢れ出してきた。まるで真珠のように真ん丸に、彼女の巨大な乳首の先端についたそれに、姫は舌を近付けていく。そして、舌が触れた瞬間――ぱぁん、と音がしたように弾け、姫は頭から乳まみれになってしまった。ブロンドの髪も、薄桃色に火照る肌も、まるで白ペンキが入ったバケツを頭の上で引っくり返したように白く染まってしまった。
何が起きたのか分からない、思考が働いていないような表情で呆けている姫は、自らの全身から漂う甘い香りと、毛布をかけられたような柔らかい暖かさに気づいたらしい。舌先に残る甘い感覚はそのままに、ゆっくりとエニューの方へ頭を上げる。
「……ふふふっ♪お行儀の悪いお姫様でちゅねぇ……ちゃんと、のませてあげまちゅよぉ〜♪」
馬鹿にしたような口調でそう姫に告げるものの、エニューの顔は言葉とは裏腹に愛情に満ちたものだった。まるで人間が可愛らしくてしょうがない、とでも言わんばかりの――どこか悪魔じみていたとはいえ聖母に近い笑顔。
エニューの乳首の先端が、ピクピクと小刻みに震え出す。ぱくぱくと開閉する先端から出た白霧は、騎士達の視界からさらに姫を覆い隠していく。
騎士達に反撃する力はない。淫魔に好きなようにやらせることしか出来ず、二人は臍を噛む思いで目の前の濃霧を見つめていた。
一方、まっさらな楽園に手招かれた姫は、前方に見える、自らの顔と同じくらいの乳首の中で、じゅるる、じゅるると何かがのたうつ音を耳にしていた。甘い香りに蕩けて、暖かく柔らかい感触にふやかされた心は、期待の鼓動をとくん、と鳴らす。
「ふふふ……んはぁぁぁっ!」
じゅぶぶっ!
エニューの絶叫と共に、乳首の先端が大きく開き、そこから飛び出してきたのは、姫の口ほどの太さがある肉色の触手であった。あちこちが白く濡れているのは、母乳の中を通ってきたからであろう。
エニューの乳から出てきた触手は、徐々に鎌首をもたげながら姫の口に向けて伸びていき、彼女の手の届く位置で止まった。
不思議そうに眺める姫の目の前で、その触手はぷくっと管を膨らませると、ぐぽん、と彼女に向けて白濁した液体を吐きかけた。吐き出した液体は体に当たると先に浴びた母乳と混ざり合い、足元へと落ちていく。
「――」
足元――つまりエニューの手の上で気化していく母乳。それはエニュー自身が持つ媚香と綺麗に混ざり合い、嗅いだ人間を淫蕩の世界の住人として刻み込む。姫は今までエニューに行われてきた調教と教育、そして蜜や霧のの淫蕩効果により、すっかり思考力を減衰させていた。
そんな姫が、彼女の目の前にある管が吐き出した物質を感じて導き出した結論は――。

「――んむっ」

――目の前にある管をくわえ込むことだった。そのまま姫は、まるで逸物にするように、顔を上下させ、両手で管の表面を握りしめて擦っていた。
「んぁぁっ!そう……その調子よ♪私のアソコにやったように……その管を扱いて……っ!」
エニュー自体も、管を彼女の腕と口の動きに合わせるように動かし始めた。彼女が前に動くときは、喉仏を突かない程度に前に、後ろに動くときは、彼女の口から抜けるギリギリの場所まで、という具合に。それを幾度か繰り返した後、彼女の胸の中が、だぷんだぷんと大きな音を立てた!
「あはっ!んふふっ!だっ!出すわっ!貴女の中に出すわよぉぉっ!受け取りなさぁぁぁぁぁぁぁいいっ!」
乳首の先端を押し広げて、管がぐぽん、と音を立てると、握り拳くらいの膨らみが出来る。その膨らみは徐々に姫の口に近付いていき――!

ぐぼぼぼぼぼぼぼぼぼぶしゅうううううううううううっ!

「!!!!!!んんんんんんんんんんっ!」
姫が――人間が一気に飲み込める量を遥かに越えた、大量の白濁した液体が彼女の喉に開け放たれた!次々に殺到する白く甘い液体に、思わず管を口から離してしまう姫。それでも管から放たれる液の勢いは収まることがなく、エニューの掌の上でのたうち回りながら姫の体をさらに白く染めていく!
「〜っ!っほっ!こほっ!こふっ……」
気管支に入った物を押し返そうと咳する度に、体内で気化した母乳が姫の肺に張り付き、エニューから放出される大量のフェロモンを、倍加させて酸素と合わせて吸収するよう作り替えていく。表皮に張り付いた母乳自体が発するフェロモンも含めて、彼女の中にさらに大量のフェロモンが雪崩れ込むようになった。
「あらあら……出しすぎちゃったかしらぁ……♪」
楽しげに胸をたゆんたゆんと動かしながら、触手先端から母乳を吐き出し続けるエニュー。手の上で相変わらず息を荒げたまま惚け続ける姫の耳元に囁きかけるように、猫なで声でこう呟いた。
「ねぇ……おいしい……?わたしの……おちち……」
ぴゅっぴゅっと音を立てながら、乳を吹きかける触手を、エニューは姫の股間の辺りに擦り寄せるように近付けていった。そのまま、姫の口へと身を震わせながら鎌首をもたげさせていく。
「――」
考える頭すらフェロモンにやられてしまった姫は、何ら迷う素振りを見せず、触手に口づけし、溢れ出てくる母乳をちゅうちゅうと吸い始めた。こくこくと喉を鳴らす度に、彼女の瞳はさらに闇の色を強くし、締まりのない秘部からは愛液がエニューの掌に向けて垂れ、母乳と混ざり合って強烈な性臭を振り撒いている。
姫の脈とほぼ同じテンポで送られていく母乳に、姫の頬は明らかに緩み、エニューに向けられる目線も段々と艶っぽくなっていく。まるで何かをおねだりするような視線に応えるように、エニューは淫蕩な笑みを姫に向け――。
「ふふっ……♪ねぇ……もっと飲みたいかしら?浴びて、くるまれて、溺れてしまうくらいに、私の母乳……欲しい?」
びゅくん、と母乳を吐き出す触手。その迸りを喜びと共に受け入れながら、姫は、エニューに向けてどこまでも蕩けた笑顔のまま――こくん、と頭を一回動かした。

「……ふふふ……ふふふふふふほほほほほほほほっ!」
不意に、エニューの顔が女帝のようなそれに――悪魔の本性をあらわしたかのように変貌を遂げる。二人にも笑い声は届いているが、何が起こっているのかは白濁した霧のせいで何も分からなかった。
だが――エニューの笑い声で、二人は何が起こるか、嫌でも知ることになった。

「いいわぁ♪いい顔よぉお姫サマ♪どこまでも素敵じゃない♪拐ってきたときの態度が嘘みたい♪やっぱりこちらの方が素敵よねぇ♪おっほほほほ……さぁ、飲ましてあげるわよぉ……私のとびっきりのお乳を……私の中でね♪」

「「!?」」
エニューの乳の中――そこに姫を閉じ込めようというのか!二人は懸命に抵抗し抜け出そうとするものの、既に体力は相当削られており、与えられる嫌悪と快楽に耐えるのが精一杯となっていた彼らのそれなど、子供が駄々をこねるような力でしかなかった。
「くそっ!やめろぉっ!姫を離せっ!」
騎士の必死な叫び声も、柔らかな霧に阻まれて消えた。何も為す術もないままに、姫の方へと、触手の出る巨大な乳房は迫っていく。それを姫は、どこか嬉しそうな様子で見つめていた。無論、口にくわえた触手から母乳を摂取するのを忘れずに。
そして――!

「さぁ、いらっしゃい――頽廃的な楽園へようこそ♪」

――果たしてその声は姫に届いていたのかどうか。

ぐにゅぽぁぁぁぁぁぁっ
粘っこい音を立てて開かれた乳首の先端部は、次の瞬間には姫の上半身を触手ごと飲み込んでいた。もし一瞬でも姫の視線を乗っとることが出来たなら、開かれた乳腺の中がどうなっているか、目の当たりにすることが出来たであろう。――膣を満たす襞と同じくらい柔らかく、それでいて瑞々しい色をした肉の壁がみっしりと迫り、それら全てが母乳をコーティングされ艶かしく光っている風景を。
歯の無い口のように、モグモグと咀嚼していくエニューの乳首。姫は中で感じているのだろう。抵抗する様子もなくただ体をビクビクとさせ、綺麗な秘部が何度も潮を地面に向けて吹き出す。やがてエニューの指が乳首に向けて姫を押し込み――姿は、胸の中に消えた。
「ほほほ……ふふっ、お休み♪私の胸の中で……♪」
子供のように悪戯めいた笑みを浮かべながら、触手に絡ませた二人に届くような声で、優しさを装った声でエニューは呟いた。

「ち……畜生ッ!」
「そ……そんな……あぁっ!」
反撃する手段もないまま、騎士は怒りに震え、魔法使いは呆然としながらも触手のもたらす快楽に震えた。遠距離魔法を使われると厄介な魔法使いは、詠唱を封じるために常に触手を蠢かせているのだ。
そんな二人を眺めながら、エニューは翼を広げ、眼前にある濃密な白霧に向けて、風を吹き付けた。白霧は一気に空間に拡散し、触手の餌食となっている二人をも覆い尽くした。
「むっ……!」
「んんっ……!」
突然迫り来た白霧に対応することが出来なかった二人は、思いきりその霧を吸い込んでしまう。口中に広がる甘ったるい空気に、騎士は顔をしかめ、魔法使いは眉を寄せた。
「……んっ……あぁっ……『治癒(ケア)』……んはぁっ!……」
何とか状態治癒の初級呪文を使い、魅了の効果だけは消した魔法使い。だが、その結果としてなけなしの魔力を叩いてしまった彼女は、体内の抵抗力を著しく下げてしまう。本来ならば薬草なりで回復するところなのだが、両腕が拘束されている上に、道具そのものが手の届かないところにあるのだ。次に使うならば、相当な時間が必要であろう。
「ふふっ……どぉおかしら♪わたしのあまぁあいお乳のお・あ・じ・は♪」
楽しそうな声をあげて近付いてくるエニュー。その片手は、人一人を取り込んだのに膨らんでいる気配が全く見られない胸を静かに揉みしだいていた。乳腺はおろか乳管にすら母乳が一滴も流れ込まないのか、乳首がくぱくぱと開いても霧が発生することはなかった。
「……さい……あくだ……この……悪魔が……」
「あら、答えるだけの体力がまだあったのねぇ……驚きだわ♪」
さして驚く様子もなく、辿々しくも返事をした騎士に目を向けるエニュー。どこか面白い玩具を見つけたような、悪戯な――だがどこか悪意に満ちた視線に、精一杯の嫌悪の視線を返す騎士。
「……姫を……返せ……」
地の底から響くような彼の声にも、エニューは心を動かされる事はなかった。
「嫌よ。おーさまにも言ったわよね?『わたしを倒したら、姫を返してあげる』って。倒してもいないのに、どうして返す必要があるのかしら?」
「ぐっ……」
確かに倒したと言うよりは、相手の自爆に巻き込まれたような形ではあった。だが――それでも確かに既に溶かされた剣はエニューの胴を捉えた筈だったのだ。未だに騎士の手に残る、体を裂く感触。それはどうにも誤魔化すことなど――!
「あ、言っておくけどあなた達が倒したのは、私じゃなくて私の作り出した自立型の人形よ?やぁねぇあれと痛み分けになる程度で倒した何て思ってちゃあ……」
「!何……だと……?」
「嘘をついてわたしに何のメリットがあるのかしら?私の掌を見てごらんなさい?――あんっ♪」
驚愕する騎士の前で、エニューが乳を揉んでいない方の手を、思いきり秘部に突っ込むと、そのまま抜き出す。愛液ですっかりベトベトになった手は淫魔特有の強烈な性臭に満ちており、抵抗力のすり減った人間達の思考を減衰させていく……。
「……んっふふ……『涜神(イコノクラフト)』!」
エニューが呪文を唱えた瞬間、手を覆う愛液がどんどんと集まり、形を持ち始める。人型になり、肉がつき、表面に色が付き始めると――!?
「!?」
「「んふふ……どうかしら?」」
エニューの掌の上に、二人が先程まで戦っていたのと同じサイズの'エニュー'が出来ていた。'彼女'は全くエニューと同じ表情を浮かべ、騎士を眺めている。
全く同じタイミングで、全く同じリズムで言葉を話す二人のエニューに、騎士はただ絶望にも似た呆然を覚えるだけだった。
「ふふふっ……ほほほほほっ!分かったでしょお?いくらでも産み出せる私の人形に!それも私より遥かに力の無い人形に、あなたは全力を出さなければ――いいえ、勝つことすら出来なかったのよ!ふふふ……尤も、今のあなた達じゃあ気を抜いた私ですら倒せないでしょうけどねぇ……ほほほほほほ!」
エニューは二人の目の前で全身をだらけさせ挑発的な目線を投げ掛ける。まるでどこからでも来い、とでも言わんばかりに。これが今までの彼らなら、明らかな挑発に乗ることなく、自らの状態と相談しつつ油断なく隙を探したであろう。だが、触手のいたぶりによって精神を磨耗させられ、エニューの哄笑によって冷静さを失っており、尚且つ隙あらばエニューを打ち倒そうと魔法使いが魔力を充填していた事もあって、今が好機と捉えてしまったのだ。
「――我と契約せし冥府の王の鎌を振るい、冒涜せし敵を現世より追放せしめん!『冥翳斬(デスサイズ)』!」
程なくして、魔法使いの誇る、最強の威力を持つ魔法が発動する。闇色と血の赤を混ぜたような毒々しい色彩を纏いながら、空間すら一刀両断してしまいそうな銀の刃が虚空を躍り、エニューの全身に向けて放たれた。
「ふふふっ……♪」
闇に覆われる直前にすら、余裕の笑みを浮かべるエニュー。やがてその声すら闇に包まれ、剣戟にも似た魔力の衝突音だけが二人の耳に届くだけだった。
「……はぁっ……はぁっ……ぁっ……」
全ての魔力を使い果たした魔法使いは、全身の力をくったりと抜いてしまう。触手は白霧が吹き付けられた直後ぐらいから何故か止まっていた。後は騎士がもう少し体力を回復すれば、後はどうにでも手段はある――確かにこの瞬間、二人はそう考えていたのだ。

「――ふふふ……ふふふふふふふふ……ほほほほほほほほほほほほほほほ……ほ〜っほほほほほほほほほほほほほ!」

――この笑い声を、耳にするまでは。

「そ……そん……な……?」
彼女の誇る、最大クラスの魔法――闇に堕ちた錬金術師の塔すら住人ごと消し去ったことのある呪文を受けて――なおも生きているという事実に、二人は呆然となった。
心が闇に覆われていく二人に追い討ちをかけるように、エニューは闇の中から哄笑した。
「ほっほほほほほほ……中々いい呪文持ってるじゃないのぉ!触手を止めてあげて回復するの待ってあげた甲斐があったわぁ!でも残念だったわねぇ!あなたの魔力じゃあ私にかすり傷一つつけられなかったわぁ♪ん〜綺麗なお肌♪」
次第に闇が薄れていくと、そこに居たのは――発言通り傷一つ見当たらないエニューの姿だった。気だるそうに起き上がる彼女の体は、次の瞬間、間欠泉でも吹き上げたかのように体全体から吹き出た桃色の気体によって覆われていった。
「あらぁ?気が抜けちゃったら、抑えていた分の媚香が出ちゃった♪うふふ……」
見せつけるかのように巨大な羽根をパタパタと動かすエニュー。その風に乗って、媚香は一気に空間に拡散した!
「う……ぐっ……ぁ……」
先程吹き上げた白霧よりもさらに強烈な発情効果がある桃色の気体を吸いながらも、騎士は何とか正気を留めていた。既に陥落しそうな城の壁を、煉瓦で修復して繋ぐような、綱渡りの状態ではあったが。
だが――。

「――ふぁぁぁああぁあああっ!」

「あらあらぁ……私は何もしてないわよぉ……♪なのに盛大にイッちゃってぇ……ふふっ♪エッチな体ねぇ……♪」
回復した魔力を全て攻撃に使った結果、魔法使いの抵抗力は最低値を記録した。そこに畳み掛けるように強力な媚香を放たれた彼女の体は、一瞬にして発情状態にまで押し上げられたのだ。
ビクビクと震える胯間からは大量の愛液が吐き出され、体を縛る触手達にびちゃびちゃと淫らな恵みの雨となって降りかかった。
「ふふふ……♪」
にやにやと嫌らしい笑みを浮かべ、乳をたゆんたゆんと揺らしながら近付いて来るエニュー。彼女が一歩踏み出す度に彼女の全身からは淫気が放出され、視界を桃色に染めていく――。
「いっ!いや、い、いやぁぁぁっぁはあああああぁあああっ!」
魔法使いが、騎士の叫びを掻き消すほどの大きさで叫ぶ。是非を問う言葉も、心配だという意思も、魔法使いには伝わらない。彼女の脳内では、今大量の快感情報が雪崩れ込み、処理落ち寸前の状態なのだ。
その上に、自らの全力をかけて発動させた魔法が通じない相手が、意味ありげな笑みを浮かべて近付いてくる様は、彼女に本能的な恐怖を与えてきた。これからどんな行為をされるのか、変わり果てた姫の様子から、それがろくでもないものだということがありありと分かる――!
「ふふふ……どうしたのぉ?怖いのよねぇ♪さっきわたしを殺そうとしたじゃない……♪そんなあなたがただで済むわけがないわよねぇ……♪」
まるで子供を相手にするような口調も、今や恐怖の対象としか感じられない魔法使いは、ただイヤイヤと目を瞑って首を左右に振るだけだった。
「いやぁっ!イヤァァァァァァあああはぁぁぁぁっ!」
同時に、これまで吸収した媚香の効果で体の感度は格段に上がっているのだ。動かないでいる触手の感触と、エニューが起こす風が肌を擦る感覚で、常に興奮状態が続き、時おり触手がずるりと動くと直ぐに体をびくびくと震わすようになってしまっているのだ。
恐怖と快楽、二つの激情を行き来する彼女の精神は、砂時計を滑り落ちる砂のようにどんどん削り落ちていく。騎士の必死の叫びも、彼女の耳には届かない。
「いやぁ……ぃゃぁ……」
ついには、彼女は精神的な年齢退行まで起こしてしまった。精神力の限界を遥か超えてしまったのだ。
「うふふ……無様よねぇ……。わたしを倒しに来たんでしょお……♪お姫さまを助けるためににっくき悪魔を消滅させるつもりだったんでしょお……♪ほらほらぁ……♪」
彼女に近付いたエニューは、その人の顔よりもやや大きい小指の腹付近に彼女の顎を乗せ、顔を持ち上げた。同時に、首筋に爪をピッチリくっつける。
「動いたら切れるわよ、あなたの首が、ね♪」
「ひぁ――」
威圧的な笑みで嬉しそうに脅すエニューを前にして、魔法使いはただ震えることしか出来なかった。自分は、もう、助からないだろう。負けた場合の覚悟は戦いの前にしていたが、実際に囚われの身になって、初めてその真の意味を彼女は知った。
「何をする!やめ――ングーーッ!」
「騒がしい子は嫌いだから、あなたは黙ってなさい?後でじっくり、相手してア・ゲ・ルからね♪」
先程から影で何度も叫んでいた騎士の口を、触手が何本も入って塞ぐ。同時に、そのうちの一本が騎士の舌に絡み付いて、切ない刺激を与えていく。明らかに力の抜けていく騎士を一瞥したエニューは、心底楽しげに続ける。
「でも残念ねぇ……あなた達が助けようとしたお姫様は、私の中に囚われのまま……次にあなたも囚われることになるんだもの……うふふ……♪」
小指の爪を首筋にぴったりとつけたまま、エニューは姫が入っていない方の胸をだゅ、と持ち上げ、乳首を彼女に見せつけた。そのまま、ぐにゅぅぅぅと開く乳腺の内部は、無数の襞がぬらぬらと蠢き、肉壁が呼吸をするように伸縮していた。奥の方からはだぷんだぷんと、乳が多重に波打ち跳ね返る重々しい音が聞こえ、その度に白い靄が肉壁に降りかかる。
「とっても気持ち良いのよぉ……まるで自分なんか――いいえ、自分が人間だって事すら忘れちゃうくらいにね♪」
くぱん、くぱんと物欲しそうにねだるエニューの乳首。その矛先は、間違いなく魔法使いに向かっている。彼女はそれを理解してはいるが、恐怖に震え呆然と涙を流すことしかできなかった。
やがてその乳首の奥で、何かがくねる音が響く。彼女はだらしなく口をひらいたまま、それを見つめて――!

ずぼゴポォっ!
「!!!!――!!!!」

エニューの乳首の先端から溢れだした触手が、そのまま魔法使いの喉を貫く勢いで口内に侵入する!噎せ返りそうになるのをお構い無しにどんどんと喉を下がっていくエニューの触手は、表面が乳白色の液体でぬらぬらと濡れていた。
「苦しい?苦しいの!?ほっほほほほ!えぇ苦しいわよねぇ!?でも大丈夫よぉ!すぐに苦しさなんか感じなくなっちゃうからねぇ!?ほほほほほ……そぉれ♪」
エニューの声と同時に、乳首からはさらに触手が溢れだし、地面から生えた触手と同じように魔法使いの体に絡んでいく。依然として媚香がエニューの体からは発生しており、皮膚も含めた全身からそれを吸収した彼女の肌は格段に感度が上がっていた。
「んぉんんをんんっ!んんむんんんんっ!んぉぉんんむんん!」
叫び声は全て内臓まで伸びた触手によって防がれ、代わりに全身が触手によって盛大に踊らされる。ビクンビクンと大きく震える彼女の体は、ぬらぬらとした白濁液がどんどん塗りつけられ、淫らな様相を呈している。
絡み付いた触手は、指の間やへその穴といった細かい場所から、エニューと比較しなくても平原と表現できそうな部位などといった広い場所まで、あらゆる場所を愛撫し、擦り、擽り、舐めていった。時おりぐにゅぐにゅと絡み付いて揉み込む度に、擽ったさと気持ち良さが入り交じったような、優しくハグされた時の感覚が彼女の全身に送られていくのだ。
「ほほほほほ……いいわぁいいわぁその顔!怖いのに気持ち良くて、気持ち良いのに怖くてどうしようもないって顔!良いわぁそそるわぁ……!ほっほほほほほほほ……♪」
時おり彼女の体を包む触手は静かに脈動し、全身を圧迫してくる。心臓のような音と一緒に体全体を擦りながら、優しく絞めては緩む独特の感覚に、彼女の中の恐怖が、どんどん薄れていく。次第に表情自体も、緩み呆けていく……!
「んぁんっ!んんぁぁ……むんをっ!」
突然、彼女の体が大きくどくん、と跳ね上がった!よく見ると彼女の体――というより腹部がぼこん、と内側から突き上げられたように膨らんでいる!どうやら口から入れられた触手が胃にまで到達したらしい。異星人が飛び出して来そうな程に激しく突き上げられた彼女は、痛みのあまり一瞬意識を取り戻した――だが、
「ふふふふふ……ほっほほほほほ!さぁ、愛情の籠ったお仕置きの時間よぉ……♪」
「――んむぐっ!」
眼前に迫るエニューの顔は、明らかな嗜虐が見てとれた。まるでこれから行うことを心底楽しみにしているかのようなそれに、魔法使いは心底恐怖した。彼女の精神に、さらに亀裂が入っていく。復元するための台座すら壊してしまうほどに……。
「――ッ……、――ッ……」
騎士は、依然として叫び続けているが、触手によって口内も含めて執拗なまでの愛撫を受けているため、声も弱々しく到底彼女には届かない。
二人は互いに何も抵抗できぬまま――エニューによる刑は執行された。

ず  ぼ  ぼ  ぁ  っ  !

「――!!!んむぐぅぅぅぅぅぅぅうぅぅっ!!!」

魔法使いの体を這い進んでいた触手のうち二本が、既にとろとろに蕩けていた股間に迫り、一気に二穴を貫いた!ぶちん、と音がしたのは、処女膜を打ち破ったからだろう。そのあまりの衝撃と激痛に、彼女はほろほろと涙を流し叫んだ。
ぐぬんぐぬんと掘り進むように体をくねらせながら奥へと侵入していく触手。一寸進む度に傷つけられた部位が擦られ、乳白色の分泌液が塗り込められていき、じんじんとした痛みが続いていく。
一方のアナルも、入った衝撃で菊門の一部が切れたらしい。触手の表面を覆う乳白色の分泌液に血の赤が混じるが、それすら潤滑液にして、ずいずいと奥まで潜り込んでいく。その際に傷口を擦る感覚も、ピリピリとした痛みとして彼女の脳を刺激していった。
「おっほほほほ……どう?痛いでしょお?んふふ……でも、まだ序の口よぉ!」
嗜虐の色に染まった笑みを浮かべたエニューは、触手の先端が内臓深くに入ったことを、管を曲げたときの魔法使いの反応で確認すると、それを大きくのたうたせた。傷口に執拗に当て、内臓や内壁を圧迫して、意図的に傷口を広げ……その度に彼女は痛みにもごもごと叫び、管に絡まれた体を思いきり反らすのだが、その動きすら敏感になった肌には快楽の材料としかならずまた悶える。
そのままエニューは下半身に挿した方の触手を、内壁を擦るように一気に引き抜き、また勢い良く差し込む!
「!  !  !  ぐぅぅんっ!んぐむっ!むんっ!」
口から入れられた触手も、ぼこん、ぼこんと胃を強烈に打撃する。絶え間ない嘔吐感と排泄欲求、それを塞ぐ触手、彼女の精神の台座はみるみるうちに削られていく――!

「さぁっ!これでお仕置きは終いよぉぉぉっ!」
エニューが叫ぶのと同時に、管の全てが、根元からぷくりと一回り膨らんだ。大人の腕ほどの長さもあるその膨らみは、まるで地を這う蟲のようにゆっくりと、魔法使いの方に向けて進んでいく……。それを彼女は涙を流し、痛みと恐怖に震えながら見ることしか出来なかった。そして――!

びゅぶじゅるびゅゅゅぅぅぅぅぅぷしゅびゅぁぁぅぅぅぅぅぅぅっ!

「!!!!!!!!!!ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛っ!」
秘部、肛門、そして胃。管の先端が存在していた三ヶ所に、膨大な量の母乳が一気に噴射された!あまりの衝撃に魔法使いの背中は大きく反り返り、白目を剥いたままビクビクと悶え狂った。
みるみるうちに、彼女の腹は臨月を迎えた妊婦以上に膨らみ、皮膚が急激な変化に耐えられず神経を巻き込んで苦痛を脳に訴える!
ごぽごぽごぽぐぷどくっぶりゅりゅりゅじゅぶぁぁっくぷんとくんどくっ……
その間も、どんどんと母乳を注ぎ込むエニュー。逆流した母乳すらそれに混ざり再度中に入り込むほどの勢いで。三穴はしっかりと触手で塞がれており、もし行き着いても漏れ出る隙間はない。いつの間にか鼻から気道にかけても、小さな管が二本入り込み、決して窒息死させないように、媚香が混じった酸素を送り込んでいった。
人体の限界を無視するかのように、彼女の腹は――体はどんどん膨らんでいく。体が左右に振れる度に、体内に溜まった液体がどぷん、どぷんと重苦しい音を立てる。それでいてなお、ごぽりと触手は母乳を吐き出し――。

「……んふふふふ……どうかしらぁ?今の気持ちは……♪」

エニューの触手が母乳の注入を止めたとき、魔法使いは見るも無惨な姿に変化していた。まるで全身が乳袋と化したかのように、下腹部から胴体にかけて丸々と膨らんでいた。中はおろか、下手をすれば輸卵管まで母乳で満たされた子宮。腸内での吸収量を遥かに越えた母乳がみっしりと満たされた肺と心臓以外の臓器及び消化器類。まるで末期病人のように、触手が体に絡まり、挿入されている様、そして――ぴくぴくと震えたまま白目を剥いて微動だにしない顔――どれも、在りし時の面影などみてとれなかった。
「――………――………」
そんな彼女を、騎士は力無い目で見つめることしか出来なかった。彼の中には、もう抵抗する力すらも残されていなかったのだ。浮かべるのは、完全なる絶望。死ぬ気すら、今の彼の中には存在しなかった。

「うふふふふふ……♪さ、て……あなた、まだ苦しいかしらぁ……?」
まるで蜂蜜のようにねっとりとした声で、意識の有無も不明な魔法使いにエニューは語りかける。その表情は――しかし嗜虐の色は見られない。あるのは慈愛だ。それも、まるで母親が子に与えるような。
「…………」
白目が、徐々に黒目を引き戻していく。どうやら彼女に意識はあるらしい。だが――、瞳にあるはずの光は、もう存在しなかった。先程大量に流し込まれた母乳。それが、彼女の心を完全に壊してしまったのだ。
反応を示さない彼女に、エニューは優しく微笑む。と同時に、姫が入っていた方の乳房が、ぴくん、と内側から蠢いた。
「はん……♪ふふ、もうちょっと待ってるのよぉ……♪すぐに出してあげるからねぇ……」
ぴくん、と一回震えると、その乳房は動きが収まった。エニューの声が、ちゃんと聞こえているらしい。いや、それよりも問題は――。
「――!」
絶望に追い討ちをかけたような表情で、騎士はその様子を見つめていた。揺れた乳房にいるのは、間違いなく姫だろう。だが……苦しみもがいているような動きはしていない。それどころか、エニューの言葉を素直に聞き入れていた――!?
騎士は気付かなかった。揺れる乳房の向こう、触手に貫かれたままの魔法使いが浮かべる表情が、段々と変化していたことに。
「ふふ……ふふふふふっ♪ようやく体が染まりきったのねぇ……♪どぉお……?苦しいぃ……?」
にやけ顔で語りかける声に、彼女は――ふるふると、首を横に振った。
――瞬間。

もこもこもこっ!
「んぬんふっ♪んほぁっ♪あきゅん♪んはぁぁっ♪」
訳の分からない擬音をあげながら、エニューの乳房が内側から様々な方向に突き上げられていく!まるで風船男のそれのように、ぼこん、ぼこんと盛り上がっては収まっていくのだ!
やがてその動きは、エニューの乳首の方へと進んでいって――ぶしゅううっ!

「「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪」」

嬌声が、二つ上がった。一つは、エニューのもの。そしてもう一つは――騎士達にとって聞き覚えのあるものだった。
ずるり、ずるりと乳道を通り、乳腺から吐き出されていく、母乳にまみれた存在。
それには髪があった。目映いブロンドの髪だ。
それには美しい顔があった。真珠のような肌、見るものを惹き付けずにはいられない瞳、顔のバランスに合った、すっきりした小鼻や瑞々しい唇。
それには人間の、それも女性の胴体があった。艶かしくてかる肌はまるでシルクで出来ているかのよう。華奢な腕は適度な筋肉がつき、それを題材にした彫刻が存在してもおかしくはないほど。括れた腰、適度に締まったお腹。
それには、母性の象徴とも言える両胸があった。両手で支えられないほどの質量を、垂れること無く球体を保ったまま前に突き出しているそれは、誰しも思わず顔を谷間に埋めたくなる魔力を保持している。
それには脚があった。仮に脚だけを写真に撮って雑誌に載せたとしたら、その脚の持ち主を求めて出版社に大量の人が押し掛けるような、綺麗な脚をしていた。
それは見る限りでは、五体満足な人間が持ち得る全てのパーツを持ち合わせていた。――嘗てそれを持っていたであろう、姫の面影までも持ち合わせていた。
だが――。

「――!!!!!!!!!!」

もしも騎士の口が塞がれていなかったならば、次のような台詞と共に、叫び声が空間に響き渡っていただろう。そんな、と。
確かに人間のパーツは持ち合わせてはいる。だが、同時に人間たりえないパーツまで、その体は持ち合わせていた。
尾てい骨の辺りからしゅるりと伸びる、先端がハート状に膨らんだ紺色の尻尾。
肩甲骨の辺りで折り畳まれている、皮膜で覆われた巨大な、蝙蝠のような羽根。
ブロンドの髪を突き抜けるように生えた、山羊のような二本の角。
それらが飾り物で無いことは、彼女の呼吸と共に羽根が静かに開閉し、尻尾が小躍りしていることから分かる。

サキュバス――姫は、エニューの体の中で同族に転生させられてしまったのだ。

「……ふぅ……ぅん……ぁん……ぁあん……」
エニューの掌の上で夢現の時を迎えている、かつて姫と呼ばれていた淫魔は、人間だったときには浮かべることもなかった淫蕩な笑みを浮かべながらのたうち、マタタビに酔った猫のような仕草で体を伸ばす。
「ふふふっ……♪さぁ、起きてぇ……ウルズちゃん♪」
もう片方の手の、人差し指の腹で背中を擦り擦りと撫でるエニュー。姫だったときとは別の名前で呼ばれた彼女は、うっとりとしながら体にしなを作り、エニューを見上げた。
「……んむぅ……」
蕩けきった口調で返す彼女に、かつての姫の面影など全くありはしなかった。ただ甘えるように、エニューの指に体を絡ませるだけ……。
「………」
光を失った暗い瞳で、魔法使いの脱け殻はその様子をぼんやりと見つめていた。かつて守ろうとした存在が、目の前で宿敵の配下に変化したと言うのに、それすら理解していないかのような、どこまでも呆けた表情を浮かべて――。
だぷん、と触手がまた母乳を吐き出す。魔法使いの腹が、大きくゆさりと揺れ、液体が詰まったような、ごぷんという重い音を立てた。
口から入った触手の、唇との隙間から、白い霧が漏れ始めた。どうやら、そろそろ飽和状態らしい。全身を圧迫されるような感覚に、いよいよもって彼女は喜悦の笑みを浮かべた。痛みや苦しみが全て、快楽へと変換され、そのまま全身を敏感に巡るのだ。
「ふふふふふふふふっ……♪おはよう……ウルズちゃん♪」
「ふぁ……うん……ままぁ……おはよう♪」
巨大な指に体を絡ませ、エニューと挨拶を交わす元姫――ウルズ。エニューはその髪の毛に向けて優しく息を吐いて、そよそよと揺らす。気持ち良いのか、ウルズは目を細めた。
その様子を微笑ましく眺めながら、エニューは彼女の顔を、風船のように膨れ上がった魔法使いの方に向けさせる。
同時に、くー、と可愛らしい音がウルズのお腹から響く。思わず赤面してしまうウルズの顔を、エニューはまじまじと見つめた。
「あらあらぁ……♪ウルズちゃん、お腹が空いちゃったのかしらぁ?」
主であり母親でもあるエニューの質問に、ウルズは恥ずかしそうにもじもじしながら、こくん、と頷いた。
「ふふふ……元気な子で私は嬉しいわぁ……♪さ、飲んじゃいましょ……あの子をね♪」
エニューが触手で差す先にあるもの……それは、彼女の乳を限界まで詰められ、精神を破壊され――それでも快楽に頬を緩ませる魔法使いの姿であった。
ウルズは触手の方にゆっくりと顔を向け――微笑んだ。それは決して、自らを助けに来た兵に向ける表情ではありえないし、ましてや仲間にする対象として相手に見せる顔でもない。
――目の前に、食事があり、その糧を得られることを喜ぶ、捕食者の顔であった。
笑顔のまま、ぱたぱたと羽根を羽ばたかせて走るウルズ。まだ魔力が十分でないらしく、空に浮かぶことが出来ないのだ。身体能力自体は向上しているのか、魔法使いの元に向かって進む速度は、人間だったときよりも遥か速い。
魔法使いは、迫り来るウルズを目にしても、別段何の反応も示さなかった。ただ、中に注がれた大量の乳の圧力がもたらす、破裂しそうなほどの快感に無言で悶えるだけ……。
「……ふふふ〜♪」
瞳の焦点をすっかりぼやかしてしまった魔法使いをニコニコと眺めながら、ウルズは「んっ……」と力を込める。すると彼女の尻尾がむくむくと膨らみ、先端も管状に開いていく。そう、まるで触手のように……。
ウルズはエニューに目配せをすると、触手尻尾を持ち上げ、そして――!

ず   ぼ  ぁ  ぼ   ぉ   ぉ   っ   !

「!!!!!!!!!!!!!!!!」
漏らしかけた声すら飲み込む勢いで、ウルズの尻尾が魔法使いの口内に挿入された!直ぐ様内部で膨らみ、限界まで口を開かされる魔法使い。逆流しそうなほど溜められた母乳は、ウルズの尻尾によって塞き止められて、口の中でまるでコップの中の水のようにたぷんたぷんと波打つだけ。
その間にも、彼女の尻尾は段々と彼女の体深くに潜り込んでいき――!

じゅるるるるるるるるるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!

「!!!!!!!!!!」
「!んはぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
盛大な音を立て、触手尻尾がぎゅぽんぎゅぽんと蠢いた、と同時に、口から幾つかの膨らみが尻尾の中を進んでいき、ウルズの体に注ぎ込まれていく!
――魔法使いの中に溜まった母乳を、この若き淫魔は自らの体に取り込んでいるのだ!
「!!!!!!!!!!」
猛烈な勢いで体外に排出されていく大量の母乳、その吸い込まれる際の激流が、ウルズの尻尾触手が内臓を擦って移動する度に、魔法使いの中には焼ききれそうな程の快感が走り、再び盛大に白目を剥きながら悶える!
「んはぁぁっ!んぁっ!おいしいっ!おいしいよぉっ!もっと、もっとぉぉぉっ!」
魔法使いの体内で濃縮されていたエニューの母乳が彼女の体内に取り入れられる度に、ウルズは狂わんばかりに激しく悶え、さらに搾り取ろうと尻尾を蠢かせていく。
みるみるうちに萎んでいく魔法使いの体。だが、膨らませていただけの量の母乳を体内に取り込んだというのに、体型の変化が全く見られなかった。一瞬で魔力に変化したのだろうか、彼女の翼はみるみる大きくなり、頭上の角が次第に巨大になっていく。
ぎゅぽん……ぎゅっ……ぽ……。ふにゅん。
「……んふふ……おいしかった♪ごちそーさまぁ……♪」
やがて、尻尾が魔法使いをアナルから貫いた触手と接触する頃、魔力が充填されたらしいウルズは、その位置から――、
「――えいやっ♪」
ずずずずずずずずずずずりゅうっ!
「!!!!!!!!!!んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ…………」
ようやく苦しみの半分以上から解放された魔法使いが、恍惚の叫びを漏らす。白痴のような顔をして全身をびくんびくんと震わせながら叫ぶ彼女。そこに嘗て持ちえていただろう知性は一切感じられなかった。
「うふふ……じゃあ、こちらも抜いてあげようかしら……ふふっ♪」
エニューは快感のあまり心理的に無防備になった魔法使いに向けてそれとなく呟くと、アナルを貫く触手をぐにぐにと動かし始めた。小腸辺りから肛門までの神経を一通り刺激された魔法使いは、嬌声をあげながら触手の動きに逆らうように体を動かす。摩擦力の上昇が、彼女に更なる刺激と快感をもたらした――次の瞬間!

ずぽぉぉんずぽんぷしゃああああああああああっ!

「んはああぁぁああああぁぁぁああああああんっ♪でちゃう!でちゃうのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!みるくぅ!みるくでちゃうのきもちいいいいいいいいいぃぃっ!んああああああああんっ♪」
腹の、子宮の中に溜まっていた大量の母乳が、抜かれた衝撃で一気に体外に放出された!下でうねる触手は、局地的集中豪雨のごとく降り注ぐ白濁した液体を、体表から少しずつ吸いとっていく……。
「んはぁ……あはぁ……んむぅ……」
体内の重石となる物体全てから解き放たれた彼女に、ウルズは顔を引き寄せ口づけをし、舌を絡ませる。
「ん……くちゅ……んぷ……ちゅぶ……んん……」
歯茎から歯の裏、口内粘膜や舌の表面、喉仏の手前までをくまなく蹂躙する彼女の舌は、まるで彼女の中に残ったミルクを全て舐め尽くしてしまうかのように、執拗に肉壁を舐め擽っていた。
「んく……んん……ぷはぁっ♪」
ようやく口を離したウルズの吐息は、ミルクの白に染まっていた。媚香とミルクの甘い香りが混ざり合った息を吹きかけられた形になる魔法使いは、その表情をさらに恍惚の色に染めていく……。
「……」
最早彼女は、自分は誰か、と言うことすら分かっていないのかもしれなかった。ただだらしなく開いた口の中心から、ウルズを名残惜しむように唾液の橋が掛かるだけ……。
「んふふ……ふふふ……♪」
エニューはそんな彼女にずい、と近付くと、胸の谷間に招き入れ、そのまま揉みくちゃにした。既に彼女自身の母乳が膜を作り、媚香自体も濃縮されていたその場所は、既に崩壊しつつあった彼女の自我に、だめ押しの一撃を加える事になった。
「……ひぁ……ひぁぁぁ……」
エニューの胸の中で、体を微かにくねらせて甘える魔法使い――いや、もう魔法の使い方すら覚えてはいまい。そこにあるのは、只の快楽を貪る一匹の人型の獣であった。
確かな質量をもって、彼女の体を受け止めるエニューの乳。ぼよんぼゆん、ふわよんにゅゆん。盛大に揺れに揺れて彼女の体ごと脳を撹拌していく。
むちむちと押し付けられる、脂肪と筋肉で出来た母乳袋は、彼女の全身を隙間なくみっちりとくっつき、肉の底無し沼かと思えるほどに呑み込んでいく。喘ぎ声すら、包み込んでしまうほどに……。
「ふふふ……聞こえるでしょお……私の鼓動が……ねぇ……きもちいいでしょお……?」
触手が動きを止めたお陰で粘液の音すら聴こえなくなった空間に、エニューの脈の音が響く。それは重々しくもどこか安らぎを――あるいは不気味さを覚える音だった。そして、魔法使いが覚えるのは、前者の感情。
エニューの胸の中で、彼女の意識はついに、その幕を降ろした。先程以上にぐったりとエニューに体重をかける彼女の口許は――。

「……ほほほほほっ!すっかり甘えんぼさんの顔ねぇっ!無様な騎士さん、彼女の顔を見てごらんなさい?すっかり幸せ感じちゃってるわよぉ!おっほほほほほ……」

すう……すぅ……と寝息を立てる彼女の口は――笑顔。それも苦しそうなそれではなく、心の底から安らぎを得たような、幸せな顔であった。
騎士は……動かない、いや、動けない。心の底から悔恨と怨磋の感情に満たされ、エニューの声すら耳に入っていないかのよう。その瞳は、しかし魔法使いだったものを映してはいた。
「……うふ……うふふふふっ……さぁ……もっと幸せにしてあげるわよぉ……。甘く……深く……退廃と享楽に充ち満ちた世界に……」
エニューは、暖かく幸せな夢の中で微睡んでいる魔法使いを、そっと掌に乗せると、彼女の顔の前に乳首があるような位置にまで持ってきた。そのまま彼女を揺り起こすと、片手で乳房を押す。
魔法使いの目の前で、エニューの乳首がぐにゅぅぅぅう、と音を立てて開く。まるで口のように、乳腺が盛大に穴を広げていった。
「……あはぁ……」
乳房の中は、無数の柔らかな肉襞が、まるで触手かローパーの如く立ち並び、今か今かと獲物の到来を待ち構えているかのよう。桃色の、しかしどこか熟れたようにも見える肉壁は、エニューの呼吸に合わせるかのようにゆっくりと膨張と収縮を繰り返し、分泌する濃縮フェロモンを含んだピンクの気体を吐きかけている。
正常な人ならば、醜悪な怪物が自らを体に取り込もうと口を開く姿にも見えただろう。だが――。

「……ああ……♪」

魔法使いは、最早正常ではなかった。それ程までに、彼女の脳は――いや、体全体は犯されていたのだ。
喜びに目を子供のように開く魔法使い。その瞳に光はなく、まるで心と同じように深い闇が居座っている。その闇に桃色が染み込んでいく度に、彼女は解き放たれたような笑みを浮かべていくのだ。
と――乳首自体を圧し広げるように、エニューの内側から触手が五本現れた。四本はそのまま乳首を大きく拡げ、最後の一本は魔法使いの胴に絡み付くと、そのままするすると口の前まで這い寄り、先端をくわえさせた。
まるで赤ん坊のようにはむはむとくわえる口の中で、ぷぴゅ、と音を立てて母乳が出される。それだけで彼女の表情は蕩けきってしまった。
口にした母乳の匂いが、それも相当濃いものが、彼女の全身に浴びせられていく。自然と彼女は、はいはいの動きで匂いのする方へ――エニューの乳の中へ、触手をくわえながら体を進めていた。
「……ぁぁ……ぁあ……」
絶望的な声をあげる騎士の目の前で――!

「ふふふふふ……♪お帰りなさい♪そして……お休み♪」

――触手が、彼女の体を一気に引き入れた。乳首に手をかけていた彼女の体は、そのままぬらぬらと母乳で濡れていた肉襞の中を滑り擽られながら、乳房の奥へと招かれていく。そして――。
ぐ……ぷにゅっ……ん
ネットリとした音を立て、乳首の先端は閉じられた。

「……ぁぁ……」
まるで中の乳を撹拌するかのように、ぽゆんぽゆんと巨大な乳を揺らすエニュー。その姿を前にして、騎士は完全に己の無力にうちひしがれていた。
姫だったもの――ウルズは、甘えるようにエニューの乳にもたれ掛かっている。その体が膨れているのは先程大量に吸収した、魔法使いの体内に入れられた母乳がまだ体内に貯まっているからであろう。
姫を助けることが出来ないばかりか、仲間の魔法使いまで敵の手中に納まってしまった。それに対して何も出来ない自分に、騎士は静かに涙を流し――だがそれでもエニューへの殺意は薄れてはいなかった。いや、寧ろ増大していた。
「あっ……あはん……♪んふっ♪そ、そうよ……もっと甘えていいのよ……♪そうっ!そんな感じで噛んでっ!んあっ!んあああああああっ……そうよ、ふふ……そうよぉ……♪優しく……ね♪」
エニューが胸へと囁きかける甘い声が、逆に騎士の心理を冷静にしていく。ゆさりと揺りかごのように胸を動かす度、騎士の心を占拠したありったけの殺意が、騎士の頭を冷却していく。
「ふふふふふ……ほほほほほほほっ!どうしたのぉ?坊やぁ!ショックだったのかしらぁ!?情けなく感じているのかしらぁ!?お〜っほほほほほほほほほ!」
ゆさん、ゆさんと、重量のあるおっぱいを騎士の眼前で揺らすエニュー。その顔は勝利を完全に確信したかのように喜悦の色を浮かべていた。後は――目の前の騎士を屈服させるだけ……それすら赤子の手を捻るようなものだ……と、完全に油断している表情を浮かべていた。
一方の騎士は、エニューの一言にも何も反応しない。しないが……何かをぶつぶつと唱えている。
「それとも……んふふふっ♪ママのおっぱいに甘えたいのかしらぁ……?ふふっ♪他の二人があんなに気持ちいい気持ちいいって体を寄せているものねぇ……♪」
寄せられた胸元から、何やら桃白い気体が沸き上がってくる。エニューの胸を覆っていた母乳が、湧き出るフェロモンと同時に気化したのだ。視界すら覆い尽くしかねない桃色の霧が、胸元をふんわりと隠していく……。
その風景すら動じる事なく、騎士は何かを呟いていた。それはどこか、呪文を呟いているかのような……。

「うふふ……♪えいっ♪」

ばふぉぉんっ
「――っ……」
異様な質量と柔軟性を持つ、魔性の双球が騎士を包み込む。いや、大きさの比から言って既に埋め込むと言っても過言ではない。
胸に塗りつけられていた大量の母乳が、ぬるぬると騎士の体との間に存在する摩擦を磨り減らし、奥へ、奥へと誘い込んでいる。同時に、エニューのフェロモンを大量に含んだ母乳は、彼の皮膚から、鼻孔から体に染み渡り、抵抗する根本を削ろうとしている。
その誘惑を、騎士はギリギリのところで耐えていた。来るべき瞬間に至るまで、じっと、じっと、食い縛った歯の歯茎からは血が流れ、痛みと鉄の香りが正気を何とか保たせている。焦りはあったが、それ以上に騎士の中にあったのは、何とかしてエニューに一糸を報いたい――その思いだけであった。
やがて、彼の体は、外から見れば巨大な乳房に飲み込まれてしまったかのように見えた。実際、常人ならばそう表現しても何らおかしくない状況にいるだろう。――もうすぐ、胸の谷間に体が行き着くのだから。
じっと耐えてきた騎士は――、

「さぁあ……精一杯甘えなさいな……惨めにねぇ!」

――エニューの言葉が終わると同時に動いた!
体を巡る魔力を掌に集め、骨折覚悟でエニューの胸板に向けて全力で打ち込んだのだ!
「うぐっ!ああああっ!あぁっ……!」
サキュバスは元々人間に近い身体構造をしている。となれば急所となる位置も似通ってくるのだ。本来は異常なでかさを誇る胸に阻まれて穿つことは出来ないが、胸の谷間に体を埋め込ませれば、自ずと急所――心臓の位置も近くなる。騎士はこれに賭けたのだ。
結果として、エニューは呻き声を上げてよろけ、地に倒れた。
「……」
だがしかし、エニューを真に倒すまでには至らなかった。文字通り、桁が違いすぎたのだ。体格も、体力も、防御力も。
最早これ以上、攻撃することも出来ない。抵抗できるような魔力も、使いきってしまった。
「(……ならばせめて、せめて人の身のまま命を絶とう……っ!)」
エニューに呑み込まれ、魔の眷族に変化することなど、人間の騎士である彼からしたら耐えられない事であった。ならば、無念を堪えながら、誇りを胸に人としての死を選ぼうと、彼は舌を歯で固定し、顎に力を入れ――!

「――ひぁぁぁあああっ!」

「……そうはさせないですよ、き・し・さん♪」
噛み締めようとした瞬間、何者かに陰嚢を掴まれ、内部の球体を弄くられた騎士は、情けない声と共に力が抜けてしまった!玉を弄くる何かは、相変わらずくにゅ、くにゅ、と小刻みに優しく握り締めながら、騎士に力が戻るのを防いでいる。
「ふふふ……っ♪お母様を地につけるなんて、何て素晴らしいのでしょう……♪」
陰嚢を握る手を休めることなく、騎士の前に現れた顔……それは何処と無く姫の面影を残した、しかし姫が浮かべることの無い淫蕩な笑みを浮かべた、巨乳の淫魔であった。
「ひ……姫……ふぁぁぁっ!」
姫の心理が残っていないか確かめるなど、彼はそのようなことを考えていたわけではない。だが結果としてその行動が、彼に更なる絶望を突きつけることになる。
「ひめ?私が?……ふふふ……っ♪ふふふふふ……っ♪♪違いますよぉ騎士さん♪私はウルズ。淫魔第三柱が一人'乳神エニュー'様の娘ですよぉ……♪」
「……!!うぐ、うぁぁぁぁぁぁっ!」
目の前にいる存在は、既に姫ではない。救おうとした存在は、もういない。その事実を再び突きつけられる事となった騎士は、しかし絶望に浸ることも出来ないまま、陰嚢と共に主導権を握られ、為すがままにされていたのだった。
「ひぅっ!うはぅっ!ひがあああああっ!」
痛みはない。寧ろ気持ちいいのだ。だがそれが、元々存在する彼の精神を大きく傷つけ、ねじ曲げていく。プライドが、信念が、彼女の手の前に崩されていく……!
「……あらあらぁ♪こんなに大きくなさいまして……♪食べてしまいましょうかしらぁ……♪」
陰嚢のすぐ隣、己の種を運ばんと盛り上がる一本の肉は、はち切れんばかりにその身を膨らませ、天に向かいその雄々しい姿を誇示していた。当人の意識でも抑えきれない、生物の根元としての欲求。「や……やめ……ふぁぁっ!」
玉を指先で玩びつつ、砲身に手を這わせていくウルズ。まるで棒アイスに対してするかのように、舌を近付け、そのまま裏筋やカリ、亀頭、鈴口をちろちろと舐め擽る!
「ふふふ……♪きもちい〜ですかぁ♪とーめいなミルクが溢れてきましたよぉ♪」
発情香を何重にも浴びせられ染み込ませられた彼の体は既に神経過敏になっており、ちょっとした刺激でも全て激しく反応してしまう。守る魔力も失せてしまった以上、カウパー液がすぐに溢れてしまうのも必然であった。
反論すら喘ぎ声に変えるように、執拗に唾液を塗りつけているウルズ。乳に濡れていた部分を残さず舐めとる彼女の舌は、エニューの母乳色に染まっていた。
びくんびくんと、いよいよ逸物は激しく蠢くようになる。陰嚢に蓄えられた膨大なスペルマを解き放とうと、彼の意思を離れて大きく伸縮し始めた!
「くぅ……ひぅっ!……ひぃぐっ!」
射精してはマズイと、本能を理性で抑え込み逸物に力を入れ抵抗する騎士。だが、それでも本能が理性を突き破るのは時間の問題だった。
必死で、ウルズに逝かされることを拒む騎士に、ウルズはどこか哀れんだ瞳を投げ掛けながら、笑顔で告げるのだった。
「出したくないのですね?この私に……♪貴方の言う'姫'を汚したくないのですねぇ♪ふふふ……見上げるほどに素晴らしく輝いた忠誠心……♪
解りましたわ……その忠誠に免じて……!」
ぎゅっ!
「!!!!!!!!」
突如として、ウルズの手が騎士の逸物の根本を強く掴んだ!そしてそのまま、焦らすように腰の位置を変えていく!
今にも精を出そうと力強い脈動を繰り返す逸物は、その衝動を放つための道を塞き止められ、痛覚を伴った空打ちを繰り返した!その間にも乳の効力によって陰嚢内では精液の生産が急ピッチで進められていく……!
「貴方の精を、一度に全て私の中で受け止めて差し上げますわ……ふふふ……ほほほほほっ♪そうすれば、汚すのは一度きりで済みますし、何より外観は穢れませんわ♪」
「ぐ……ぐぁぁぁ……っ、や、やめ……ふぅあっ!」
危機とした表情で、逸物の先端を股間の方へと標準を合わせるウルズに、悶えながら騎士は叫ぶ。だが彼女は、もう片手で背中や脇腹を擦り、人体に隠された性感帯を優しく刺激していく。
まるで羽毛に擽られた後で、羽根の筋の部分でツボを的確に押されるような、緩急入り雑じった愛撫に、騎士の体はいよいよもってビクビクと震え、逸物は盛大にびくんびくんと震えた!だが的確に尿道を塞ぐウルズの手によって発射をすることが出来ず、行き場を失った精液が、陰嚢は愚か精道へと逆行、製造されたばかりの精液と合流を果たし、狭い通路を一気に押し広げる!
「ぎ、ぎぃぃぃぃぃっ!」
歯を食い縛って、痛覚神経が引きちぎられるような痛みに耐える騎士。その間にも彼に苦しみを強いるように精巣は白濁した子種を次々に産み出して精道へと送り出していく。
「ふふふ……苦しいのですかぁ……♪大丈夫ですよぉ……♪すぐに……すぐに楽にしてあげますからぁ……♪」
直後に訪れるであろう至福の時を想像したのか、ウルズのだらしなく開いた口の端からは唾液が垂れ落ち、騎士の胸元へと落下していく。既に標準は定められていた。このまま腰を落とせば、間違いなく彼女の膣は騎士の逸物を捕らえてしまうだろう。
「うぐ……や……やめ……ふうあっ!」
「駄目ですよぉ……♪嘘を言ってはぁ……♪」
なおも抵抗を続ける騎士の言葉を遮るように、ウルズは愛撫を続ける。背中を背筋の筋に沿ってさらりと撫で、本来反応し得ない性感帯をやんわりと刺激する。腰回りをなぞりながら、臀部の線に沿って手を動かしていく。
「うぁぁっ!ひぅっ!くぁぁぁっ!」
「あら……?どこか敏感な場所を触れてしまいましたか……♪」
少し困った声で、何気なくそう呟くと、叫んだときに触った部位に程近い場所から、ゆっくりとなぞっていった。
「――!ひぁっ!」
「まぁ……ここですか……♪」
ウルズが触れた部位、それは肛門の入り口、つまり排泄物の出口である菊門であった。本来はさして刺激を感じない筈のそれは、エニューの母乳や媚香に含まれる成分によって、今や内壁をそのまま擦られるような感度にまでなってしまっている。
「はぅがっ!ぃぢっ!づぅぅっ!づぁぁっ!」
「ふふふ……いかがです?気持ち良いでしょう……♪」
敏感になった菊門を彼女の手が滑るように撫でる度、騎士の体には電気ショックを当てられたような衝撃が走り、それに反応した精巣が、さらに子種の量を増加させる。本来なら既に種切れも起こりかねない量だが、エニューの母乳の効果か、精巣の機能が衰えることはなかった。
気持ち良い、とウルズは訊ねたが、実際のところ騎士に気持ちよさを感じる余裕など全くもって無かった。ただ単純に、痛覚と圧迫感が彼の中を巡り巡っていたのだ。
「づづっ……ぐぁ……」
数多くの痛みや傷に耐えてきた騎士だが、内側から圧迫されるような痛みなど、普通なら経験しうる筈もない。情けなくも痛みの声を漏らす彼に、ようやく菊門を撫でるのを止めるウルズ。
「……苦しいですか?……痛いですか?……もう楽になりたいですか?気持ちよぉく、包み込まれるような安らぎの中で、全てさらけ出してしまいましょう……♪」
彼女が浮かべた笑みは、子を労る慈母のような輝きも見えた。恐らく元の姫の人格も影響しているのだろう。もしこれが姫ならば――騎士も己の体を委ねてしまっていたのかもしれない。無論、騎士としての使命から、姫を汚さないように体を向けるだろうが。
――もしこれが姫だったならば。
「……こ……ことわ……る……」
魔力が尽き、体力も精神力も限界が来ている。それでもなお、騎士は彼女を拒んだ。ほぼ不可能に等しい行為を可能にしたのは、ひとえに彼の自尊心の功績だろう。魔物に思うままに蹂躙され、心まで明け渡すなど、彼にとって到底許せるものではなかったのだ。
「……そうですか……♪」
断られる筈はないと思っていた問い、それすら断る騎士の存在に、ウルズは……。
「……素敵な人ですね……♪最高……最高ですよ……♪」
……心底喜びながら、やや興奮気味に――!

「――だから、助けてあげますね……私を汚して、貴方を助けてあげますね♪」

ぐにゅるっ!

「――!?」
その光景を、確かに騎士は目にしていた。ウルズが体ごと騎士に倒れ込み、腰を落とすのと同時に逸物から手を離した光景を。そして感じた。下腹部と淫らな接吻を交わした瞬間に、彼女が膣肉で一気に逸物を挟んだことを。
意識できたのはそこまでであった。次の瞬間には、ウルズの膣から逸物に直接的に伝えられる快感が、抑えられていた衝動がもたらす爆発的な快感を引き連れて、彼の脳に殺到したからである。

「――ァァァァアアアアアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ゛!!!!」
ごびゅるるるるるるるるるるるるるぅ〜〜〜っ!びゅぐん!びゅぐん!びゅるっ!びゅるるるるるるるるるるるぅ〜っ!

まるで蛇口が壊れたかのように、騎士の逸物から大量の白濁液が、まるでエニューの胸から吹き出した母乳のように勢い良く発射された!
「んはぁぁぁぁっ♪きますぅっ♪♪きちゃいますぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ♪おいしいせいえきがぁ♪わたくしのなかにいっぱぁぁぁぁああああああああああはああああああああああああっ♪」
濁流の如く大量に雪崩れ込む精液を、ウルズは全て子宮で受け止めていた。腰を動かし、膣肉で優しくくわえ込みながら、さらに精液を貪っている。
普通ならば既に射精を終えている筈の騎士の逸物は、しかし一分が経過しても今だに勢いを衰えさせず、大量の子種をウルズに捧げ続けている。そしてそれだけの量を注がれている筈のウルズの子宮は、しかし一滴も漏らすこと無く精液を吸収してしまっていた!
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛んぶんっっ!」
股間に走り続ける衝撃に叫ぶ騎士の口を、ウルズの巨乳が塞ぐ。同時に乳腺が口を開き――びゅるるるぅっ!
「んはぁぁああっ♪おちち♪ちちが出てしまいますぅぅぅぅぅっ♪♪」
エニューのそれに勝るとも劣らない勢いで母乳が騎士の中に発射された!口内粘膜は愚か唾液腺までミルクに染めながら、騎士の体の中に雪崩れ込み、吸収されていく!
同時にもう片方の胸からも母乳がぴゅうっ、ぴゅうううっと噴出され、騎士の体の表面までさらに白濁に染めていく!
「んぶぶんっ!んぶっ!んむぅぅぅぅっ!」
鼻は解放されているが、そのせいで間近で放出される、ウルズのフェロモンに満ちた体臭を空気と共に吸い込んでしまう嵌めになる。何とか離れようとウルズの体を押す騎士。だが、いくら押したところで、彼女との距離が離れることはなかった。力が、完全に弱まっているのだ。
騎士の体に取り入れられた母乳は、その勢いのままに食道を、胃を白濁に染めていく。やがて小腸に行き着くと、表面を白く染めながら体内に吸収されていった。それと同時に、彼の逸物のサイズが、さらに巨大になっていった!同時に精液の勢いも増す!
「あんっ♪騎士さんのぉっ♪おっきぃぃっ♪ひ、ひゃあっ♪い♪いっぱい♪もっといっぱいでてるよぉっ♪」
大きくなった逸物は、彼女の子宮までもを抉り抜いたらしい。もしも乳の裏が見通せたなら、皮膚越しにくっきりと逸物の痕跡が見てとれただろう。
だが、見て取れなくとも、肌で感じることは出来る。カリにまとわりつくような粘っこく生暖かい液体や、精を放ち続ける亀頭を撫で転がす肉襞の存在を、騎士は明瞭に感じていた。同時に、竿に幾重にも絡み付き、ぬるぬるとした感覚を与えてくる膣肉の感触も。
「!!!!!!!!!!」
最早騎士の体は、騎士の思うようになっていなかった。ウルズの母乳によって本来よりも肥大化した肉棒は、同じく母乳によって大量に生産された精液を放ち続けている。与えられ続ける快感が、騎士の中から反抗する力を奪い取っていくのだ。
騎士は、自分と言うものが徐々に削られていくのをありありと感じていた。このまま行けば、間違いなくこの淫魔に心の底から屈伏してしまうだろうことも、はっきりと感じていた。
精神より、肉体的に死を迎える――!彼の精神はその事に酷く恐怖した。先程まで自らの死を願った精神が、今では酷く死に対して怯えていた。
このままでは、ただの淫魔の餌として死んでしまう――!
そのような思いもあったかも知れない。だが、彼の精神が恐怖を感じているのは、明らかに『死』に対してだった。それに彼が気付くことはなく、ひたすら、すぐ訪れるであろう恐怖に怯え――!

「――そこまでにして、ウルズちゃん」

――救いの手は、意外なところからもたらされた。
「――?」
やや朦朧とする意識の中、騎士は今聞いた声の正体に、少しばかり戸惑った。ここにいる存在の中で、自らを助けるような相手は一人もいない筈。そして、今聞こえた声の持ち主も、自分を助けるような相手ではない筈……。
「うんっ♪ママ♪」
先程まで騎士に対して用いていた丁寧な口調とはうって変わって、何処か子供っぽい返事をしたウルズは、騎士の口から乳房を外した。依然としてぴゅうぴゅうと溢れる母乳が、騎士の体をさらに汚していく……。
びゅるるるぅ……ぴゅっ……ぴゅ……とくん……とくん
ようやく射精が収まった頃、ウルズはゆっくりと体から騎士の逸物を引き抜き始めた。ぐぷっ、ぶぽっとやや下品な音を引き抜かれた逸物は、愛液と精液の混合した粘液によってぬらぬらと濡れたまま、依然として固さを維持していた。
「んっ……♪あはぁっ♪」
どれだけの精液を彼女に捧げたのだろうか。吸収できなかった分の精液が、彼女の子宮を大きく膨らましていた。満足そうにたぽん、たぽんとお腹を揺らしながら、ウルズは声の主の元へと、ゆっくりと飛んでいく。その羽は、腹が引っ込むごとにさらに強靭になり、内包する媚香も強烈なものになっていった。
「……はぁっ……はぁっ……」
ウルズとの交わりで、体力を大量に消費してしまった騎士は、起き上がることも出来ず、ただエニューの太股の上で呻いていた。エニューが倒れたとき、ウルズによって移動させられたのだ。柔軟性と弾力性を兼ね備えた、媚香立ち上る肉のベッドに。
エニューはゆっくりと、上半身を起き上がらせた。丁度長座の姿勢で、太股の上に倒れている騎士を眺める。その瞳に怒りはなく、寧ろ何処か感心したような光があった。
「……正直、驚いたわ。ここまでずっと私達の媚香を浴びて精も吸われて、もう精神はボロボロの筈なのに全く魅了される気配が無いんだもの。これが俗に言う『人の持つ可能性』とやらかしら……?」
その巨大な掌で、ウルズの頭を撫でつつ、もう片方の手で自身の乳を優しく刺激しているエニュー。騎士は何か言い返したかったが、口を開く前に彼女が話を続けていた。
「おまけにねぇ、普通の人間なら一瞬でメロメロにされて蕩けちゃう私の胸の中で、あんなに長い時間いて無事だった挙げ句、私の核に軽傷とはいえ傷を負わせるなんて……そんな人間、私の記憶には一人もいなかったわよぉ」
少し考え込むような仕草をするエニュー。首を傾げこめかみに、あるいは頬に指を当てるという可愛らしい仕草とはいえ、常人より遥かに大きい体の持ち主がすると、異様な威圧感がある。
視線は、相変わらず騎士の方に向けられている。先程と変わらず、その視線に害意は微塵も感じられない。寧ろ何処か子供じみた興味のようなものがふんだんに詰められていた。
「……何が……言いたい……」
息も絶え絶えに騎士はエニューに返す。視線は何処か弱々しかったとはいえ、「何故俺を助けた」や、「何を言い出す気だ」といった言外の意思は汲み取られたようだ。
何処か可笑しそうに笑うエニュー。実際は腕の上で自慰を始めるウルズや、とくんとくんと優しく揺れ始める胸の感触が擽ったかったのかもしれないが……いや、彼女の表情は、新しい玩具をどう愛でようか打算するような優越的な様相を見せている。
「ふふふ……純粋に評価しているのよ?貴方の事を。考えてもご覧なさいな。あのままウルズと交わり続けさせて殺すことも出来た相手を、どうしてわざわざ助けたと思うの?」
「……知るか……っ……」
生き恥を掻くまいと、再び舌を噛みきろうとする彼だったが、それを意識した瞬間に、意識全体を死ぬ恐怖が覆った。忽ちのうちに力が抜け、彼女の太股にぽふり、と倒れ込んでいく。
何処か呆れたような視線を騎士に投げ掛けながら、エニューは溜め息と共に告げる。
「そんなに淫魔に助けられるのが嫌かしらぁ?ううん……不甲斐ない自分が嫌なんでしょお?お姫様は立派な淫魔になっちゃって、魔法使いは囚われの身。そんな状況を何一つ打開できなかった自分が嫌なんでしょう……?」
「……その元凶が何をぬかすか……っ!」
実際図星ではあった。騎士は自らの不甲斐なさを恥じ、自らを消そうと死を選ぼうとしていたのだ。人間としての、死を。それを防ぎたかったエニューは、先程のウルズとの性交中に騎士に呪いをかけたのだ。――自らの死に対する恐怖心、それを遥か増大させる呪いを。この呪いがある限り、決して自殺など出来ないように……。
「ふふふ……」
エニューは、その激昂を笑みで平然と回避すると、余裕と自信に満ちた表情で――!

「……一つ、賭けをしないかしら?」

「賭け……だと……?」
苛立ちと訝しみを込めた声で返す騎士に、エニューは何処か優しげな声で応えた。
「そう、賭けよ。とは言っても、通貨なんか私には意味がないわ。貴金属も、宝石も、武器も、魔法道具もね。
賭けるものは……貴方の魂と」
「……断る」
「知恵あるものの話は最後まで聞くものよ、坊や」
とりつく島もなく断る騎士に、思わずエニューは苦言を漏らした。彼女の片胸では、ウルズが妹の誕生を今か今かと待っており、巨大な乳首の先端、まるで人間の口のような大きさの乳腺に自らの腕を突っ込んで拡張しようとしていた。
「う〜ん、まだかなぁ〜♪私のかわい〜いかわい〜い妹はむんっ!」
エニューは、大蛇のような尻尾の先端をぐぱぁ……っ、と開くと、ウルズの体を頭ごと丸呑みした。
四枚の巨大な肉の花弁のように開いた尻尾は、ウルズの全身を飲み込むと一気にばぐにゅん、と閉じ、少し膨らんだ蕾のように変化した。
内側からぼこん、ぼこんと何処か暴れているように膨れているが、一度閉じた尻尾は容易には開く気配はない。微かに開いた隙間からはエニューの体蜜にウルズの愛液らしきものが幽かに混ざったものが流れ出し、淫らな香りを空間に広げている。少量で空間を満たすなら、中はどうなっているのだろうか。さぞかし、気が狂いそうなほど濃厚なのだろう。
「――ぁっ――♪あ――っ♪――」
尻尾の中に入ったウルズの暴れ方が、明らかに変化した。脱出しようとするような暴力的な暴れ方が収まり、寧ろ内側に留まるような暴れ方……漏れてくる声からも判断して、それはまるで自ら快楽を貪るために暴れているかのようであった。
尻尾の先端にある蕾のような膨らみの部分、それ自体がまるで咀嚼しているかのようにぐにゅぐにゅと蠢いている。柔らかな肉の布地が四方八方からぐにゅぐにゅと体を押し付けもみくちゃにしながら、ウルズの体全体を舐め解していく。
角の付け根、尻尾全体、脇の下、首筋、背筋、へそ、指の間、太股、秘所……分別も共通性もなくあらゆる部位に絡み付き揉み込む肉。それが与える快楽に、ただウルズは悶え、体をくねらせ――!

「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……♪――」
絶頂に達したその叫びが、どんどんくぐもっていった。同時にエニューの尻尾の膨らみの位置が、段々と尻尾の付け根の方へと移動していく……!
「私がこの子を食べるわけ無いじゃない。暫くすればここから出てくるわよ。それとも何かしら?貴方は私が共食いなんて野蛮な行為をすると思うわけ?」
驚愕の表情を浮かべやや凶悪に睨み付ける騎士に、エニューは何処か悲しそうな、或いは心外そうな声で返す。ここ、と彼女が指を差したのは、人の子供ほどの大きさもある女陰の筋。恐らく、しばらくしたら彼女の言う通り、陰唇を割り開いてウルズが出てくるのだろう。淫魔の、それも最上級のそれの身体構造など、想像の範疇外にあるのだ。
剣幕はそれほどでも無かったとはいえ、正論に押し黙る騎士。少なくとも淫魔は、共食いを忌み嫌うのは人間の間でも常識である。自らの範土を広げる仲間を、どうしてわざわざ取って食おうなどと思うのか、と。同時にそうした役割は、食や規範など関係無しに同族を殺す人間が演じるものだ、という考えも頭にあるのだ。
騎士が黙ったところで、エニューは先程までの話を思い出し、続きを落ち着いた口調で語った。
「賭けるものは、貴方は魂。私は――ウルズとヴェルザンディ。この二人を元の人間に戻して貴方に返す。そして王国及びその周辺領地に二度と手出しはしないと誓うわ。無論誓いに用いるのは強固な呪詛よ」
言い終えるのと同時に、彼女の片胸が激しく震え出した。同時に、尻尾の膨らみが彼女の中に消えていく。
「んぅっ……♪んはっ……♪いい、そ、そうよ♪その調子であんっ♪私の乳をぉ、お、圧し開くのよっ♪んぁ、あ、あふぁっ♪あんっ♪あ、んあふぁっ♪いぃっ♪いいのぉっ♪掘って♪私の体もぉ♪しき、子宮も掘ってぇぇっ♪んぁあああっ♪♪」
乳肉と子宮、二ヶ所から断続的に与えられる刺激に、エニューは艶っぽい声をあげる。彼女が名前を呼ぶと言うことは、既に魔法使いは淫魔に変化してしまっているらしい。下乳がぼこん、ぼこんと膨らんでは戻っているのは、恐らく転んでいるからだろう。内部の肉は母乳でぬるぬるだ。足を掛けた側から滑り落ちて転び、それがエニューに優しく淫らな刺激を与えているようだ。触れてもいないのに巨大なおっぱいがぶるんぶるんと振動する様は、見ていて壮観である。おまけに震える度に、エニューの体内から媚香が染みだし、体外を覆っている母乳の香りと共に噎せ返るほどの淫臭を漂わせている。太股の上にて体力を回復させている騎士もその影響を受けたのか、逸物をさらに太く、固くさせている。
「んぁっ♪んぁあっ♪ん……出るっ♪出るのねぇっ♪でたいのねぇっ♪んっ……んはぁ♪いいわっ♪出してあげる♪私が出してあげるわぁっ♪ウルズちゃんっ♪ヴェルザンディちゃ――♪」
快感に浸りながらも、何処か理性を残しているエニュー。その手はいつしか片胸と秘所に添えられ、自慰をするように揉み上げたり中に手を差し入れたりしている。
巨大な胸に添えられた手は、下乳をやんわりと揉み上げながら乳首をコリコリと左右に捻り、チクチクと刺激を与えている。
手の動きによって自在にその形を変えながら、徐々に張りを増してきた乳。中では大量の母乳がどふどぷと精製されているらしく、揉む動きに合わせて先端からぴゅっ、ぴゅっと吹き出し始めていた。
秘部の中に差し入れた手には、大量の愛液が浴びせられていた。子宮から産道にかけてぬらぬらとしたラブジュースが、肉壁を淫靡に濡らしているらしい。
愛液を潤滑液にして、エニューの腕は段々と奥へと向かっていく。外からでも、腕の輪郭が分かるほどに浮き出ている。普通であれば膣に傷がつくことは逃れられないが、魔物は身体構造が根本的に違っているようだ。
腕の行き着く先は――子宮。門を開くことはない女体の聖域に、彼女は無遠慮に――そしてどこか繊細に腕を突き入れ、同時に胸を強く揉み上げた!

ぶしゅううううぅぅぅぅっ!じゅぽんっぶしゅぅうううううぅぅぅぅぅっ!
びしゃあああああああぁぁっ!しゅぽるんびっしゃあああぁぁぁぁああっ!
「「「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああっ♪♪」」」

三者三様の叫び声が空間に谺した。
塞き止めていたものが決壊したように、エニューの両乳は猛烈な勢いで母乳を噴出する。俄か雨のように降り注ぐ大量の白く甘い液体に混ざり、一人の淫魔が宙に打ち上げられた。
自由落下を始める寸前に、エニューはそっと腕を伸ばし、その淫魔を優しく掌に乗せる。全身を優しく香る乳に包まれながら、気絶したように掌の上で眠る彼女は、魔法使いであった頃の外見をさらに洗練させ、蝙蝠の羽と先端がハートのようになった尻尾、そして山羊のような角を生やしたような外見をしていた。
思わずキスしてしまいたくなるような、何処かあどけなさが残る元魔法使い――ヴェルザンディの寝顔を、エニューは母性の籠った笑みで眺めながら、乳首の中から触手を一本出して、彼女の口許に近付けた。無意識に口を開くヴェルザンディの中に、ぴゅくん、ぴゅくんと乳を送り出していくエニュー。ヴェルザンディはそれを、こくこくと飲み干していく。次第に体の肉付きが良くなっていき、尻尾が長くなり、羽も大きくなっていく……。
「……はぁ♪……ぁはぁ♪……ふぁぁ♪……ぁぁ♪」
エニューがヴェルザンディに母乳を与えている時、潮吹きと同時に地面に投げ出されたウルズは、今だ快楽の渦の中にいた。尻尾の中で熟れた果実のごとく柔らかい内壁に揉みくちゃにされていただけでなく、子宮の中では無数の触手と愛蜜に濡れた肉襞が、彼女の体を離すまいと懸命に絡み付いていたからである。
普段自らの手の届かない場所や、刺激が強すぎるゆえに触れないでいる場所すら容赦なく舐め擽り揉み解す、その永続的な責めから解放された彼女は、蕩けた笑みの中に欲望の光をありありと浮かべていた。恐らく体が動いたら、そのまま騎士を再び押し倒すだろう。
「……」
今回はさして、騎士がショックを受けた様子はなかった。既に姫という前例があったのが大きい。それに先程エニューが告げた言葉が、騎士のショックを軽減していた。

――もしも賭けに勝てば、今はこうして淫魔となっている二人も、元に戻して国へ帰れる。

討伐できないのは悔しいところだが、最優先ですべき事は姫を奪還することであり、仲間である魔法使いを生かして共に帰る事も優先事項である。
そう考えてしまえば、騎士が選ぶ選択など、既に確定していた。

「……その賭け、乗らせていただこう」

静かに、しかし重々しく告げた。既に退路など無く、進路も限られる以上、少しでも生き残れる確率があるものを……そう自分に言い聞かせて……。

――――――――――――――

再び触手で両腕を拘束される騎士。賭けを提示したのはあちらである以上、エニューの裁量に任せられるのだ。
「安心して。この子達はただ貴方を逃げられないようにするだけだから……ね」
すっかり淫魔らしい体に変化したヴェルザンディに、母乳を与えるのをようやく止めたエニューは、どこか母性に満ちた優しげな瞳で騎士を見つめた。まるで既に勝利したかのような瞳に騎士は苛立ったが、ここで苛立っては敵の思う壺だ――と、何とか平静を保つように努力した。
「……ルールは何だ。まさか最初から賭けが成立しないような物ではないだろうな?」
言いながら騎士は騎士団に伝わる神風の呪文を確認する。思い出せはしたが、唱えようなどと少し考えた瞬間には、彼の体が大きく震え、背中に冷や汗が浮かんだ。
「ふふふ……簡単なことよ。契約が重要な魔族社会に、人間に不可能ではない条件を出すことを誓わせていただくわ」
嫌に丁寧な物言いだが、形式が重要なのだろう。そう思い直して続きを聞いた。
立ち上がったエニューの胸の谷間では、蕩けきった表情を浮かべたウルズとヴェルザンディが、熱の隠った視線を騎士に投げ掛けてくる。乳に挟まれてひしゃげた乳が、ぷぴゅる、とくっ、ぽたり、じわりと母乳を噴出して、体に白い小川を形成している。下半身は更に酷いことになっていた。肉の底無し沼とも表現しうるエニューの巨大な両乳の、その下乳からぽたり、ぽたりと垂れ落ちる愛液。間違いなく、二人の股間から大量に流れ落ちたものだろう。意思の欠片も見当たらない彼女らは、体を痙攣させたようにビクビクと震わせながら、愛蜜をどばどばと乳の中に垂らしていた。
そっと、手を下乳に沿えて蜜を掬い取り、舐めるエニュー。その表情に、甘露だったのだろうか、やんわりと笑みが浮かぶ。
その表情のまま、エニューはルールを語り始めた。
「ルールは簡単で単純よ。
――これから二時間の間、貴方が自分から私の乳を口にしないこと。私は乳房から母乳管を出して、すぐにでも貴方が飲める位置に近付けてはおくけれども、決して自分からは飲ませには行かないわ。
勿論そのまま縛り付けておくのじゃ、あまりにも貴方が簡単すぎるでしょう?だから、ウルズとヴェルザンディには貴方を犯してもらうわ。でも彼女達の母乳は飲んでもセーフ。チャレンジは続行されていく。
そして彼女達に対して、私は何も働き掛けをしないし、貴方に対する働き掛けも、乳を薦める以外何もしないわ。
――とまぁ、こんなところかしらね。どう?賭けとして成立するかしら?」
これから行われる、自らが主催するゲームを心待ちにしているのがありありと分かる、心底楽しそうな声で騎士に語りかけるエニュー。思わず見とれてしまいそうな美貌から微妙に目線を逸らしながら、騎士はルールと条件、そして現在の状況を頭の中で確認していた。
母乳を与えられることを、二時間拒み続ける。但しその間、ウルズとヴェルザンディに犯され続ける事になる。スペルマを発射したら負け、というルールではない以上、まだこちらに勝ち目はある。問題は恐らく、射精による水分不足だろう。だが……ウルズとヴェルザンディの母乳を飲むことは可能。水分補給は出来る。彼女達の乳に催淫効果はあったとしても、エニューの乳を飲ませるような暗示をかける効果はない筈……。
出来すぎている。あまりにも出来すぎている。これならどれかの要素を罠だと疑っていくしかない。少なくとも最大限疑うのは二人の母乳だ。飲みすぎたらマズイであろうことは明らかである以上、時間ギリギリになるまで手段としては控えるべきなのかもしれない。
「――了承した」
騎士が賭けのルールを改めて承諾した瞬間、彼を拘束する触手の一部が隆起し、レンズ状の物体を型どった。その中心部からは、触手が二本、宛ら時計の針のように突き出ていた。レンズ状の物体には、二つの瘤が突き出ていて、まるで濁った瞳のように前方を見つめていた。
騎士の見えない位置に存在するそれは、エニュー側用の時計であった。
「ふふふ……。では、始めましょうか。貴方の魂か、私の娘か――んはぁっ!」
興奮気味に開始合図を唱えるエニューの乳首を割り裂いて、数本の細い触手がどぷぁっ、と現れた。内部に満たされているであろう母乳によってぬらぬらと濡れたそれは、騎士が体を動かせばすぐ口に届くであろう位置にまでするすると伸びていった。優しさすら感じられる魔性の甘い香りが、騎士の媚香を擽っていく。彼は落ち着いて精神に自意識の障壁を張った。
「うふふ……」
エニューが見せ付けるようにゆっくりと、胸を左右に開いていく。長時間濃縮された、空気すら歪ませかねない濃度を誇る、媚薬よりも強烈な催淫効果を誇る彼女の体臭が、空気中――この空間中に拡がっていく。その体臭には当然ながら彼女自身の母乳の香りも、それに先程谷間内に垂れ流しになったウルズ達の愛液の香りも混ざっており、どんな不能の男ですら精力を取り戻させてしまう程の過剰な性臭が、騎士に吹き掛けられていった。
否――吹き掛けられたのは騎士だけではなかった。

「あ……ふぁん……♪」
「きし……さまぁ……♪」

エニューの胸の中に暫く囚われたままだった二人の淫魔も、当然のごとくその影響を受けていた。恐らくは、彼以上に。彼女達の周りには常に、エニューによる媚香が充ち満ちていて、いくら彼女らがサキュバスとは言っても……影響を免れることなど不可能であったのだ。
既に二人は殆ど理性を失っており、相手が自分等に捧げられた供物だと理解すれば、すぐにでも飛びかかるだろう。
濃厚なエニューの媚香が、騎士の逸物を再度起たせた。騎士は正気を失いかけるのを、何とか耐える。だが、勃起を目視で彼女らが確認した瞬間――!

「「――んあああああああああああああああはああぁぁぁぁぁぁぁあああああはああああああんっ♪♪♪」」

理性の箍を完全に取り払ったような奇声を挙げながら、淫魔二人が騎士の元に殺到した!
「んああああああああああああああんっ♪♪♪」
まず先に彼に迫ったのはヴェルザンディの方だった。魔法使いだった頃の姿をそのまま淫魔に変化させられた彼女は、人間だった頃はとても浮かべないような淫猥な笑顔を浮かべながら彼に迫り、前戯も何も無しにその反り立った逸物を体内に招いた。既にヴェルザンディの秘所は愛液の激流が洪水を起こしており、濡れに濡れた膣肉がやわやわと逸物を焦がれるように蠢いていた。
躊躇も、拒絶も出来ないほど短い時間で、逸物をくわえ込まれた騎士は、次の瞬間脳内に殺到した快楽の情報に、その体を反らせることになる。
「ひぃっ、ぐあああああああああああああっ!」
力が、精神力が、自らの息子を通じて吸い込まれてしまいそうな、強烈な攻め。ヴェルザンディは恐らくただ逸物をくわえ込んだだけだろう。だが、くわえ込んだ膣の中、それが問題だった。
人よりも遥かに多い、無数の柔軟な肉襞が所狭しと生え揃い、あらゆる方向から陰茎に絡み付き、愛液の膜で覆うように塗りつけ埋め込んでくる。さらに所々生えた触手が、ただ肉棒に包み込む肉襞の隙間を縫って絡み付き、舐めとるように敏感な箇所を刺激していく――!
飢えた獣が骨をしゃぶり尽くすように、目の前の誕生したばかりの淫魔は、餌を求めて執拗に陰茎を虐め倒すつもり――!
「ぐ……がぁぁっ……っっ……!」
流石に、開始して数分も経っていない筈。そんな状態で射精してしまえば、彼女らの乳を直ぐ様飲まなければ危険なのは理解に容易かった。だからこそ、騎士は必死で射精を耐えていた。肉体、こと下半身は彼を裏切って精液を急ピッチで製造して充填していくが、手足が使えない中、何とか気力だけで射精を耐えていた。
「ふふふ……♪あらあら……どうしたのかしら……?射精したら負け、なんてルール、私は制定していないわよ?だってそんなルール定めたら……貴方に勝ち目なんて無いじゃない♪一時間は愚か、三十分だって人間には無理なんだから……♪」
エニューの、どこか嘲るような言葉を平然と聞き流し騎士は、ともすれば濃密な媚香の効果で参ってしまいそうな意思を、唇を噛み締めて保ちながら必死で体に力を入れていた。その間にもヴェルザンディの責めは段々と激しくなっていく。
「んあんっ♪んあんっ♪んぁあぅんっ♪んはぅあああんっ♪」
上下左右様々な方向に腰を動かし、何とか騎士から甘露を絞ろうとするヴェルザンディ。乱暴な動きではあったが、淫魔の身体的特性か、その全ての動作が騎士の性感帯を刺激するのに十分な威力を誇っていた。
彼女の背中では尻尾が、蠍の威嚇よろしく反り立ち、先端は騎士の顔の方を向いている。次の段階としては、恐らく体内で分泌された催淫液を飲ましてくるだろうことが、騎士には嫌と言うほどに理解できた。だが、それに対して騎士は何ら抗う術を持たなかった。精々、今にも彼女に向けて発射されてしまいそうな精液を体内に留めるだけ……。
この時彼が失念していたことが一つある。それは――飢えているのは目の前にいるヴェルザンディだけではない、という事実だった。

「!?っっ!?」

突如、騎士の背中に異様な感覚が走った。まるで、決して形が崩れないプリンを押し当てられているかのよう。複雑怪奇にうねりながら、彼の背中に蛭のごとく吸い付いてくるそれは、粘着性と潤滑性を兼ね備えた液体によって覆われ、騎士の感覚に向けて擬似的な接吻を幾度も繰り返した。
「……ひぐっ!?」
同時に、力を入れてすぼまったアナル、その菊門の皴一本一本に何かを塗り込むような動きがあった。騎士の体をヴェルザンディごと後ろから抱き締める細腕の感触が、堪らなく気持ち良い――!

「……んはぁぁぁぁぁっ♪だめですよぉきしさぁん……♪いもーとにびゅくびゅくとせーしおねがいしますぅ……♪」

「!?ぐぅぅっ!」
背後からのウルズの強襲に、騎士の逸物は昂りをさらに強める!ウルズは、精に餓えているヴェルザンディのために騎士の抵抗を削ぎ、甘美なるボーイズミルクを放出させようとしているのだ。
「そのあとでぇ……わたしにも……せーしぃ……♪」
いや、それだけではなかった。ヴェルザンディが満足したその瞬間にでも、ウルズは襲いかかる気だろう。彼女も先程、肉の牢獄に閉じ込められて本能の獣が暴れだしているのだ。辛うじて理性を残しているのは、先程散々騎士の精を吸っていたからか。
ウルズの背後で、ゆらゆらと尻尾が蠢く。その先端が、長時間の触手責めとエニューの媚香が原因で敏感になったアナルを、筋に沿って突いていく。微かに生えた産毛が、仄かにこそばゆい刺激を騎士に与えていく。強烈な快感とは違い、じわり、じわりと、だが確実に、男の精神を陥落させんと蠢いていた。
「うぐっ……うぅっ……くぁっ……っつっ……!」
前からは、ヴェルザンディによる本能に委せた強引な搾精行為、後ろからは、ウルズによる本能を馴らした柔和な性感帯刺激。それでも騎士は、何とか射精を耐えようと必死になっていた。ルールは頭の中にある。だがしかし、彼はそれを意識しているわけではなかった。ただ、射精したら危ないという思い、それが本能レベルで焼き付き、彼の肉体から射精という二文字を封じていた。
「あらあらぁ……♪射精しても大丈夫なのに……♪必死になっちゃって……♪随分つまらないことで意地を張るのねぇ♪」
エニューからの、どこか子供を相手にするような軽々しい声も、騎士の精神を崩していく。なぜ我慢しているのか、勝負はエニューの母乳を望まなければ良いだけの筈。なら、なぜそこまでして……?
理性が浮かべた、一欠片の疑問。それは騎士の心の障壁を内部から、少しずつ、少しずつ取り払っていく。まるでジェンガを抜くように、少しずつ、少しずつ。
――その精神の動きに目の前にいる、先程まで共に戦っていた淫魔が気付いたのかどうかは分からない。だが……明らかに感付いたかのようにその体を動かした!
「――んぁぁぁぁぁああああああああああああああっ♪」
騎士の逸物を飲み込んだ膣が、盛大にくねり、密着し、扱き立てる!まるで内壁から生えた襞の一枚一枚が意思を持つ舌へと変じたかのように、裏筋、カリ、亀頭、鈴口、皮の裏から茎の根元まで一気に舐め解していく!
同時に、膣内に生えた無数の触手が伸び、各所に絡み締め付け出した!舐め擽られた部位を、ある部分ではタイトに、またある部分ではルーズに巻き付き、互い違いに締め上げ、体を擦り付けている!宛ら乳絞り――淫魔の中でも乳に精通した乳魔の彼女達なら、本能で知っている行為なのだ!
背後のウルズは、ヴェルザンディと何やら通じ合ったのか、さらに体を強く押し付けてきた!ぷぴゅる、ぴぴゅると時折母乳が発射され、柔らかい乳房のタオルによって背中全体に塗り広げられていく。ぬっとりと暖かい感覚が、騎士の体に優しい刺激と共に広がっていく――。
アナルを弄る尻尾は、そこを弄るだけでは飽き足らず、尻の筋に沿って尻尾を前後し始めた。
「んはぁ……あんっ♪んんっ……んはぁっ♪」
尻尾は淫魔にとっても性感帯なのか、尻に挟み込まれ、また脱出する度に、ウルズは快感の吐息を騎士の耳元に浴びせていく……。
二者二様の責めは、徐々に騎士の精神の壁に開いた幽かな隙間を、強引に、あるいは柔和に広げていく。鉄壁かと思われた壁が崩壊していく様に、彼の精神は悲鳴をあげ始めた。
そして、ウルズとヴェルザンディの視線が、今一度交錯した瞬間――!

くちゅずぼぉぉっ!

「――?」
その瞬間、騎士は何が発生したのかよく分からなかった。何かが体内に突き刺さったような感触。だが、一体何が――?
騎士の思考は、そこまでだった。

「――!!!!!!!!!!!!!!!!」

脳内に雪崩れ込む、膨大な量の快楽情報。いや、雪崩れ込むなどという生易しいものではない。叩きつけですらまだ弱い。――抉り込まれる。人間の脳の処理能力を遥か超す量の快感が、それも一度に。叫び声すらあげられず、騎士は白目を剥いた。だが、それでもまだ気絶はしていない。いや、出来ない。淫魔二人がさせてくれないのだ。
ウルズが騎士のアナルに尻尾を突き刺した瞬間、ヴェルザンディも同時に彼に突き刺していたのだ。膣内の触手を――騎士の尿道に。
強引に先端を割り開かれた逸物が、尿道を膨張させ、精液を送り出していく。しかし、尿道を塞ぐように差し込まれた触手が、精液を押し留めている。その間にも精液はどんどん生産され、尿道を押し拡げ圧迫している!
ぴちゃぴちゃと触手の尖端で精液を味わっているのか、ヴェルザンディの顔が恍惚とし始めた。同時に彼女の体の奥底で、くぱぁ……と何かが音を立てて響いた。それを奥底で感じた彼女は……。

――ちろちろちろ……つぷっ

触手を、尿道を擦りながら抜いた。
だめ押しの一撃だった。

――どびるりゅりゅりゅりゅりゅゅぅぅぅぅぅぅぅぁぁぁぁぁぁぁああああああああっ!ぶるしゅばぁぁぁぁぃぁびゅるくっびゅばぁぁぁぁぁああああっ!

「――――!!!!!!!!」
「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪せぇしっ♪せぇしがぁぁぁっ♪しきゅ♪たたいてぇっ♪んはっ♪んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
貯えられ、溜めに溜められた騎士の精子は、内側からも外側からも妨げるものが無くなった今、目指すべき地に向けて己の体を激流に身を任せて進んでいく!
まるで小尿を放つように逸物から溢れ出す大量のスペルマを、ヴェルザンディの子宮は全て受け入れていく!乾いた砂漠が水を吸いとるが如く、子宮の内壁に触れた精子がその場で彼女に吸収されていく――!
「んはぁぁぁぁぁぁあんっ♪もっとぉぉっ♪もっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ♪」
興奮気味に腰を前後させるヴェルザンディ。その体が、明らかに変化を始めていた。
翼が、腕を覆うほどの大きさだったものが、人を四人同時に包み込める程の大きさに。尻尾も、先程より長くしなやかで美しい形状に。角も禍々しさよりも可愛らしさを優先した形状に変化した。
そして、只でさえ大きかった両胸がさらに大きく、艶を持ち始めた!乳首が凝り立ち、どぷん、どぷんと大量の母乳を蓄えていく……。
「んあぁああああんっ♪♪♪」
いつの間にか、背後からウルズの感触が消えていた。同時に巨大になった翼が、騎士の体を包み込んでいく。どうやらヴェルザンディは、徹底的に騎士を味わってしまおうとしているらしい。外から見ると二人は、翼の繭に包まれてしまっているように見える。
騎士の逸物からは、相も変わらず間欠泉の如く盛大に精液が吹き上げられ、ヴェルザンディの中に強烈に叩き込まれている。まるで体の水分が全て精液に変化させられているかのように――!

「――ッ!?」

騎士の中に、疼きにも似た何かが走る。口の中で顕著に響くそれは、脳内の警鐘をヒステリックに鳴らし始めた。
「(の……喉が……!)」
強烈な喉の渇き。まるで砂漠を日中何も口にせず歩き続けたかのような強烈な飢餓感が、彼を襲ったのだ。
「ぐっ……ぐぅぅっ……ぐかぁ……っ!」
吸われている。体の水分を根刮ぎ、精液へと変化させてこの淫魔が吸収している。抜け出そうにも触手によって動きは封じられ、もし解かれてもヴェルザンディの翼が全てを包み込んでしまっており、絶対に抜け出せない状況となっていた。
「んぁぁ……♪もっとぉ……♪もっとだしてぇ……っ♪」
最初よりは遥かに落ち着いてきたようだが、それでも明らかに彼の精を求めていることが分かる。このまま死ぬまで、いや、死んでからすらも精液を搾り取られ続けるのかもしれない……!
「!?っっ!?っ!?」
死、という文字が頭に走った瞬間、彼の全身を異様なまでの恐怖が駆け巡った!ともすれば只の喉の渇きに過ぎなかった現象が、自らの首を狙う死神のようにすら感じてしまうようになった!
何とかしなければ……何とかしなければ!エニューの呪いによって死に対する恐怖が植え付けられている現状、彼が執る行為の原点は、如何に死から逃れるかというものに変化していた。視界すらほぼ塞がれている現状、彼が自らとれる手段は――?

翼の隙間、微かに漏れ入る光が照らしたのは……巨大化した彼女の、乳房。ちょうど、彼の目の前辺りに凝り立った乳首が存在していた。
脈音に混じって耳に届く、乳房内で撹拌される母乳の音。母乳……母乳!
思考による抑制が効かないまま、彼はヴェルザンディの乳首にむしゃぶり付いていた。同時に、顔を盛大に押し付ける!

びゅるるるぅ〜〜〜っ!
「ひぁぁぁぁああああんっ♪」

騎士の喉を滑り落ちていく甘露――まさしくそれは甘露であった。彼が分け与えた精気が胸内で凝縮されて、再び分け与えられていくかのような陶酔……。
乳首を刺激されたことで快感を得たのか、ヴェルザンディはさらに胸を騎士に押し付けていく。同時に、二人を包む羽根がその幅を狭めていく。羽根の内側の皮膜が無数の肉襞に変化し、騎士の全身を咀嚼するかのように嘗めくすぐっている……。
その間にも、騎士は自らの渇きを潤すために母乳を飲み続けた。依然として逸物からは大量の'こくまろミルク'が噴出され、ヴェルザンディの'口'に与えられ続けている。そこから精力を得て、母乳にして一部を騎士に返す淫魔ヴェルザンディ、返された精力を精液に変えてヴェルザンディに明け渡す騎士。まさに永久サイクルと言えるものがここで完成していた――表面上は。
「――っ!――っ!」
騎士は懸命に母乳を吸い、少しでも渇きを癒そうとした。だが――癒せない。どれだけ吸っても、口の中には渇きが広がり、頭からは絶えず死への警鐘が鳴らされ続ける。与え続けられた快感からか、滲んだ汗が滑り落ちる感覚にすら身を震わせ、まるで別意思を持ったかのように逸物は精液を吹き上げていく。目の前の淫魔に、生命を捧げる異形の物体――それが騎士の逸物であった。
「〜〜〜っ♪んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪ぁぁぁぁぁんっ♪」
相変わらず、ヴェルザンディは騎士から精を搾り取り続けている。膨大な精気は彼女に取り込まれると、一部母乳に回す分を除いて魔力へと変化され、体に充填されていく。魔力が彼女に蓄えられる度に、彼女の体つきもより艶かしく、淫らに変化していく。腰が括れ、ヒップから背筋にかけて綺麗な線を描き、髪の質、肌の質も思わず触りたくなるようなそれに変化していく。性的対象として男を誘惑するのに、さらに相応しい体に変化していくのだ。
そして体の変化が終わると、ヴェルザンディの全身から、薔薇をミルクと共に煮詰めたものを希釈したような、それでも噎せ返る程に濃い香りが放たれ始めた。彼女の体から、媚香が放たれ始めたのである。それも、精を吸い取る度に強化されていくそれが……。
「んはぁぁぁぁぁっ♪あはぁ……っ♪んはぁ……ん♪」
満たされてきたのか、段々と喘ぎ声が少なくなるヴェルザンディ。彼女が改めて辺りを見回すと、ウルズが今か今かと、騎士の解放を待ち望んでいるようだった。
「……んんっ♪ウルズおねえちゃん……来て♪」
騎士の叫び声は胸に塞がれて空間に漏れることはない。ウルズは、敏感になったその耳で、寵愛する妹の声を明確に聞き取っていた。ふらふらと近付くウルズの事を配慮して、ヴェルザンディは翼を広げながら……自身の尻尾を騎士の逸物にしっかり巻き付けた。
「――っ!ぎぎぐぁっ!」
騎士が苦痛の呻きを漏らす。魔乳の効果で依然として精巣は精の精製を続け、肉棒は射精の戦慄きを続けるも、直前までの激流が嘘のように、一滴も精が漏れることが無くなってしまったのだ!放出できなくなった大量の精液は、来た道を逆行して精道を押し拡げていく!
ヴェルザンディが乳房を彼の口から離したが、それでも暫くは生産が収まる筈もなく、ようやく止まった頃には、心なしか陰嚢が拡張されているようであった。当然喉は先程までよりもより異常な渇きを見せており、
「んはぁ……♪有り難う……ヴェルちゃん♪」
辛うじて保たれた理性でヴェルザンディに礼を告げ、唇を重ね合わせるウルズ。濃厚なレズプレイをヴェルザンディは望んでいるようであったが、ウルズはそれを「後でね♪」と笑顔で断り、騎士に向き直ると――、
「んはぁぁ……んっ♪」
艶かしい吐息と共に、胯間に開いた一輪の華を人差し指と中指で左右に開いていった。ショートソードの柄の部分ほどの太さなら、丸ごと呑み込んでしまえるほどに……!
芳しい媚香を放つ一輪の華。その内部からは、桃色の蜜がとろとろと地面の方に向けて流れ落ちていき、辺りを覆う香りがさらに濃密なものに変じていく……!
「うぅ……くぁぁ……」
擦りきれそうな精神を何とか保とうと、意識を他に移そうとする騎士。しかし、股間の痛みと喉の渇きがそれを許さない。
「ふふふ……騎士さん♪余所事考えていては……いけませんよ♪」
その声が彼の耳に届いたかどうかは定かではない。だが――発言の終了と同時に、しゅるりとヴェルザンディの尻尾が外され、愛蜜に濡れる彼女の秘部が、騎士の反り立つ肉棒を、曇った音を立てながら飲み込んだ!

ぐびゅるるるるるるぅっ!びゅりるっ!どびゅるぐぷぷぐぷるんっ!びゅるりぶしゅぶっしゃあぁああっ!

「――ぅぅぅぁぁぁぁあああああああんむむむぅぅっっ!っっ!っっっ!」
塞き止められていた精液が一挙に溢れ出す衝撃に絶叫をあげる騎士の口を、ウルズの乳房がしっかりと塞ぐ!ヴェルザンディのそれよりも柔らかく騎士の顔を受け止めたそれは、待ち構えていたように乳首から大量の母乳を騎士に向けて噴出していく。
渇きと迫り来る死への強迫観念に正気を失いかけていた騎士は、逃すまいと必死で魔乳を飲み干していく。口内粘膜に当たったそばから浸透していくそれは、瞬く間に騎士の体を巡り、尿道に――いや、精巣へと殺到していく!
「んはぁぁぁぁぁぁっ♪来ますぅっ♪精子っ♪精子がぁっ♪私の中に来ちゃいますぅぅぅぅぅぅぅっ♪」
魔乳の効果で、騎士の逸物からはさらに勢い付いた精液が放出され、ウルズの子宮へと叩き付けられていく!精道と精の摩擦感だけでさらに高みに押し上げられていく騎士!大量の精液が、宛ら蛇口を飲み込んだように子宮へと雪崩れ込んでいく感覚と、騎士の精の美味さにウルズは恍惚とした表情を浮かべながら絶叫し、腰の動きを速めた!
「んんんんんっ!んんっ!んんんっっ!」
精を吸収したウルズの体が、強烈な媚香を放ち始める!主に胸の辺りから立ち上る、男も女も発情させてしまう強烈な媚香が、騎士の鼻腔から体内へとストックされていく……!
騎士の発汗量が、射精量が、さらに量を増していく……!彼の体から、水分が次々と外に流出していく……!
「――っ!――っ!」
与え続けられる快感に擦りきれそうな精神が、死への恐怖を彼に再び説き始める!それに突き動かされるように、騎士は目の前にある魔の乳房に食らい付き、貪るように乳首に吸い付き、内部から溢れ出る甘露を体に取り込まんと飲み干している。だが、いくら飲んでも、彼の渇きは治まるどころかどんどんと酷くなっていくのだ。
魔乳は体内に取り込まれると、水分として吸収されつつも精巣に殺到し、精力回復と活動活性化を同時に行わせていく。そして出来た精液は直ぐ様にウルズの子宮へと流れ込んで吸収されていくのだが……。
「んぁあっ♪もっと♪もっとお願いしますぅ♪んんっ……んあああっ♪」
彼女の尻尾が、ピクピクと震えたと思うと、獲物に襲い掛かる蛇の如く躍りかかった!対象は――騎士の無防備な菊の門。そこは既に汗と触手が分泌する粘液で濡れており、与えられ続けた快感で力がすっかり抜け、ヒクヒクと何かを期待するような振動を続けていた。その穴を――!

ずぼぼぉぉぉぉぉっ!
「!   !   !   !   !」

先端が蕾のように膨らんだ、淫魔の性感帯でもある尻尾が、盛大に貫いた!
「んあぁぁぁぁっ♪締めてくださぃっ♪もっと貴方の中を感じさせてくださいぃぃぃっ♪」
感極まって騎士に頼むように叫ぶウルズだが、それに応えるだけの精神の余裕は騎士の中にはなかった。絶えず体を蝕む喉の渇きに、迫り来る死に対する異常なまでの強迫観念。そしてそれらから逃れるためにウルズの母乳を飲み干すことにばかり集中していたのだ。突如己の尻穴に彼女の尻尾が入り、それが肛門から直腸、下手をすれば大腸まで一気に貫き内壁を抉っていったその衝撃に、とっさに対応できる筈も無かった。ただ、肉体反応として肛門に力が入り、結果としてウルズの望み通りの反応を返してしまうのだが、その刺激がさらに騎士の精神に快感を叩き込み、代償として精を放たせている――!
「んはぁぁっ♪んはぁんっ♪んはぁぁぁぁぁんっ♪んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ♪」
内なる衝動の求めるままに、ウルズは己の尻尾でピストン運動を始めた!騎士の肛門を貫く彼女の尻尾は、粘液に濡れた産毛が騎士の肛門から大腸にかけての肉壁を仄かに擽り擦り付けながら、器用に外へ中へと前後運動を繰り返している。普段味わうことは無い場所への強烈な刺激は、彼へのミルクの供給が一瞬絶たれてしまうほどに強烈であった。その間も、彼の逸物は、前後動していくウルズの子宮の中へと己の精を贈っていく……。
「!!!!!っ!!!!っ!!!!っ!!!!っ!!!」
乳の供給が途絶えた一瞬にすら、死への恐れが彼に対して嬉々として鎌を振るっている。その幻影を振り払うように乳房にむしゃぶりつこうとした瞬間!

「――んぁぁぁぁっ♪でるっ♪でちゃ♪♪でちゃうの♪で♪でちゃ――んぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪」

びゅるるるるるるぷしゃああああああああああああっ!

「!!!っ!!!ああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
彼の大腸から胃にかけて、突如として熱い液体が逆流してきた!熱いと感じたのは内壁で、実際はそこまで熱くはないのだが、騎士はまるで体内に火をつけられたような熱を感じていた!ウルズの尻尾から、高濃度の媚薬である淫魔の体液が注入されていったのである。
熱は瞬く間に騎士の全身を巡り、発汗量の増加をもたらした。汗だけでは体を冷ますのに足らず、呼吸に含まれる水分までもが上昇していく……。
同時に媚薬の効果で、精液の生産量までもが上昇し、歯止めが効かなくなっていた。
その結果として――。

「――っ、――っ、――っ」

――騎士は、まるで砂漠に数日放置されたような枯渇感の中にいた。
いくら彼女の母乳を飲んだとして、癒せはしないほどの枯渇――。
「んはぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
「――っ――くぁ――ぁ――」
ウルズが、徐々に彼の精を吸い取り吸収していくにつれ、彼の声は着実に、着実に弱まっていった……。
彼の意思とは裏腹に、股間に生えた棒はまるで蛇口を捻るがごとく白濁した液体を彼女に向けて貢ぎ続けている……。
騎士の中に、抵抗の心理など残っていようが無かった。少なくともこの瞬間、騎士の心理内部に存在していたものは――確かに迫り来る、死、死、死……。
「――ぁ――ぅぁ――ぁ――ぁ――ぅぅ――」
渇ききった喉は、言葉を発することすら妨げていく。だがその唇は確かに、何かの言葉を紡ごうとしていた。それは自らに言い聞かせるようでもあり、乳を離した目の前のウルズに向けて呟いているようでもあった。
「……んはぁ……♪美味しかったですよ……騎士さぁん……♪」
ぐぷぱぽっ……と空気が入る音がして、ウルズの膣が騎士の逸物を手放していく……。同時に、ウルズの尻尾が、騎士のアナルからずるずると抜けていった。抜けると同時に、弛みきった尻穴からは排泄物混じりの、大量に注がれたウルズの体液が流れ落ち、地面へと落ちていった……。
催淫効果が続いているのか、彼女の膣から解放された後でも彼の逸物は精を放出し続けていた。彼の中にある水分の一切を、まるで絞り出さんとするかのように……。

「……ふふふ……」

物欲しげにウルズの乳を見つめる騎士の顔を、エニューは眺めていた。そして今一度時計を確認すると――淫蕩ながら母性の入り交じる笑みを浮かべながら、自身の乳管触手を彼の側に寄せていった。
「――ぁ――」
彼の鼻は、媚香と性臭に満ちたこの空間の中でも、その香りを確実に捉えていた。狂おしいほどに甘く、何処までも優しい――母乳の香りを。
彼の心の隅で、何かがちくりと痛んだ気がした。だがその感覚も、迫り来る飢餓感の波の中で掻き消され、取るに足らないものの一つとして消えていった……。
「ふふふ……飲みたいかしら……?飲んでもいいのよ……♪」
す……っ、と口許にまで触手を近付けるエニュー。いつでも飲める位置に置いたのだ。もしこれが開始前の騎士ならば、口を固く結んでくわえる事など億が一にも有り得なかった。だが――今の彼は、既に限界をとうの遥か前に迎えていたのだ……。

彼の口が、触手の先端に食らいつくのを確認すると、エニューは優しく、管を伸縮させていった……。

「――」
とくん、とくんとまるで心臓の鼓動のようにゆっくりと、胸の中に溜まっているミルクを騎士の中に流し込んでいくエニュー。それを口にする騎士の顔は、まるで聖母マリア像に抱かれている青年の如く満ち足りた表情をしていた。
先程まで逸物から溢れていた精液が、徐々に収まっていく……。彼の体の中に再び水分が供給され出していく。ウルズの、ヴェルザンディの、二人の母乳の効果がエニューのそれによって掻き消され、中和されていく……。
同時に、死の恐怖の大本である飢餓から抜け出したことで、徐々に騎士の精神が戻ってきた。呆けた瞳が光を取り戻し……。

「……」

……絶望にまた曇っていく……。だが、管から口を離すことは出来ない。死から遠ざかるために、徹底的に母乳を体に取り込もうとしているのだ。最早彼にとって己の死は一番恐怖する対象になってしまっていた。
「……ふふふふふっ……ほほほほほほほっ!」
絶望にうちひしがれる騎士に追い討ちをかけるように、エニューは悪魔染みた意地の悪い笑みを彼に向けながら高笑いをした。
「貴方の負けよっ!おーっほほほほほほ……無様よねぇ!貴方のお仲間さんだった私の娘達に逝かされて!よがり狂って!びゅくびゅくびゅるびゅるみっともなく精を漏らして!死ぬのが怖くて怖くて!必死でおっぱいをちゅうちゅう吸って!ほほほほほ……まるで赤ちゃんみたいでちたよ〜♪おしめは必要でちゅか〜♪」
「――ぅぅ……ぅぐっ……!」
「それとも本当に気持ちよかったのでちゅか〜?それこそママみたいに……ふふふ……っ♪でも残念ねぇ♪貴方が甘えてるのはママなんかじゃなくて、貴方が倒したくて倒したくて仕方がなかった宿敵なんでちゅよぉ〜♪」
「ぅぅっ……ぐぐぅ……っ!」
傷口を切り開き、抉り、刺し開くエニューに対し、騎士はただ悔し涙を流すことしか出来なかった。その間にも、彼の口は管を離すことなく母乳を吸い続けている……。

――――――――――――――

「…………」
ようやく吸い終えたとき、彼は力なくうなだれている事しか出来なかった。反抗する力も、完全に尽きてしまったのだった。先程まで飲んでいたエニューの乳の効果で、既に体の感度も上がり、少し触れられただけでまた、彼は射精を許してしまうだろう程になってしまっている。心も既に折られ、
そんな騎士に対して、エニューは先程までとはうって変わった、まるで本物の母親が浮かべるような柔和な眼差しを彼に向けて投げ掛けていた。そのままもう一つの胸からも触手をひり出し、既に出していた触手と絡み合わせ螺旋を描いていく。その先端は、いつの間にか彼の臍に標準を合わせられていた。
「ふふふふふ……っ♪」
瞳に弱々しい光を宿した騎士は、その光景に何の反応も示さない。ただ悔し涙をぽたり、ぽたりと流すだけだ。完膚無きまでの敗北。自らの身を捨ててでも二人を救う筈が、自らの身可愛さに二人を捨ててしまったという惨めさ。それが悔し涙となって溢れてきているのだ。
彼が取り戻そうとした二人の……淫魔は、精一杯味わった精の味を思い出しているかのように、幸せを味わいながらエニューの太股の上で仰向けに寝転がっていた。
彼女等にも笑顔を向けつつ、エニューは、騎士に聞こえない声で独り言を呟いた。

「でも、ね。私も危なかったのよ……♪あと少し、ほんのあと少し貴方が耐えていたら、私の敗けだったもの……ね♪呪いも効いていた筈なのに……立派だったわ♪」

彼女の視線の先、そこには残りあと一分となった触手時計が存在していた。彼女の乳管に騎士の口が触れた瞬間に動きを止めたそれが、間違いない証拠……。
彼女が騎士にかけていた呪いは、死に対する恐怖心を超倍増させるものと、もう一つ。彼が射精する度に、彼に猛烈な喉の渇きを訴えさせるものだった。前者だけであればまだ耐えきれただろうし、後者だけでも、恐らくこの騎士なら気力で乗りきれただろう。だが二つの呪いが重なったとき、喉の渇きが生命の危機を連想させ、それが心理的な暴走を引き起こした……それでもなお、この騎士は耐えたのだ。あと60秒を切りそうな時間まで――。
「……だから……ね♪」
故にエニューは、ここまで耐えきった騎士に敬意を表して――!

「貴方は、一番優しい方法で魂を染めてあげるわ♪」

くちゅっ、ずずずずず……
「!!!!んぁ、ぁぁぁぁぁぁぁぁっ……!!!!」

――乳管を、彼の臍に挿入していった。

「んぁっ……ああっ……ぁああぁあっ……」
彼の臍に侵入した乳管は、同時に彼の血管に絡み付き同化を果たした。これでエニューと彼は肉体的に繋がった事になる。
さらに、先程まで母乳を与えていた片胸の乳管はエニューの胸内で切り離されたのか、先端が乳首から出てくると、そのまま四本に枝分かれしていった。
管がくねり、うねり、まるで蛇のように動いていく。次第に管の先端はカップ状に変化し、収めるべき物体に向けて体をにゅるにゅると伸ばしていく……。
目指すは、たっぷりと栄養の蓄えられた双球。
「んぁぅんっ♪」
「あふぅんっ♪」
まるで吸盤のように乳房に貼り付きながら、両乳首を加え込む乳管。適度に強く摘ままれるその刺激に、ウルズとヴェルザンディは歓喜の吐息を漏らした。
「うふふ……召し上がれ♪」
二人の乳房をしっかり覆ったことを確認したエニューは、そのまま自らの乳房を優しく揉みしだき始めた!彼女の乳房の中に蓄えられた大量の母乳が、管を伝って彼の中へと流し込まれていく……!
「んはぁぁんっ♪あぃはっ♪んはぁぉうっ♪」
「いんっ♪ぃあいいんっ♪いぁあっ♪ぁああああんっ♪」
二人の娘の乳房を覆う乳管も、彼女達から搾乳を始めた。根元から乳首にかけて、順繰りにぎゅっ、きゅっ、ぐにゅんと揉み上げていく。その間も乳首への刺激は続けられており、彼女達はただ喘ぎ声をあげることしか出来なかった。
吸い取られた乳が、乳管をぷくっと膨らませていく……それらはあるものはゆっくりと、あるものは勢い良く、だがどちらも確実に騎士の臍の方へと向かっていく……そして!

ぐ……ごぽるっ!

「――!!!!んあぁあああああああああっ!!!!」
彼の血管に、彼女達淫魔の母乳が直接注入されていく!淫気と媚薬を大量に含んだ栄養過多な液体は、人間の血液と混ざり合うとそのまま体のあちこちの細胞へと行き渡っていく!
同時に血中に含まれる、魔に対抗する因子が押し出され、乳管よりエニューの方へと吸い取られていく!エニューの体内に入ったそれらは、構成を書き換えられて魔に親和性を持つ因子へと変化し、母乳と共に再び彼の中へと送り込まれていく……!
「うあぁああっ!あぁああああああっ!」
彼の中で、まるで爆竹を同時爆破させたような勢いで大量の熱が発生した!催淫効果のある淫魔の母乳、それが三種類流し込まれれば相乗効果が発生するのもある意味必然ではある。
母乳を与えられ続ける騎士の股間にある、先程まで萎びかけていた逸物が、透明なタイム風呂敷でもかけられたかのように若返っていき、岩盤を貫くドリルの如く天へと向かって成長していく!最早全身へと行き渡っている淫魔のミルクは、彼の全身に力の息吹を注ぎ込み、精力を増強させていく!結果、過労気味だった精巣の機能が復活し、次々と子種が充填されていき――!

びゅう〜〜〜っ!びゅるっ!びゅくんっ!

「んはぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
誰にも触れられていないのにも拘わらず、騎士の逸物から精が噴出された!勢い良く放出された精液は、空間内を放物線を描きながら落下し、丁度エニューのぱっくりと開いた陰唇辺りに入っていった。
「ふふふ……っ♪二人が気に入るわけね♪とっても美味しいわ♪」
言った側から彼女の膣からも、先端が歯の無い口のようになった触手が出現し、彼の逸物にまで一気に伸びると、そのままむしゃぶり付いた!
「んぁっ!あぁあっ!んあぁぁあっ!」
とくん、とくん、とくん
きゅぽん、きゅぽん、きゅぽん
陰茎の脈動に合わせて、精液が管を伝ってエニューの方に送り込まれていく……。まるで口内でアイスキャンディーを味わうかのように、管内の無数の触手が彼の逸物を舐め解し、絡み付き、ぬるぬると扱いていく。逸物よりも先に、彼の心は蕩けていった。
臍に刺さった乳管からは次々に、優しく母乳が送り込まれていく。人を狂わす魔乳……それは今や血液に代わって彼の全身を巡り、その甘美な感覚を染み渡らせていく……。彼の血中に含まれていた抗魔因子はエニューの中で全て誘魔因子へと変換され、彼の中に再び戻されている……。
「んぁあぁっ……♪あぁふぅ……♪やんっ♪」
「いいっ……♪きもちいいのぉ……♪んあぁっ……♪」
相変わらず搾乳され続けている二人の淫魔。その秘部は熟した石榴の如く割り開かれ、瑞々しい赤色の肉がじゅくじゅくと愛蜜に濡れて蠢いていた。淫魔の体は、何処までも貪欲なのだ。
「……んあぁ……んっ……んぁっ……んん……」
彼の表情が、少しずつ安らいでいった。存在を奪われる恐怖には呪いが発動しないのか、或いは、その呪いすら母乳に融けてしまったのか……。
敵の前で見せる筈の無い、安らかな笑顔。それを騎士が浮かべるのを目視で確認すると、エニューは股間に吸い付いた管を外した。
きゅぽん、と吸盤を剥がすような音と共に外れたそれがエニューの秘部にすぽん、と収まると……?

とっく……とっく……とっく……

彼の逸物から、白濁した液が再び放たれていった。陰茎が鼓動に合わせて脈打ち、陰嚢から絞り出されるように溢れ出る液体は、エニュー達の体に雨の如く降り注いでいった。

だが……何かが違った。液体が、カウパー程の粘性もない。
しかも、気化したそれは常人が嗅いでいたらクラクラしてしまいそうな濃度を誇りつつも、糖分を数多く含んだ甘く優しい香りをしていた。明らかに精液ではない。

――母乳。
エニューの母乳が、彼の逸物から射精のごとく吹き出ていったのだ。

「……ふふふっ♪」
エニューら三人の母乳は、彼の体の組成を少しずつ変化させていった。細胞に入り込んだ魔乳は、そのまま細胞自身と融け合って、母乳が体内透過されるように変質させていく。
活動の限界をとうに超えていた精巣自身は、魔乳に触れた箇所から融解していき、脈打つ陰茎によってエニューの胎内へと送られていった。もう騎士に、精を作る能力は無くなってしまったのだ。
「うはっ……ぅうはっ……ぅあっ……」
敏感になった尿道を魔乳が迸る感触だけで、彼は表現しようの無いほどの快感を覚え、体を大きく震わせる。臍から送られた魔乳が、細胞と混じり、染み込み、擦りながら放たれていくにつれ、騎士の中から、意思の光が消えていく……。
「ふふふ……っ♪さぁ……いらっしゃい♪貴方の魂が還る場所……私の中にね♪」
乳管が伸びている方の乳房、その先端にある巨大な乳首が、ぐにゅうぅぅぅ……と巨大な口を開いた。内部では、無数の肉襞を生やした肉壁が彼女の呼吸と共に膨張と収縮を繰り返しながら蠢き、気化した母乳と彼女自身が放つ桃色媚香が入り交じり濃縮された気体が、こぽりこぽりと吐き出されていく。
生暖かい香りに包み込まれたとき、騎士は――嘗て騎士だったものは誇りなど忘れてしまったかのようにだらしの無い笑みを浮かべていた。口の端から漏れた涎は頬を伝い、顎から地面に向けて落ちていく……。股間からは相変わらずエニューの母乳がぴゅうっ、ぴゅううっと吹き出されていく……。
エニューの手が、優しく騎士の体を握り締めた。人肌よりも何倍も柔らかく張りがあり、そして性感を直に刺激する淫魔の手に、感度が上昇した彼の体が握られると、彼はそれだけで盛大に達し、母乳を吹き上げてしまう。
どくん、どくん、どくん……エニューの母乳は相変わらず体の中に流し込まれ続けている。最早、彼の体の中で、母乳に染まっていない場所など無かった。
拡張された乳首に近付くにつれ、騎士の瞳には光が戻りつつあった。だが――明らかに別の光だ。少なくとも彼は、焦がれるような瞳をエニューに向けることはしなかった。憧憬のひかり――それが彼の瞳の中に見てとれたのだ。
やがて乳首の手前まで寄せられたとき――。

「……ぁああぁ……」

子供、それもパレードに魅せられた子供のような感嘆の声を、彼は漏らしていた。これから起こりうることを、心の底から待ち望んでいるかのように、瞳を輝かせて――。
「ふふふっ……♪」
乳首の中から、一本の触手が現れた。先端が三ツ又に別れた、世界一有名な鼠のような比率の円を持つそれは、彼の両鼻と口へと侵入していった。鼻から入った二本は、そのまま気道を確保しつつ肺と融け合い、食道と気道を完全に分割した。口から入ったそれは、先端をおしゃぶり状に変化させると、口からも母乳を注ぎ込んでいった……。

ぐにゅるぅぅぅん
「!!!!!!!!」
ついに、彼の足からエニューの乳首に沈み始めた!ローションとミルクに染まる、熟れた果物のごとき柔らかさを誇るそれは、彼の足を隙間なく包み込み舐め擽っていく!
母乳が放出される逸物を加え込むように、特に柔らかい肉の塊が彼のそれを包み込んだ!亀頭からカリ、裏筋から皮の裏まで全てを舐め擽りながら熱い抱擁を交わすそれに、彼の精神は高みへと登り詰め、陰茎は激流のごとく母乳を吐き出していた!
両腕、腰、胸、首……徐々にエニューの中に埋もれていく体。彼はそれを、明らかな喜悦として受け止めていた。気持ち良さのあまり目を閉じた彼の頭を――。

「――お帰り、貴方♪」

――ぐにゅぷっ
エニューの乳は受け入れ、外界との門は閉じられたのだった……。

しゅるるる……すぽん。
彼女の乳に、乳管が戻っていく。娘二人の胸に付けていた乳管だ。存分に搾乳された二人は、今は快感の余韻に浸っている。近いうちに、きっと二人で交わり出すだろう。既に尻尾だけは臨戦態勢で、互いの秘部を突き合っている。
「……ふふふふふ……っ♪」
エニューは胸の中に居る彼に向けて呟くと、ゆっくりと優しく乳房を揉みあげていた。しばらくそれを続けた後、タイミングを見計らって自らの乳首をくわえると、何かを送り込むように、ゆっくりと息を吹き込んでいった。そして再び、乳房をゆっくりと揉んでいく……。
「ふふふ……♪さぁ、生まれ変わりなさい……♪私の娘として……体は私があげるからね……♪」

優しさと、ほんの少しのおぞましさが入り混ざった声で、エニューは胸の中の彼に語りかけるのだった……。

――――――――――――――

ぐにゅん……ぐにょん……
エニューの胸の中、騎士だった男の肉体は、徐々に内部と同化しだしていた。
「――。――。――」
ぐにゅん……ぐにょん……
口にした管も、鼻から通った管も、既に自身の口や鼻と一体化している。そこからは新鮮な、ただし媚香に満ちた空気が送り込まれ、彼の生命を維持させている。
びゅるびゅると精のごとく放たれる母乳の中に、いよいよ彼の肉体も混ざり始めていた。同時に、エニューの胸内の肉襞も外側から腕や足に背中に絡み付き、癒着しながら皮膚内部に根を伸ばしてきている。
「――。――。――」
神経は既に焼き切れている上に母乳によって新たに繋ぎ合わされ、常に快楽の中で体を震わせ続ける事になった。射乳の時など、脳のヒューズが飛ぶくらいの快感が全身を駆け巡り、さらに乳房との同化が進んでいく……。
「――。――。――」
同化が進んでいることを、男――だったものは既に理解していた。己が奪われる感覚すら、脳は情報として受理していた。だが……彼はそれを'悦び'として捉えていた。
体を、心を、全て他者に蕩けさせていく快楽……その背徳の果実に、彼は既に魅せられていたのだ。
次第に'乳房'と混ざり合い、'乳房'の一部へと変化していく。エニューの乳房の中で、爛れた笑みを浮かべながら為すがままに委ねていた彼の顔が……。

……ぐにゅん……

……乳房の内部を満たす、襞の中に沈んでいった。

――――――――――――――

'彼'が乳房と混ざり合って暫くすると、乳房の肉壁が大きく揺れた。エニューが、乳房を大きく揉みしだいているのだ。
同時に、乳房の中を明るく照らす球体が一つ、肉壁の中からふわりと出てきた。半分崩れかけたそれは、何かを求めるように右に左にふよふよと飛んでいた。
やがて、肉壁のある一点に狙いを定めたのか、その上部にまで飛ぶと、すぅ……と、その肉壁に溶け込んでいった。
暫くすると、その部位が盛り上がり、人一人――いや、子供一人入りそうな程の大きさの肉の繭を形成していった。乳を揉む手は止まり、肉の繭は千切れること泣く肉壁に根を張って固定している。
乳の外から、暖かな風が入り込んでくる。どくん、どくんと、エニューの脈と同調するように脈動するそれに、今度は肉壁から闇色の何かが送り込まれていった。
光と闇、陰と陽。二者は混ざり合い、新たなる生命を形成していく……。揉みしだかれる乳の刺激は、繭の中の存在に何かを伝えているようだった。
乳言語……だろうか。乳を通じて行われる、親子の教育は、繭自身が盛大に震えるまで続けられた。
とくん……とくん……
脈動は、繭の奏でるリズムと同化しつつも、繭に覚醒を促していく……。

やがて、繭が独りでに裂けていき――!

――――――――――――――

「「んあぁぁぁぁぁああああああああああああっ♪」」
誕生のメロディが、乳腺から外に響き渡った。全身に母乳を纏いながら彼女の乳房から現れたのは――先程の騎士を女にし、エニューと混ぜ、さらに小学生時代にまで時を巻き戻したような姿をした、一人の淫魔であった。
「はぁっ……♪はぁっ……♪」
生まれ落ちて既に発情しているのか、迎え入れる体勢をとっていた二人の姉と、早々に交わろうとしていた。
二人の姉も、既に受け入れる準備は万端で、生まれてきたばかりの彼女に、有らん限りの母乳と快楽をねっとりと与えていた。
「……ふふふ……っ♪」
そんな姉妹の中睦まじい様子を眺めながら、エニューは乳房に残った嘗ての'彼'――今の'彼女'の魂の存在を感じて……静かに微笑んだ。
「……スクルドちゃん、貴女の体は私の体、貴女の魂は、半分は私のもの……ふふふ……っ♪貴女は、私が死なない限りずっと生き続けるのよ……ふふふ……♪
たぁっぷり、可愛がってあげるからねぇ……♪」
娘達を見つめる彼女の瞳は、'魔物'と呼ばれる存在から、一番程遠い感情である'慈愛'に満ちていた……。

――――――――――――――

「……ん?お、おおっ!?」
「帰ってきた!帰ってきたぞぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「姫が……あぁ……姫様ぁぁっ!」
――騎士達がエニュー討伐に向かって二週間ほど過ぎた後、騎士と魔法使いは帰ってきた……姫を無事に奪還して。
人々は歓喜の表情に包まれながら、騎士達を英雄と呼んだ。騎士達を招いた王、は彼らに褒賞を与えると申し上げたが、不思議なことに彼らはそれを辞退した。
代わりに――国全体を対象とした壮大な祝賀会を開いて欲しいと申し出た。会場は王城内部ではなく、その広い中庭。そこに国家中の民が集まり、大規模な祭りを行うことを彼らは望んだのだ。

かくして、祝賀会は開催されたのだが――!

どぷるっどばぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!

祝賀会の最中、突如として乳の雨が降り注いだ!
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「何!何なのこの雨――んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
その雨を浴びたり、嗅いだりした人間は交わり合い、次第に淫魔と化していく。
「あぁっ♪胸♪胸気持ちいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ♪」
「んはぁっ♪挿れてっ♪挿れてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ♪」
王族達や貴族達も、淫魔化の例外ではなかった。
「ふふ……あ・な・た……暫くご無沙汰でしたわよね……♪」
「そ、そんな……やめろ!止めるんだ!」
「ほら……溜まってしまったので、たぁっぷり飲んでくださいね……ふふ♪」
「止め……うああああああああああああああああっ!」
混乱に陥る会場の中で、騎士達は徐々に空に浮かび上がっていく……。
「な……なんだこの雨は!」
「まさかエニューは……」
「おい!騎士達が宙に浮かび上がって……姫様!?」
「あ、ああ……体が変わっていく……!?う、うあ、うあぁっ……!」
淫魔としての正体を現した騎士たちの後ろ、濃いミルク色をした雲の隙間に見えたもの……それは、中庭に狙いを定めている乳首を持つ、巨大な乳房であった。
ぶびゅるるるるぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
張り裂けたような音を立て乳首から魔乳が溢れ出した時――、空を眺めていた人間の意識は全て乳に呑まれていった……。

この日を境に、国は淫魔の都と化した。
今ではエニューを主として崇めながら、日がな淫欲の宴を繰り広げているという……。

「ふふふふふふ……♪ふふふふふほほほほほほほほほほほほほほっ!お~っほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほほ……♪」
人の姿が消えた、乳の香りで満たされた城内で、エニューの高笑いと粘っこい水音が響き渡った。

fin.




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