とくん……とくん……
外見的に見て高校生くらいの女性が、何処までも続くかと思われた怠惰な居眠りから目を醒ましたとき、直ぐ様視界に入ったのは、衣服を全く纏っていない体の中心部、自分のお臍と繋がっている、鮮やかな桃色をした一本の肉の管だった。
何かの冗談かと思い、管を掴み引き抜こうとするが、管の纏う粘液によって、彼女は掴むことすら出来なかった。その上、ぬるぬるした管にほんの少し手を触れた、その感触がダイレクトに体に伝わってきたのだ。
彼女の心の中に湧いたのは、当然ながら大量の恐怖心。自分の置かれている状況が、今まで居た世界から見てあまりにも奇怪だ――そう思えたからだ。
このような状況に置かれた人物の行動として、まず泣きわめくか、暴れまわるか、考えるの大きく分けて三通りの例があるが、彼女は三番目の考えるを選んだらしい。繋がった管を片手で弄りながら、彼女は意識を失う前の記憶を手繰ろうとして――固まった。
彼女は、自分が誰であるか、全く分からなかったのだ。
名前を浮かべようとしても、そこの部分だけ綺麗に抜け落ちてしまっているかのように、あるいは靄の中にあるように、その実態がはっきりと掴めなかった。
彼女は完全にパニックに陥った。自分を支える『自分』の存在。その根本にある名前が記憶の外にある状態なのだ。支えを失った彼女の心は――自分に突き刺さった管を、自らを食らう化け物のように認識した。
髪の毛を振り回し、有らん限りの声で叫びながら、量腕で管を掴み抜こうとする。だが、握ろうとする手が管の表面を滑る度、柔らかに圧迫する度、彼女の全身をくまなく愛撫されるような感覚が巻き起こり、体の力がふにゃりと抜けてしまう。それでも泣き叫びながら必死に抜こうとする彼女。端から見たら凌辱物小説における、「イカなければ苛める」という状況下で、必死で生やされた逸物を擦るフタナリ少女とも見て取れるであろうシチュエーションだった。
彼女の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになり、視界すら定まらない状態となった。何も考えずただひたすら動かした体は、徐々に疲労を溜めていった。泣き叫ぶ行為も体力を磨耗させ、徐々に彼女の動きを鈍らせていく。やがてかのじょはそのまま、糸が切れたように倒れ込んでしまった。その姿は、まるで管を抱えているかのようだった……。
彼女が眠りについた後も、管は何も動く気配を見せなかったが、深い眠りに入ったとき、奥の方の管がぽっこりと膨らむのが見えた。彼女の脈と合わせるかのように、その膨らみはゆっくりと近付いていき、彼女のお臍に接する寸前のところで、ゆっくりと萎んでいった。一気に潜り込ませると、彼女の体が拒否反応を起こすからだ。
とくん……とくん……とくん……。
彼女の中に、栄養が流れていき、同時に不要物が管へと押し出されていく。その様が気持ち良いらしく、彼女は粘液を纏った管に頬を擦り寄せた。まるで生物のような温もりを持つ管を、彼女は大切そうに抱き締めている。管はそんな彼女に話しかけるように、とくん、とくんと脈動を繰り返している。
手で触れている場所がくすぐったいらしく、彼女は軽く身悶えしていた。
涙の跡が見えていた彼女だったが、起きている時の様子とは違い、その寝顔は安らかだった。
彼女が再び目覚めたとき、何か体が満たされている、という違和感があったものの、自らのお臍と繋がっている管の存在にがっかりしていた。夢落ちではなかった、と。
冷静になって考え直すと、どうもこの管は自分の神経と完全に融合してしまっているらしい。とすると、力で取ることは不可能に近い。何故なら、それをもぎ取るという行為そのものが、自らの体をもぎ取る行為として脳に認識されるからだ。
やや目の前が真っ暗になったが、悩んでいてもしょうがない。そう思い直した彼女は、管がどこから続いているのかを探ることにした。他に出来そうなこともなかったからだ。
管を手繰り寄せるのは、粘液の特性上難しいので、そのまま管の方へ歩いていく事にした。不思議なことに、前を向いて歩いているのに、管が足元に降りてくることはなかった。彼女の移動に合わせて、長さを縮めているようだった。
改めて辺りの風景を見回してみると、そこが如何に異常な場所かはよく分かる。管と同じような桃色の肉が、まるで生きているようにぐにゅぐにゅと蠢いている。彼女が歩く場所は、まるで絹糸のような肌触りの良い繊維状のもので覆われていたが、何十本も何百本も重ねられているらしく、とても固かった。そのお陰で、地面に足をとられる、などといった事故はなかったのだけれど。そして生暖かい空気は、どこか糖蜜のように甘い香りを幽かに漂わせ、彼女の体に少しずつ染み込ませていった。
いくら進んでも、風景が変わる気配もなく、聞こえる音も、周りで奏でられる湿り滑った不協和音だけ。初めの方は勢い良かった彼女の足も、次第に歩みを止めはじめていた。その頃になると、漂う甘い香りが、彼女の脳を少しずつ鈍らせ始めた。
徐々に瞼が下がり、足に力が入らなくなっていく。そして――へたり込んだまま彼女は――横になって眠ってしまった。
眠った彼女の体を包み込むように、地面を構成していた絹糸がぺりぺりと捲れ上がり、背中からお腹へと姿を覆い隠していった。管の部分は枝分かれして、幾重にも彼女を包む絹糸。三分も経たないうちに、彼女の体はすっかり繭に包まれてしまっていた。管の辺りから幽かに肌の色が見える他は、彼女がいると言うことは全く分からない。
彼女と繋がった管は、繭を肉の床へと移動させ――そのまま粘液の上を滑らせていった。管の出現地、全ての根源へと導くために――。
ふわふわと暖かいものに包まれていると、彼女は感じていた。
とくん、とくんと、心臓に合わせて体の中に何かが流し込まれていく。ゆっくりと、体に染み渡らせるように、緩やかな流れが彼女を包み込んでいる。
何故か、彼女は呼吸をしていなかった。酸素すら、管から全て補給されているようだ。
時おりお腹の中で動く管の感触が、くすぐったくむず痒く……気持ち良かった。
何をしているわけでもなく、ただそこに在るだけなのに、彼女は言葉で言い表せないほどの幸福感を覚えていた。体がむずむずする感覚すら、意識と共に溶けていく……。
彼女の体の中で、管がとくん、と蠢いた。そろそろ目が覚める時間らしい。繭の中で、管から分泌されていた粘液を全身に纏う彼女は、そのまま管の入り口に手を伸ばして――。
さして力を入れなくても引き裂くことが出来た繭から出た彼女。だが――彼女の姿は、もはや高校生とは呼べない物となっていた。どちらかと言えば中学生、下手をしたら小学生にも見られかねない外見だ。明らかに、体が縮んでいる。若返っている。
彼女自身はそんな変化に気づいているのかいないのか、ぼおっとした表情で辺りの景色を見つめていた。
どうやら、いつの間にか行き止まりまで来てしまっていたらしい。何故か粘液に濡れた糸の地面が続く背中の出口以外は、全て生きた肉の壁で覆われていた。まるで子宮の奥に来てしまったかと思われるような、神聖さと畏れを併せ持つ空間は、まるで呼吸をするように大きく萎んでは拡がる動きを繰り返している。その度に空間に溜まった甘い空気が撹拌され、彼女の体を擽っていく。
そしてその部屋の最奥部に――。
その存在は、人間のようにも見えた。
だが同時に、人間では決してあり得なかった。
閉じたままの瞳、仄かに高い鼻、ふくよかな唇に毛穴一つ見えない肌。
折れてしまいそうなほど細いのに、芯はしっかりしていそうな腕、思わず支えたくなる華奢そうな肩、両の胸は谷間に顔を埋めたくなるような球形をしており、魅惑的な肩から腰へのラインにアクセントをつけるように、臍がほんのり窪んでいる。
太股はむっちりとしていて、その手の嗜好を持たなくても思わず手に触れてみたくなる代物だ。そこからすらっと伸びる脚線美。
今まで述べたいずれをとっても、女性としての美を表現した形となっていた。だが――。
女性の髪、手首から先、足首から先、脹ら脛、そしてお尻は壁の肉と同化しており、女性自身の体もその肉と同じ色をしていた。そして――少女の臍に繋がっている管は、女性の股間に華開くヴァギナの中から生えてきているものだった。
化け物ともとれる異様な姿。それを見ても少女はぼおっと見つめ続け――ゆっくりと近付いていった。
体が上手く使えないのか、非常にぎこちない動きで歩く少女。少女の目には、もう女性しか映っていなかった。
とくん、とくん。
少女に刺さっている管が、ゆっくりと脈打ち始める。何か暖かなものが体全体に染み渡っていく感覚に、少女は体を喜びにうち震わせ、頬を赤く染めた。
そのままよたよたと歩き続ける彼女。既に酔ったように足元はふらつき、二回くらい柔らかな肉の床に足をとられ転びながらも、少女はようやくその女性の前に辿り着いた。
光が薄れた瞳で女性を見上げる少女。その体はいつの間にか小学生くらいにまで若返っていた。
女性は目を瞑ったまま微笑むと、ぼうっとしたままの少女を持ち上げて、そのまま唇を合わせた。
――酷いわね……こんな事をするなんて――
――ボロボロじゃない……――
――どうして人間は……こんな事が出来るのかしらね――
少女の中に、突然声が響いた。落ち着いた、母性と静かなる怒りに満ちた、大人の女性の声。
頭の中で、何かが少しずつ甦っていく……。記憶が、戻されていく……。
少しずつ、少女はその時の風景も朧気ながら思い出してきた。
恐らくは雨。着る服もボロボロに破り捨てられ、残った布切れも皮膚にくっついている少女。それを抱き抱えていた――。
――……タ……ス……ケ……テ……――
辿々しいSOS。それは紛れも無く、少女の口から漏れてきたものだった。光の既に無い瞳で、壊れたカセットを再生するようにただ漏れる助けを求める叫び……。
――その声が、少女の記憶を取り戻させた。
――――――――――――――
少女は、ごく普通の、どこにでもいるような高校生であった。ただ――父親が性犯罪者であったこと以外は。
小学校の頃は、大して何もなかった。性犯罪、という意味を知らない子が多かった事が幸いしたのだろう。
だがそんな少女の生活も、中学校に入ると一変する。周囲の男子が囃し立て、女子は陰口を叩くようになったのだ。思い切り『犯罪者の子』『売女』だの叫ばれたこともあった。その時の担任が色々と奮闘し努力したお陰で、その騒動は表面上は収まったかに見えたが、裏では相変わらず虐めが続いていた。
そして高校時代――、事件は起こった。
入学してすぐ、同じ学校にいた男に少女の父親の事を暴露され、さらに担任は放任・事なかれ主義の典型だったことから、いじめの格好の標的にされたのだった。男子からは、『ヤラセろよ』と直接言い寄られる、メールで言われる等の行為、女子からはあらぬ噂や張り紙、集団リンチなど様々な嫌がらせを受けた。
母親に相談はできなかった。何故なら父と離婚をした後、彼女もまた職場の陰湿な虐めに耐えながら仕事をしていたのだ。少女を育てるために。そんな母に心配をかけたくない。少女の思いは、しかし少女を孤立無援の状態に追い込む行為に他ならなかった。
そしてついに――。
その日はたまたま雨の日だった。いつもの虐めに耐えながら帰り道を歩いていると、高校男子三人が待ち伏せしていた。なるべく関わらないように目も合わせず早足に通りすぎようとする少女の腕を、その男達は強引に掴むと、そのまま押し倒した。
叫ぶ彼女の声を、無情にも雨が掻き消していく。そのまま人通りの少ない通りに少女を連れ込む男達。
少女を口汚く罵りながら、男の一人がカッターナイフで少女の服を切り裂いていく。残りの男達が手足を押さえ、一人がビデオカメラでその様子を撮影していた。男達の顔が分からないよう、位置を工夫し、ズームを使いながら……。
切り裂かれた服を破り捨て、男の一人が股間のチャックを開き、逸物を取り出した。既に自らの行為に興奮しているのか、醜く勃っていた。
叫ぼうとする少女の口を塞ぐように、男は逸物を無理矢理捩じ込んだ。ろくに洗いもされていないそれは蒸せ返るような悪臭を放ち、少女は吐き気を催したが、男はそれでも少女の口から逸物を抜くことはなかった。
その男の尻をどかすように二人の男が入り込み、少女の両胸を弄ぶ。ただ野獣の赴くままに力任せに揉みしだき、少女の胸からは破れた皮膚から血が滲み出た。
少女の脳は苦しみから逃れるため――というより痛みや苦しみを快感と勘違いしたことにより膣から愛液を溢れさせる。
男達は少女をまた口汚く罵り始めた。少女は涙を流しながら否定しようとするが、口は逸物で塞がれており、噛みきるだけの力も少女は持たなかった。
ビデオを持った男は、頬を紅潮させ逸物をくわえた少女の顔を映し続ける。そしてもう一人の男が――少女の膣に容赦の欠片もなく逸物を挿し込んだ。
絶叫を挙げる彼女の顔を、男は掴んで自らの逸物に近づける。そのまま強引なフェラチオを再開させた。
酸素のろくに入らない少女の視界は眩み、抵抗の意思が根こそぎ奪われていく。愛液には血が混じっており、男はバージンを奪った事で加虐心が満たされ、さらに挿入を激しくする。
愛の欠片もない、獣達の強引な交わりに、彼女の体は、心はズタボロに壊されていった。
男達の逸物が射精のわななきを見せたとき、少女は何度目か分からない涙を見せたが、それは男達の興奮を煽るだけであった。そして――!?
びゅるびゅびゅう〜っ!
精を放たれたとき、彼女の精神は崩壊寸前まで追い込まれた。彼女の内側を、外側を、白い濁流が汚していく……。
射精時の快感で脱力していた男は、ビデオ役とその立場を変わり、他の男達と位置をローテーションしていった。そして少女の頬を思い切り叩くことで気付け薬の代わりにし、彼女に正気を取り戻させてから第2ラウンドを開始した。
悪夢の繰り返し……。男達が少女を解放したとき、少女はもう、ほとんど正気を保っていなかった。ただ洗い呼吸を放ち、虚ろな眼窩を空に向けるだけ。男達はその姿を見て罵り、自らの行いを笑いながら讃え、何処かへと去っていった。
そんな少女を助け起こしたのが、目の前にいる女性だった。彼女は心底心配そうに少女を抱き抱えると……少女の叫びを聞き入れ、精液臭くなった少女の唇と接吻を交わすと、耳元でこう囁いた。
――……私が、貴女を助けます。もう二度と、貴女にこんな思いをさせないように……――
いつの間にか涙を流していた少女を、彼女は胸の谷間に招き入れた。胸の音と共鳴するように脈打つ臍の管。雨の冷たさを、女性は自身の持つ温もりで暖めていった。壊された心を、女性は少しずつ癒しながら溶かしていった。
女性はそのまま秘部から管を一本取り出すと、その先端を少女の臍に刺した。次の瞬間には管の先端が大きく開く。一瞬痛そうにした少女の顔が、次の瞬間には緩んでいく。神経が段々と繋ぎ直されていくのだ。
女性はそのまま、自身の栄養豊かな体液を少女に流していった。暖かく甘いそれは、少女の体に入るとすぐに吸収され、全身に回っていく。同時に、精神を安らげる力が働き、少女の瞼が落ち、次の瞬間には眠りについてしまった。
夢の世界に入ったことを確認すると、女性は裸に近くなった少女の服を完全に脱がして、彼女自身の股間を――秘部を大きく、それも人が入れるほどに開き、少女の体を飲み込んでいった。人間と同じ大きさくらいの体しか持たない筈の女性だが、少女の足から胴体、両腕が体に入ったというのに、女性の体型に何の変化も起こらなかった。
そのまま……少女の全身を体内に収めた女性は、まだ降り止まぬ雨の中を、お腹を静かに撫でながら何処かへと消えていった。
――――――――――――――
記憶を取り戻した少女の口に、目の前の女性は舌を伸ばしていく。そのまま少女の口の中を舐め取っていった。まるで男達に汚された口の中を洗うように、丹念に、そして優しく。
少女の舌も、女性の舌を受け入れた。彼女の纏う甘い粘液を取り入れようと懸命に舌を伸ばして、絡み付かせていく。愛情に満ちた光景は、管が再び動くまで続けられた。
とくん……とくん……。
臍に繋がれた管が、少女の中に甘い体液を送り込んでいく。同時に少女の中から不要物を取り除いていく。少女は中に広がる暖かさと取り除かれる爽快感を感じつつ、少女は口を離して喘ぐ。
少女を迎えるように、女性の秘部が大きく、少女の体程に開いていく。喘ぐ少女は、女性の体に抱きついた。全身から発される甘く芳しい香り。それを体一杯吸い込んでいたのだ。
香りに夢中になっている少女を、女性は大きく開いた秘部の前にまで下ろした。波打つ秘部の肉壁は、内側から溢れ出さんばかりに放たれる芳香を少女へと浴びせかからんばかりに押し出していく。
その匂いにつられて少女が秘唇に触れた、その瞬間。
肉壁が一瞬で膨張すると、少女を取り囲むように包み込んだ。そのまま少女を秘部の中に一気に押し込んでいく。
数秒後、そこに在るのは壁に埋め込まれた肉で形成された女性が、お腹を大きく膨らませている姿だった。
やがてその女性すら、輪郭があやふやになっていく。肉は中心に集まって盛り上がり――巨大な球を形成した。
球体は、空間そのものを揺らすようにどくん、どくんと脈打ち始める………。
――――――――――――――
女性の秘部――肉の繭の中は、蕩けそうな程に濃厚な甘い蜜で満たされ、少女が口を開く度に、中からごぼりと空気が溢れ出ていく。だが少女は苦しそうな表情一つ見せずに、逆に安らかに瞳を瞑りながらお臍の管――臍の緒を抱き締めている。
やがてすべての空気を吐き出し終わったところで、新たな管が口から入ってきた。少女が抵抗すること無く受け入れると、その管はどんどん体の奥に入っていき――何かを吸い上げながら、出口へと向かっていった。
吸い上げられる感覚がむず痒いらしく、少女は身を揺すった。それに反応したように、体内の管は腸壁を擦り上げていき、蜜を塗りつけながら奥へ奥へと進む。そしてついに――!?
ずぽんっ、と空気中なら音を上げただろう状況。管の先端が少女の肛門から顔を出したのだ。全身を貫かれる感覚に、少女は大きく悶え、快感のあまり秘部は大量の蜜を吸い込んだ。
その流れに乗って、もう一本の管が、少女の秘部に入り込んできた。
少女は驚いたが、次の瞬間には受け入れていた。既に――彼女の体は肉の管を受け入れる体となっていたのだ。
痛みも与えず子宮に辿り着いた管は、そのまま大量の蜜を子宮に送り込んでいく。送り込まれた少女は喜悦の表情を浮かべ、大量の愛液を管に吐きかけ――果てた。
そのまま管は、彼女の体と一体化していく。同時に、様々な管が少女の体にくっついては皮膚と融合し始めていた。根を張った場所からは、とくんとくんと蜜が送り込まれ、どくんどくんと不要物が送り出されていく。
次第に少女の体の中身が――人ではないものに変わっていく。痛覚が快楽神経に成り代わる。筋肉を構成する物質が、人間にとって未知のものに変化していく。肺や血管、心臓は既に変化し、そこを流れる血流があらゆる内臓へと蜜を染み込ませ、変化させていく……。
そして次第に、変化は外見にも及んで――!
――――――――――――――
女性が訪れたのは、何の特徴もない十二畳ほどの部屋。フローリングの床に白い壁、天井に電灯があるだけの、ある意味殺伐とした部屋だ。だが――女性が戸を閉めた瞬間、部屋の様子が様変わりした。
まるで――まるで被せられていた幕が一気に破り捨てられたような豹変。フローリングの床の上は幾千の触手がのたうち回り、平坦な白い壁は凹凸激しい肉襞で覆われ脈打ち、電灯は目玉のようになり部屋全体に暗い光を投げ掛けていた。
部屋の豹変にも全く動じない女性は、その場で服を脱ぎ始めた。彼女の手に触れられた服は、そのまま粘液へと変化し、肉の壁に溶けて吸収されていく。
どくん……どくん……。
いつしか、彼女の足は地面の触手と同化していた。絡み付いた――と言うより、一体化している、という表現の方が正しい有り様だ。
ぐじゅるぐじゅると触手を盛大に擦り合わせ、ぬぷぬぷと粘液に充ち満ちた音を立てながら女性は部屋の中心部、目玉の下に移動していく。既に女性の全身は、部屋を満たす肉と同じ成分と化していた。
と――!?
女性の腕が触手に変化し、目玉を包み込むように拡散しながら伸び出した。上に伸ばされた腕は、天井に届いた瞬間にそのまま同化していく。美しい顔の概形はそのままに、顔の周囲が伸ばした腕と同化していく。足も一本の管となり、腹部が膨れていく……。
数分も経たないうちに、女性がいた場所には、一本の巨大な、中央が膨らんだ肉の柱が出来ていた。表面に幽かに浮き出た顔は、微笑みを浮かべている。
部屋の壁全ては脈動を始め、肉柱の中心部がさらにその大きさを増していく。
と、幽かにその場所が光を放ち始めた。内側を照らすように、脈動に合わせてぽぅ……ぽぅ……と、まるで蛍のように光を放ち始めたのだ。
とくぅん……とくぅん……。
柱の内側、膨れた部分の中心、そこに少女は眠っていた。お臍には相変わらず管が繋がっていたが、少女はもう嫌がる素振りは見せていなかった。それどころか、その管を大切そうに、抱き枕にするように抱き締めていた。
内側を照らす光は、少女のシルエットを刻々に映し出している。一回照らされる毎に、少女の影はその形を変えていく……。
――――――――――――――
『マザー』と呼ばれる個体がいた。
彼女は人間の、それもか弱い女性の無力な心の叫びを聞き付けると、その女性の元に現れ心を癒すと共に自らの眷族へと生まれ変わらせるという。
その目的は……至って不明である。だが、少女が眷族に変じて後、とある学校の男子生徒数名が行方不明になった。その学校が件の少女が通っていた学校であったという。
その数日後、病院に運ばれていった女性が数名いた。意識が錯乱しているらしく、行方不明の男子生徒の名前を呟いていたが、恐らくは偶然であろう。
少女の行方は、以前として知れないが、ただ一つ確かなことがある。
少女は、『マザー』と共にある、それは確かなことである。
fin.
書庫へ戻る