「うふふ……可愛いわねぇ……ア・ナ・タ♪」
「――は?何なん?」
夜宵高校からの帰り道、いつもよりやけに人通りの少ないアーケード街にて、鈴華美影は唐突に呼び止められた……。
スリットが妙に深い、所々葉っぱを模したような模様を持つ赤のチャイナドレスを身につけた、狐耳と九本の尻尾を生やし、いかにも四六時中交わっているのが好きそうな、それでいて悪戯好きそうな爛れた笑みを浮かべた女性に。
本当に唐突すぎて、美影は唖然とするしかなかった。
何せ、脈絡の欠片も無しにいきなり目の前に現れて可愛いわね、である。
何を意図しているのか、嫌な予感しかしないわけだが、警戒しようにも目の前の存在の持つ呑気さと言うか妙にのほほんとしていそうな空気というか……兎に角、大した反応が出来なかったのだ。
そんな美影をよそに、目の前のチャイナ系狐女は、少し考える仕草をすると、何かを思い付いたように無邪気そうな明るい笑顔を浮かべると――!
「――決めた♪私の妹にしてあげるわね♪」
その声と同時に、彼女の尻尾が美影の四肢に絡み付いてきた!
「な、ちょ、『冥そ――』んんっ!」
慌てて戦闘モードに入ろうとする美影だったが、それは口に突っ込まれたふかふかの尻尾によって妨害された!
そのまま服の袖口から、ふさふさの尻尾がまるで蛇のように巻き付きながら中に入り込んでくる!
くしゅくしゅくしゅ……さわさわさわ……
「んふんんんひんんっ!んふんんんんひんんふむんんっ!」
最高級の筆で、全身を同時に擽られるような刺激に、美影は力なく悶えていた。
変身できていないせいで、防御力も力も格段に落ちている現在、目の前の狐に対抗する手段など無かった。
くしゅくしゅくしゅ……こちょこちょ……
「んふふ……♪ホントに可愛いわぁ♪……あむっ♪」
四本の尻尾で美影の胸元までを擽りつつ、チャイナ狐は美影の首筋を舐め、耳朶を甘噛みする。
「ひんっ!ひむむっ!むむぅぅっ!」
既に尻尾擽りによって息も絶え絶えの美影だが、ここに来て新たな種類の刺激が与えられ、いよいよもって悶える羽目になった。
既に彼女の全身は力を無くし、目の前の妖狐によって抱きすくめられている。
「ふふふ……♪耳朶柔らかくておいしいわねぇ〜♪ますます気持ちよくさせたくなっちゃった♪」
妖狐の言葉を、美影はちゃんと聞けていたかは分からない。
何故なら、妖狐の体から漂う不思議な香りが、今も続く擽りで体力を奪われた美影の思考力を奪い、意識を朦朧とさせていたからだ。
瞳の光を失いつつある美影の表情にニンマリしつつ、妖狐はその両耳に――ずずぽっ!
「――ひむっ!!!!」
こちょこちょこちょ……さわさわさわぁ……
「――!!――!!――!!!!」
――彼女の尻尾を差し込み、そのまま耳の中を擽り始めた!
まるで脳の中をそのままかき回されているような刺激に、美影は最早笑い声を上げることすらままならなかった。
妖狐の尻尾はさらに伸び、彼女の胴体にまで巻き付かせ、そのままくしゅくしゅと擽り――!
「――!!!!!!!!!!!!」
――美影の下着をかき分けた尻尾が、そのまま彼女の両穴にその柔らかな尻尾を差し入れた!
「うふふ〜♪大丈夫よぉ♪貴女の初めて……まだ奪わないから……ね♪♪」
擽る尻尾越しに妖狐は呟くと、そのまま口の尻尾を抜き取ると同時に、自身の舌を美影の口の中に差し入れてきた!
同時に、力を無くした彼女の舌にねっとりと絡ませてくる!
「――!!――!!!!!――!!!――!!!!」
言葉も出せず悶え続ける美影。その瞳は完全に色を濁らせ、頬は紅潮し、心ここに在らずといった風情だ。
既に何回か達してしまったらしいが、体がびくびくと震えたまま止まる気配はない。
「もっと……もっと気持ちよくしてあげるのぉ……♪イッて……イッて……何回でもイかせてあげる♪そして……ふわふわのふあふあになってぇ……ぎゅっ、って抱き締めてあげるわぁ♪」
全身を外側内側問わず擽られ、酸欠でふわふわしている美影から舌を離しつつ、まるでマシュマロのように優しい声で話しかける妖狐。
その言葉を違えることなく、さらに美影の服の中に尻尾を送り込むと、そのまま肌の上でくしゅくしゅと這い回り、首から下の全身を全て包み込んでしまった。
挿入されている二本も、その毛の先端を膣肉や腸壁にすり付けるように挿入と離脱を繰り返し、限界まで美影の性感を刺激している。
彼女の愛液と腸液で濡れているはずの尻尾は、しかし未だふさふさとした感触を失わずに、彼女の体を内側から侵していった……。
「あ……あぁ……ぁああっ!……ぁぁ……」
まるで電気ショックを断続的に受けているかのように、びくん、びくんと体を震わせている美影。
最早彼女の理性は完全にメルトダウンし、彼女の頭の中には妖狐の与える快楽しか存在しないようだった。絶頂する度に、美影から精気を頂いていく妖狐。
このまま絶頂を続ければ、彼女は人としての形すら保てなくなってしまう……が、当然妖狐はそれを理解していた。
「うふふ……可愛い可愛い子狐ちゃん……んむん……♪」
一本残った尻尾で自分と美影を覆い隠しつつ、妖狐は美影の唇に自らの唇を合わせ、吸精とは逆の要領で自らの魔力を大量に送り込んでいく……。
光を失った美影の瞳が、徐々に色を変えていく。それに合わせて、彼女の髪の一房が、妖狐のそれに色を変えていく。
内側に入り込んだ尻尾が、美影のズボンを幽かに下ろす。妖狐の尻尾が隙間を空けた、尾てい骨から――しゅるるるるるるるるん♪
「――!!!!!!!!!!」
――黄金色の尻尾が生えてきた!それも……九本、一気に。
「あらあらぁ……♪この子、魔物の魔力を受け入れやすかったのねぇ♪ふふふ……まるでランちゃんみたい♪」
思わぬ収穫に頬を綻ばせつつ、妖狐――ハンス=エイシアンは、未だ絶頂の最中で意識を天に浮かばせている美影と再び深い接吻を交わしつつ、街角から姿を消していった……。
―――――――――――――
「――って来歴で連れてきたの♪」
「はにゃーん♪」
「勝手に異世界から誘拐してこないで下さいよおねぇさま!しかも念入りに人払いまで使って!」
「えー?」
「えーじゃないですよ!私がニカに同じ事されたら敵発見即昇天(サーチ&デストロイ)ですよ!?」
「だぁってぇ〜、ランちゃんこの子みたいに四六時中甘えてくれないんだも〜ん」
「はぅ〜♪ウチ、おねぇさまに甘えられて幸せやわぁ〜♪」
「動機はそれですか!?勘弁して下さいよ!私がいなかったら誰がこの宿の番台をやるんですか!?ケイさんから『度々呼ぶのは勘弁して』って手紙が来てるんですよ!」
「うふふ……そしたら二人とも甘えさせてあげるわよ♪そうカリカリしててもだぁめ♪」
「……もうやだこのおねぇさま。誰か真剣に止めて下さいお願いします」
しゅるん♪
「……え?いやあのまだ業務とか色々残って」
「れっつ3Pうぃずナインテール×スリー♪」
「ランちゃん、ウチと良いこと、しよ♪」
「――いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
――終われ ――
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