日の高い、朝から昼へとバトンタッチをする時間帯。
「……はぁっ……はぁっ……」
一人の男が、死神に追われているかのような必死な形相で、懸命に足を動かし走っていた。覆う箇所の少ないぼろ切れのような服を身に付けていることは兎も角、その様子は宛ら『不思議の国のアリス』の時計兎に例えられそうではあったが、目指すべき城は彼の背中にある。いや――彼は城から逃れようとしていた。
『闇夜の城』――大概が恐怖と共に語られるこの城は、人を糧とする恐ろしいまものが多数住んでおり、一度でも足を踏み入れて、帰ってきたものは僅か。その僅かすら、城に心を奪われての帰還であったという。
男はそこに連れ去られてきた身だった。だが、当時少々頭が晴れであった見張り役を何とかだまくらかし、牢から抜け出した。そのまま魔物の目が光らないうちに、早々にこの城から出てしまおうと、お手洗いの窓からこっそり脱出し、城門を目指して走っていた。
――しかし、
「……はぁっ……ぜぇっ……はぁっ……」
いくら走れども、城門の気配すらない。ただひたすらに広い、中庭があるだけだった。所々に見える巨大な薔薇、うねった木の枝はどうやら外の森にも繋がっているらしい。整然とされているのは、それだけ大量の庭師を抱え込んでいるのか――!
「……っはぁっ……はぁっ……」
城から走り続けてきた彼だが、ここに来て体力の限界を感じてへたり込んだ。広すぎる。走り続けるのも限界だ。だが監視を呼ばれても厄介。一体どうすれば良いだろうか……?
一瞬の迷いと思考。だがそれは、彼の判断力と直感を鈍らせるのに十分であった。
シュルル……バシィッ!
「っ!?」
突如、周囲に複雑に絡み合っていた蔦の一つが、風を切り裂くような速度で男に絡み付いてきた!肉体的な疲労もあってか生じた隙は、男が現状に対応する時間を根刮ぎ奪い取っていた。あれよあれよと言う間に、男は抵抗不可能なほどに全身を絡み付かれてしまう。
「ぎっ!ぐ、ぐああぁあっ!」
蔦の一部には棘がついており、これが男の皮膚を傷つけ、服を裂いていった。体がぐい、と持ち上げられるにつれ、男の体にその棘は深く突き刺さっていく……。
だが、さして流血はない。この蔦は、まるで意思を持っているかのように人体の急所を避け、棘の楔を打ち込んでいたのだ。
クスクス……
「ぎぃ……がぁ……ぁぐぁあ……ぐっ!?」
徐々に中庭に咲き誇る巨大な薔薇――まだ蕾だ――の目の前にまで釣り上げられた男。その血を思わせるような深い赤の花弁が、彼の視界の中で綻んでいく。先程から彼の耳に届いていた微かな笑い声が、少しずつそのボリュームを増していく……。
と、その中心から、まるで太陽の色素をそのまま借りてきたような、橙色の物体が、徐々にせり出してきた。橙は一度途切れ、紫外線とは無縁そうな綺麗な薄肌色が現れる。先の橙は髪の毛で、後の薄肌色は、文字通り皮膚であった。
やや垂れた細い眉に、色素の薄い睫毛。瞳は朝に広がる青空のような深い蒼色で、見つめていたら吸い込まれてしまいそうだ。エルフにも似た横に長い尖り耳を脳内で人の耳に変換すれば、小振りな唇も含めて美形であると男にも思えただろう。いや、エルフ耳ゆえの人外の美というものもあるが、それを感じる余裕は男にはなかった、と言い替えた方が適当か。
花の中からせり出してくる体は、華奢な体つきに、未発達な胸。固く閉じられた筋と、まだ花を開く前の蕾を想起させるものだが、その実、これが彼女の成体なのである。過渡期然とした、未完成な完成された体――丁度中学生ほどの大きさを誇るそれが、彼女の体である。
――ただし太股から下は、花より飛び出した無数の蔦が絡み、侵食しており、彼女が魔の者であることを明確に示している。
「クスクスクス……逃げ出しちゃダメだよ〜、お兄さん♪」
己の本性を隠す気も無いかのように、彼女は妖艶な笑みを浮かべた。体に似合わない筈のそれは、アンバランスなギャップを生み出し、自身の美しさもあって目にする者をときめかせる……本来なら。
だが蔦の棘の痛みに耐える彼に感情的な余裕はない。あるのは目の前の魔物に対する恐怖だけだ。
魔物――アルラウネは、傷だらけの全裸で目の前に居る男を眺めつつ、拘束する蔦の数を減らす。そして目の前に引き寄せていく。その目は、これから行うであろう所業への渇望に輝いていた。純粋に――残酷な光を伴って。
「くっ……離せ……ぐぁぁあああああああっ!」
「もうっ、口が悪いなぁお兄さん♪離せ、じゃないでしょ〜。……人に頼むときは、丁寧な言葉でって言われなかったの〜?」
絡み付けた蔦に、再び棘を生やすアルラウネ。貫かれた部位から、徐々に血が滲んでいくかと思うと、蔦の中に染み込んで消えていった。
血の味に内心恍惚とするアルラウネだが、それを顔に出すことなく、男に語りかけた。そこに何の慈悲も織り混ぜることなく。
「クスクス……それにね、牢屋の中に居る人をわざわざ逃がす監守は居ないんだよ♪だから、そのお願いはどっちにしても無理なんだ〜♪クスクス……だからね……♪」
アルラウネの笑みが、明らかに深くなる。先程までの無邪気な笑みから、一切の純粋さを消したような、熟女顔負けの淫蕩な、期待に満ち溢れた笑みに――。
その笑みの正体を、男は直ぐ様――自らの身を持って知ることになった。
ずぽぼおぉぉっ!
「……っ!!!!!!」
突如男の体に走る衝撃。何の脈絡も予備動作もなく、だが確かな感触をもって男の体を貫く。その物体や部位を脳が認識するより前に、それは直ぐ様男の発声器官と結び付いていた!
「ひぎぃあああああああああああああああああああああっ!がぁあぁあっ!ぐあぁああああああっ!」
「もう、大袈裟だなぁ♪ただお兄さんのアソコの穴を貫いてあげただけじゃない♪しかも蔦は丹念に蜜で濡らしてあげたんだから、そこまで痛くはない筈だよ〜♪」
彼女は軽々しく言うが、普段排出する動きしか行っていない器官に、物を受け入れる機能などついている筈もない。ましてや、いくら蔦が濡れているとは言っても、挿入口たる肛門が濡れているわけではなかった。結果――急激な拡張を受けた肛門からは、裂傷による血液の流出が発生していたのだ。
「ぎぁっ!がぁあぁっ!ぐ、ぐぉあっ!ぎぃいっ!」
彼の苦悶の声を無視するように、アルラウネは自身の蔦を用いて、肛門に対するピストン運動を続けていた。ぐぶぢゅ、くぷぢゅ、という水音と共にぬちゃ、にぢゃという粘着音がするのは、蜜に含まれる粘性が作用したからだろうか。
「あぁ……んんっ♪お兄さんのお尻……締め付けて……んはぁっ♪」
恍惚に悶えるアルラウネ。恐らく刺激に反応して硬くなった彼の括約筋が蔦をくわえ込んでしまったのだろう。だがそれは、例えて言うならば玉袋を優しく握られてているのと同程度の快楽をアルラウネにもたらしていたのだ。
興奮のあまり前後に動かす蔦の表面は浅間山の鬼押出の如く複雑に隆起し、肛門から直腸にかけて与えられる触覚的刺激を不均一に与えていた!予測しても避けられないものが、予測不可能であるが故にさらに敏感になった体内器官を擦り立てていった!
既に感覚が鋭敏となっていた男は、その刺激を真っ当に受けてしまう!
「ひぎっ!いぅっ!いぁあぁああああっ!」
貫かれている男の声が、徐々に艶を帯び始めている。度重なる肛門から直腸にかけての刺激に、緩衝剤として腸液を分泌し始めたようだ。幽かに血に濡れていたはずの蔦は、その血を上回る量の腸液によって既に洗い流され、潤滑性を増したままさらに奥へ奥へと進んでいく。
同時に、刺激の回った彼の逸物が、徐々に固さを取り戻し、本来の姿を取り戻そうとしていた。時に聖剣とも揶揄されるそれだが、拘束が解けない状況下では、ただの供物に過ぎない。
「クスクス……♪感じてきたんだねぇ……♪今、お兄さんの中を私が進んでるんだよ……♪キュッキュって締めてくる括約筋、ピクピク震える菊門の動き、全部私に伝わってくるんだぁ……っ♪」
アルラウネの猫撫で声。だが男に伝わっているかは分からない。体内を巨大な寄生虫の如く蹂躙していく蔦は、神経過敏な、本来弄られる筈もない臓腑に直に擦り寄り、複雑に隆起した瘤でゴリゴリと削りとっていく。
また、蔦を体内から抜く瞬間、まるで大量の排泄物が放出されたかのような快楽を伴い、吐き出される吐息は、まるでカルーアミルクのように甘い。
男の肉穴に抽送を繰り返す蔦。甘い声を荒げる男の持つ、もう一つの肉穴が開く物体は愈々もってその太さを増し、皮を破いたら張り裂けてしまうのではないかと思えるほどに怒張し、ひく、ひくくと幽かに戦慄いている。
「ふふふ……♪あははははっ♪」
雄々しいオトコダケ、それを目にした彼女は、そのまま花から体を出しつつ、自身の指を二本、股間に添えた。数分前まで筋だったその部位は、彼女の手に合わせて
くちゃ……と静かに音を立て、無垢な筋がその正体を現すように指の動きに合わせて門を開いていく。みっちりと瑞々しい肉に満たされた中身、何か呟きたいかのように開いた唇は、内より溢れ出る欲望の蜜を隠す気配を見せない。
彼女の内に秘めた淫欲は蜜だけに留まらず、強烈な媚香となって放たれる。男の視界が唐突に歪むほど強烈な、彼女の体である薔薇の花弁を、全て煮詰め濃縮したような香りに、男は一瞬顔を強くしかめるが、直ぐに目を見開く羽目になった。
絶叫と共に、男の逸物が人体の限界を超えるかと思われるほどに一気に膨張していった。堪えきれなかった先走りが鈴口から溢れ、ぬらぬらした光沢が棹を覆っていくのを太陽が照らしていく。
既に射精の準備は出来ているのか、逸物の微振動は徐々にその規模を大きくしていく。その光景にアルラウネは舌なめずりをし、さらに自らの秘所を拡張した。
「じゃあ……いただきます♪」
止める者などここには存在しない。止めることなど出来る筈もない。
「ひぃが……や、や……ゃめ……」
男の言葉にならない懇願を聞き入れる義理は、アルラウネにはなかった。
「クスクス……せーの♪」
肉襞は幾万の蛇がのたうつように蠢き、受け入れる準備を整える。流れ落ちる蜜も、愈々激しくなってきていた。蠢いていた蔦も一瞬動きを止め――!
ぐぢゅう゛う゛う゛う゛うっ!ずぼぐり゛ゅう゛う゛う゛う゛う゛っ!
「――!!!!!!!!!!!!!!」
――その瞬間、男の視界は全て白い光に包まれていた。人間の情報処理能力を遥かに超えた量の荒れ狂う情報が彼に一気に叩きつけられ、色彩神経が一瞬狂ったのだ。
アルラウネにより放たれた媚香は、全身の内外問わずあらゆる触覚神経を過敏にする効用があった。その際逸物が膨張するのは、皮膚を薄めることで神経との距離を減らすかららしい。
膨張し神経過敏となった逸物を、アルラウネの膣が丁寧に包み込む。蚯蚓千匹が人間の名器とするならば、それはその基準を遥か越えていた。例えるならば、蚯蚓億匹。
絡み付かれていない場所など無いほどに密集し、触れられていない場所など無いほどに密着し、そして厳重に――しかしどこか柔和に淫靡な愛撫を繰り返している。
亀頭に張り付き鈴口の穴をぷつぷつと擦り、カリに巻き付いて舐め擽り、皮の裏側まで巻き付き皮まで拡張させ、棹を緩急つけてぐにぐにと揉み解していく。
と同時に、引き抜かれてしまうのではないのかというほどの強烈な吸引が、彼の逸物全体を力強く擦った!奥へ、奥へと招く膣の襞の動きと同調するように、体ごと彼女の生命の根元に引き摺られていく――!
「うはぁがぐぁぃっ、ふぃ、ふがぅあああっ!」
だが、彼の逸物は精を発することはない。いや、発射するそれが塞き止められている。鈴口を塞ぐ肉の蔦と、根元を縛る蔦のせいだ。
「あはぁっ♪もっと……もっと溜めて……♪」
ぱつんっ、ぱつんっ。肉同士がぶつかり合うその音は、アルラウネが主体となって奏でられている。打ち付けると同時に彼女は膣を締め付け、彼の逸物を熟れた果実の抱擁に直面させ、引き抜くまで三百六十度全体をきつく締め上げ、彼女の体で逸物を満たしていく……!
その刺激を真似するかのように、彼の尻は彼女の蔦に同様の動きで刺激を与えていた。幽かにピクピクと震わせいるやや太めの蔦を、まるで逃したくもないかのように必死で締め付け、表面上の凹凸の感触を味わっていた。快感で麻痺した脳が、より多くの快感を取り込むよう命令を出しているらしい。
「んはんっ♪あんっ♪んぁああんっ♪」
嬌声をあげながらピストンを速めるアルラウネとは対照的に、男は動けず叫び声が出ない、いや、最早出せない。出す余裕がなかった。声帯の機能すら惜しむほど、彼の脳は全て快楽のために使われていた。逸物の肥大化と、脳の快楽処理。ギチギチに根元を締め付けた蔦は、だがしかし、その拘束が徐々に緩み始めていた。
それを神経で感じ取ったアルラウネは、しかしそのままにしたまま、肉蛇と蛞蝓の舞踏会のテンポを上げていた。そして――!
「――あはぁぁぁんっ♪出してぇっ♪私の中にいっぱい出してぇぇぇっ♪」
――叫び声と共に、腰を打ち付け、そのまま離れないように互いの体を縛った。同時に……男の尻に差し込んだ蔦を、一気に奥へと突き刺した!
「――っっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
どっ……ぶしゅるどぷゅどびゃるぶしゅぶじゅびゅるるるるるるるるぅぅぅぅぅぅ!
「んはぁぁぁぁぁぁぁっ♪くるぅっ♪くるのぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉんっ♪せーしぃ♪せーしきちゃうのぉぉぉぉぉぉっ♪」
「くがぅぐぅぐああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
まるで獣のように理性の欠片もない雄叫びを挙げながら、男はアルラウネに己の生命の糧を与えていた。暴れ狂う筈の下半身は、彼女の蔦によって体の方へと方向を定められ、本能的に己を叩きつけていた。
暴走した逸物から放たれた白濁液は、魔物の持つ妖花の内に秘めたる花弁によって吸いとられ、吸収されて子房へと蓄えられていく。次第に腹が膨らんでいく辺り、相当量流し込まれているらしい。
一滴も逃すまいと締め付ける膣の感触に、反り立った逸物が歓喜の悲鳴をあげながら糧を捧げていく。男は既に白目を剥いており、意識を失いかけているようだ。
「んはぁぁぁぁぁ……♪」
どぷっ……とくっ……つぷん……
徐々に勢いを弱めていく射精。やがて一時の終わりを迎え……尻の蔦を抜く瞬間の残滓の放出を受け止めると、アルラウネはゆっくりと、己を貫いた逸物を抜いていった。
「んふぅ……んんっ……♪……おいし♪」
陰唇に付いていた精液を舐め取って、精についての感想を嬉々として漏らすアルラウネ。目の前で痙攣する男を眺めながら、この先どうするか考えていると……。
「――あら、新たな脱走者さん?」
彼女の後ろから、女性の声が響く。寝起き染みた気だるさを含みながらも、何処と無く心惹かれる色気がある声。反応して振り向いた彼女の前に居たのは――彼女とほぼ瓜二つの姿をした女性……アルラウネであった。
「うん、そーだよ♪もう一回搾っちゃった♪えへへ……♪」
照れ笑いを浮かべる彼女の頭をこづくアルラウネ。
「全く……仕方がない娘ねぇ……皆に知らせるように言われてなかった?」
「いたた……ごめんごめん。でも……傷だらけになってもがく人間を見ると、ムラムラしてきちゃって……つい♪」
男は息を吹き返しかけていた。それが男にとって幸運かどうかは分からない。目の前で繰り広げられる異次元の会話。それを耳にして果たして正気でいられるだろうか。
そして――先程散々いたぶられた
相手が二人に増えたのだ。いや、ひょっとしてと思い、辺りを見回し――己の判断を後悔した。
「うふふ……あの娘ったら♪」
「随分手が早いじゃない……クスクス♪」
「ねぇ♪もう襲っちゃおうよ♪私もう我慢できないよ〜♪」
「良いわねぇ……ふふふふふっ♪」
中庭の巨大な薔薇、その一輪一輪から、ほぼ同じ姿をしたアルラウネ達が、獲物を見るような視線で彼を眺めている。爼の鯉と言うのも生温い。注文の多い料理店で、犬が来なかった場合の猟師二人の末路。既に皿の上に盛られ、食われかけの状態である。生殺与奪など、言うまでもなかった。
「ほらぁ、みんな起きちゃったじゃない。もうやることも決まったわね」
「あはは……♪」
人間と魔物の日常の違い。彼が苦しむこの非日常は、彼女達の日常であると改めて思い知らされた男。その瞳からは、一筋の涙が流れ落ちる。
その行為を咎めるように、アルラウネ達は彼を囲み、四肢を拘束していった。蔦の代わりに、体で絡み付いていって……。
「あらあら……涙なんて勿体無いわぁ……」
「そうそう♪同じ液体でも、出すならやっぱりザーメンだよね〜♪」
「溜まっているんでしょう?こぉ……んなに硬くなってるんだもの」
「あの子に出されたんでしょ?なのにこんなに硬いなんて……変態さんだね、お兄さん♪」
口々に何やら呟きながら、しかし体を離す気配はない。まるで土を覆う根のごとく這い、体を擦り付けている。既に先程の交わりで性感帯の範囲が全身に及ぶ男にとって、その動きは綿毛で擽られるが如きこそばゆさを感じてしまうのだった。
「うぁぁ……ひぅ!ひぁぁ……うっ!」
耐えることすら許されない、どうしても出てしまう声は既に痛覚の欠片すら見出だせず、ただ女性のような弱々しい、吐息にも似た声を漏らすだけ……。
再び彼の逸物がびくん、びくんと脈打っていく。溢れるのはカウパー液のみだが、精が溜まるのも時間の問題だろう。それをにんまりと眺めながら、最初に彼の精を搾り取ったアルラウネは心底楽しそうに――!
「――皆ぁ、ヤっちゃお♪」
――高らかに宣言したのだった。
その声を合図に、回りに屯していたアルラウネ達が、一気に男に覆い被さっていった!
「せいえきわたしの〜♪」
「あっ、ずる〜い!私がさきだよ〜!」
我先にと聳えるマラを自らの鞘に納めようと動く。その際に体を右へ左へ大岡裁きを超える勢いで体を引くのだが、彼女達のキメ細やかな肌による力強い愛撫が、彼の快楽神経を尽く刺激しており、さらにカウパーを放出していく。
「ひぁぁ、いぁう、ふぃあんぐむっっ!」
「あらあら……女の子みたいに喘いじゃって……♪オンナノコをあげるから黙ってなさいね♪」
艶やかな喘ぎ声ごと塞ぐように、一人のアルラウネが自らの秘唇を彼の唇に強制的にくっ付けた。既に綻んだ花弁からは、とくとくと彼女の脈に合わせて花蜜が湧き出、彼の口の中に差し入れられていく……。
吐き出そうにもその倍の量の愛液を流し込んでくる彼女の秘所は、同時に濃厚な媚香を放ち、彼の鼻孔や皮膚から直接浸透させていく。見開いた彼の瞼の力が、徐々に抜けていった。
観念したようにごくん、と喉を動かし、蜜を体内に取り込んでいく男。蜂蜜よりも甘いその蜜は、体に入るとすぐに吸収され、血管を通じて体を巡っていく……。
「あらあら……ふふふ♪そんなに飲んじゃって……♪本来は飲むものじゃないんですけどね♪」
彼女達の蜜は飲めるような甘味はしているが、本来は他の淫魔がアロマや香水、媚薬入りローションとして扱うものである。それだけ媚薬的効果が高いものを、大量に飲み続けて、彼が無事な筈はなかった。
「んぶぶぶぶっ!んむんぶんんんっ!」
声にならない叫び声をあげながら、全身をガクガクと震わせる男。神経を鷲掴みにされたような刺激が突如として発生し、同時に体の内側から焼かれそうなほど激しい熱に襲われたのだ!例えるなら発情。脳の機能がメルトダウンしてしまいそうなこの状況に、彼はなにもすることが出来ないまま、ただ暴れ狂っていた。
その彼の動きをさらに刺激する切欠が、彼の背後にいたアルラウネによってもたらされようとしていた。
「ふぁ……はぅ……ぅあぅ……」
このアルラウネ、辺りに満ち充ちた媚香に自ら当たってしまったらしい。既に息は荒く、片手で胸を、もう片方の手で自らの秘所を必死で弄くっていた。既に彼女の股間は大洪水を起こし、彼女の花弁は、自らが産み出す愛蜜によってすっかり濡れてしまっていた。
今の彼女は、繁殖期並みの知能と判断力しかない。その彼女が、花弁より飛び出した彼の『穴』を目にした瞬間――!
「はぅぁ……うぁああ……ふぁああああああっ!」
――ずりゅずりゅずりゅ……ずぷっ!
彼女の股間、陰唇の上の部分から、愛蜜にまみれて突き出してくるものがあった。それは少なくとも、女性に存在する物体としては無縁のもの――男性器である。ただし、一般男性のそれよりもやや太く、長さもそれなりにある。何より違う点として、そのオスタケには元来付き物である陰嚢の存在が見当たらなかった。
既に我慢は限界なのか、熱に浮かされたようにふらふらと、男に近付いていくアルラウネ。その剛直の先端からは、既に蜜混じりの先走り液が漏れ始めていた。
内股気味に近付きながら、両手でその立派な逸物を扱き立てているアルラウネ。男を射程距離に納めた瞬間……一気に近付き、菊門から貫いた!
「!!!!!!っ――〜っ!!!!っ!!!!!!!!」
彼の時が、一瞬止まる。先の相手に貫かれた場所を、再び制圧される感覚。しかも先程の無機質な感覚とは違い、明らかにそこには生物らしい『熱』と『脈動』を保持していた。
「ふぁあっ!ふぁっ!ふぁあああっ!」
我を忘れたように、彼の尻に向けて腰を執拗に打ち付けるアルラウネ。先程の侵入でこなれた尻に、先走り液が潤滑剤の役割を果たし難なく差し込まれた彼女の逸物は、括約筋を左右に広げ、前立腺までもを一気に圧迫した。
ぐぢゅっ、ぬぢゅっ、ぐぽんっ、ぬぼんっ、粘っこい音を立てながら、荒々しく出し入れされる肌色の蔦の先端は、既にくぱくぱと口を開いている。既に発射する準備は出来ているようだ。後は彼女が絶頂を迎えるだけ。
一方、幾度と無く力強く打ち込まれた精神障壁を砕く楔に、彼は体の奥底から震えることしか出来なかった。四肢を捕らえたアルラウネ達は、そのまま四肢を自らの秘部に沿わせ、少しずつ愛蜜を塗り広げていく。皮膚の外も内も、蜜まみれになろうとしていた。
先程の再挿入の衝撃で、口に接していたアルラウネの秘部に深く口付けしてしまう。顔の圧力でさらに左右に開けた彼女の秘部は、蓄えられた蜜を惜し気もなく彼の顔にまぶしていた。
そして――股間の方でもようやく、大岡裁きが終了したらしい。無数の手の感覚は消えた代わりに、逸物へと、トロリとした液体が浴びせられていく……蜜だ。蜜がぺニスにかけられているのだ。まるで口を開けた怪物が涎を垂らしているかのように……。
最早彼の全ては愛蜜によって染め上げられようとしていた。いや、ある意味その解釈は間違っていた。彼の視界がもし明瞭ならば……辺りの風景は違って見えただろう。
「んあはぁああああああっ♪」
「いっちゃうっ♪いっちゃうのぉっ♪!」
「おち〇ぽぉっ♪お〇んぽ〇ちんぽおちん〇ぉっ♪」
「いいのぉっ♪おちん〇みるくいいのぉぉっ♪」
「いぁぁっ♪またでちゃうっ♪またこくまろみるくでちゃうのぉんっ♪んぁっ♪んあぉぉぉぉぉっ♪」
饗宴に入れないアルラウネ達が、中庭に拡散する媚香に当てられて発情し、自らの反り立つ肉棒を必死で慰め、花粉精液を飛ばしていた。人体には幻覚作用のあるそれは、一部は空気と混ざり、一部はそのまま別の発情したアルラウネに白い雨となって降り注いでいた。
外から見れば、中庭だけ異様に濃い白い霧が発生しているようにも見えたであろう。だが、顔面を女の柔肌で制圧され、絶え間ない快楽の中で聴力が意味を為さなくなった彼にその様子が分かる筈もない。
白濁と黄金に彩られた饗宴の第一幕。その始まりを告げたのがアルラウネなら、終わりを告げるのもまたアルラウネだった。
「んかっ!んくぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
獣のように尻穴を犯していたアルラウネは、締め付ける括約筋にとうとう逸物が捕らえられた。
「んぁっ♪そう、そうよっ♪もっと♪もっと奥を震わせて――」
顔面に被さるアルラウネは、男の半無意識下の行為に体をくねらせ、男にさらに快感をねだっていた。
「クスクス……じゃあ、頂きまぁすっ♪」
彼の逸物を愛蜜に染めていたアルラウネは、頃合いが来たことを脈打つ逸物に感じ取り、そのまま自らの腰を一気に降ろしていった。
他の者も、様々な動きをしていた。白濁の霧の中で行われる。標的は全て、男。目的は――精の放出。
――その瞬間、男の回りの動きは、完全に同調していた。
「――ふぁああああああああああああああああっ!」
「もっと、もっとふるわせんああああああああっ!」
びりゅぶびゅぶぶしゃあああああああああああああびゅるるるるるるるるるるるるどくっぴぶじゅううううぷしゃああああああああっ!
「――!!!!!!!!!!!!!!」
「んああああああああああああぁあああああああああああっ!せぇしっ♪せぇしきたぁぁぁいああああああっ♪」
尻穴を犯すアルラウネの逸物から、大量の花粉ザーメンが男へと叩き込まれるのと同時に、男の敏感になった逸物は別のアルラウネの柔肉に包み込まれ、同時に吸い上げられた!
既に限界を越えた所への快感のだめ押し。蓄えられた精液の全てが、己の剛直の先端へと押し出され、魔宮へと吸い込まれていく。通常の射精と比べる事がおかしいほどに大量の、白濁した濃厚な液体が狭い入り口から一挙に放たれる!
発される声によって顔面騎乗をしていたアルラウネの秘部を震わせて、絶頂状態に追い込む男。絶頂と共に彼女の秘所からは滝のような蜜が流れ、彼の体を覆い隠していく。
精を吸い取る膣は、まるで蛞蝓の如くグニュグニュと蠢き、逸物に絡み付いていく。放出された精を全て食らい尽くすかのよう。
「〜〜〜〜っ♪……っはぁ……っはぁ……♪」
男に跨がりながら、幾度と無く絶頂を迎えるアルラウネ。だが、その間にも男を加えたまま話す気配はない。腹の皮膚一枚隔てた中では、流れ込んできた精液がどぷんとぷんと音を立てているが、それに動じる様子もなく、また一毛の隙間もなくくわえ込まれた陰唇から精液が漏れ出すことも、全く無かった。
やがて……男の体の痙攣がようやく止まる頃、精液の放出が止まったのか、逸物を受け入れたアルラウネが、未だ小さくならない砲台を解放した。
ぬぷり……と音を立てて、自身の精液にまみれたそれが顕現したのは、ほんの一瞬のこと。次の瞬間には別のアルラウネがくわえ込んでいた。
男の体内に精を送り込んでいたアルラウネの逸物は、既に萎えきっていた。思わず全て放出してしまったらしい。抜いた瞬間、ぐぷぼっ、と汚い音を立てて吸収しきれなかった精液が、尻から外へと溢れていく。
それすら勿体無いと言わんばかりに、間髪を置かずに他のアルラウネがその剛直を彼の中に差し入れた。
そしてまた彼は絶頂を迎え、有り得ない量の精を放ち、アルラウネは蜜を与え、次々に相手を変えていく。
途切れなど知らない、ウロボロスの輪のように続くルーチンが、ここに成立してしまっていた……。
そして……饗宴、いや狂宴も終わりに近付いた頃……。
「クスクス……♪」
最初に男を捕らえたアルラウネが、既に自失した男を愛しそうな目で眺めていた。尤もその愛は、被食者に抱くような愛情だろうが。
彼を花弁の内側へ横たえ、騎乗位の姿勢で男の逸物を内に招くアルラウネ。既に精を打ち尽くし萎びた逸物が、何の抵抗もなく陰唇に受け入れられたとき――!
「じゃあ最後に……いただきまーす♪」
彼女の薔薇が、その花弁を大きく拡げた!同時に、彼をその中に沈めていく!華奢な細腕が彼を抱き締め、花の中へと引きずり込んでいく……。
「……ぁ……」
既に精も尽きた男は、アルラウネに為すがままにされ、大きく口を開いた彼女の花――の、その奥へと沈み込んでいく。半分萎えた陰茎は、まだ彼女の中にくわえ込まれていた。
花の奥、アルラウネが招かない限り入れないその場所には、無数の触手状の蔦がのたうち、分泌される液体が鈍い色に輝いている。のたうつ蔦は、くちゅ、ぐちゅ、と粘っこい音を立てながら擦れ合い、まるで男を待ち焦がれているかのように蠢いていた。
「クスクス……ここまで来たら、もう逃げられないよね。それとも、もう逃げたくなくなっちゃったかな?あははっ……どっちにしても遅いけどね♪」
まるで鳥に囁くように、どこまでも無邪気にアルラウネは、もう意識の殆ど無い彼に……残酷な一言を告げた。
「だって、この場所に来たら、私に溶かされちゃうんだもん♪」
その声が男の耳に届いたかどうかは定かではない。だがその意味を、男は直ぐ様体で感じ取ることになった!
ドドドドドドスッ!
「――!!!!!!!!!!!!!!」
空間を埋め尽くす無数の蔦……その尖端が、まるで土を掘り進むように彼の背中を一挙に貫いた!既に嗄れつつあった男は、叫び声すら出せずただ体を痙攣させる事しか出来ない!死ぬほどの痛みを快楽と誤認した脳が、枯れ果てた逸物に精を放つよう命じるが、出すものもない彼の逸物は、引きちぎれそうな程激しい空打ちを繰り返す事しか出来ない!
「あはは……ほらほら、どんどん私の蔦が貴方の体に根を張っていくよ♪」
貫かれた背中、その周辺の皮膚が明らかに節くれだって盛り上がっていく。地に顕れた大木の根の如く、男の脂肪や筋肉、骨格、神経等に絡み付き、同化していく。神経を直に弄られる強烈な刺激に、狂ったような空打ちと、奥底に溜まっていた幽かな精液を放つ。
声も出せず……いや、出ず、電気ショックを受け続けているかのように痙攣を続ける男。瞳は白目を剥き、だらしなく開いた口からは干からびた舌が飛び出している。既に彼の精神は、肉体よりも先に崩壊を迎えていたのだ。今はただ刺激に対して、脳が信号を送っているに過ぎない。
「……クスクス……」
それを理解したアルラウネは、いよいよ最後の段階に移った。逸物から体を離し、先端がすぼまったつたを蔦を広げ、くわえ込ませる。蔦の根元が、一気にごぽりと拡張される。それは徐々に男の肉体へと近付いていき……!
「じゃ、溶かしちゃえ♪」
――ぐぽりゅぐぽぽぼぽぼぼっ!
体に差し込まれた蔦から、血管へと一挙に流し込まれた!流し込まれた液体は、彼の血液を押し出しつつ血管全体を制圧していく……。同時に、
――ぐりゅじゅじゅじゅじゅるぅぅぅっ!
蔦がもう一つ、先端から何かを吸い出すようにごぼりと膨らんだ。そのまま根元の方へと膨らみは押し出されていく……。
「あははぁ……貴方の血、とっても美味しかったよ〜♪」
今流し込まれた血の味を反芻しつつ、アルラウネは目の前の男に呟く。次第に肌の色が変わりゆく男。血液が全て入れ替わったようだ。彼女の――消化液と。
じわりじわりと、体の内側から溶け崩れていく。神経から……タンパク質の結合を……骨すら、じわりじわりと溶かしていく。
外見からもそれが感じられるようになった頃――。
――ぐにゅり、ぐにゅる。
「……んんっ……んぁふ……おいしい、おいしいよぉ……♪」
半分液状化した体を、皮膚の袋から蔦の方へと絞り出すように、彼の体に再び蔦が多重に絡み付き、搾り上げていく……。既に骨も間接も筋肉も無い彼の体は、蔦の動きに合わせて変幻自在にその形を変えていく……。
蔦の棺桶と化した彼の外観を眺めながら、アルラウネは、自らに流れ込む男の栄養に頬を赤らめながら、静かに下腹部を撫で、シルフが囁くように呟いた。
「……ごちそうさま、お兄さん♪そして……」
「あら?新入りの方が増えたようですね」
主人であるメア達との朝食を終えた後、アルラウネ達に前に頼んでいた蜜を受け取ろうと中庭に移動したセシルは、辺りに舞う花粉の濃度から、新入りの存在を察した。
とは言っても、全く驚く気配はない。彼女にとってこれは『普通』の出来事で、新入りが増えるのも『当然』だと考えていたのだ。
「はい♪セシルさまぁ。たった今みんなで歓迎会を開いてるところなんですよぉ〜」
蜜を渡しつつ嬉々として話すアルラウネに、セシルはやや苦笑しながら、蜜を受けとると、畑の整備を頼むのだった……。
その中庭の奥では――!
「――ひっ!ひぅひぁっ、ひ――ひぁっ!でっ、ででりゅうううっ!ボク、ボクまただしちゃうよぉぉぉおおっ!」
びゅくんっ!びゅるくびゅびゅびゅりゅうぅぅ〜〜〜っ!
「ほらほらぁ♪どんどん出しちゃってよ新入り君♪早く私達に、た・ね・つ・け・しちゃって♪」
「ひぅっ!も、もう無理、無理で――」
「無理じゃないでしょ♪えいっ!」
「!!!!ひぁぁぁぁあっ!あぁああああああああっ!」
びゅるるるるるるっ!びゅくん……びゅくん、びゅくん……。
「生まれたばかりの貴女は、中にこってりした花粉ザーメンが一杯詰まってるんだから♪一杯一杯搾ってア・ゲ・ル♪」
「ひぃぃっ!ボク、こわれちゃうよぉぉぉっ!」
「大丈夫♪私達は壊れないわ♪それにね……壊れたら、私達が治してあげるわ……そう、何度でもね♪」
「ひぅ――!」
「さ、まだ溜まっているでしょ?どんどん……空っぽになるまで出してあげるね♪」
「ひゃ、や、やめ、やめて――ひゃあああああああああああああああああああああああああっっっ!!!!」
びゅくびゅくどびゅるぶしゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ……。
――男の体を養分に、男の魂を核にして育った新たなアルラウネは、花開いてすぐに行われる先輩アルラウネ達の'歓迎'に逢っていた……いや、遭っていた。
花開いたばかりのアルラウネから溢れる蜜や花粉は貴重であり、味も濃厚だ。それ故にアルラウネ総出で、新入りを可愛がるのだ。
新入りの股間辺りには、二つの壺が置かれており、一つはうっすらと膜を張るように黄金色の液体で、もう一つは並々と継がれた白濁した液体で、それぞれ満たされていた。その黄金色の液体を入れた壺に向けて――!
ぷしゃあああああああっ!
「いはぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあああ……」
「あらあら♪気持ち良くってお股まで濡らしちゃうだなんて、新入り君は変態さんだね♪」
「ひゃぁぅっ!ぼ、ボクは変態じゃ――ひぁあああっ!(ぷしゃああああっ!)」
「ほらぁまた出た♪しっかり感じているじゃん変態さん♪」
新入りの真正面にいるアルラウネは、自身の指を蔦に変化させて伸ばし、新入りの体の様々な場所に挿し入れていた。そのうち股間に入れられたものは、小指大に大きくなったクリトリスに巻き付き、柔らかい棘でチクチクと刺激しているのだ。
「ひぁっ!ひぁああぁああああああああっ!」
刺激を和らげるためか、次々と溢れ出す愛液と花粉。特に花粉は相当絶倫なのだろうか、目の前のアルラウネの腹部を盛大に膨らますほどの量を一度に放出していた。
「……ふぁぁ……ふぁぁ……」
逝き狂いになりそうなほど繰り返し絶頂を迎えた新入りは、瞳を濁らせながら放心状態を迎える。と同時に、目の前のアルラウネは蔦を各所から抜いた。
液体と空気が混ざるやや下品な音を立てて外された蔦。その先端は新入りの初々しい体液にまみれていた。舐めとり、味を見たアルラウネは、次の壺を持ったアルラウネに指示をする。自身の壺と、手持ちの壺を代えるように。
言われた通りに指示が行われた後、彼女は反り立つ雄しべ――男根をゆっくりと体から抜いていく。名残惜しむように締められた彼女の陰唇は、注ぎ込まれた花粉を一滴たりとも逃がそうとしなかった。そして、全て抜けきった瞬間――開け放たれた!
ぐぽごぶりゅううううぅぅぅぅぅぅ……っ!
「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっ!でちゃうぅっ!新入り君のコッテリざーめんだしちゃうぅぅぅぅぅぅぅううっ!」
まるで岩場から溢れる滝のように流れ落ちた花粉精子は、置かれた壺にたっぷり溜められていく。それと同時に、ぷっくりと膨らんだ彼女の腹も、急激な勢いで凹んでいき……。
――ぶしゅっ、ぴちゅ、ぷひゅ。
「……っふぅ……っふぅ……」
ほぼ全て出し終わった彼女は、快楽の余韻に浸るようによろよろと自分の花に戻っていく。その間にも、新入りの雄しべは萎えることなく天へと向けて反り立っている。
新入りに対するこの儀式は、もう一つ重要な意味を持っていた。それは魂の編成である。
新入りが絶頂を迎え、雄しべから花粉を吹き、秘所から潮を吹く度に、核となる魂が体に適合していくのだ。つまり、魔に変化していくのである。
真に魔に染まったとき、新入りは本当の意味で『新入り』となる。その時まで――彼女の嬌声は、止まることはないのだ。
fin.
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