「……化け物と生物の違い、って、何だと思う?」
また始まった。お館様は時としてこんな意地の悪い質問を私に対して言ってくる。
答えなど無い質問に、沈黙で返した私に、お館様は抱きついてくる。正直、何も身に付けないでいきなり抱かれるのは勘弁で、その後にされることを考えると逃げたくなる。でも決して、逃げてはならない。それが私に課された役割なのだから。
「10秒以内に答えを一つ言ってね。それで私は貴女に全身を入れるのを止めるから」
言うが早いか、お館様は綺麗な秘部を大きく開き、そこからポタポタと愛液――お館様の体を垂らし始めた。それは地面に着くと、少しずつ手の形を形成していった。そのまま私の股間へと手を伸ばし――。

「……あ……ふぁ……」

私の何も生えてない秘所をそのままなぞり始めた。お館様によって毛と言う毛が根元から取られてしまった私の秘部は、ほんの少しなぞられるだけでも敏感に反応してしまう。全てお館様の望み通りに、私の体が段々と作り替えられているのだ。
変わっているのは内面だけじゃない。身に付けているもの、今私が着ているメイド服も、従来のそれとは違うのだ。一見したところでは分からないが、実は中には空白部分が多い、わりとゆっく……ゆったりした作りになっている。着膨れとまではいかないが、少し本来の体よりも大きく見えてしまうかもしれない。
そう創られている理由はすぐに分かるから今は置いといて、私は今にも震えてしまいそうな体を何とか意識して抑えながら、お館様の質問に辿々しくも答えた。
「……その言葉を言った存在の常識に……対象の生物が居るか居ないか……だと思います」
「その通り。少しは賢くなったじゃないの」
賢く?いいえ、お館様の思考が大分理解できただけです。
この問答の回数と、そこまで軽くも重くもない質だけで、哲学書なり啓蒙書、恐らく民衆が読むレベルの物は軽く完成してしまうだろう。そんな事を何とはなしに考えていくと……!?

「ひぅっ……んはぁっ……」

「じゃ、ご褒美ね。思いっきり抱いてあげるわ」
言うが早いか、お館様は私の秘部を、体を膜のようにして包むと、そのままスカート部分の内側から私の体を這い上がり始めた!少しずつ小さくなっていくお館様の体。それは私の視界に映るもので、本当はお館様自身の体積は変わっていないのだ。無くなった分の体積は、こうして私を包み込んでいるのだから。
「はぅ……うむん……ひぅ……お……お館様ぁ……」
毛やシミ一つ無い、赤ん坊のように神経が過敏な(お館様発言)私の皮膚を、お館様はぬるぬるさらさらと這い登っていく。毛穴すら消え、神経が直接表皮近くに繋がれた(お館様談)私は、体が包み込まれていく度に神経を直接撫でられるような刺激を感じ、私はふるふると体を震わした。
その一方で、幽かにひんやりとしたお館様の肌は私の体温で熱を持ち始め、確かな質量を持った体は、寝袋のように私の体を受け止め、まるで全身を抱き締められているような、生まれる前の安らぎを私に伝えて来る。
刺激と安らぎ、相反する二種類の快感は、私の神経をゆったりと、しかし確実に覚醒させていった。
「人間からしたら、この行為は『生物』の行為じゃなくて『化け物』の行為なのよね。多様性なんて口にする割りに、自分から多様性を認めないなんて矛盾じゃない?」
いえ、そもそもお館様の存在自体が人間にとって化け物以外の何物でもないのですが。
でもそんなこと口が裂けても言わないし、言うつもりもないし……そもそも言えない。言った時に何をされるのか、手に取るように分かるからだ。
あの体を全部私のアソコから体の中に入れられる……それが可能な体にされているのが何とも悲しいけど、それでもどれだけお腹が膨らむのか……想像しただけで怖い。
「理解できないじゃなくて、理解しようとしないのよね。常識はいつもアートの邪魔ばかりするんだって気付いている人もいるのにねぇ」
お館様は、たまに異世界から様々なものを持ってくる。その一つが機械文明の世界から持ち込まれた、ぽぉたぶるしぃでぃぷれーやー……と言う名前の物体……らしい。その中にキラキラ光る円盤を入れると、音が流れてくると言う不思議なものだ。私も二度三度いやほんを耳に入れて聞かせてもらった事があったけど、この世界の言葉じゃないらしく、何を言っているのか全く分からなかった。お館様がその時に、歌詞を私に伝えてくださったのだけど……その歌詞を今ここで使うとは……!?

「ひん……ぅ……っ!」

腕から先を除いた胴体部分をすっかり覆い尽くしたお館様は、首元から顔を出すと私の耳たぶを甘噛みしてきた。人間の歯のように硬くないそれは、ふみふみと独特な弾力を神経を通された耳たぶに伝えてくる。時折舌の先端が皮膚に触れる度、私の体には雷撃が走ったような快感が流れて、体が一気に火照ってきて――!

「お……お館様ぁ……っ!」
蛞蝓が這い進むように、少しずつお館様に包み込まれていく私の体。袖口からは既に、お館様の体が溢れてきている。目の前にいた筈のお館様の体は、最早下を向かなければ見えないほど小さくなっている。代わりに――。
「何かしら?」
首元から顔を出して首筋を舐めて「汗もずいぶん甘くなったわね」とか口に出しているお館様。その台詞の次の瞬間には、首から下が全てお館様で覆われてしまった。こうして、体を構成しているスライムを全て私を包むために使っているのだ。
お陰で人一倍敏感になった私の体は、むにむにさわさわと強烈な愛撫を常に受け続ける羽目になるわけで……始めてやられた時は全身をビクガク震わせるだけで、何も話すことが出来なかったっけ……!
「わ、私……わたしぃ……ひぅあっ!」
服の中でお館様の手が、大きいとは言えなかった私の胸を揉み始めた。かった、としたのは、お館様の'改造'とやらのせいで、AAしか無かった筈の胸が今やDの大台に乗ろうとしている。しかも施された'改造'はそれだけじゃなくって――!
「ん……ほら、出てきたわよ?貴女のあまぁいミルクが。ふふっ……日に日に私好みの体になっていくわね」
「ひぃっ……ぁぅ……!」
胸元からぽつり、ぽつりと湧き出してくる乳白色の液体。説明するまでもない。母乳だ。お館様のスキンシップが進むうち、いつの間にか出るようになっていた……というより、お館様がその方向に持っていくようにスキンシップしていた……って言うのが正しいけど。
何度か絞られているとはいえ、未だにこの瞬間は恥ずかしい。自分の中から何かが出される瞬間と言うのは、人間にとって見られると恥ずかしい瞬間なのだ。そう。そしてもっとも恥ずかしい瞬間もまたこの系統……。
「さてと……そろそろ頂くわね♪」
「!?お、ぉ……おやかたさまぁっ……!?」
漢字すらろくに喋れなくなっている私。確かにそろそろ限界だ。私の中の熱が、今か今かと脱出の機会を窺っている辺りにもそれが言える。でも……人間として残っている羞恥心が、まだ私に耐久を強いるのだ。
でも……その恥ずかしさすら、お館様は平然と蹂躙出来てしまう。その辺りが、人間と魔物の違い……なのだろうか?
否、と長い間お館様と暮らしてきた私の心は叫ぶ。それはお館様が特別、と言う意味ではなくて、寧ろ、人間も同様の行為が出来る、やる人がいると言う事実があるからだ。
「じゃ、頂きます♪」
――お館様の趣味も入っているのかもしれない。私がこの館にいる理由も、お館様の趣味が四分の一らしい。残り四分の三は――。
「……はゃ……っひぃぅっ!?」
股間を覆っていたお館様の感触が、その声を切っ掛けに変化した!まるでプリンで撫でられているかのように、ぷるぷると筋に沿って動き始めたのだ!先程までずっと続いている全身愛撫の影響で、私の秘部はほんのりと花開き、果糖のように甘い(お館様曰く)愛蜜を分泌し始めている。お館様はそこに堂々と舌を伸ばして――ぺろんっ!
「ひぃぅぁっ!」
お館様の手――舌のようになった手が、私の内壁を擦り始めた。傷を癒すように優しく丁寧に、或いは皿についた蜜を舐めとるように貪欲に、内壁の全てを舌で踏み回っている……!
全身が敏感になった私の中で、生まれた熱が出口を見つけ、そこに殺到しようと動く。だが……足りない。切っ掛けが足りない。
(ぁは……ぃぅ……)
段々と、視界がぼやけていく。主に自分が流した涙で、視界が滲んでいるのだ。
「ふふっ、いい顔。生物も化け物も、気持ち良ければこんな表情をするのよ。その辺りは変わらないのに、わざわざ分けようとするなんて……ねぇ?」
お館様はこれからするであろう悪戯の下準備と言った感じで微笑むと、そのまま私の唇を塞いできた。そのままお館様は私の舌に舌を絡めて、私の中に唾液を注ぐと同時に、私の唾液を啜っている……。
「ん〜っ!んんんっ!」
私の膣が、大きく脈打ち始めた!心臓が大きく高鳴り、体が焼かれたように熱くなる!全身から流れ出した汗は、全てお館様の体に吸収され、その度に皮膚に吸い付かれる感触が、また私に熱を発生させていく――!?
「さ、メインディッシュよ」
私の秘部に入り込んだお館様の手が、さらに奥へと伸びながらその形を変えていく。管のように細く、長く伸びていって――!?
「!?んんんっ!」
管の先端が口開いて、私のクリトリスに吸い付いて、そのまま一気に押し潰してきた!

「んんん〜〜〜〜っ!」

ぷしゃぁぁぁぁぁぁ……とくっ……とくっ……とくっ……

……羞恥心や心の枷がその瞬間完全に壊れ、体に溜め込まれた熱が、愛液に姿を変えて大量に放出された。それらは全て、お館様の体に全て吸収されていく……。
お館様の手によって昇天させられてしまった私は、お館様の体に支えられながら……意識が遠ざかっていくのを感じた。
優しく抱き締められている中、目に映るお館様の表情は……悪戯好きな子供のようであり、また慈しみ深い母親のようでもあった……。
……でも、また気絶している間に、肉体改造されてしまうんだろうな……。全身のあらゆる場所が甘ぁくなるように……。
「ふふっ、生物でも化け物でもない、'貴女'を'貴女'として、私の色に染めてあげるわ……」
お館様は区別をしない。その存在を存在として受け入れる。それはスライムと言う種族の思考特徴なのかもしれないけど……。だけど――。

……お願いします。私に対する行為を少しでいいので自重してください。お願いします。



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