私が初めてあの子に会ったのは、雨の降りしきる午後の事だった。
様々な生物に化けて異世界に渡ったりしたことのある私だけれども、行ったことの無い場所に行くのはそれなりの条件が必要だったりする。
例えば――最低でも三日、その世界に身を置かなければならない。最初に旅した世界が砂漠と灼熱の大地が支配する世界だとしたら、今頃私と言う存在は消えていただろう。幸いなことに、鬱蒼とした森に綺麗な泉がある、スライムに適した場所ではあったけれど。
様々な世界に三日間降り立って、私は様々な知的生命体を目にしてきた。全てが人と同じ形をしているわけではない。中には、この世界で言う『化け物』と認定されるような姿をした生物もいたりした。人ではない生物が、人を見て『化け物』と言う。何と言う皮肉でしょうね。違う、という事はお互い様なのに。
中には私に問答無用で襲い掛かる生物もいたりして……逆に仕留めたけれども。命を刈るなら、刈られる覚悟をしなさいな。
そうして様々な世界を渡り歩いていると、哲学的なことの一つでも考えたくなった。議題は……そうね、『生物と化け物の違い』かしら。差別がない世界と言うのは、知的生命体が絶対的にどこかで『区別』と『折り合い』をつけていた。所謂、『ここが違う』『こういうもの』と言う考えね。その上で互いに自由を縛り規律を立てていた。自分を縛りつつ相手を縛る。規則って本来こういうものだし。
面白かったのが、差別を訴える人が、実は一番対象を差別していた事かしら。笑っちゃうでしょ?まるで守ろうとする人が欠陥だらけで、故に欠陥の無い私達が守ってやらなきゃいけない、なんて……生物なんて生まれた瞬間から基本的に欠陥品なのにね。私だって欠陥品だもの。
そう……そしてあの子も、そんな欠陥品の一人……いや、あの世界の単位で言うなら『一つ』だったわ。
『E-4392』。
これを聞かされて名前だと思う人はいないでしょう。私だって思わなかったわよ。スピーカーからその言葉が聞こえて、銀色のタグにその文字が刻まれていた彼女が立ち上がって別の部屋に移動しするのを目にしなかったら、信じやしないもの。
管理社会、とでも言うのかしら。この世界では人間は、番号が名前の代わりらしくて、厳格な規則の元、いくらでも代わりが利く存在として量産しているみたいだった。はじめは一つの街から、そこから段々と領土を拡大していったらしく、番号が遅くなればなるほど、抵抗や反発する度合いが増えていた。
支配者の理屈からするに、人間は純粋に低能で野蛮である以上、全てに於いて人より優れている我々が管理し、奴隷として扱うのが丁度良い、らしい。まぁダクトに侵入して聞き耳を立てたんだけど……有能と言うわりには、設置トラップがそこかしこにある他には心の底まで調教され尽くした奴隷人間の兵士くらいしか警備に回していないとか。まぁ反逆を起こさないでしょうから人件費をかける意味がないんでしょうが。
捕らえられた奴隷が洗脳し尽くされ兵士となって、また新たな奴隷を捕らえる。そうすればいつかは全ての人間を捕らえることが可能でしょうね……理論上は。
でも……物事はね、順調に行くときほど穴が出るもの。真に有能なら、咄嗟のイレギュラーにどう対処するかが問題じゃないかしら?
なんて、それは兎も角として、私は内部の姿に飽き飽きしたので、そろそろ外に出ようと、ダクトを通って門の辺りの出口を目指して、バレないようにゆっくりと移動していた。空気の感じから、どうやら雨が降っているらしかった。抜け出して元の世界に帰るには、最適な出発日和ね。
今度はどの世界に行こうかしら?などとプチ旅行計画を立てて、ダクトを塞ぐ網から染み出たときだった。
明らかに、薬を接種させられたのだろう、虚ろな目をした少女が、目の光のない奴隷二人に歩かされている姿を、私は知覚できた。
人形が人形を運ぶ、滑稽な姿だわなどと考えた私。彼女たちは、少なくとも私の定義からすれば人間じゃない。人間なら、多少の関与はあるにせよ、自らの意思だと思って行動するものだし、明らかな意思の光が、瞳の中に見える筈。それが彼女達には――いや、この建物の中にも人間はいなかった。辛うじて連れてこられたばかりの人物も、次の瞬間には人であることを辞めている。主催者の自己満足の人形劇。観客も主催者。来場数は一定だけど、儲からないんじゃないかしら。
………。
……あ♪
私は右腕を切り離し、捕まれていた少女の両腕にまとわりつかせた。そのまま内部を、腕を抜き取るように動かすと……ずるりと彼女の腕が抜けて、奴隷達は私の腕を運んでいる状態になる。運ばれていた彼女は、支えを失ったことで転倒する。本来だったら音で気付く筈だけど、そこまで精巧な脳味噌は持たせてもらっていないみたいで、私の腕を掴んだまま進んでいく。そのまま、拘留所の近くに進んだところで、腕を私のところに戻す。ここでようやく奴隷達は気付くんだけど、その頃には私は転移魔法を完成させているし、彼女も私の中に取り込んでいるから後の祭りね。
そして、腕が戻った瞬間――転移魔法が発動した。
私の住み処、湖の畔に佇む館に戻った後、私は体の中から少女を取り出した。人間で言うお〇んこの辺りからずるりと吐き出されていく彼女の姿は、何となく生命の誕生のような神秘さを醸し出して……いたらいいわね。間違っても捕食失敗とか思って欲しくはないわ。
で……この子の状態なんだけど……。
「……あ……うう……」
表現できる蔑称なら幾らでもあるんだけど、あえて一部の対象以外には分かりづらい例えを使うなら、そうね……『魔晄を直に大量に浴びた人』みたいな状況だったかしら。意識、記憶の混濁は言うに及ばず、肉体――特に筋肉類の弛緩が酷かった。一体どんな薬物を与えたらこうなるのか知りたいわ。悪趣味にも程がある。まぁこれも『平和』と『安全』のためなんでしょうけど……。
顔立ちは……わりと可愛かった。今までに見た人間の中でも、中々可愛い部類に入るんじゃないかしら。まぁ美貌なんて基本的に視覚を中心にした生物が相手を誘う手段の一つでしかないわけだけど……でも愛でるとしたら、可愛い方がいいじゃない?
……これは案外、良い掘り出し物かも♪
さすがに様々な世界を渡っていると、館にいるのが退屈になってくる。退屈になると飛び出すから……館が埃で一杯になっちゃうのよね。分裂して掃除すればいいんだけど……この屋敷を掃除するのは結構骨(無いけど)なのよね……妙に広いし。時空探検の伊呂波を飛んだ先で教えてくれた淫魔が住んでいたものを、要らないからってそのまま貰ったものだけど……派手好きだったもんね、あの淫魔。
……。
よし決めた。
この子を私のメイドにしよう。
意思がないこの子に了承の採りようも無いんだけど……出来たとしても反対はさせないわ♪だって……するに当たって薬の効果を取り除いたりしなきゃならないし。私がこの子を手元に置くに当たって、ただ屋敷の中に居させるだけって言うのも芸がないしね。
それに……ふふっ♪
私は知りたいの。人の持つ可能性を……どこぞの操空拳の使い手みたいなことを言っているけど、実際この子をここに連れて帰ったのは、そうした思いがあったからだし。
心を消されかけた、人間を――自分を辞めさせられかけたこの子が、自分の意思で、どう『変わって』いくか……ね。
ふふっ♪目覚めたら、盛大に可愛がってあげなくちゃ♪
――――――――――――――
「んくぅ………んんっ……あふ……んあっ……」
湖に漣が立つ、落ち葉が揺れる夕暮れ時。ウサギが耳を揺らしながら水を飲みに来る、そんなお館様に見せていただいた絵画の一つに描かれていた世界を取り囲むように生え揃う木々は、幽かに耳に届くような葉摺れの音を、潮騒のようにじんわりと広げて静寂の世界に彩りを持たせている。
「あぅ……んぁぁぁんっ!いはぁ……んふぅっ!」
外界の心休まる風景を横目に、私は何回あげたか分からない嬌声をお館様と二人で暮らすこの湖畔の屋敷に響かせている。
別にあげたくてあげているわけではない。寧ろ出来るなら今すぐにでも止めてしまいたいくらいだ。けど……それをするには幾つもの困難が待ち構えている。
まず――ッ!
「!!!!んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
私のお腹が、内側から一気に突き上げられた!外から見てはっきりと形が分かるほどに、ぼこり、と突き上げられたのだ。続いて二発、三発。まるで私のお腹を押し広げようとしているかのように、不自然に形を歪めていく。敏感な内壁をそのまま抉られるような衝撃に、私は再び嬌声をあげた。
ぺたんこ座りをしたまま、私はその背中を大きく反らす。背骨が折れてしまいそうなほど反らしてしまうけれど、それでも背中から地面に倒れてしまうことは有り得なかった。理由は簡単。前に巨大なウェイトがあれば、それが支えて――ッ!
「んひぃあああああっ!ひぁっ!むぁっ!んあああああっ!」
失礼な事を考えていると思われたのだろう。非難の突き上げが私のお腹を前衛芸術さながらに変形させている。呼吸すら出来ないまま、私は悶えていた。……呼吸の必要がない体になってしまっているけれども。
ついでに言うならば、今の私のお腹は、私の体より大きく膨れ上がっている。別に太ったわけではない。太ったとしても……少なくとも人間が五人どころか六人くらい入っているような、前に大きく膨れ上がるような太り方はしない。あと、少なくともこの屋敷の食べ物で、体を太らせるようなものはない。お館様は水さえ飲めれば生きられるらしいし……。
「……んくっ、いふっ……」
お腹の中で、何かが吸われている感覚がした。くにゅくにゅと内壁の一部を揉みながら、突起になっている部分を包み込んで、じんわりと圧力を加えながら吸い取っていく……。……そうだ。既に私のお腹の中ではへその緒状のホースのような器官が生えていて、そこから母乳や愛液が溢れ出るようになったんだっけ……。
くねりながら伸びた母乳管と愛液管をちゅむちゅむと啄まれているだけで、私の全身はビクビクと震え、乳房からもとろりと母乳が溢れ始める。時々乳を勢い良く噴射できるようになった私のおっぱいは、辛うじて奇乳と呼ばれない程度の大きさを持って、それでいて垂れることはない。移動するときに妙な弾みがかかったりすることよりも、お館様がやたらおっぱいの中に入りたがって……ついに入れるようになっちゃって……。きっとお腹の中では蜂蜜のように甘くなった腸液も分泌されているんだろうなぁ……「ひぅっ!」……やっぱり舐められた。
全身の皮膚から発される汗は、明らかに人間のそれとは違って甘く、蒸発するだけで辺り一体を満たすアロマとなる。お館様はそんな私を体で包みながら、匂いの溜まった脇の下をすんすんと嗅いだり、汗腺に沿って舌を動かしたり、もにゅもにゅとまるで私が飴玉か何かのように弄んでいたりする。
瞳の色も――元の茶色から透き通るような青色に変わって――ッ!
「んひぅっ!ひぅあっ!はぎゅあぅあっ!お、おっ、お館様ぁぁぁぁぁぁあっ!」
私の目の前で、巨大化したお腹がいよいよその動きを激しくする!右に左に上に、息をつく間も持たせないほどに激しく膨らみ蠢く!
「んあっ!んぁぁあっ!んぁはぁぁぁぁぁぁっ!」
意味を全く持たない叫び声をあげながら、私は体を先程よりもさらに後ろに反らした。ほんの少し浮き上がったお腹。その浮き上がった先に、本来なら居る筈の無い存在達が押し掛けていく!
ぴゅうぴゅうと両乳から母乳が噴射されている。連続で与えられていたお腹の刺激に反応して、次々に体内で生成されていくのだ。同時に、おしっこを漏らしたかのように、私の小さな秘部からは桃色と白とが互いに混ざり合いながらフローリングの床に淫らな水溜まりを作っていく……。あぁ……体内でどんどん作られて……出口から漏れ出しているんだぁ……。
『……ら……ま……か……』
お館様の声が、段々とはっきりと聞こえてくるぅ……もうすぐ……もうちょっと……あと少しで……っ!
「ひぁっ!ひぁぁぁっ!ひぁぁぁぁぁぁっ!」
ぐちゅぐちゅと水が撹拌されるような音が、私と中と外を繋ぐ出口から確かに聞こえてくる!同時に、出口を閉じる門がパクパクと開き始めている。中にある存在においで、おいで呼び掛けるように、小さく開いては閉じているのだ。
その小さな出口を貫くように――ズボォッと盛大に音を立て、液体状の腕が二本飛び出してきた!
「!!!!!!!!!!!!」
どくん、と心臓が激しく私の体を叩く。喉がきゅう、と収縮して叫ぶことが出来なくなる。反り返ることも出来ず私の全身はただびくびくと震えるだけだった。
続けて二回、三回。ぼじゅっ、ごぱぉっ!
「――ッ!―――っ!」
声が出せないでただ衝撃にうち震える状態の私に、お腹から出た手は逆フィストファック(お館様がよく(ぐぷゅっ!)――っ!)を何度も実行した。まるで出口の動きをならすかのように……!次第に私の陰唇は、内側から分泌されるラブジュースとミルクによって柔軟性を持ち始め、液体の腕の動きが段々と滑らかになっていく。同時に、私に伝えられる刺激も優しくなっていって……。
「……あはん……ふぁぅっ……んあっ……」
一突き、一抜き毎に、甘い声を漏らすようになる私。既に床は大洪水だ。お館様がカーペットを好まない理由が良く解る。洗うのに手間がかかるし、何よりも、これからすぐ訪れる未来を考えると――!?
「!?」
逆フィストファックを続けていた腕が、幾つもの細い腕に枝分かれし始める!同時に、その腕が陰唇を押し開き始めた!本来なら皮膚の拡張の都合で赤ちゃんが通れるほどしか開かない筈の'門'は、次第にその穴を大きくしていく!
「んぁ……んああぁぁぁあああああああっ!」
乳児……幼児……少年少女……今や私の秘部は、出口の無い肉のガリバートンネルも同然だった。多分真正面に誰かいたとしたら、私の中がどうなっているのか丸見えだったと思う。
そして――にゅぽんっ。
「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!」
「……っふぅ、気持ち良くて楽しい一時だったわ。有り難う♪」
軽やかな音を立てて、お館様の'お友達'である紫スライムが私の中からひり出され……這い出ていく。続いてにゅぽん、るぽん、くぽんと赤、黄色、緑のスライムが元気に躍り出てきた。この方達は皆、お館様の'お友達'なのだ。
「んはぁはぅぁふはぁはんぁぁふぁんふぁ……んはぁぅぁぁぁあぁぁぁああああんっ!」
そして最後に、縮こまりゆく私のお腹の肉襞をすり撫でながら盛大に出てきたのは――。
「ふふっ……皆、今日は集まってくれて有り難うね。おかげで有意義な時間を過ごせたわ」
水色のスライム、お館様であった。私の愛液や乳液でてらてらと光った体をそのままに、同じように液まみれになった他の'お友達'と抱擁を交わしていた。
それをぼんやりとした瞳で見つめながら……、
「はふぅはふぅはふぅはふぅはふぅぁはぁふぅぅ……はぁ……ふぅ……」
一気にお腹の中から産み出されたのと同じ状態である私は――処理できない大量の出産による快感にうち震えながら、少しずつ意識をこの世界からフェードアウトさせていった。
――――――――――――――
夢を見ていた。懐かしい風景だ。今でも記憶に確固として残っている。
そう……あれは私の体の変化の正体を知ったときの……。
「ふふっ、本当に可愛らしい顔よね……食べちゃいたいくらい」
首から下をお館様の体に包まれて咀嚼されながら、耳たぶを甘噛みされている時点で既に食べられているのも同然なんですが。そう思っても、立場的に振りほどけない……いいえ、肉体的に私にはそこまでの力はない。だから為すがままにされているだけ……。
「本当に……そう思っているのかしら?」
「……え?」
度重なる'改造'によって私の思考はお館様に筒抜けになってしまっている。今の言葉は、さっきの考えに繋がるんだろう。
「……それは、どういう」
「だから、本当に'為すがままにされている'って思っているのかしら?」
私の言葉を遮るように、お館様は私に問いかける。でも、だって……お館様は、私を……。
「……お館様の望むような体に……改造なさってますよね……?」
普段からお館様は言っていた。私を'私'として受け入れながらお館様の色に染めるって。それに普段の、必要過剰なスキンシップも、まるで彼女自身に私の体を馴染ますような行為ばかりだ。下半身全部を包む、アナル、ヴァギナからの侵入、肺を含めた内臓に侵入、口から貫通……改めて考えてみると鬼畜にも程がある仕打ちだ。明らかに、自分好みに改造しようとしていなければ、
だからこそ最初、お館様の言葉の意味が、私には分からなかった。
「――それこそ最大の誤解。私は、あなたを改造なんかしていないわ」
「………え?」
私の背後で、何かが壊れるような音がした。為すがままにされている、という私の意識の大元にある前提を、お館様は堂々と破壊したのだ。
お館様は、少なくとも私に対しては、一度も嘘をついたことがないし、つかないと約束をしている。それは制約とも言える強さを持つ約束だ……ってお館様は言っていた。でも……だとしたら、これは本当の事なの……?
呆然としているであろう私の顔を不思議そうに眺めながら、お館様は「鬼畜とは失礼ね、ちゃんと加減してるわよ」などと呟いた後に話を続けた。
「あら?言ってなかったかしら。私は改造なんかしていないわ。進化の種…のようなものをあげただけよ?自分が望むように身体が変わっていく、進化の種。それを貴女に食べさせたのよ。薬漬けの状態から回復させるためにね。まぁ、必要最低限、あなたの意思だけは私が戻したけどね。……全く……どんなクスリの与え方したらあんな風になるのかしらね……」
「……そ……それって……」
この屋敷で目が醒めた時に、記憶は曖昧だったけど、体は普通に動かせたのは……私の体が、『普通に動ける』ように頭が望んだから、毒素を分解できるようになったということ……?
「えい」
「ひゃうっ!」
不意打ちで首筋を舐められた。この屋敷に運ばれてきた時よりも遥かに甘くなった汗を、樹液を吸うカブトムシのように舐めとっていくお館様。先程までのスキンシップで、既に胸からも母乳が溢れ、秘所はぱくぱくと開き、分泌された蜜をとろとろと吐き出している。その蜜を体内に取り入れながら、お館様は話を続けた。
「蜜がこんなにとろとろに甘くなったのも、おちちがこんなに白く粘るようになったのも、私が簡単に身体へ浸透できるように皮膚が薄くなったのも、私が身体の中を移動できるように血管がスライム管になったのも、みーんな、あなたが望んで変わったのよ。私を喜ばせるために、ね。ほんと、えっちな娘なんだから……」
「……え……」
いや……でも、そんなエッチな娘にしたのはやっぱりお館様だと思うのですが……ってあれ?突っ込むところはそこでいいのかしら……それ以前に突っ込まなければならない場所があるのでは……ええと……などと考えてる間に、私の中のお館様が、またずるりと活発に動きはじめて……。
「ふふっ、さあ、心臓を内側から舐めてあげるわ。頑張って、止めてみなさい。……こんなことで感じるなんて、本当にえっちな身体よね……」
お館様の言葉からすぐ後に、左胸の奥におぞ気にも似た感覚が一気に走った!思わずお館様に抱えられた全身をぶるぶると震わせてしまう。既に堪え性の無くなっている私のヴァギナからは、さらにとろとろと愛液がお館様に注がれていく。
「ひぅっ!ひぅぁっ!ひぃっ!ひゅぁっ!」
「うふふ……ぷるぷる震えてるわ……♪」
絶対普通であれば触れられる筈のない場所を、焦らすようにねっとりと舐めるお館様の舌の感触。それが私の心臓をさらに刺激し、脈動が段々と不規則になっていく。
苦しくはない。先程お館様が言ったように、血管も全てスライム管になっており、心臓が動かなくても内部で酸素は循環している。多分、じきに酸素自体が必要なくなるだろう。
ただ――全身を走る何とも言えない、まるで感度が上がったクリトリスをローションで濡らした羽で撫でられているような感覚に、私の全身は震度7クラスの振動を起こして、火照った体は甘い汗を垂れ流し、乳首からは乳房に蓄えられていた母乳が噴射されて、股間はもはや栓を失ったように秘部が開きっぱなしになって――!
「いはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ぷしゃぁぁぁぁぁぁぁあああああああああっ!
びゅるるぅぅ〜〜〜〜っ!ぴゅくん……ぴゅくん……。
心臓を止める、という無茶な注文に私はどうすることも出来ず、一回逝ってしまった。いよいよ脱力した全身を、お館様が包み込んでいく。同時に……口からお尻からと言わず、全身の皮膚からお館様の体が染み渡っていく……。
何となく私は、それを暖かく感じていた……。
「……んむぅ……むくん……んくぅ……くぅん……」
内臓が、肺が、心臓が、お館様の色に染まっていく……。不思議と私は、それを嫌だとは感じていなかった……。
「ふふふ……」
お館様の、微笑み声が、聞こえて……。
――――――――――――――
「おはよう。さっきはお疲れ様」
「……ふぁ……おはよう……ごらいまひゅ……おやはたはまぁ……」
……まだ、お館様主催の'お茶会'の快感の反動か、舌が回らずしかも体すら力が入らないで……。
「もう……ちょっとやりすぎだったかしら?」
ちょっとどころではないですお館様。どうしてあれをちょっとと言えるんですか……。
思い出すだけでビクビクと震える私の体に、お館様は呆れたようなため息を漏らした。
「全く……あれがやり過ぎ、なんて言ったら本当の私達の交わりなんか酷いことになるわよ?何せ片方の年齢が確実に一時的に変わるからね。大体――こんな感じかしら」
お館様が伝えてきた断片のイメージ。それを私の脳が認識した瞬間――!!!!
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
――ぷしゃあああああっ!とくっ……とくっ……とくっ……。
快感の耐久限界値を遥か越える、大量の情報が私の体に巡らされた快楽神経を一挙に刺激し、蓄えられていた乳と蜜を勢い良く放出した。噴射された乳は、お館様の頭から胸元にかけてねっとりとかかり、蜜は丁度、お館様の股間の下辺りに蜜溜まりを作って……。
「………」
すみません大変申し訳ございませんごめんなさい失礼いたしました――。
そんな謝罪の感情を理解してくださったのか、お館様は……。
「……お・し・お・き・♪」
「!?」
いやちょっと待ってくださいお館様それ以上何かやられたら私の体が持たないんですが!
お館様は私の膝の辺りで仁王立ちをすると、そのまま一気に下半身を崩して私の全身を包み込んだ!そのまま――!
「ひぅあはははははぃははははははぅははぁふゅはゅはははひぃあははははははぃぁああはははははっははははははは……!」
薄くなった皮膚に絡み付いた神経を、全身でほぼ同時に擽り始めた!体を捩って逃げようにも、全身を包まれているため効果がなくて、逆に捩ることで神経が刺激されてさらに擽られて、それがさらに擽ったさを全身に伝えていく――っ!
ぷしゅぷしゅと胸からは大量の母乳が噴射されて私の体をぬるぬると白く染め、愛蜜はどんどんお館様の体に吸収されていく!そのままお館様は私の体の中に体を染み込ませて――!
「!!!!!!!!!!!!」
「ほらほらほら……普通じゃ味わえないわよぉ……何せ、ほぼ全身を擽ってるからねぇ……」
耐えられるわけがない。体の外側も、内側も、全身の皮膚も、内臓の内壁も、肉襞の皺に沿った筋も全て同時に擽られている。声なんて出す余裕もない。もし呼吸が必要だったなら、確実に呼吸できずに意識が止まっていただろう。
「うふふ……うふふふふ……うふふふふふふふふふ……」
心底楽しそうな声をあげながら、お館様は私の体のありとあらゆる場所をこちょこちょと擽っている。私はそれに対して陸の上の魚のように終始体を痙攣させていることしか出来なかった。
発散される汗の甘い香りが、ねっとりとした乳が気化した白い気体が、私の体を取り囲むように纏わりついている。それらは皮膚からお館様に取り込まれていく。
今や私の皮膚は、お嬢様の皮膚も同然だった。すぐ下の肉が透けて見えるほど薄い皮膚の裏側には、お嬢様の体がもう存在しているのだから。
「!!!!!!!!!!!!!!!!」
全ての細胞の神経に直に触れるように、お館様は私を擽り抜く。既に私の頭は処理落ちしかけていて――!
「――!!!!」
ぷしゃあっ……と盛大に体液を吹き上げると、私の頭のヒューズは飛んでしまった……。
あぁ……また変わる……変わっていく……。
………でも……。
――――――――――――――
「……ふふっ」
この子が気絶したところで、私は擽ることを止めた。本当にお仕置きするときは、寝ていても起きてしまう、寧ろ寝かせないくらいずっとやっちゃうけど……ね。ふふっ♪
私がこの子を拾ってきてから、この子は随分変わった……と思うわ。私が変えた……という部分があるのも否定は出来ないけれど、それ以上にこの子の変化は早かった。だって……数日後には変化の兆しが見えたのよ。本来ならあの進化の種は、二週間くらいしてようやく変化の兆しが見えるくらいの効果しかないのに……。
まぁそれだけ、この子は私の事を頼りにしている、寧ろせざるを得なかったのかもしれない。この子がいた世界について、聞けば聞くほど……そう考えてしまったのも事実。……身勝手かしら。
実際酷いものよ。支配階層は異世界の人間。持ち込まれた兵器はこの子の世界じゃ製造不可能なものだもの。『渡航の際は転移場所に十分ご注意を』なんて注意があったの、行った当初は知らなかったわよ。尤も、現場で嫌な気配を感じたりしたから、ほぼずっと身を隠していたわけだけど……。
で……、この子が薬漬けにされる以前の状態でも、元の世界には最早この子の帰る場所なんて無かった。そりゃそうよね。連れていかれた先で親類が'壊'されていたのを見れば……。時間差で連れていかれて、強化兵士の一人が彼女の父親だと分かって……それ以降はちゃんと覚えてないみたいだから、その時に薬を射たれたのね。
今ではもう……この子の事すら覚えていないでしょう。いくら統治機構ですら、元には戻せないと思うわ。
で、少し前にその時空統治機構のガサ入れが実行されるらしいことが噂で流れたから、今日の定期お茶会でアメジスト(紫のスライムで、私より時空旅行歴は長いの)に聞いてみたら……案の定、実行されるみたい。遅すぎない?って言っても個人作業ではない以上様々な手続きが必要だし……証拠もその世界を覗く以外ないでしょうしね。
さて、私としてはどうするべきかな。アメジストは「その子を連れていったら?私の名前を出したら貴女と彼女の安全は保持されるわ」って言っていたけど。
この子にこの事を話すべきか……考える必要がありそうね。まぁ……多分、この子は覚悟を決めているでしょうね。
――――――――――――――
連れてこられた時から、もう私の中で覚悟は決まっていたのかもしれない。
そもそも……私が連れてこられる前の時点で、既にあの場所に、私の居場所なんて無かったから。
誰もかもが'矯正施設'に連れていかれるなかで、私は抵抗していた。女子供しか残されていなかったこの場所で、他の村人を必死で逃がしていたのだ。
そんな私を拘束した強化兵士……。ヘルメットとガントレットで簡易武装されていた兵士、ヘルメットに付属しているアイシールドで隠された瞳。その正体は――私の父だった。本当に、'だった'。
抵抗も虚しく、腹に容赦の無い一発を当てられて連れてこられたのは、私の知らないものばかりが置かれていた銀色の部屋。中央には幾つものベッドが置かれていて、そこに何人もの人が横たえられている。
そして私を待ち構えていたように、新たな注射器を構えていたのは、父と同じ装備をした兄だった。
兄のすぐ側のベッドに寝かされていたのは弟。その横には母と姉が居た。そしてその何れにも、首元に赤い傷跡が見てとれたのだった。
何の感情を見せることなく、ただ私に近付いてくる、兄の皮を被った機械。その手には、確かに極彩色の液体の入った注射が握られていた。
私は必死に泣き叫びながら、父親の姿をした機械を振り払おうと必死になって藻掻いたけれど、力の差は歴然だった。
そして、兄だったものは、私の首元に――。
………気が付いたら、この屋敷に居た。何が何だか分からないまま呆然としていた私の目の前に現れたのが……スライム状のお館様で(お館様曰く、あの出会いは不覚だったらしい。本当は最初は人間の姿になって話すつもりだったみたい)、拒否権を要求する間も無いまま、この館で働くメイドにされてしまって……さらに、もうどうせ正体ばれてしまっているからって、スライム状態でスキンシップされて……。
……でも、それでもお館様は言っていた。いつも私に言っていたんだ。
――貴女は貴女、他の何者でもないんだ、って――
――――――――――――――
「――そう、ですか……」
お館様からの、突然の知らせ――ううん、ほんの少し前から若干だけど、お館様の様子が変わっていたから、何なんだろうとは思っていた。まさか私が元々いた世界がそんなことになるとは思いもしていなかったのだ。
「……時空統治機構は時空間に関する警察兼ナビゲーター兼軍隊みたいなものだから、きっとあなた達を襲撃した彼らを駆逐することは容易いでしょうね……洗脳され尽くして、兵士となり果てた彼らと共に」
お館様は、いつもとは違って、声を抑えがちにして話していた。きっと、悩んでいるんだろう。打ち明けるべきか。私に、もう帰る場所が無くなってしまうことを。それは、ほぼ確実に実行されるであろうことを。
「………はい」
私は、風に合わせるように静かに頷いた。そのまま、辺りを重苦しい静寂が包む。
「…………」
口を開いたのは、お館様からだった。
「……取り乱したりしないのね」
口を尖らせながら話すその言葉も、どこか安心したような響きがあるのは気のせいだろうか。多分、気のせいじゃないだろう。
お館様だって怖いんだ。きっと……。
「貴女が思っている通りよ。私が、貴女に恨まれるんじゃないかって。正直、恨まれても仕方がないことをしているから、身勝手なのは百も承知なんだけどね」
自分で望んだ部分が多いとはいえ、肉体が改造されていく大元を作ったり、自分を無くすよりは天とマントルほど差がある程にマシとはいえ、住んでいた世界から連れ去られたりとか、余罪そのものは沢山ある。
ちょっとお館様がむすっとしている。そこまで思わなくてもいいじゃない、なんて顔してるけど……お館様、まだ思考は終わっていませんよ。
「お館様、以前仰ってましたよね。私がこの館にいる理由の四分の一はお館様の趣味だって」
ええ、と頷くお館様、それを承けて、私は話を続ける。
「四分の三は……あのときは誤魔化されてしまいましたので分かりませんが……恐らく、お館様は心の底で怒っていらしたのではありませんか?
私のいた世界で繰り広げられる、最低で最悪な、素人にして嗜虐の気がある脚本家が描いた筋書き通りに流れる人形劇に。
お館様は、事ある毎に口にしてましたよね?『貴女を貴女として』と。それはきっと、あの場所で行われていた事を頭に入れているから……」
「………」
お館様は黙って聞いている。その表情は分からないけれど、分からないままでも構わない。違うなら違うと、お館様なら言ってくれるから。
「様々なスキンシップの時でも、お館様は私を'私'という一つの存在として接してくださいました」
思えば、加減こそ殆どされてないとはいえ、私を邪険にしたり痛め付けることが目的での交わりは、一度として無かった。……全て私を『気持ち良く』するためのものだったから。
それを心の奥底で解ったからこそ、私はお館様を受け入れられていたのだろう。自重して欲しいとは思ったにしろ、不思議にも、初めの一回の他は、一度も『止めて欲しい』とは思ったことはなかった。
「そんな、'愛'と'心'が満ちた空間に、私はずっと居たんです。故郷の残骸で暮らしていた時より、もっと濃密な時間を……」
残骸、私は私の故郷を、そう表現した。表現することしか出来なかった。私が願う故郷は、私の記憶の中だけにしか存在しない事を、私自身が感じていたからかもしれない。
「……随分、あの世界については冷たいのね。戻ることは出来るのよ?貴女が『元に戻りたい』と念じて、統治機構に家族全員に仮初めの記憶を与える、そうすれば貴女も'元通り'に暮らせるのよ?」
お館様のこんな意地悪にも聞こえる言葉にも、私は素直に返すことが出来た。まぁ、思考を読まれているから、私の気持ちも理解はされているんだろうけれど。
「It's no use for crying over spilt milk――この世界に、『元通り』は有り得ないんですよ。諦めではないですが、過ぎた時は戻らないし、例え仮初めの記憶の元に親子生活を続けたとしても、私が耐えられなくなると思うんです。それが何の根拠も積み立てもない、仮初めであることを知っているから」
「………でも」
「私にも仮初めの記憶を与える、そうして解決する方法もあるでしょう。ですが……そのためにはお館様との日々を闇へと投げ捨てなければいけません。それをするには……剰りにも私自身が壊れてしまっています。あの世界で、私が見た光景。それは私の心に絶望の錨を落とし、過去の思い出を汚し、未来の光を奪いました」
そこで私は一度話を切り、すぅ、と一呼吸置いて、いまだに一度も口にしていなかったことを、ようやく……言葉に出来た。
「私、お館様に感謝しているんですよ。私として、他の誰でもない何でもない私として、こうして存在し生きていられるようにして下さったお館様に、心から感謝しているんですよ。
――故に、私は私自身の意思で、お館様と共に生きたいと望んでおります」
「………」
一世一代の、告白とも言える発言――実際告白のようなものですが、それを耳にしている筈のお館様……お館様?肩が震えてますし……なんでしょう、こらえ笑いが聞こえるのですが……?
「……ふふ……まさか、感謝されるとは思っていなかったわ……ふふふっ……」
そんなに私の告白が面白かったのでしょうか……。
……少しショックを受けている私にお館様は笑いを控えることなく近付いてくると――そのまま私に抱きついてきた。
「キャッ!お、お館様!?」
突然の事で力を入れる間もなく倒れてしまう私に、お館様は笑いながら弁解を始めた。
「ふふ……ち、違うのよ……ふふふ……あ、貴女が……ふふふふ……私に感謝するなんて……ふふっふふっ……考えたこともなかったから……」
「だからって――」
笑うこと無いじゃないですか、その言葉は、私の中で雲散霧消していった。心から聞こえたかもしれないけれど、その思考すら二重線で打ち消したくなるような気持ちにさせられた。
「……嬉しかったの……とても、嬉しかったのよ……」
泣いていた。
あの、お館様が。
泣く姿なんて考えられもしなかった、あのお館様が。
今――私の体に顔を押し付けながら、涙を流していたのだ。
「……お館様……」
私は、そんなお館様を、ゆっくりと抱き締める事しか出来なかった。笑いながら、涙を流し続ける、お館様を……。
「……ふふふっ……私は果報者ね……エゴだったかもしれない私の行動を、こんなにも受け入れて……ふふっ……」
私の体を抱き締める力が、段々強くなっていく。まるでもう離さないとでも……自分に言い聞かせてもいるかのように……。
「……今日ね、もし貴女があの世界に帰るつもりならね……私……素直に受け入れるつもりだったのよ……。でも……きっと無理だったわよね……だって……私……耐えられなかったでしょうから……」
ぎゅう、とメイド服に皺が寄る。お館様に味わってもらいたいと言う私の思いが膨らませてきた両胸が、お館様の重みでさらに形を変えていく。それに合わせてぱつんぱつんになった胸元の生地と乳首が舐るようなキスを何度も繰り返していく。ぴゅ……と幽かに母乳が漏れて、染みを作ってしまったけれど、お館様はそれを咎めること無く、ただ私に全身を委ねきつく抱き締めていた。
「……もしかしたら……貴女を引き留めようとしたかもしれない……皮肉よね……貴女の意思を考えていた私が……貴女の意思を伏せて私の希望を叶えようとするなんてね……」
徐々に、お館様の形がほどけていく。擬態していた服が消え、メイド服や靴下の繊維の隙間から、袖口から、スカートの中へと、ありとあらゆる場所から、私を包み込むように覆い被さっていく。
「……お館さむぅぅぅんんんん……」
私の口を塞ぐように、体を広げていくお館様。その声が、私の体を伝って、頭に直に届けられた。
『だからね……貴女が……自分の意思で……私のね……場所にね……いる……って……っく……言って……くれたのが……』
最後の方は、いよいよ泣くことを止められなくなったらしく、ただ嬉しいという感情だけを私に伝えている。既にメイド服の中は愚か、皮膚の中にまでお館様は染み込んできていて……外から見たら、きっと苦しくなさそうにスライムに全身を包まれた私の姿が見えるだろう。
ぎゅっ、ぎゅっと痛くない程度に強く、私の体を圧迫するお館様の体。微妙に性感帯の辺りを強く刺激しているのは多分無意識。いつも抱いているから、私の気持ちいい場所が分かっているのだ。
『んはぁ……っ、お館様……』
体を動かせない私は、せめて意識の中で、お館様を抱くように自分の意識を飛ばした。お館様に心が通じるなら、こうすれば――!
ぎゅう、とスライムの抱擁がさらに強くなった。私の心に応えるように、キツく抱き締めてきたのだ。それに対して私もさらに意識の中で強く抱き締めて、そうしたらまたお館様が強く――。
お館様の抱擁力の限界が来るまで、私達はずっと抱き合っていた。いつの間にか、私はメイド服を脱がされていた。いや……私がお館様と一体化して、お館様の体がメイド服を外に出して……?
あぁ……でも……いいや……。抱き合っているだけなのに、何だか幸せだから……。
――――――――――――――
「……みっともないところ、見せちゃったわね」
あの蕩けるようなハグを終えた後、お館様は少し恥ずかしそうに呟いた。私に背中を向けている辺り、本当に恥ずかしいのかもしれない。涙を流したこと、それも私の前で泣いてしまった事は今まで一度として無かったから……。
「いいえ……そんなことはありませんよ」
私にしてみれば、普段は見られないお館様の一面を見られた気がして……みっともないどころか、何か新鮮で、素敵な出来事のような気がした。
「なぁに?人を泣かすのが趣味なの?やぁねぇ。それに新鮮って、まるで私が血も涙もない存在みたいじゃない」
お館様が茶化すような口調で返す。
「血がないのは御互い様ですよ、お館様」
私も昔に比べれば、軽口の一つくらいは返せるようになった。言うようになったじゃない、とお館様。こんな何気ない会話は、いつから始まったのだろう?思い出せないほど昔のようで、それでも案外最近のようで……。
お館様の'暇潰し'も、こんな日常風景の一つになって、初めのうちはちょっと嫌だった部分もあったけど……体が変わっていって……受け入れていって……。
「あら、貴女だって嬉しそうによがってたから、てっきり最初っから喜んでいるのかと思ってたわ」
「いきなり全身を包み込まれて擽られて、そのまま耳の中まで舐められて喜ぶ人はいませんよ……」
でも……私は喜んでいた。心の何処かで、嫌だという気持ちの影で、そんな行為を喜んでいる、気持ち良いことが大好きな自分がいたのだ。
『えっち』な『変態』さん。お館様は時折私の事をそう呼ぶけれど、何時しかそう呼ばれることに抵抗を持たなくなっていた。自分をあらゆる意味で見つめ直しても、確かに言われてもしょうがないと思うし……何より、お館様の声は、自分を貶めるような、そんな響きはなくて――。
「何度も言ったでしょ?私は'貴女を貴女として可愛がるし、愛する'って。だってえっちなのも変態なのも含めて貴女じゃない」
……変態に関してはお館様に仕込まれた感が無きにしもあらずですが……でも、それを受け入れようとした辺り、私も相当な変態なのだろう。
改めて私は、お館様と過ごした日々の中で変わっていった場所を考えてみた。
まず……顔から。乾燥することがなくなって、いつでも瑞々しい肌が保たれるようになった。瞳の色が、茶色から綺麗な水色に変化していた。髪の毛以外の産毛が消え、毛穴が全く無くなった。
次に……首から下の、腰から上。肌は手足も同じように毛穴一つ無くなり、常に清潔に保たれるようになった。昔はAしかなかった胸が、今ではGの大台に乗って、しかも母乳を蓄えるとさらに大きくなった。両方の乳首は、ほんの少しなら摘まんで開けるようになっていた。お臍が物を加え込むようになっていた。腰は括れ、あの世界に居たときよりもスタイル自体が良くなっていた。
次に――下半身。体に生える毛という毛が全て無くなり、ツルツルになった皮膚、とろとろと甘い蜜が染み出してくる私の秘所はどこまでも広がって、しかも入ったものを時に優しく、時に貪欲に包み込んでいく。
どの皮膚も、本来の人間の肌よりも薄くなっていて、しかも伸び縮みして、もし切れてもすぐに傷は治ってしまう。分泌される汗は、まるで砂糖水のように甘くて、空気中に発散されるとみんな気持ち良くなるみたい。全身を巡る血液は全てスライムに変わって、血管もスライムへと変化した。
そして、私の子宮の中はいつでも甘く湿っていて、柔らかい肉のカーペットは全てを受け入れたように優しく包み込んで、あちこちから伸びた触手のような管が、愛蜜と母乳をとくとくと吐き出している。
背骨とかはどうなっているかは解らないけれど……多分、千切れないし削れない、そして折れない物質に変わっている。神経は、痛覚が全て快楽神経へと成り代わって……。
外から見れば、ただおっぱいが大きいだけの普通の人間に見えるかもしれないけれど、その実、全く人間とは違うものになってしまっている――私。
「……化け物、か」
きっと人間は、私を知ったら化け物と言うかもしれない。それは彼らから見たらきっと仕方がないことなのだろう。
でも……。
「――貴女は貴女よ。化け物じゃないわ。貴女っていう、唯一無二な存在なんだから……」
……お館様は、私にいつも言ってくれていた言葉を、私に言って聞かせるように再び言った。
いつもそうだった。化け物と生物の違いを聞いてきた時も、夜中のスキンシップの時も、昼間のティータイムの時も、お館様は私を人間とカテゴライズすることは無かったし、ずっと『貴女』……二人称で呼び続けたのだ。そして、私を私として――愛してくれた。
それが分かったから、私もお館様を嫌うことがなかったんだろう。そして――。
「……はい」
私は再び、自分の体について考えてみた。
皮膚が薄くなったのは、お館様が体に入りやすくするため。
毛穴一つ無くなったのも、お館様に綺麗と言われたかったから。
汗や愛液が甘くなったのも、母乳が濃くなったのも、お館様に味わって欲しかったから。
血管がスライム管になったのも、お館様が体の中を自在に移動できるようにしたかったから。
膣の中が柔らかい肉で襞々になったのも、お館様が気持ちよく入れるようにするため。
そして子宮の変化は、全て――お館様が入るのに、快適な場所にしたかったから。
みんな、お館様のための体になっていたのだ。
「……と言うことで、これからも末長く、よろしくお願いします」
そう一礼して、そう言えば服を身に付けていない事に気付いた私が、新たなメイド服を取りに行こうと立ち去ろうとする私は――次の瞬間。
「こちらこそ――早速、よろしくね♪」
「……え?お、お館様?」
どうして両腕にスライムを巻き付かせて?いえ、それ以前に体内に入ったスライムを使って私の足の動きを止めてません?
というより……早速!?
「ええ。だってほら……二人とも今、裸じゃない」
「え……あ……」
いや、それは当たり前ですよね、だって先程まで交わっていて……あれ?あの時は服を着ていたような?
「ふふふ……今日は色々な初めてがあったから……ふふ……色々と初めてをしてあげる……」
「え……お……お館様……?」
マズイ……色々と本気な目をしてる……どうしよう……。
「ふふふっ……心配しなくてもいいわ。貴女はいつものようにしていれば、私が気持ちよくしてあげるから……」
その一言が余計に嫌な予感を想起させるのですが……!
などと考えている間に既にお館様は私の体を引き寄せ終わっていて……。
「ふふっ……こうされるのは嫌いかしら?」
触手を伸ばして私の胸の辺りを覆いつつ、お館様も胸を膨らまして私の背中にむにゅむゅと押しつけている。
ふよん、ふよんとした私の肌の感触とは違って、ぶるん、ぶるんと不思議な弾力を伴って私の敏感な背中を刺激している。
「ふふっ……本当に素敵なおっぱいよねぇ……羨ましいわぁ……」
「んくっ……んはぁっ……ひぃうっ……お……お館様ぁ……」
お館様の体に覆われた私の胸が、ぐにょぐにょとその形を自在に変えていく。瓢箪のようになったと思えば、次の瞬間には取り崩されたプリンのようになったり、かと思えば乳首を圧迫してカルデラのようにしたりと、おおよそ人の手では出来ないような揉み込み方をしていた。神経とほぼ直に繋がっていると思われる私の皮膚からは、剥き出しの体に触れられるような刺激が断続的に伝えられていたけれども、私の快感耐性が引き上げられているのか、全く逝きそうな気配はなかった。ただ、その刺激に反応して、乳房にどんどん母乳が蓄えられていって……。
「何かしら?にしても本当に気持ちいい肌触りよねぇ……ふふっ、感触が変わってきたわ」
私の声よりも前に、お館様には思考が伝わる。その気になればお館様の感情も私に伝えることが可能らしい。けれど決して、お館様はそれをしない。他のスライム族の方からも同じことを言われてたけど、それでもお館様は私とは口で会話を交わしている。
「……やめ……ひん……でちゃいま……きゃう……ミルク……ひぁぁ……」
既に乳首も凝り立っている。今は母乳を塞ぐように閉じているが、お館様が入ろうと思えばいつでも入れる柔らかさを持ちながらも、その存在を主張するように持ち上がって――!?
「ひぁぁぁうっ!」
お館様の体が、乳首を押し開いて中に入ってきたのだ!そのまま奥へ進むかと思われたその体は、しかしただ乳腺を塞ぐだけでその動きを止めてしまった。けれど、じわじわと乳首を内から外から圧迫する刺激で、私の母乳はさらに量を増していく……!お館様が揉む度に、だぷんだぷんという音が聞こえてきそうだ。
「ふふふ……こんな飲み方、貴女は初めてよねぇ?」
背中にむちむちと乳を押し当てているお館様の声が、胸の快感に翻弄されている私に響いた――その瞬間!
ずぢゅるるるっるるるっるっっ!
「び、びぃゃああああああああああっ!」
お館様が、乳腺に入った体をストロー状に変化させて、そのまま私の母乳を勢いをつけて啜り始めた!ウォータースライダーのように急速の勢いで狭い入り口から排出されていく母乳に、私の乳首は盛大に震えた!乳首に何重にも絡み付いた快楽神経が伝わった振動を快楽信号として変換して、私の脳に向けて一気に送り込む!
快感耐久限度がかなり底上げされている私だけど、空のバケツにホースで水を流し込むように勢い良く雪崩れ込んだ快感は、跳ねた水がバケツ上部からはみ出すように一瞬だけ限度の点を超える程の衝撃を私の体に――脳に与える!
既に股間はとくん、とくんと切ない鼓動を繰り返し、子宮内の管からはとぷとぷと乳液混じりの愛液が湧き出している。
「ふふふ……?こぉんな恥ずかしい格好は……何度かやったかしら?」
私を抱いたまま後ろに倒れ込むお館様。ぷるぷるとした感触が衝撃を和らげるのと同時に、確かな胸の感触を、私の中に伝えていく……?
「!?ひゅあっ!」
敏感になっている私の尾てい骨からお尻の谷間のラインをなぞるように、お館様が体を広げ出した!ぞわりぞわりと、胸と同じようにお尻の肉も忽ちのうちに水色スライムに包まれ――!
「ひぅああっ!」
「あらあら……そんなに気持ち良かったの……?うふふ……本当にエッチな娘よね……」
アナルの皴一本一本のその奥にすら入り込むように、お館様の体が尻穴周りを蹂躙していった!幽かにアナルの中に体を潜り込ませつつ、そのままスライムは蛞蝓のように前に進み、範土を広げていく!
両胸は依然として揉まれ続け、作られ続ける母乳がびゅっ、びゅっとまるで牛の搾乳のように勢い良く噴射されていく!噴射された母乳は直ぐ様お館様の体に吸収され、背中に押しつけられる胸の感触が次々に変化していく。弾力的なそれが、徐々に柔らかさを増していく……!
「ふふふっ……♪ねぇ……。きもちいいでしょ……?」
お館様は何処か酔ったような口調で、胸周りからも体を覆い被さるように広げていく。押しつけられた胸の感触はそのままに、背中周りへとお館様の体はどんどんと広がっていくのだ。
その全てが、ぷるぷると細かい振動を繰り返して、私の皮膚に細かな刺激を与えていく。まるで皮膚走っている静電気が、そのまま変圧器で勢いを増加させられたような刺激に、私の耐快感メーターはじわりじわりと上昇していく……!
「……貴女も、随分強くなったのねぇ……初めなんか、胸を揉まれながらこうしてほぼ全身ぷるぷるさせられただけで一回逝ってたのにね」
「そ……そうでした……か……ひぃあっ!」
私に話しかけながらも、お館様は体を私の体に這わせていき――ついに私の秘部に、膜を張るように被さった!重力に従うように秘部の中へとゆっくりと垂れ下がっていくそれは、膣肉を覆い包むようにねっとりと蠢いている。
「ふふふっ……甘ぁいわね、貴女のラブジュース……ううん、もうラブシロップって言った方が良いかしらね」
私の肉襞の隙間にまで入り込んだお館様が、襞から分泌される蜜をぺろぺろと舐めている。表面を蛇の舌のようにちろちろとさせて、襞の性感帯部分を正確に舐め貫いているせいで、私の陰核がぷっくりと膨れて――!
「――!ひぁぁっ!おぁっ!おやか、さぁぁあぁぁぁっ!」
秘部に張ったスライム膜に私のクリトリスが当たった瞬間、お館様が直にふにふにと弄り始めた!直に敏感になった陰核を手で弄られた私は、最早普通の言葉すら話せなくなる程に体を震わせて、舌を痺れさせ、意識を混濁させていた。全身に、直にスタンガンを当てられるような強烈な刺激に、ついに私の体は限界を迎えた!
「いあ……あっ……ぁぁいああああっ!いきっ!イキますぅっ!わらひいひまふぅぅぅぅぅぅぅんあああああああああっ!」
ぶしゅうぅぅぅぅぅっにゅるびゅびゅぶるるるどくんとくんどくんとくんちゅるちゅるちゅる……。
「んはぁぁ……ようやく一回イッたわね……どうかしら?今の気分は」
噴射された体液を全て体内に取り込んだお館様は、私の腰回りから胯間をまるでパンツのように包み込むと、徐々にその体を足先へと延ばしていく。蛞蝓が這い進むようにじっくりと、私の脚を包み込んでいくお館様の感触が、絶頂の余韻でぼやけた頭にもわかる程の、むず痒さやもどかしさとピリピリした快感が頭から全身に向けて流れていく……。
「……んん……んは……お……おやひゃたひゃまぁ……」
痺れっぱなしの私は、回らない舌を何とか回してお館様に返すと、そのまま全身の力を抜いた――いや、抜けてしまった。胸元から、腕へ指先へとも拡がっていくお館様の体。今や、首から下が全てお館様に覆われてしまっている状態なのだ。
「はぅ……いふんっ……んはぁぁっ!……んんっ……」
「ほらほら……ここかしら?それともここ?こっちの方がいいかしらぁ……」
まんぐり返しの格好のまま包まれた私を、お館様は細い棒を押し付けるようにあちこちを押して刺激していく。私の性感帯の中で、一番感じるのはどこかを探すように、背中のラインや二の腕、腰回りや乳首などを圧していく。様々な強さの刺激が、私の快感耐久上限値をどんどんと削っていく……。一回達してしまい、盛大に愛蜜を吹き上げると、待ち構えたようにお館様がクリトリスに吸い付き、付着した液を啜ると同時に新たな快感を与えていく……。
「ふふふっ……そろそろ、顔も包んじゃうわよ……良いわね?」
……駄目って言ってもやりますよね?お館様。
普段の私だったらそう思考でも返せただろう。けれど今の私は、思考すら快感に汚染されて浸食されてしまっていた。
「……あ……あひ……あ……」
とくん……とくん……。
子宮の中では、大量の愛液が管の中からどぱどぱと溢れだし、膣の襞を包むお館様の体に触れるか触れないかの辺りまで貯まっていた。多分、たぷんたぷんとお腹が鳴っているのは気のせいではないだろう。
……段々と私の目に光が戻ってきた頃、お館様は私を覗き込むような位置に顔を出現させ、じっと顔を見つめていた。
「……ふふっ……本当にいい顔しているわね……」
ようやく回復してきた視界に映ったものは、いつものように何処か悪戯っぽい笑顔を浮かべるお館様と、その横から伸びてくるスライムの手だった。手はそのまま私の頬の辺りまで伸びてくると、ぷにぷにと指で押し始めた。
「お館様……」
先程まで与えられていた快感がようやく、頭のなかで処理できたらしい私は、体に残る余韻を味わいながら、ぷるぷると震える指の感触に目を細めた。
「自分を忘れる、って言うのは、自分があるから出来ることよ。忘れたって、あとでいくらでも思い出せる、そしたらまた気持ちいいことで忘れられる。そうして幸せな気持ちを繰り返して繰り返して……それが幸せの形の一つ。そう思っているわ」
ぷにぷにと頬を凸凹させながら、お館様は私に羨ましそうに言う。
実際羨ましい、とも言ってましたし、ね。
『私達スライム族って、他者との境界が曖昧なのよ。スライムだから仕方ないんだけど、そのせいで自分って言うものが変わりやすいのよね。私もここ数年貴女と以外交わってないけれど、昔はこんな性格じゃなかったわよ?』
確かあの時は、想像の中で異様にしおらしくなったお館様を想像してしまい、後で肺の辺りから肛門までをお館様で満たされながら家事をすることになったっけ……。しかもノーパンだったから、掃除するときに床を何度も汚して……。
「うふふふっ……気持ち良くなることって、素敵じゃない。えっちなことを嫌がるのは、多分それが大切なことだから、大事にしていたい――そんな思いがあるのかもしれないけど……ね」
……スライムと人とでは、羞恥の概念が違うようです
「違わないわよ?『その暮らしてきた空間が教える、自分の尊厳を自ら傷つける行為』が羞恥だもの。服を身に纏うのもそう。挨拶の口調もそう。みんな尊厳を守るためにしてることだもの」
もう一本の腕を伸ばし、指を振るお館様。相変わらず私の頬はぷにぷにされっぱなしだ。
「だから私は、えっちなことは恥ずかしいことだと思わないの。むしろ素敵だと思うのよ?お互いに幸せになれて、自分と相手の境界を消し去って一つになれるんだから」
少しずつ、お館様が私の中に入ってくるのが分かった。皮膚から染み込んで、血管――スライム管の中にも浸透していく。次第に私の体を包むスライムの厚みが薄くなっていくのが、視界の外に見てとれた。
「私はえっちが好きだから、そんな私を好いてくれる貴女が、えっちな娘なのが本当に嬉しいの。だって、二人ともえっちが好きなら、一緒にどこまでも幸せになれるでしょう?」
うふふ……といつものように微笑むお館様に、私は――。
「……はい。私も、お館様と一緒に幸せになれるのが、とても嬉しいです」
「……ふふっ、嬉しいこと言ってくれるじゃないの……」
いつの間にか、スライムハンドによるぷにぷには止んで、まんぐり返しの格好も解かれていた。代わりに、お館様のスライムが、首元から後頭部にかけて、髪も含めてゆっくりと覆い尽くそうとしていた。
「お……お館様……?」
怯えたような声を出す私。でも、心にあるのは恐怖より……期待の分が大きかった。あぁ、やっぱり私はえっちな娘なようです。
「……ふふふふふふふ……」
段々と近づいてくるお館様の顔。私はそれを受け入れるように目を瞑り――。
「――んん……んむっ……んちゅ……」
唇を交わした瞬間から、お館様は私の中に舌を延ばしていく。絡み付いた確かな体温を持つスライム舌が、私の舌をきゅっきゅっと優しく絞める度に、私は気持ち良さのあまり母乳をまた噴射してしまう。
次第に、鼻の窪みや頬にもスライムの感触が伝わってきた。どうやらお館様が顔の形を解いたらしい。今頃、きっと私の全身は、すっかりお館様に覆われてしまっているだろう。
「……ふふふっ……ねぇ……」
お館様が、耳元で喋っている……私はそれを、思いで返し――
「……'初めて'、やってあげるわ」
疑問と恐怖、そして期待の感情すら投げ掛ける間も無く、当然思いなどで返信する間も無く、それは――
ずぼおあぁぁっ!にゅるにゅるにゅるにゅる……!
一気に私を貫いてきた!
「!!!!!!!!!!」
叫び声は、全てお館様のスライムに吸収されて外に出ることはなかった。既に肺にもお館様の体は浸透している。だから私は、口を開いたままがくがくと体を揺らすことしか出来なかった。
耳の穴に入ったお館様の体は、鼓膜を痛みもなく破るとそのまま三半規管などを犯しながら奥へ奥へと進んでいく!従来では触れることすら出来ない期間を犯された私は、背筋が震源地の地震を体現するのと同時に、頭がぐらぐらと大きく揺れるのを感じていた。
聴力を失った筈の耳から、くちゅくちゅ、ちゅぶちゅぶといった音が頭の中へと伝えられていく。そのいやらしい水音に、私の体がとろかされていくようだった。
お館様の体は耳を犯し終わると、さらに中の方へと体を浸透させ――!
『限界を超えるの、初めてでしょう?』
そんな声が、頭に直に投げ掛けられた気がした。けれど、それを認識するよりも前に――!
ぐじゅ……にゅる……にゅるるっ……
「――!!!!!!!!」
――お館様の体が、ついに脳に繋がった!
ぐにょん!ぐにゅん!ぐにゅっ!にゅん!
「――!!!!!!!!!!」
頭の中でのたうち回るお館様の体は、脳に根を張るとそのまま快楽神経と一体化した!同時に、前頭葉等の主要な器官とも繋がり、まるで感情すら乗っとる寄生生物のようにお館様は私の脳とドッキングしていった……。
『ふふふ……大丈夫よ。貴女を変えはしないわ。ただ、ちょっと快感に対して強くするだけだ・か・ら☆』
お館様が私に直接、安心させるような思念を脳に送り込んでくる。私の脳はそれを反映して、安心感をもたらす脳波を発信した。抵抗なんて出来ずに、私はその脳波のままに心を落ち着かせていった……!?
ぐりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅりゅっ!
「!?!?!?!?!?!?」
突然、私のスライム管の中に入ったスライムが、管を擦るように急速に蠢き出した!スライム全てが舌を持って、内壁部分を舐めとっていくような感触が、どうすることも出来ないままに私の全身で同時に発生する!指先、腕、足先、脚、秘部、腰、胸、心臓、首、口の中、目の辺りから髪の毛まで、全てスライムが通う場所の内壁が執拗に舌の往復と甘噛みで感じさせられている!
本来なら、ここであまりの刺激に焼ききれてしまう処か壊れてしまうだろう私の心は、でもそれでも正常に保っていた。お館様が、脳をくちゅくちゅと弄って、私に正気を保たせているのだ。
ぶしゅっ!と音を立てて、包まれた股間から盛大に愛液を噴射する私。その全てがお館様のスライムに吸い取られ、全てがお館様の体へと変化していく……。
ぐに、ぐにゅと、少しずつアナルから伸びていくお館様の体。適度な粘度と質量をもったそれは、腸全体に粘液を塗りつけるように少しずつ体の奥へと先端を進めていく!塗りつけられた場所は肉を押し広げたり、襞を舐めたり吸ったりと、じんじん来る快感を私の脳に連続して送信している!
『ふふふ……まだ駄目よ……まだ'初めて'は終わってないわよ……』
そんな中でもお館様と一体化した脳は私を壊すこと無く、強い快感として体を震わせるだけにとどまっていた。瞳孔も口も開ききっていたけれど。
ずむ、ずむと腸を蹂躙していくお館様。いつの間にか、口からも体は伸びて、同じように肺や食道、腸を犯していき――両者が一体化した。
『ふふふっ……全身が繋がったわね……』
お館様の言う通り、私の体で、お館様に触れられていない所なんて無かった。頭の天辺から爪先まで、内側も外側も、全てお館様と繋がっているのだ。最早体が一体化したと表現しても何らおかしくはない。
耳から送られてくる刺激が、お館様のスライムによって急速度で全身に伝えられていく。それに反応した私の体は、びゅくびゅくと盛大に蜜や母乳、腸液を噴射した。それらは全て、お館様の体に吸収されていく。同時に、興奮と安らぎ、相反する二概念を思わせるような抱擁が全身にぐにょぐにょと与えられる。
私は最早悶えることすら出来なかった。ただ、力尽きる時を待つように、今か今かとその時を期待するような思いを抱くだけだった。
『うふふふふっ♪じゃあ、そろそろフィナーレね♪』
麩菓子のように軽い口調で、お館様がそう漏らした――
――――――――――――――
それから目覚めるまでの事はよく覚えていない。ただ……何をされたか、何をしていたか。それは、お館様の言葉で知ることになった。
――全身に回ったスライムを、お館様が同時に動かしたのだ。スライム管を擦り、脳を弄って快感のリミッターを外し、腸壁の裏の快楽神経を刺激し、皮膚上の快楽のツボを押し――クリトリスを甘噛みした。それら全ての暴力的な快感を脳が一気に受けた結果――ついにオーバーヒートしてしまったのだ。
『ふふふ……可愛いわ、本当に可愛いわぁ……』
次に目覚めたのは――お館様の体の中だった。管が、お臍の中に入って、とくとくと何か暖かいものを送り込んでいく。
時々、すりすりと膨らんだお腹を撫でながら、優しく語りかけるお館様の様子が伝わってくる。何となく……幸せ。
あ……、鼓膜も治ってる……。ほとんど元通り……。
お館様……。
いつまでも……。
一緒に居ましょう……。
……でも、えっちはもう少し手加減してください。お願いします。
fin.
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