放課後。勉強をする人も部活動に行く人も早々に離脱し、夕焼け前の日の下でたわいもない話をする生徒だけが残るこの教室で、私は帰宅準備のために教科書を鞄に詰め込んでいた。
よく話すクラスメートは、今日は部活でいない。少し残念……というより心細い。多分私に妙に突っかかってくるいつもの三人組が今日はいるから。
いつも思うに、どうして小集団は三人組が定番なのだろう。別に四人でも五人でもいいじゃないか。多分人数が多いとコンセンサスが取りづらいのかもしれないからこんな少人数制なのかもしれないけど。
などととりとめの無いことを考えつつ、鞄に本類を詰め終えた私は、件の傍迷惑な人種に会わないことを期待しつつ、学校の出口へと駆け足で進んでいった……。

「……何澄ました顔してんのよ」
「正直生意気なんだよアンタ」
「優等生気取っちゃってんの?マジデ?イモくね?」
……やっぱり。
待ち伏せなんかして何が楽しいのだろう。そんな迷惑そうな視線を向ける。それが癪に障ったのか、さらに語気を荒げる。
「何か言えよコラッ!」
壁際に追い詰めつつ、下腹部に一撃、爪先が私の鳩尾に埋まる衝撃で、私は大きく咳き込んだ。
「きっ、汚ねぇんだよっ!」
咳き込んだのと同時に唾が飛び、それが衣服に飛び付いたのが嫌悪感を強めたらしい。さらに強烈な蹴りを執拗に、何度も、何度も。
取り巻きも、口々に何か私を罵りつつ蹴っていく。傷口が見えない、服の上からの暴行。それが終わってなお、私はリーダー役を睨み付ける事しかしなかった、いや、出来なかった。
でも希望はある。そろそろ、見回りの担当がここを回る筈だから……。
果たして、さらに苛立たしく蹴りつけようと足を振り上げた相手の動きが止まり、苦々しい顔を浮かべながら去っていった。取り巻き二人も、見回りの人と私に呪詛の言葉を吐きかけながら足早に去っていく。
残されたのは、いつもの調子で私など気にせず見回りを続ける見回りと、何も出来ずがくりと校舎の壁にもたれ掛かったままの私だけ……。
これが、いつもの風景。これが、いつもの日常。疑問を抱いたときは遥か昔。今は何も抵抗せず耐えるだけ。抵抗すれば、無駄な力が生じて、痛い時間が増えるだけだから……。
何時もなら、このまま体力が回復した頃に立ち上がり、痛みに耐えながら家に帰り、何時も通りやや明るい演技をしながら、風呂場で傷口や痣を確認する。それが日課となっていた。
今日この日も、そんな日常を送る筈……だった。

耳の奥が、何か膜を震わす音を捉えるまでは。

「……?」
普通なら、ここで辺りを見回すなりして、音の正体を定めただろう。だが、そこまで体力が戻っていなかった私は、そのままぼおっと虚空を見上げるだけだった。
次第に音は大きくなっていく。同時に、何か粘っこく甘い香りが、私の鼻孔に絡み付いてきた。
「……なん……だろ……」
まるで蜂蜜のような香り。それでいて蜂蜜よりも深く柔らかく、嗅いでいるだけで沈んでいきそうな香り……。
……耳元に響く音。それが段々と、心地の良い音に変化していく。音に、香りに包まれながら……私は意識を手放した。



「んぁふっ!んはぁっ!あんっ♪んあぁあっ♪」
「んいふっ♪んんっ!んぁあぁっ♪あふぁんっ♪」
意識が戻ったとき、どことも知れぬ暗がりの中、私は一糸纏わぬ姿のまま、一心不乱に腰を振っていた。
疑問を感じる筈の私の脳は、今与えられているものにしがみつき、貪欲に求めるよう体に指示するのに精一杯だった。
既に珠のように浮き出た汗が周りの汗と合わさって、腕の横や頬を伝って流れていく。
「んんっ!んむぅ……くちゅ……ぢゅる……」
私の上に跨がっている影は、豊満な胸を私に押し付けながら、流れ落ちる汗を舐めとったり吸ったりしている。蛞蝓のごとく舌が動く度に、私の体は擽ったさともどかしさに体をビクンビクン震わせた。
「んあふぁっ!ひぁぁっ!やぅあっ♪」
首筋を執拗に舐められる私。嫌悪感が悪寒となって背筋を走るよりも先に、性感帯をチリチリと刺激されるような淡い快感が走るのは、辺りを満たす濃厚な芳香のせいだろう。
まるで蜂蜜のようにねっとりと甘く、心まで絡み付くようなそれは、目の前の存在があらゆる場所から放っていて、ちりちりと私の神経を焼いていくのだ。
それの汗や唾液、それが私の皮膚に辿り着くと、そのまま私の中に染み込んでいき、その場所から同じ香りを外へ内へ放っていく。
交わり始めてから数時間。私の体は蜂蜜の香りを放っていた。
「んふ……んっ♪あぁ……いいよぉ♪あなたのお〇んこぉ……くちゅくちゅってしてぇ……ふとももをはみはみしてぇ……っ♪」
気持ち良さそうな声をあげるそれは、視覚的に判断するなら女の子であった。私のお〇んこを味わうように自身の太股を押し付けつつ、私の太股に自身のお〇んこを押し付けている。
とろとろと……彼女の股間から蜂蜜色の液体が溢れ、私の体に塗りつけられていく。いや、ひょっとしたら本当に蜂蜜なのかもしれない。彼女の外見にある、人間にはないパーツ、それを考えるならば。
ヴン……と、彼女の背中で何かが震える。まるで興奮の度合いを光で知らせているかのように、私の目の前で暗い青から、明るい白へと色を変えていく。それが彼女の全身と、私を照らしていく……。
光を板状に伸ばし、先端に丸みを帯びさせたような形状のもの。それが四枚、彼女の背中から突き出て振動していた。――蜂の羽根だ。
二対のそれが掴んだ、私達の周りに存在する風が私の方へ身を寄せる度、ねっとりとした彼女の香りが私をさらに染めていく……。
「んんぅっ!んぁぁっ!ぁ、ああっ、あぁあはぁぁぁぁんっ♪」
彼女の股間から溢れ出す蜜を彼女は手に取ると、そのまま私の体を愛撫し始めた。腰から生えた二本の腕も同様に蜜を手に取り、私の肌にまるでローションのように塗り広げていく。
蜜が塗られた場所は感度が上昇して、まるで神経を蜜が引きずり出したかのように、触れられた場所に電撃が走り、じんじんと触感の痕跡が残った。
痛みはない。寧ろひたすらに気持ちがいい。撫でられた場所が、抱かれている場所が、触れられている場所が、まるで針の刺激と羽毛の愛撫に晒されているような、刺激と優しさが合わさったような感覚を受けている……!
人間では不可能な、五方向からの愛撫……それを受け続けた私の心は、すっかり蕩けてしまっていた。
「んぁぁあっ!あぁあんむぅぅぅ……っ」
彼女が顔を近付けて、叫び声を塞ぐように、私の唇に彼女の唇を押し付け、舌を割り入れてきた。
「んんむんっっ……♪んんっ……♪んむん……っ♪」
まるで労るように、それでいて情熱的に彼女は私の舌に自分の舌を絡めてきた。舌を伝って、彼女の甘い唾液が私に流れ込んでくる。
同時に、形の無い、けれどどこかぽかぽかとしたエネルギーのようなものが、唾液と一緒に私の中に入ってきて……染み込んでいく……。
「んんぅ……んぁぅ……んひゅぅむ……ん……ぷはぁっ♪」
ぼおっとした私の目の前で、彼女の顔が離れていく。先程まで触れていた唇同士が糸を引き、黄金色の橋が二人の間にかけられていく……。
こく……ん、と、無意識のうちに私は先程の唾液を飲み込んでいた。段々と、自分がふわふわしていく中で……彼女は私に抱きつきながら、耳元で囁いてきた。
「んはぁ……♪ねぇ……お願い……♪……私達の……女王様に、なって……♪」
ゆらゆらと、彼女の背中の辺りから何かが持ち上げられている。それは光を放つ彼女の羽根に照らされ、ありありとその全景を目にすることが出来た。
黄色と黒の縞に彩られた、巨大な蜂の腹部。その先端に見える針は、どこか傷つけると言うよりは‘与える’ための形状をしていた。
蜂の針は、産卵管の変化したもの――なるほどと、どこか遠くの風景を見つめるような感じで、私はその先端を見つめていた。恐らく、それは私の中に入れられるのだろう。
不思議なことに、それに関する恐怖は全く私の中に湧いてこなかった。寧ろ、幸せそうな彼女の表情を見ていると、何だか受け入れることが幸せのように思えてきたのだった。
「ふふふ……女王様ぁ……♪」
こくん、と一諾。それを見た彼女の顔は、心の底からの歓喜の顔を浮かべていた。
「わぁ……ありがとうっ……!本当にありがとう……っ♪」
耳元で、どこか感極まった声で囁く彼女の、蜂の尻尾。その先端が――!

ずぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっ!

「「!!!!んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪♪」」

――私の秘所の中に潜り込んだ!
「んぁあっ!んぁっ!んぁふっ!ひぁ、ひ、ひぁぁぁあっ!」
長い間繰り広げられた交わりの中で、私のお〇んこはぐちゅぐちゅのとろとろに湿り蕩けていて、彼女の針を柔軟に受け止めていた。
まるで赤ん坊が胸に吸い付くように、私の下の口は貪欲に、彼女の蜂の腹部にむしゃぶりついていた。先端からは、堪えきれなかったのか、とろとろと熱い粘液が私の膣道に垂れ落ち、内壁に広がっていった。
「んあっ!だいすきっ!だいすきだよぉっ♪んぁ♪んぁっ♪んぁぁぁぁあああはぁっ♪」
興奮したように、秘部をお腹に擦り付ける彼女。同時に、唾液にまみれた私の肩にふっくらした胸を押し付けるように、強烈に抱き締めた。
水膨れに針を刺した時のように、びゅっ、と彼女の胸から黄金色の蜜が吹き出し、私の周りを甘い香りで染め上げていく。所々体にかかったそれは、徐々に私の体の中に深く染み込んでいく……!
好意は欲求を増加させるのか、彼女の尻尾が凄まじい勢いで私の中に出入りを始めた。ぷつり、と言う音の後に感じた痛みが、次の瞬間には心地よい快楽へと変化していく。
「んぁあっ!はぅっ!んはっ!んあっ!」
彼女が先端を奥へ突き入れる度に、私は内臓が掻き回され、圧迫されるような衝撃を受けた。相応の質量のある蜂の尾は、膣肉の柔らかさでも吸収しきれない圧力を私に熱烈にぶつけてくる。
振り飛ばされないようにしているのか、彼女の四本の腕はしっかりと私を抱き締め、体を密着させている。彼女の羽根の微振動が微妙な体の上下動を作り出し、快楽のバイブレーションを伝えてくる。
揺られ、振られ、震わされ、塗り付けられ……、出し入れされる彼女の蜂の尾が、私の愛液と彼女の粘液に濡れ、羽根に照らされててらてらと光っている。その様がどこか、私には淫靡なものに思えた。
「んぁあっ!んあっ!じょっ……じょ、じょおっ!じょおぉさまぁぁっ♪」
私の膣肉を抉るかと思うくらい、彼女は私の中に深く深く突き刺しだした。腰の振る高度は変わっていないことから、どうやら針そのものが伸びているらしい。同時に、体内を拡張するように、太く、大きくなっている。
「ひゃあぁあっ!ふわぁっ!おぁっ!?なっ、中で、なかでぉおおっ!」
言葉にならない叫びを挙げながら、私は彼女の蜂の尾をくわえ込み、腰を打ち付けている。肉同士が触れる音の代わりに、肉襞が擦れ、愛液が掻き回される音が私の鼓膜を刺激する。
快楽への欲求で満たされた私の脳は、あらゆる刺激を快楽へと全て変換させていく。奥へ、奥へ……子宮へと近付いていく針の先端。

ず   ぐ   ん   っ   !

「んはぁぁぁっ!」
彼女の巨大な蜂の尾が、一瞬猛烈に脈打った。その衝撃で、針の先端が子宮内部に潜り込む。普段絶対触れられない場所への侵入――私はただ口を開閉することしか出来なかった。
「んぁぁああっ♪来ちゃうっ♪きちゃうよぉぉぉっ♪んははぁぁぁあああん♪」
とくん……とくん……まるで心臓のように脈打つ蜂の尾。その一点、中腹辺りに握り拳一個分くらいの膨らみが発生した。
「――っ!――っ!――っ!」
声にならない叫び声をあげながら、私は子宮に入り込む針の感触に震えていた。蜂の尾の膨らみは、徐々に針の先端へと近付いていくようだ。
くちゅり、と音がして、私の陰唇が膨らみを受け入れる。そのまま、脈の音と同時に膨らみが、奥へ奥へと移動していく……。そしてそれは私の子宮孔を――推し広げた!

びゅくっ……ぐ……ぽんっ♪

「!!んあはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ……♪」

私の子宮の中に、何か球状のものが入っていった。同時に、彼女は蜂の尾をゆっくりと抜いていく……。
ぐ……ぐぽんっ……
「……んはぁ……はふぅ……んんっ……♪」
何か……多分、卵を私の中に出した時の快感が、彼女にとって凄まじいものだったらしい。声になら無い叫び声をあげて、そのまま力なく私の体に倒れ込む。
「ふぁぁ……」
とく、とく。
お腹の中で、音が響く。優しく、膨らんでは萎んで、とく、とく。
耳を澄ましていると、段々と心が安らいで、暖かくなっていく。お腹に手を置くと、そこからじんわりと、優しさが伝わってくる。
彼女と肌を接しているところも、とくん、とくんと暖かい。
これが、幸せなんだろうな……なんて、段々と夢見心地になって……。



――じりりりりっりりっっっりっっ

「……ふぁ」
目覚まし時計はいつも無情に時を知らせる。凪いだ空間に起きる風がありがたいと感じるのは、あくまでも副次的な要素があるから。でも目覚ましにあるのは、苛々しげな気分と、結果としての覚醒。
目覚めの理由としては、学生の本分である勉学のためではある。でも、自分としてはもう少し夢に浸っていたかった。いつものように、暖かくて、とっても優しくて、素敵な夢に……。
「……はぁ……ん?」
……なんで夢なのに、しかも考えてみたらすっごく卑猥な夢なのに、どうしてこんなにも気になっているんだろう。しかも連日同じ夢を、どうしてあんなに鮮明に……。
ぢくっ
「……っ?」
あれ?私、今何考えてたっけ……?何か首筋が痛い……。

「……いただきます」
返す声はゼロ。仕方ない。寧ろ返ってきたら私が危ない。
『あら、おはよう蜜樹……ふふふ……♪』
『おはよ……おねーちゃん……ふにゃぁぅ……♪』
何故だか最近、やたら家族がおかしい。まずは父親が、妙な葛藤を始めた末に起床時刻をずらすようになった。今までそんなことはなかったのに。
続いて母親と妹が起き掛けに抱き付いて、すりすりと顔を擦り寄せつつすんすんと体の香りを嗅いでくるようになった。
最初のうちは跳ね除けていたんだけど、最近はもう無駄だと悟って好きなようにさせてきた。……流石に鬱陶しくなったから起床時間を変えたけど。
かれこれ何週間くらいだろう……。えっと……あれ?
抱かれ始めたのって、夢を見て……あれ?夢を見たのって……。
ぢくっ
「……づっ……?」
……まただ。時折首が痛くなる。まるで何かにチクリと刺されたみたいに……。鏡で見ても、全く傷口なんて無いのに……。
……ま、いいか。考えていてもしょうがない。
「ごちそうさまでした」
私はお皿を洗いに、台所へと向かい、蜂蜜の香りがする洗剤を使って、皿を洗い始めた。
……何となく、この時間が心地好かった。




「みっちー、おはよー♪」
ぽふん、と私の服に特攻をかましてくるのは、私がよく話す友人、夏冬アキ(かとうあき)。私より大柄で力があるだけに、毎回タックルで私が倒れそうになるのはご愛敬。
「おはよ〜……アキ、どうしてそう毎回私にタックルするのかなぁ?」
服の埃を払いながら私が尋ねると、アキはいつもの調子でそれに応える。
「だぁってさー、みっちーの香り、とっても素敵で……つい飛び込んでみたくなっちゃうんだ♪」
また香り。そんなに良い香りなのだろうか。別に香水をつけているわけでもないのに。
母や妹とは違ってアキは引き剥がせないので、しがみついたりする様も我慢している。さすがに首筋に舌を伸ばされた時は全力で拒んだけど……って!
「うひゃあぁっ!こらっ!アキ!ここ路上だからやめてってば!」
路上以前に止めてよ!もうっ!
「んぁぁ……んんっ……ふみゅう……」
マタタビの香りを嗅いだ猫のように、私にもたれ掛かりながら首筋にまだ舌を伸ばすアキ……。
ここ数日間で、アキの私に対するスキンシップが一気に妙な方向に悪化した気がする。むしろ態度まで妙な方向に悪化したような気がする。
でも……あれ?何で学校でレズカップル誕生とか噂にならないんだろう……。こんなに周りに見られているのに……。

「おはよーみっちゃん♪」(ぎゅ)
「蜜樹さん、お早うございます……♪」(きゅっ)
「おう!蜜樹!今日も良い体して(へばぎっ)ほごぅっ!」
「み、みつきさん……お、おはよう、ご、ございますぅぅ……(パタン)」

「……」
本当に何が起こっているんだろう、と言うより、皆が壊れてきているのは何故?
学校に着いたらまず教室に着くまでにハグの洗礼。時々キスしたり股間をまさぐろうとしたり逆に股間を私の太股にくっつけてきたり、最近妙に育ってきた胸の谷間に埋めてみたり……。
それが教室に入ってからも暫く続く。遅刻しそうになったときはさらに酷い。何と言うか……私がまるで人形のように右に左に奪われては頬擦りされての連続だ。
因みにこの一連の行動、すべて女生徒時々女教師によって行われている。因みに男生徒及び男性教師は近付くときに女性に突き飛ばされるか、前屈みになるか……この世の春といった表情でふにゃりとへたり込むか。
……まさに何でだろう。何なんだろうこの展開。
まぁ、それでも何と言うか、良かったこともある。件の三人組が絡むことがなくなったのだ。いや、絡めなくなったと言うべきだろう。
理由は簡単。お早うからお休みまで……ではないか。登校から下校まで、誰かしら隣に居る状態が続いているのだ。……それこそ密着するほどに。
しかもそれが当たり前と言うか、何故か校内の誰もが受け入れているなんて常識的に考えて有り得ない状況が続いているのだ。
露骨な悪口や陰口が耳に届くのは、多分彼女達なりの精一杯の負け惜しみのつもりなのかもしれない。同じ土俵に立っていない私には、何の感傷も及ぼさなかったけど。
同じ土俵……、そう言えば、最近の私は同じ土俵に立って他人と関わることが無くなっている気がする。
自分を上に見ているつもりはないけれど……友達のアキや妹や母親にすら、距離をとっているようなそんな感じが自分の態度に感じられた。そして同時に、それが当然と感じている、とも。
何でだろう……などと考え現状からの心理的逃避を図りながら、いつ解放されるのやらと、チャイムが鳴る時を心待ちにしていたのだった……。




放課後、私がようやく周りの人達から解放される時間……。件の三人組は、学校の外で待ち伏せする事も増えたが、私を襲い始めてすぐに誰かしら人……と言うかクラスメートが来るようになり、迂闊に待ち伏せも出来なくなったゃうだった。ストレスが溜まっているのか、近頃では学校で別の子に当たり散らしているらしい。
……近いうちに何とかしなきゃならないかしら……?
「……?」
今、私は何を考えた?明らかに、あの子を助けるとかそんな夢物語を考えていたような……。
「……づっ……」
……じんじんと痛む首筋に、思考は中断される。最近になって……やけに、痛む……。
じくん……じくん……。
……頭が……首の痛みが伝播して……。
『……』
……じりじりと……みみなりのような……あたまのいたみのような……。
あぁ……なにも……かんがえ……。

『……を……』
……?……。
『……み……に……』
……このこえ、は……?
『……つ……る……』
「……」
だんだんと、はっきりして……。
『……みつを……』
……みつ……。
『……みつを……あのこに……あげる……』
……みつ……みつぅ……。
『……蜜を……あの娘に……あげる……』
……みつ……あげたいの……あげたいのぉ……。

……あのこに……あげるの……。




恐らく、蜜樹の姿を見ていた者がいたとしたら、突如彼女がふらついたかと思うと、彼女の周辺の空気が一気に歪むという不思議な光景を目にしたことだろう。
だが幸いなことに……そこには蜜樹しかおらず、また彼女が立ち去るまで、その通りには誰も立ち寄る事はなかった……。




「あははぁ……みつぅ……」
胸が膨らんでいく。自然と、少しずつその体積を大きくしているのだ。
張り詰めそうなほど大きくなるにはまだ時間があるけれど、既に私の乳首は、くぱくぱと口を開き、ツンと制服を押し上げるように立っていた。じきに、じわりと先端が滲んでくるだろう。
そうなるまえに……のませてあげなくっちゃ……。
自然と、私の体からは人間を誘惑するフェロモンが放出され始める。本来は多数の人間を魅了させるためのものだったけれど、今では特定の人に向けてのみ放出することも出来るようになった。
私はそれを、目の前でふらふらと歩いている彼女に向けて放出すると……だんだんと、彼女の歩く速度が小さくなっていった。
次第に、歩みを止めていく彼女。私が追い付いたとき……そこには、頬を紅潮させながらも瞳に焦点はなく、立つこと以外の力が抜けきった彼女がいた。
「あはは……」
私は制服のボタンを一つ一つ外し、シャツの繊維の隙間からフェロモンを漏らしながら彼女を胸元に誘導した。
フェロモンにくらくらしている彼女は、私の意図していた通りに動き……私の胸の谷間にシャツ越しに滑り込んだ。
布地が薄まりそうなほど押し広げられつつあった胸元の先端にある、小指の先ほどの大きさがある乳首が、生地の網目に沿って擦れ、何処かもどかしい感覚を伝えてくる。
さらに、彼女の顔の重みが、胸を微妙にひしゃげさせつつシャツを押し、結果としてある一部分に過剰な力が働くようになり――びゅぴゅっ!
「!!んあぁあっ♪♪」
圧迫された胸が、母乳……ではなく黄金色の蜜を吐き出していた。粘度の高い液体は発射される瞬間に猛烈な摩擦を引き起こし、それが蜜樹の快楽神経を直に刺激していく。
じわりと滲んだシャツ。その繊維の隙間から漏れ出すように飛び出る蜜は、フェロモンの効果を増幅させる効果を持つ。そして、フェロモンに少しでも反応した者は、その蜜に惹かれる効果もあるのだ。
彼女は蜜樹の胸から一旦顔を離すと、呆けた瞳をまるで何かをねだるように上目遣いにしながら、蜜が滲むシャツに食らいついてきた。
「んぁっ……あぁっ……な、なんっ……」
服越しに感じる唇の感触は、若々しさゆえにとても柔らかく、凝り立った乳首に立てられた歯が、まるで針の柄側の先端を押し付けているかのように、ぐにぐにと刺激していく。
同時にそれらの行動は、あまり質の宜しくないシャツ特有のざらついた織り目によって皮膚が擦られる結果を産み出し、感度のそれなりに上昇した蜜樹は与えられる刺激――快感に悶え、さらに蜜を生成していく。
「んぁあっ……もっと……そう、もっと押し付けて……いい、いいわ……んぁっ……」
服から染み出る蜜を、一心不乱に舐め取ろうとする彼女。蜜樹のシャツの胸元は、彼女の唾液と蜜でベトベトに濡れていた。きっと服の裏は凄いことになっているだろう。
もう片方の胸元も、蜜が溢れシャツの上に黄金色の通り道を形成していく。黄金色の水玉は、まるで蛞蝓のごとく這い進んでいる。服の上も……肌の上も。
無我夢中で私の胸を貪る彼女を、私は抱きあげると、そのまま人目につかない場所へと歩いて移動した。密着した肌から、汗から、胸の谷間から大量のフェロモンが溢れ、蜜の香りと一緒に彼女を包み込む……。
「……んむぅぅ……んむむぅ……」
服から溢れる蜜を懸命に吸い取ろうとする彼女は、いよいよもどかしくなったのか、私の服を破って直に胸を吸おうとしてきた。半分意識がない状態だから力も強くなっている。
でも、私はそれよりも強化されていた。破ろうとする彼女の動きを、脱がそうとする動きに変化させるくらいには十分な力があった。
彼女の両腕を、私のシャツの下に寄せて、そのまま掴ませる。引き裂こうとする左右の手の力をそのまま上に向ける。
すると、引き裂く力が衣類を広げる力に変わり、私のシャツを彼女が脱がしていくようになるのだ。
そのまま私は、一瞬両手を離すと――既に制服とワイシャツを脱いでいた私の視界を、黄金色に染まるシャツが通り過ぎ、上半身は生まれたままの肌を晒すことになった。
とくん、と心臓が震える度に、ぐぴゅん、ぷくぅと蜜が胸から溢れ、黄金の水玉になって肌を垂れ落ちていく。
すっかり機能を変えた汗腺が、蜜に濃縮されたフェロモンをまぶしていくのと同時に、彼女自身に対しても吹き掛けていく。
衣類という緩衝剤を取り払った今、その全てが彼女の全身全霊に叩き付けられる事になり――!

「……」

最早言葉も忘れてしまったかのように、焦点を失った瞳を純粋に輝かせながら、彼女は私の体に顔を擦り寄せながら、流れ落ちる蜜や媚香の満ちた汗を舐めとっていた。
「……あはぁ……もっといいよ……みつぅ……んあぁあんっ♪」
舌が、まるで絵の具の付いた刷毛のように私の体を縦横に這い進んでいく……。まるで私を彩っていくかのように……。
私も熱に浮かされたように自分の水蜜桃を握ると、水鉄砲で発射されたように勢い良く蜜が放出され、彼女の髪の毛や顔のあちらこちらに降りかかった。
彼女自身から立ち上る甘い香りに、彼女は嬉しそうに目を細め、さらに私の体を貪っていた。その手は段々と下の方へと下がっていく。
フェロモンの発生源は、何も汗腺だけではないのだ。より集約された、生命の根元となる場所――。

「――駄目だよぉ……♪」

でも駄目だよ……。まだ駄目なんだよ……。
彼女の企みは私の両手が阻止した。私のズボンに掛けようとした彼女の手が空を切り、新たな到達点を求めて動き回る。
私はその手を、瑞々しい巨大な肉の果実へと案内しながら、彼女の顔をその果実の先端へと向けて――ぶしゅうっ!
「んはぁぁぁっ……♪」
「……!!!!」
勢い良く掴まれた私の胸は、黄金色の蜜を彼女に向けて盛大に放った。きっと彼女の視界が全て黄金色に染まって――びしゅぅっ……。
まるでバケツに入った蜂蜜を頭から被ったような姿で、彼女は完全に思考を飛ばされてしまっていたようだった。
先程やろうとしていた事も、私の言葉と手で封じられ、代わりにあげた大量の蜜の洗礼によって彼女の中に吸収されたフェロモンが活性化し、彼女の本能すら封じてしまったのだ。
擬似的に空っぽになった彼女に、私はすっ、と耳打ちする。大切な、本当に大切なことを。
「……次の新月にね……私の場所に来て……大丈夫……すぐ分かるから……ね♪」
彼女は何も答えない。答えられない。でも、私の声にちゃんと彼女は応えてくれる。学校で、私にぎゅっと抱き付いて、香りを嗅いでくれる……それがどれだけ素敵なことか……♪
「忘れても覚えていて……新月の日に、必ず思い出せるように……ね」
私の声に、幽かにこくん、と頷いた彼女は、そのまま私にもたれ掛かるように倒れてしまった。衣服や体には、私があげた蜜でべっとりと濡れている。
私としてはこのままでも構わないし、濡れている彼女も素敵よね、何て考えてしまうけれど……社会常識的にマズイらしいのよね……ふふ。
でも……それも新月まで……新月になったら……ふふふ。
期待にうち震えながら、私は彼女を家に連れて、シャワーを浴びせたのだった……。




「……あれ?」
気が付いたら、いつも同じベッド。そしていつも同じ時起きる。
最近、妙に記憶に無い時間が増えた気がする。学校であれだけ引っ付かれているから、妙に疲れが溜まっているんだろうか。
帰り道の途中で大体記憶がなくなって……気付いたら自分のベッドの上。しかも何故か部屋が妙に甘ったるい香りがする。まるで蜂蜜をあちこちにぶちまけたような香りだ。
……。
夢遊病なんだろうか。眠りながら蜂蜜をぶちまける夢遊病……ありえるのかな?心配だからこの頃様子がおかしな(何故か妙にわくわくしている)母親に保険証を受け取りに行ったら、
「気のせいだから大丈夫だって♪」
いや、確実に気のせいじゃないんだけどという発言もフルレンジスルー。保険証も渡してくれない。この人は本当に私の母親なんだろうか、心配してくれないのだろうかと、ちょっと泣きたい気分。
勿論泣いたところで同情の欠片も貰えないことは承知している。悲しいけど、これが我が家なんだよねと、一人言い聞かせつつ、自室に引っ込むことにしたのだった……。




「女王様の調子はどう〜?」
蜜樹が失望オーラ全開で部屋に戻り、ドアを閉めるのと同時に、母親の背後で可愛らしい、無邪気なようでどこか芯のある声が響いた。
その声を耳にするやいなや、母親の表情はふにゃりと歪み、まるで玩具を与えられることを望む子供のように、期待と甘えに満ちた視線をその対象に向けた。
「はい!本日女王様は、自ら人間を『臣下』に加えなさって、アフターケアーまでなさったのです!」
まるで自分の事のように喜ぶ彼女に、母親らしさはどこにも見てとれなかった。今の彼女を表現するには、『臣下』『忠士』あるいは『奴隷』という言葉が合いそうだ。
「あはは……よかったぁ……順調なんだねぇ♪」
母親の言葉に、ほっとしたように喜んでいるそれは、嬉しさのあまり脱力してしまっている母親をそっと抱くと、優しく髪を撫でつつ彼女の口に乳首を含ませた。
同時に、母親の服を少しずつ剥いていく。幾度も重ねてきた愛撫ですっかり感度の上昇した母親の肌は、服の布擦れだけでも敏感に快楽を感じてしまう。
声にならない喘ぎを漏らしつつ身をくねらす彼女に、それは胸から母乳……いや、蜜を母親に流し込んでいった。
「んんんっっ♪んんっっ♪んっ♪」
こくん、こくんと喉が動き、蜜を少しずつ燕下していく。すっかり蕩けきった瞳を目の前の蜂娘に向けつつ、甘えるように胸に顔を押し付ける。
ぱさり、と音がした。全て――それこそ下半身の下着すら取り去られた母親は、空気の流れが奏でる幽かな愛撫に、蜂娘の胸に向けて甘い吐息を漏らした。
「じゃあ……ね」
蜂娘はすっかり脱力した母親の体を地面に横たえつつ、蜂の尾の先端を、彼女のホトへと向けた。その先端からは、我慢ができなかったのだろうか、黄金色の愛蜜が秘所から溢れ、ぽたりぽたりと蜜だまりを作っていく……。
彼女の口から、蜂娘の豊満な乳が離れた。先端からは、逢瀬を名残惜しむような黄金色の糸が互いを繋いでいたが、やがて重力に惹かれて彼女の唇へと落ちていく……。
「ふふ……あなたがもっともっと、も〜っと女王様を好きになるようにしてあ・げ・る……♪」
彼女を押し倒しつつ、二本の手で乳から蜜をぱたり、ぱたりと落としていく蜂娘。その蜜を乾く前に塗り広げつつ……蜂娘は母親のホトに尻尾を差し入れた。
「んはぁぁぁぁぁ……っ♪」
幾夜のまぐわいでこなれた彼女の膣を蜂の尾は掘り進み……どくどくと脈打ち、何かを注入していった。
母親の喘ぎ声が、リビングに響き渡ったが、その声のどれ一つとして、蜜樹に届くことはなかった。




体がだるい。
最近特に、体を動かすことが上手くいかない。体もそうだけど、舌自体も動きが鈍い。
痺れる……とは感覚が違う。段々と、神経が縮んでいるような、そんな不思議な感じが……。
寝返りを打つことすら億劫になった私は、俯せのまま枕に顔を押し付けていた。記憶にある香りより、どこかシーツも枕も甘い香りがした。
その香りを嗅いでいると……何処か懐かしいような……安らぐような気持ちになって……あ……また眠たくなってきた……。
何度目か分からない、深い眠気。それは力無い私の意識の手を取って、素敵な夢の世界に誘ってくれる。
そう……自由な夢の世界に……。




「……面を上げなさい」
夢の中で、私は蜂の女王となっていた。蜜と毛布で作られた玉座に腰掛け、目の前にひざまずく人間の娘に向けて、凛として告げた。
「……」
私に言われ顔を上げた彼女の表情は、はっきりと恐怖に怯えていた。ある種仕方の無いことだろう。いきなり私の娘に連れ去られて、刃物を向けられて……逃げ出すことも出来なくて。
だからこそ、女王として、彼女に為すべき事は決まっている。
私は羽根を優雅に広げ、吹き付けるようにゆっくりと前後させる。私が起こした風は、私が常に放つ濃密なフェロモンを巻き込みながら、彼女の体を優しく包み込んでいく。
「……」
暫くすると、彼女の体から無駄な力が抜け、私を見つめる視線がどこか虚ろになっていく。光が一度なくなって、また光が戻って……。
私は娘に着ていた服を持たせると、目の前の人間に向けて己の裸体を晒しつつ進んだ。服によって阻害されていた分のフェロモンまでもが少女に向けて放たれ、彼女の瞳が涙で潤んでいく。
「……あ……あぁ……」
唇が、徐々に歓喜の形に変化していく。まるで私の中で生成される蜜のように、心が蕩けていっているのだろう。
どこか娘達がそわそわしている。フェロモンを出しすぎたから?ならば抑えなきゃ……と、少し抑制してみると、目の前の彼女が私の胸の谷間に顔を押し付けてきた。
娘に彼女の服を脱がせるよう指示しつつ、私は彼女のそれを受け入れた。微かに弾力のある私の双球は、しかしそれを補って余りある柔らかさで彼女を奥へと招き、包み込んでいく……。
「……」
まるで娘達のように甘えてくる彼女。微かな風の動きから、彼女が私の胸を嗅いでいるのが分かる。
濃縮された媚香は、彼女の鼻孔から脳まで最短距離を通って伝わり、交感神経と副交感神経、どちらも刺激しているのだ。
同時に、脳の情報の書き換えと、魂の侵食も行っている。私が彼女を大切に思っているのと同じくらい、彼女は私を大切なものだと思うように……。
「……ん……んんっ……」
とぷん、とぷんと胸の中に溜まっていく乳。それが彼女の顔によって胸を押され、先端から蜜の塊が溢れ出し始めている。既に露になった白い肌を、粘性を保ったまま黄金の蜜は彩っていく。
「……んんっ……」
その蜜を肌に染み込ませるように、私は彼女への愛撫を開始した。潤滑性をも保持する私の蜜は、彼女の生身の皮膚を舐め回すように拡がり、染み込んでいく。
まるで何本もの舌に全身を舐められているかのような快楽を彼女は感じていた。指が離れたあともその刺激は肌に残り、むず痒いようなもどかしいような刺激に翻弄されていた。
同時に彼女の全身を、優しい暖かさが包み込んでいった。まるで母親の胎の中に体があるような、どこか懐かしさを感じる柔らかな熱……。
刺激と緩和、相反する二つの感覚は少女の声に熱を持たせ、私にかける体重を増加――ほぼ全身を、彼女は私に預けていた。
「……ふふっ」
すっかりフェロモンが体に染み込んだのか、頬を赤らめながらも私の胸に甘えてくる少女に、私はこの上ない愛しさを覚えた。
この子だけじゃない。私は全ての娘に愛しさを覚えている。いや……娘になるだろう人間というものすら、私は愛しいと思っている。
愛しいコには、御褒美を……。私は一瞬彼女を谷間から解放すると、蜜が流れ落ちるその桃色の先端を、少女の口に差し入れた。
「!!!!……んくっ……ん……ちゅぶ……」
一瞬驚いた少女だったが、次の瞬間には何をすべきか本能的に理解したのか、私の胸を赤ん坊のように吸い始めた。
「……んんっ……ふふ……よしよし……」
既に彼女の頭は、フェロモンによって娘蜂としての本能が存在している。本能的に、立派な蜂になろうとしているのかもしれない。
蜜が溢れ続けているもう一つの乳……それを彼女の首元に付けつつ、もう二本の腕で胸を揉み、蜜を溢れさせていく。黄金色の蜜が、彼女の体のラインに沿って垂れ落ちていく……。
私はそっと彼女を胸に押し付けつつ、体を流れている蜜を塗り広げていった。
「!!!!っ……っ!!!!……」
雷でも落とされたかのような突然の刺激に、彼女の体は反り跳ね、胸に顔が一気に押し付けられる。溜まっている蜜がぷぴゅんと流れ込むと大人しくなったけれど……。
飲み続けた蜜の効果で肌が敏感になり、塗りつけられた蜜が気持ち良かったのか。それとも……。
「!!!!っ……っ!!!!……」
どうやら、乳を揉まれたのが相当気持ちよかったらしい。恐らくAからBくらいの小振りなそれに蜜が塗られ、染み込ませるように揉み上げる度、彼女の体はよく跳ねた。
乳首をこりこりと右に左に弄る度に、彼女の舌や歯遣いが激しく刺激的になって、私を感じさせてくれる。もう、彼女は私の娘だ。
足元に垂れる、私の蜜以外の体液。彼女も感じているらしい。無意識のうちに花弁は開き、甘美な蜜を蜂蜜に混ぜ合わせながら下に垂れ流している。
「……貴女の中に、塗り込んであげるわ……」
片胸から絞り出した蜜を手に馴染ませて、私はそっと、その片方を彼女の股間に添えた。それだけで彼女は目を大きく見開き、口と乳の隙間からくぐもった叫びを漏らしていた。
それすら塞ぐように私はハグを強くし、彼女の口を乳で塞ぎ、蜜を体の中に与え続けた。そろそろ彼女の体が蜜に馴染む頃。変化の予兆を待ちつつ、私は手を動かしていく。
股間を弄る手の反対側では、彼女の尻を私の手が愛撫し、すぼまった部位に蜜を塗りつけていく。菊門から肛門の内壁にかけて、指を一本、二本と出し入れしていく。
同時に秘所の側では、膜を破らないように注意しながら、膣壁をなぞるように手を差し入れていた。まだ綺麗な桃色の膣肉は、私の手を貪るようにキツキツに締め、柔らかい肉壁で包み込んでいる。
彼女の中から溢れ出す愛蜜が手に絡み、膜を破るスレスレのところで動かす手から摩擦を取り除いてくれる。舌先に乗せると、初々しい味の中に、微かに私の蜜が混ざっていた。
彼女の体が、変わり始めているのだ。私の娘へと徐々に近付いている証拠。
「んむぅぅ……」
彼女のお尻から、とろとろと黄金色の液体が流れ落ち始めた。吸収しきれなくなった蜜が、いよいよ溢れ始めたようだ。それは同時に、体の変化が八割方終わった事を意味していた。
「……ふふふっ……よしよし」
ぽんぽん、と母親が赤子にげっぷを促すように優しく背中を叩きながら、私は胸を彼女から外した。けぷ、と可愛らしい音が彼女の口から出る。
既に彼女の全身は顔を除いて蜜で覆われ、一部は固まり始めている所もあった。彼女の顔は――どこまでも幸せそうな表情を浮かべていた。少し不満そうなのは、蜜が飲めないからだろうか。
「……さぁ……貴女を娘にしてあげるわ……♪」
私はそのまま、私自身の蜂の腹部に股がるように仰向けに寝転がると、小さくしていたそれを元のサイズに戻し、先端をくぱぁ……と拡張した。
私の体と同じくらい大きな蜂の腹部、本来は針があるべきその先端は巨大な秘所のようになっており、濃い桃色をしたフェロモンと共に黄金の蜜がごぽり、と吐き出される。
拡張された先端からは、キツキツに詰まった肉壁がぐにゅぐにゅと誘いかけるように蠢き、蜜の糸を引かせて待ち構えている。
私は――フェロモンの風に乗せて、彼女の耳元へと声を届け――同時に、深呼吸するように腹部を拡張させた。

「……さあ……おいで♪」

その声に応えるように、何の躊躇いもなく彼女は、みっしりと淫肉が詰まった私の腹部の中へと――頭から体を差し入れていった。
「!!!!っ……んんっ……んぁあぁっ……♪」
彼女の体が軟らかな肉壁に沈み込み、神経を直に掴めるほどに深く入り込む度に、私の体にはまるで電撃が走るような快感が走った。
その快感は体の様々な器官を活発に活動させていく。高鳴る脈、様々な部位に作られたフェロモンを分泌する腺が濃いピンクの気体を放ち、蜜袋には次々に蜜が流し込まれていく……!
「んふんっ……んあぁんっ♪んんっ♪」
娘が何人か、私のフェロモンに当てられたのかふらふらと私に近寄ってきて、蜜が流れる胸を吸い、腹部の付け根や先端に淫らな愛撫を加えてきた!
一部の娘は腕に股間を、背筋に乳をくっつけて蜜を私に塗りつけたり、あぶれた子達同士で挿しつ挿されつしていた。脈の音が、彼女達から私へと伝わってくる。確かな、幸せの音が。
「んんっ……んはぁぁっ♪♪」
その音に同調するかのように、彼女の体をくわえた腹部は、ぐにゅぐにゅと蠕動しつつ彼女の体を奥へ奥へと呑み込んでいく。
きっと今頃彼女の体は、じゅるじゅると無数の肉襞が絡み付いて、ぎゅむぎゅむと肉壁に全身マッサージを受けているのだろう。彼女自身もその感触を好んでいるのか、全身を擦り寄せていた。
まるで獲物をゆっくりと燕下していくように、腹部はぐむぐむと凹凸を繰り返し、彼女の体が奥へ奥へと招かれていく。感じているのか、肉壁越しに彼女の喘ぎ声が聞こえた気がした。
嬉しくて、気持ちよくてついぎゅっとしてしまうと、ますますその喘ぎ声は多きくなっていく。その声に感化されたように、周りの娘達も絶頂の喘ぎを響かせていた。
ぐちょん……ぐちょん……。歯の無い口で咀嚼するような音が、微かに静まった巣の中に響く。中でまた全身に蜜を塗りつけられているのだ。
塗りつけられながら……ずりょ、ずりょと音を立てて……優しく揉まれて……深く深く沈んで……その度に悶え、感じて、喘いで……。

……ぐにゅん。

……私の全身が娘の蜜まみれになる頃、彼女はようやく、私の奥底にまで辿り着いたようだ。彼女の体をやわやわと揉んでいた肉が、その動きを緩めるのと同時に、彼女の体を包み込んでいく……。
同時に、体のあちこちに管を巡らしつつ、包む外郭の肉をゼラチン状に変化させていく。蜜を内包してゼラチン化したそれは、巡らした管を通じて彼女に新たな遺伝子を送り込んでいく。
どくん……どくん……。
彼女の脈が、私の腹部から響く。私の中にある、確かな命の証。快感のあまり崩れ落ちた娘のそれとも混ざり合って、この巣を流れる安らかな時を動かしている……。
人一人呑み込んだ腹部を愛しく撫でると、その感触が伝わるのか、微かにぴくんぴくんと震えた。同時に私の中に、暖かな感情が流れ込んでくる……。
「……ふふふっ……♪」
その感覚をたまらなく愛しいと感じながら、私はすっと目を細め、新たなる娘が生まれる時を待ち、暫しの幸せな夢に浸る事にしたのだった……。




「……ふふ……んふふ……あれ……?」
ここは……えっと、私はわたしの城のなかであらたな娘をまねいていた……?

……あ……夢か。……私は人間だし……ここは私の部屋。……ちょっと狭い気がする。わたしが住むにはもっと……あれ?
……それにしても……素敵な夢だったなぁ……。ああしてみんながみんな、愛し合っている。みんながみんな大好きな世界。
私も皆を愛し、みんな私を愛している……そんな世界。女王として――母として、全ての息子や娘達に等しく愛を与える、素敵な女王に……女王に……。

考えれば考えるほどに、日が経てば経つほどに、私の思考は蜂の女王の思考へと引きずれていく。人間であると言う思考が、夢を見る度に、どうでもいいものに変化していく。
それは、現実など捨ててしまいたいと思うほどにとても甘美で、抗いがたい快楽だった。
体の奥底、何故か愛しいと感じる場所で、とくん、とくんと脈が響く。私の心臓は、気付けばその脈に同調するように動いていた……。




「……んぅ……」
熱い。むずむずする。体は……もう動かない。まるで神経が通っていないかのよう。
不思議なことではない。もうすぐ、もうすぐだから仕方無いことなのだ。ゆっくりと、時間をかけて、私は教えられてきたから、それが分かる。
心臓の高鳴りと一緒に、私の体を金色の汗――蜜の膜が覆っていく。この中で、私は私として、体を変化させていくのだ。
そう――人間という幼生体の殻を捨て、女王蜂として再び産まれるのだ。
私の心や価値観は、幾度も見た夢心地の現実と、幾度も体験した現実をさ迷う夢の中で既に女王蜂として矯正されていた。あとは、変態の時を待つだけ……。
新月の夜、月無き地上を照らす時を、ただこの仮初めの巣で待つだけ……。
やがて全身を蜜が包み込み、丸くなった人形の白い蜜繭が部屋のベッドのシーツに根を張るように完成したとき……'私'の再構成が始まった。
今まで外観に出ていなかった変化の影響が、じわりじわりと体に現れ始めていた。
まず顔から。髪の色は茶色がかった黒から透き通るような蜂蜜色に変わって、そこからぴょこんと、二本の触覚が飛び出してくる。肌からは目立たなかったシミやそばかすすら消えたようだ。
体は背中の一部と腰回り、そして胸元を除いて、何処か性的な模様を描くように、白黄色黒の模様が綺麗な外骨格が形成される。
首元と手首、そして足首には軟らかな綿毛が生成され、
胸は顔ほどに大きく、そして指が食い込むほどに柔らかくなっていく。心臓の音と一緒に、中で産み出された蜂蜜が揺れ、とぷん、とぷんと音を立てている。
どくん、どくん。心臓が――体が激しく脈打ち始める。背中と腰の辺りから放たれる痛みにも似た快感に、私は身を丸め、顔を歪めながらもひたすらに耐えていた。
どくん、どくん。外骨格を避けるように皮膚が、内側から破られそうなほど盛り上がり、空気に触れるときを今か今かと待ち望んでいる。
どくんっ!どくんっ!
いよいよ速くなる鼓動に、私は身悶えていた。引きちぎられそうな神経が、体内で繋ぎ直されていく。同時に、盛り上がっていた皮膚が、徐々に裂け始め――!

びりゅっ!びりゅりゅりゅりゅっ!
「――〜―――――っ♪♪♪」

蜜繭までもを貫いて、二対の羽と、私の胴体よりも大きな蜂の腹部が、それぞれ生えてきた!貫かれた蜜繭はその部位から徐々に崩れていき、光の殆ど無い部屋の静寂を繭の中に流し込んでいく。
微かな光の断片が、羊水に代わる蜜に体を濡らした私の体にまとわりついていく。蜜繭を壊しつつ、少しずつ露になっていく体。
時は夜明け前。電灯の灯すら何処か澱んだ朝、私以外誰も居ない部屋で、蜂の腹部が段々と大きくなっている。既に私の体よりも大きくなっているが、不思議と大して重さは感じなかった。
「……んんっ……♪」
それよりもその中に感じる、幾つもの暖かな気配に、私は静かに身を震わせ、熱の籠った吐息をゆっくりと吐く。
呼吸と同調して膨張と収縮を繰り返すその中で、とくん、とくんと響く、確かな命の鼓動。まるでそれは、娘達が私に微笑みかけているかのようにも聞こえた。

娘……そう、娘だ。

「……ふふふっ……♪」
女王である私が、今為さねばならないこと、いや今でなくてもいい。ゆっくりと、時間をかけてもいい、ただ確実に為さねばならない事を為す第一歩として、私はこの部屋の戸を開く。

「――おめでとうございます!女王様ぁっ♪」

そこで私を待っていたものは、先代の女王から受け継いだ卵を守り抜き、私に与えてくれた家臣と、その後ろで興奮のあまり息も絶え絶えになった……人間が二人。
「ふふ……ありがとうね。私がちゃんと『羽化』出来るように世話を焼いてくれて。お陰で私は、完全に変態できたわ」
ふわぁ……と、部屋を満たす濃厚なフェロモンが、微かに揺れる羽によって外に送り出される。その気に当てられたのか、家臣の頬は火照り、人間は何も触れていないのに絶頂し、盛大に潮を噴いた。
「んはぁ……じょおーさまぁ……じょおーさまぁぁぁっ……♪」
舌っ足らずな言葉で私に擦り寄り、放漫な胸に吸い付く家臣。ちゅうちゅうと吸い上げると、すぐに栄養豊かな蜂蜜が溢れ、彼女の喉へと流れ込んでいく。
「んっ……そう……そうよ……いいの……このまま甘えて……んんっ♪」
喜びのあまり抱きついてくる彼女の背中を抱き締めつつ、わたしは下腹部に力をこめた。巨大な蜂の腹部がぐにゅりと、何かを送り出すように収縮していく。付け根から、先端へと――ぶりゅっ!
「んはぁぁぁぁぁぁぁっ♪」
まるで水門が決壊したように、肉壁の隙間から溢れ出すように現れた二本の管、人間の細腕ほどの太さを誇るそれは、絶頂を迎えたまま動かない人間二人の股間に、すぼまった先端の標準を定めた。
「うふふ……二人とも、私の娘にしてあげるわぁ……♪」
首をもたげた管二本は、私の卵管だ。まだ中には何本かある。これで人間の中に優しく卵を産み付けることで、その人間は私の娘になるのだ。人間としての記憶を残しながら。
しゅるしゅると互いに擦り合い、粘液と愛液と蜜の混合物を擦り合わせていく二本の卵管。それを私は、彼女達の股間に潜り込ませた!
ぐじゅっ!ずぼぉぉぉぉぉぉおぉぉっ!
「「!!!!!!んあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」」
まるでお腹の中を抉るような一撃に、彼女達は登り詰めるような叫び声をあげた。家臣によって既に、痛みすら快楽として受け入れられるように改造、いや変化させられている。
その家臣は、依然として私の胸を好意と本能のままに弄り、溢れ出す蜜を取り零さないように飲み干している。彼女の下腹部は徐々に、宛ら妊婦のように膨らみつつあった。
その様子に愛しさを覚え、私は蜜に濡れた手で彼女の髪を鋤きつつ、もう片方の乳を絞り、彼女に蜜を吹き掛けていった。
「ふむん……ひょほふはまもみむ……はっままみぅぅぅ……♪」
天にも登る心地を表したふわふわした口調で、彼女は胸越しに私に話しかけている。勿論、口の中で桜ん坊のような乳首を嘗め、マシュマロのように柔らかい胸を揉むことを忘れてはいない。
彼女の蜂の腹はぴくん、ぴくくんと震え、狙いの定まらない針が先端から出入りを繰り返している。私の体に密着した秘所も、今や黄金色の液体で大洪水だ。
「ふふふ……♪」
私は彼女の快楽を付け根の愛撫によって花開かせつつ、卵管の抽挿を繰り返していた。挿れる度に彼女達の腹は管の形が激しく浮き上がるが、表情に痛みの様子は見られなかった。
「んはんっ♪あんっ♪んぁあぁっ♪あぁんっ♪」
大きな人間は経験があるからか、体の動きが手慣れている。必要最小限の動きで快楽を得られるよう、膣を締め、管を握って動きに合わせてしごいている。
まるでフルートを奏でるような、器用にして繊細な指使いは、私に優しい刺激となって運ばれ、卵管の奥深くにピリピリと電撃を与えていく……。
「ひゅいあっ!あつっ!ふあああっ!んああっ!」
小さな人間の方は、ただ与えられた刺激に翻弄されていた。人間が行うよりも深く体内を貫く感触。それがもたらす刺激が強すぎたのか。
……それ以前に、彼女の場合これが初めての交合であったようだ。差し込んだ卵管に、愛液に混じって付着した赤い血がそれを証明している。
私は内心彼女に謝りつつ、管の中に溜まっていた……蜜とは別の液体を、そのまま彼女達の中に流し込んだ。
「んあぃぅああっ♪はいって♪はいってくりゅううっ♪」
「んああああああっ!なっ!ふぁあんっ!んあぉあああっ!」
二者二様の叫び声をあげながら、二人は陸上の人魚のように体をびくんびくんと上下に跳ねさせた。子宮に入り込んだ管も跳ね、彼女達の体にくっきりとその姿を表している。
注ぎ込んだのは、私の体の中で分泌される強壮剤に、フェロモンをたっぷり染み込ませたもの。私の娘の孵化する栄養になる、強力なものだ。
それを体に直に注ぎ込むと……結果はご覧の通り。大きな方は体を盛大に揺らしながら逝き狂い、小さな方は――。

「――ふぁああっ♪ひぁっ♪ひぁぅあひゅあっ♪ひっひぐぅっ♪ひくぁぁぁぁあぁぁああっ♪」

――管と膣の隙間から、絞りたてのラブジュースが吐き出され、管を盛大に彼女色に染めていた。
「……ふふっ」
彼女の愛液の色、もう殆んど黄金色ね……んんっ♪
私の体の奥底で、卵が一個ずつ、卵管に潜り込んだ事を感じた私は、彼女達に差し込んだ管の勢いを一気に速めた。子宮を抉り貫くような衝撃も、今の彼女達には快感のスパイスでしかない。
声にならない叫びを盛大にあげながら、二人の人間は管の与える淫らな波動に悶えるだけだった。時おり打つ脈動に合わせて、電気ショックを打たれたように体を震わせる。
「……あははぁ……じょおぉさまぁ……もうすぐですねぇ♪」
胸から口を離した家臣は、にへらと笑いながら私に呟く。蜂の腹部の脈動から、卵が近付いていることが分かっているのだ。
そんな彼女に私は微笑を返すと、管を外側に向けて締め上げるように少し息んだ。強壮剤と共に押し出されていく卵は、徐々に体外にその姿を表していく。
「……んんっ……んんっ……んあはっ♪」
ぽこり、と先端から飛び出した管の根本が二つ膨らんだ。そのままその膨らみは、じりじりと押し出されるように彼女達の聖域へ向けて、ゆっくりと、着実に進んでいく。
抽挿の速度がさらに上昇する。ぐしゅっ、ぶしゅっと熟れた果実をほじくるように出し入れされる管は、淫らな香りのする果汁にまみれながら、その体を擦り寄せる。
体の中に異質な物質が存在すること、それすらも性的欲求を増進させ満たす道具として捉えた人間達は、興奮したまま管をさらに奥へ招き入れる。
「んんぁっ♪でるっ♪出すっ♪出すわぁ……うけとってぇぇぇぇっ♪」
熱の籠った声で、私は叫んでいた。管の膨らみはいよいよ彼女達の股間に近付いていく。その移動を後押しするように、強壮剤の流れは一気に増加し――!

びゅるるるごぷっびゅくびゅぎびゅびゅびゅうううう〜〜〜っ!
「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♪♪」
「「♪♪♪イクぅぁぁぁぁぁぁぁぁぅぅぅぅぅぁぁああああああっっっ♪♪♪♪」」

叫び声の三重奏の中、私の卵は二人の胎内に無事産み付けられ、同時に彼女達の体に溶け込んでいった。強壮剤も全て彼女達に吸収された。
絶頂を迎え、遠い目をしていた彼女達の瞳が、徐々に閉じられていく。同時に、体を丸め、息を安らげて、深い眠りについていく……。
「……ふぅ……ふぅ……っふふ……♪」
放出の快感の余韻に浸りつつ、私は卵管を抜いて腹部に戻した。そして、ねばつく蜜で彼女達の股間を一瞬塞ぐと……♪

「……ゆっくりと……染まりなさい……んはぁぁんっ♪」

空気を吸い込むように拡げた蜂の腹部の先端……そこから二人を一気に呑み込んだ!胴体辺りで一度つっかえたそれを、みっちり詰まった肉壁は咀嚼するように揉み上げ、奥へ奥へと招いていく。
時折身悶えするように二人が肉壁に体を擦り寄せる度に、私の官能の巣穴から甘い疼きが全身に広がって、きゅくんと蜂の腹部を締め上げていく。
ずるりずるりと奥へと送り込まれていく二人。その全身は蜜と強壮剤、ちょっとした媚毒とフェロモンにまみれ、直に全身を揉まれ吸い付かれ舐められ吸われ差し込まれている。
とくん……とくん……。彼女達の鼓動が、私のそれと同調していく。それに合わせて、彼女達の動きもどこか緩んでいく。それに物足りなさを覚えた一方で、私の中に母性が膨らむのが分かった。
そして――ぐじゅぷっ、と音がして、彼女達は私の巨大な子宮の中に放り出された。子宮の肉はとても柔らかく、触れた場所から段々と沈み込んでいく。
「……ふふふ……おやすみ……♪」
彼女達が私の中で安らいでいるのを感じた私は、微かに脈打つ腹部を手で優しく擦ると――そのまま腹部を小さくし、家臣を抱えたまま窓を開いて、外に出た。
新しい巣を作る場所を、目指して。




「――んんっ……んぁぅ……んふっ……ふぅっ……♪」
新たに作った巣の中で、疲れて眠る家臣を横目に私は一人、荒い息を吐いて、疼きにも似た鈍痛に身を震わせていた。頬はきっと、興奮のあまり紅潮しているだろう。
ひくひくと震える腹部の先端、それが黄金色の愛蜜を垂らしながらゆっくりと押し広げられていく。他の誰かが見ていたら、何か白く、丸い、巨大な固形物が徐々に近付いていく様が見えるだろう。
ずるり、ずるりと少しずつ出口に近付く度に、私の体よりも大きな蜂の腹部の膨らみが、先端へと動いていくのが私にも見える。
ずるり、ずるり。腹部を満たす無数の肉襞が、中を移動するそれに絡み、擦られ、神経を直に押されることで、じんじんとした刺激を私に伝えてくる。
どこか暖かく甘い刺激に、わたしは息を荒げ、脈を早め、来る瞬間に向けて先端を思いきり押し拡げた。そして――!

「んぅっ♪はうぁっ♪んはぁぁぁぁぁぁっ♪」

――ぐじゅり、と音を立てて、巨大な――人が一人ほど入っていそうな大きさの卵が、巣の地面に直に産み付けられた。
「んはぁぁぁ……んぁぁっ♪」
続けざまにもう一個。まだ私の熱でほかほかと暖まっているそれは、静寂の満ちた私の巣の中で、脈によって時を刻んでいる。
とくん……とくん。
「……っふぅ……っふぅ……っふぅ……っふふ……♪」
私は荒げた息をゆっくり納めつつ、目の前にある、自ら産み出した卵に母性豊かな視線を投げ掛けた。二つの卵……じきに生まれてくるだろう二人の娘の姿を頭の中に思い描いて。
「……ふふふ……おいでなさい」
今日は新月。待ち焦がれている娘達に向けて、私は巣を満たすフェロモンの濃度を増やし――静かに羽を震わした。
私の奥底で、とくん、とくんと沢山の脈が、来訪者を誘うように暖かく鳴り響いていた……。




――翌朝。
この日、いつもの三人組は、学校から数日間の『臨時休校』の連絡を受け、自由に外を遊んでいた、いや、遊ぼうとしていた。
しかし街のメインストリートは、何故だかどの店もシャッターが降りる、あるいはClosedの文字が堂々と描かれていた。自分達がよく行く店すら、閉められていたのだ。
仕方無いのでわざわざ切符を買って遠出したが、そこでも似たような傾向であった。
流石に幾つか閉まっていないお気に入りの店はあったが、そこの店員もどこか心ここに在らず、といった雰囲気だ。
その日は口々に不平不満を漏らしつつ、各自家に戻っていった。どこか不完全燃焼も良いところの心情のまま、その日の夜は眠りについたのだった。
……夜中、何処か耳障りな羽音が聞こえたが、特に彼女達は気にならなかったという。

しかし、翌日、さらに翌々日。Closedの店が徐々にに増えていることを発見すると、さらに苛立ちを募らせた。一体休日でも棚卸しでもないのに何故――。
せっかくの臨時休校なのに、店が閉まっていたとあっては生殺しに等しい状況ではあった。だが彼女達に、これと臨時休校との関連を考える人間はいなかった。
ニュースもこの現象について全く触れていなかった。テレビは普段通りではあったが、特に面白い番組があるわけでもなく、時間潰しにしかならなかった。
こうして彼女達は『臨時休校』の数日間を、退屈と苛立ちの中で過ごす破目になったのだった……。




――心地よい音が、私の巣の中に響いている。とくん、とくんという優しい脈の音が、その中で静かに娘達が呟く音が。彼女達の心の声が。彼女達の歓喜の声が。
全てが私の中に、優しい調べとなって、ヴァイオリンとフルートを基調とした静かなオーケストラを耳にしているように――。
「……んんっ……んはぁぁぁっ♪」
ぐじゅぷっ、と音を立てて、また一つ、私の卵が巣に産み落とされた。それを私の娘達が運び、空いている場所に移動させていく。
既に私の巣は無数の卵と、孵化した卵の殻、そして――沢山の娘達。
「んぁあああんっ♪♪そこぉっ♪そこいいのぉっ♪」
「吸ってぇっ♪もっとパイパイ吸ってぇぇんあぁぁあああっ♪♪」
「きちゃうぅううぅぅっ♪♪たまごうんぢゃうよぉぉぉぉぉぉぉっ♪♪♪」
「んあぁあああぁっ♪なかにぃっ♪なかにきちゃうのぉぉぉぉ♪」
彼女達は己の愛情の求めるままに蜜を舐め、針を産卵管に変えて互いに卵を植え付け合ったりしている。
産まれたばかりの娘もその群れに混ざり、今では巣の中は桃色のフェロモンで蒸せ返り、私以外は全体を見通せない、見通す気すら起きないであろう隠微な空間が展開されている。
「はふぅ……なか、きもちいいよぉ……♪」
「んあっ……そ、そこぉ……うごいてるぅ……うごいてるよぉ……」
中にはもう拡張できるようになっったのか、互いに呑み込んだり呑み込まれたりして遊んでいる娘達もいた。流石に半身だけみたいだったけど、もう肉体上は人間の全身を呑み込めるみたい。
呑み込んだ腹部の中で、ぐじゅぐじゅと粘液を纏う肉襞が擦り合う音を響かせながら、ゆっくりと蜜を染み込ませていく。
暖かくて甘い蜜に全身を包まれて、柔らかい肉繭にくるまれて、優しく全身をハグされて……。
「……うふふっ……♪んあっ♪」
ぐじゅぷっ……
私の娘が幸せそうに眠る卵が遠ざかる様を眺めながら、私はアキと名乗っていた娘と今一度交わるのだった。




「……なに、これ……!」
確かにここ数日、街の様子がおかしかったのは事実だった。通りを歩く人が減り、警察の見回り自体も減っていた。
店もシャッターを下ろすところが多く、この連休が何か異常なものであることは理解出来てはいたのだろう。何らかの偶然性だが、出来すぎていると思うのも無理からぬことではある。
だが――その異常性が証明されたところで、それが喜ばしい結果を生むとは限らない。寧ろ、より悪い方向へと気持ちを進ませる事もある。今回は――後者。

学校が……姿を変えていた。
花壇の花は巨大化し、濃密な蜜を蓄えて甘い芳香を垂れ流しにしている。
後者の窓に、ガラスがない。いや、跡が残らないほどに割られ、その中で蠢くものは、明らかに人の動きではなかった。
屋上の給水塔では、何かが屈み込んで中に何かしているようであった。それも一人ではなく、二人、三人――たくさん。
風に乗って、甘い香りと共に何処かの部屋からか響く、交わりの声。かなり盛っているらしく、あちらこちらから絶頂の叫びが聞こえてくる。
そして、もっとも叫びが響いた場所、それは――体育館。だが、それは記憶にある姿とは明らかに違っていた。少なくとも、記憶にあるその場所は、球体などと言う斬新な形状はしていなかった。

だが――目の前にある、まるで件の体育館を内側から切り崩され、再構築されたような、白と灰色と黄色をブレンドした奇妙なオブジェは一体何なのだろう。

この異常事態に対し脳内は、今すぐ逃げるべしと判断した。三人は互いに顔を見合わせ、そのまま潜ったばかりの校門から逃亡を図った。だが――もう遅い。

「あ〜♪」
何処か楽しげな声が耳に届くが早いか、
「――が、ぁ……っ」
いきなり何者かに背中から飛び付かれ、脇腹辺りを貫かれた。同時にぐぷっ、と何かが注ぎ込まれ――意識が途絶えた。
最後に耳にした音は、何処か楽しそうな女の声と、張り詰めたような、羽の振動音だった……。




「……ふふふ……ようやく来たわね、湯川さん。ショートバケーションはどうだったかしら?」
私の目の前に運ばれてきて、緩やかに目を醒ましていくいじめっ子のリーダー。起きた瞬間の驚く顔……それが恐怖に変わる様子まではっきりと私の目には映っていた。
それはそうよね。だって目の前にいる元苛められっ子は、腹部を大きく膨らませた女王蜂なんだから……♪
「ふふふ……」
彼女が顔をひきつらせながら私から遠ざかろうとする。けど毒は効いたまま。動ける筈もないじゃない。
そのまま遠ざかろうとして、ぽふん、と何かにぶつかる彼女。その正体は――♪
「あはは〜♪あーちゃん……いま、とぉ……ってもきもちいいよ〜♪」
「ひいぃっ!」
蜂のお腹を大きく膨らませ、蕩けた笑みを浮かべて彼女を眺める、私の娘のアキの姿だった。妊婦のように膨らんだお腹を、静かな微笑みを浮かべて撫でる姿は、何処か聖母のようにも見えた。
「あーちゃんのね〜おなかのなかでね〜もごもごしているのがね〜きもちいいの〜♪あはは〜♪まるであかちゃんみたい〜♪い〜こい〜こしてあげる〜♪」
尤も、実際顔は蕩けていたし、言動は正気を保っているかも疑わしいけど……ね。彼女のお腹はここからでも、内側から打ち上げられるように蠢いているのがよく分かるし……あら、また動いた♪
「ひゃああっ!」
恐らく彼女は気付いたのだろう。いや、本能的に感じたのかもしれない。アキのお腹の中にいるのが、間違いなく取り巻きの一人であるだろう事に。
もう一人は……辛うじて巡る首で私の娘――かつての妹を視界に納め、確信したようだ。
そして再び、私の方を心底恐怖した瞳で私を見つめていた。まるで、これから先の私の行為が予測ついたかのような恐怖に満ちた表情――。
「うふふ……さぁ……来なさい……。貴女は心の底から、私の娘として生まれ変わるのよ……」
期待通り、既に卵管を完全に中に引っ込めていた私は、そのまま少し力んで、蜂の尾の先端をくぱん、ぐぱんと拡張していった。
「ひぁぃっ……ひぃぁぁぃっ……!」
明らかに心の底から怯えている表情で、彼女は私から遠ざかろうともがく。でも無駄。私の娘達の自慢の毒だもの。動ける筈はないわ。
「……うふふ……怖いのかしらぁ?貴女は死なないのよぉ……♪どうして怖がる必要があるのぉ……?ふふふ……んんっ♪」
ずるり、と彼女の足の先が私の肉に埋まる。弾力の無い物体を踏みつけたような感覚に、彼女は甲高い悲鳴をあげた。その間にも肉は、ずるりと音を立てながら前へ前へと進んでいく。
「ひっ!いや、いやぁっ!だしてっ!だしてぇっ!」
彼女は私の尻尾から出ようと、腕を張り両足をバタつかせてもがいていた。しかしそれは彼女にとってマイナスしかもたらさない。
「んっ……んあっ♪んんっ♪そう……そうよ……もっと蹴って……もっと埋め込んでぇっ!」
彼女が蹴る肉壁は、五枚重ねの毛布くらい柔らかいし、わりと自在に伸び縮みするのだ。お陰で……んあぁっ♪
「あはぁぁっ♪いいわぁっ♪もっとぉ♪もっと気持ち良く――んあぁあっ♪」
ぼこんっ、ぼこんっ、と微かに凹凸する腹に興奮を覚えながら、私は次々に彼女を呑み込んでいく。まだ腕を張って抵抗している彼女。でも呑み込むのも時間の問題かな?
「ひぃゅっ!ひゅあぁああっ!なにっ!な、ちょ、やめ、ふぁああああっ!」
彼女の体をもっと味わおうと、私は肉襞を伸ばし触手のような形に変化させると、彼女の下半身、特に股間周辺の愛撫を開始した。
……ふふっ、処女を奪えないのは残念だけど、後ろの処女は私が貰ってあげるわね……♪
触手は内部で分泌されるぬるぬるした強壮剤を太股辺りから塗り込みながら、触手を筋(とは言っても半開きだけど)と、ひくひくするアナルに向けて沿わせていった。
ずるり、とほんの少し動かすだけで、彼女は可愛い声で「ひゃうっ!」と鳴いてくれる。普段もこれぐらい可愛いげのある声だったら良かったんだけどね……ふふ♪
でももうすぐ、そんな可愛い子供になるんだから……そしたらいつも可愛い声で悦んで――♪
妄想を反映したように、私の触手のうち二本が、勢い余って秘所とアナルに潜り込んだ!
「!!!!ひゃあ、っ、あ、ああああああああああ!」
突如の衝撃に、腕の力を弱めてしまう彼女。途端、肩口辺りまで一気に呑み込まれていった。今、私のお腹の先端には、彼女の顔が、底知れない恐怖に充ち満ちた表情であるだけだった。
彼女の股間では、二本の触手が彼女の体をならすように前後に動き、奥へ奥へと入り込んでいる。
「ひゃあっ!ひぅっ!や、やめんひゃあああっ!」
恐怖の表情に若干朱が混じった頃、お腹の中で彼女の全身はびくんびくんと激しく舞った。どうやら絶頂を迎えたようだ。差し込んだ触手に、彼女の膣は盛大に潮を吹き掛ける。
その甘露な蜜を襞触手でちゅるちゅる吸いながら、私は案外美味しいわね、などと頬を綻ばせていた。
「ひゃうっ!ふぃやっ!ふぃやぁぁっ!ふぅあぁぁぁっ!」
絶頂の後も構うことなく、私は前後の触手で括約筋と淫肉の感触を味わいつつ、他の場所も肉襞で覆い、揉み尽くしていた。
脇の下には柔軟に貼り付きながら、繊毛でこちょこちょと擽り、首筋からお尻のラインにかけては、舌で舐めるように襞を上下に動かしていた。
「ひぃっ!むねぇっ!そこ、は、い、ら、ああああぁああああっ!」
胸の辺りには私の蜜腺と繋がる触手を二本生成して、カップ状に変化させて揉みしだきながら、中心部の柔らかい針のようなものを直に差し込んだ。痛みに体が跳ねて、それが私を刺激していく。
ずむずむと奥へ入り込む針状触手。特に乳腺と乳道を傷付けてはいないけれど、拡張される刺激は生身の人間には辛いみたい。娘達は互いにやってるけどね……ふふ♪
この頃になると、既に表情から恐怖は消え、あるのは痛みと快楽の狭間で動くオンナノコの顔……ふふふっ♪
と……針が奥まで行き着いたらしい。私は自分の蜜腺を刺激し、触手に大量の蜜を送り込んだ。ぷっくりと膨れる触手は、それをそのまま先端へと一気に送り込む。
「――っいあぁぁいああああっんいっいいっいっいあああっ!」
言葉にならない叫びをあげながら、彼女は動かない腕を何とか胸に近付けようとした。けれど当然届く筈もない。肉襞にぐじゅぐじゅと包まれるだけだ。
「むねがぁっ!むねがぁぁぁぁっ!」
押し拡げられた乳腺が、痛みにも似た刺激を彼女に伝えた次の瞬間には、彼女の乳房の中に大量の蜜がごぽりと送り込まれていく。忽ちのうちにはち切れんばかりに大きくなっていった。
私の中で彼女の体は電撃でも浴びたかのように過剰に震え、彼女の浮かべる表情も何処か半分壊れかけていた。
気付けば触手二つの先端は、既に子宮口辺りと小腸まで伸びている。――機会は今だ。
私は優しく彼女を見つめながら――。

「……ふふふ……いらっしゃい♪」

ぐにゅ……っ
彼女の叫びと一緒に、顔を一気に呑み込んだ。同時に、お腹の肉襞が淫らな蠕動を始める。それこそ、外から見ても蠢くのが分かるほどに。
「うぁん……ふぁぁ……♪んくっ……くぅん♪」
ふふふ……あらあら、また達しちゃったみたい。美味しい甘い蜜を私に飲ましてくれるのねぇ……あんっ♪元気が良いのねぇ……んんっ♪まだ暴れちゃって……♪
私の中で、彼女は抜け出そうと体を必死で動かしてもがいている。気付いたのかな?彼女の中に毒が殆んど残っていないことに。でも――もう遅いわ♪
もがけばもがくほどに絡み付く肉、両穴を征服する触手は言うまでもなく、乳房は既に蜜袋へと変化して、少しつつくと破裂してしまうかも……もちろん、そんなことはする筈もないわ。
まるで底無し沼のように、私の奥へと招かれていく彼女……そろそろ素直になって欲しくなった私は、肉襞の隙間から新たに触手を伸ばして――♪

ずぼぉぉぉっ!
「――!!!!!!!!!!」

「んあぁんっ♪ん、んあっ、んあぁあんああんっ♪」
耳から脳に直接触手を差し入れた瞬間、彼女の全身はがくがくと震え出していた。抵抗の意識ではないだろう。多分、刺激を処理できなくなったからそれを体に伝えているようだ。
差し込んだ触手は、そのまま脳に細い神経を通しながら、直に快楽情報を流し込んでいく。筋肉を弛緩させ、潮を吹かせるそれは、間違いなく彼女の精神を、魂を壊してしまうものだった。
送り込む度にびくんっ!びくんっ!と盛大に反り跳ねる彼女の体。それも次第に奥へと送り込まれていくと、跳ね方も少なくなっていくようだ。
そして、彼女の心と記憶を壊し終え、魂が砕けた頃……私のお腹は蠕道を止めた。彼女が、私の体の奥底――すなわち子宮に体を入れたからだ。
もう、彼女は動かない。死んではいないけれど、人間としては死んでいるだろう。でも……。
「……あ……♪」
とくん、とくん。
お腹に手を置くと分かる、心臓の確かな鼓動。それは間違いなく、お腹の中にいる彼女のもの。その暖かなリズムに、わたしはすっ、と目を閉じた。
そのまま、娘達に聴かせるように、優しい子守唄を歌った。それが嬉しいのか、お腹の中から暖かな波動が私の中に伝わっていった。
やがて新しい卵になって、この巣に産み落とされるときまで、この温もりは続いていく。それが嬉しくて、私は一回り膨らんだお腹を、愛しく撫でるのだった……。




その後、蜜樹の巣は日に日に大きくなり、テリトリーは街のみならず市、さらには県まで拡大していったという。
巣の中では日々愛の宴が行われ、そこに入ったものは愛情の限りを尽くされ、宴の一部となってしまうようだ。
今日もまた、一人……。

fin.



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