「……ん……?」
何か、聞き覚えのある声に呼ばれた気がして、俺はゆっくりと目を開いた。
紫と肌色、桃色にぼやけた視界が徐々にはっきりとしていく……。
「……解堂君……?」
目の前にいたのは……麿菜、斉城麿菜だ。委員長と言われた、見るからに堅物な外見は、今や全くの別物に変わり果てている。
皮膚を殆ど晒さないと言う、実は虐待を受けている疑惑が持たれていた長袖、校則の元に正確に測られた(らしい)サイズのスカートは今は身に付けておらず……それどころか下着も何も、服自体を身に付けていなかった。胸元と秘部周辺を軽く覆う、紫色の毛が生えているだけだ。
つまり……スッパ。
「………///」
その事実に気付いた俺は、思わず赤面してしまう。顔を背けようとする俺に、委員長は覆い被さるように抱きついてきた。
「ん……」
そのまま俺の耳たぶに軽く噛み跡をつける。子犬が親に甘えるような暖かさと、ヘビイチゴのように甘酸っぱい感覚に、俺の心臓がきゅんっ、と音を立てる。
唇を俺の唇に押し付け、彼女の口の中で踊る舌が、歯の隙間から俺の口の中に入れられて、互いにくねらせながら愛欲のポルカをぬらぬらと舞っている。
ぴくんっ、ぴくくっ、と俺の逸物が自我を持ち始める。そのまま菌糸類よろしく俺の体から精液を吸い上げて巨大化していく……。
同時に、俺の体から少しずつ力が抜けていく気がする……。そのまま委員長の中に流れ込んで行くような……だが、それすらアリなように思える俺自身がいた。アリアリ詐欺にかかってない限り、これが俺の本音なのかも知れないな……。
「……ぷはぁん☆」
委員長が口を離した時、俺の体と心は輪郭がぼやけている気がした。地面に寝転がっているのに、その地面すらふわふわとした何かのように感じられる。まるでメルヘン世界の雲の上のようだ。
「んはぁ………☆」
艶っぽい目で俺を見つめながら、委員長は俺に向けて甘い吐息を浴びせてくる。砂糖をそのまま気化させたような香りは、先程の逃亡劇で疲れきっていた俺の体に染み渡っていく……。
ぼやけた視界の中で、委員長はただれた笑みを浮かべていたように思えた。今にも、交わる瞬間を待ち望んで……でもそれでいて、何かを待っているようでいて……。

しゅるん

「……ん?」
この感触は……尻尾……か?それが腕に巻き付いて……持ち上げて――?

ふゆん

「――あぁ……」
触れさせられた胸の感触に、俺は無意識に溜め息を漏らしていた。はっきり言ってAかギリギリBがいいところの委員長の胸だったが、サキュバスになったことで肌の質感が変わったのか、指が沈み込むような柔らかさが、俺の脳の快楽神経を舐めるように撫でていく。それだけじゃなく、掌から体に向けて断続的に伝わってくる、小さな刺激――彼女の脈が、俺の心臓と共鳴するようにとくん、とくんと音を立てている。
「解堂くぅん……☆」
囁くような、甘える子猫の声で委員長が俺の耳に話し掛けてくる。一言一言口に出す度、彼女の甘い香りが俺の鼻孔を擽り、脳へと染み渡っていく……。
「……もっとぉ……もっと感じてぇ……私をぉ……他の事なんて考えないでぇ……ずっと私だけを見てぇ……★」
とくん、とくんとリズムを刻む鼓動。その音を発している相手は淫魔の筈なのに、どうしてか暖かかった。多分、それが委員長の――麿菜の持つ暖かさなのかもしれない……。
「……ねぇ……☆」
しゅるしゅると尻尾を外した後で、麿菜は俺の背中に腕を回してきた。布越しに伝わる、彼女の柔らかい肌の感触。ずっと触れていたいと思わせるそれに、俺は小さく身悶え、微笑んだ。
「……キス……していい……?」
キラキラと潤んでいる彼女の瞳。それを見つめているだけでも、俺の心の中で欲望のエンジンがかかる。それは人である以前、獣すら抱く欲望だろう。他者と交わることによる回帰。その純然たる潜在意識を、別の潜在意識で押し戻して、俺は――胸から手を離し彼女の背中に回して、唇を彼女のそれに合わせた。
「んむっ★☆」
驚いたらしい彼女だが、次の瞬間には俺の口の中に舌を伸ばし始めていた。
俺もそれに合わせるように舌を絡ませ、互いの唾液を啜り合う。完全にサキュバスと化していた彼女の唾液は、まるでメープルシロップのように甘く、コップ一杯の水に入れた角砂糖のようにちらちらと儚く染み渡っていく。太陽に当てていた枕のように柔らかく、ゼリーのように瑞々しくプルプルしている唇は、まるで俺の唇と同化するかのようにぴったりと重ねられ、貪っている……。
「……くちゅ……んむ……ちゅぶ……んむむ……むん……んちゅ……☆」
既に、押さえ付けられた潜在意識が押し返そうとしている。俺が耐えられるのもあと少し――それでもこの唇を味わっていたかった。熱烈なキス――その間に俺の逸物はバベルの塔、あるいはサクラダファミリアを建設しようとしていた。亀の口のような先端からは透明な涎が垂れ、それが塔のを伝って地面へと雨避けの幕を垂らすが如く降りていく……。サキュバスとなった麿菜に、その事が気付かれない筈がなかった。
「……んぱぁ……ふふふ……★」
既に舌戯で気を遠くしかけていた俺を、心底嬉しそうに眺めながら、彼女はゆっくりと、俺の逸物を包み込むように桃色のま〇こを広げ、そのまま腰を――一気に下ろしていった。

「!!!!んああああああああああああああっ!」
「んはぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ★解堂きゅんっ★解堂きゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅんっっ☆」

何なんだろう、この物質は。少なくとも人間の中にあるものではないと思った。どこまでも深い、体の中の小宇宙にまで一気に引きずり込まれていくような気さえ覚える。ぬっとりと濡れているのにふかふかなタオルで巻かれているような、文字通り肉が逸物に絡み付く感覚。ふわふわとした彼女の体毛が、感覚が鋭くなっていた俺の皮膚の性感帯を優しく刺激していく……!
ぐちゅぐちゅ、ぬぷぬぷと彼女の中で音がする。興奮気味に腰を上下するその様はまさにロデオ……騎手に馬が合わせるロデオはねぇか。兎も角、俺はその動きに翻弄されていた。彼女が体を持ち上げて降ろす度に膣肉がぎゅむっと全息子に熱烈な抱擁をかまし、締め付ける。痛みはなく、寧ろ優しさすら感じられる甘い性行……。
「あんっ☆あはっ★あはぅ★あはぁぁ☆あは★んああんっ☆」
段々と、彼女のグラインドが大きくなっていく。俺の中に貯えられた白濁した生命力が、彼女に明け渡そうと既にクラウチングスタートの用意を完了させている。後は――雷管の一発が鳴り響くのを待つだけ。
「ううぁ……うぁっ……」
素直に吐き出せばいいのかも知れない。だが俺は――この交わりを続けていたかった。二人のこの愛に満ちた……何か臭いが事実だからいいか……交わりを。
最早俺は、相手がサキュバスであることも忘れて、騎乗位の麿菜に腰を何とか打ち付けていた。その度に彼女は矯声を漏らし、全身から甘い香りを発散し、柔らかな体毛を擦り付けながら腰をグラインドさせていった。
そして――スタートラインは静寂に満ち――!

「「ああああああああああああああああああああっ☆★」」

びゅるるるぁるるるるぁるぁるるるるるぅ〜〜〜〜〜っ☆どくっ……どくっ……とくん……★

一斉スタートを開始した俺のスペルマは、麿菜の子宮という最終目標に向けて全力疾走を開始していた。体力を彼らに根刮ぎ奪われた俺は……全身の力が抜けぐったりと地面に倒れ伏す。同時に逝った麿菜も、繋がったまま俺の方へへにゃりと倒れて来て……。
「んむぅ……」
再び、キス。同時にハグ。ふわふわとした毛が俺の体を優しく撫で、もちもちとした肌が俺に温もりを伝え、そしてとくとくと動き続ける心臓が彼女の命を伝えている。
口から、何かがゆっくりと流し込まれている。甘く、暖かい……けれど形のないもの。それは俺の体内に入ると、ゆっくりと染み渡っていき……。
「んむ……?」
体の疲れが……引いていく?同時に、体に小さな熱が灯って、それがどんどん下腹部に……?

「んむむっ!」
身構える間もなく、どくっ……どくっ……と音を立てて逸物から精液が放たれていく……一気に景色が開けたような解放感に、俺は大きく体を震わせた。
形の無いものは以前として彼女の口から送り込まれている。優しく目を瞑りながら麿菜は、だが貪欲に唇と逸物を貪っていた。穏和と熱烈が同居するような愛撫を受けている俺は、彼女と同じように唇を啄み、体を強く抱き締めながら腰を彼女に合わせてグラインドさせている。麿菜から送られてくる不定形のものは、俺の体の疲れを取ると同時に精液作成を速めさせ、溜まった精液が彼女の中に放出され、それが彼女のエネルギーになり、その一部を俺へと流し込んで……。それは、小さな永久機関だったように思う。俺が麿菜を、麿菜が俺を求め合っている限り続く、命と愛を繋ぐ永久機関。
どこかで聞こえた、少女の喘ぎ声。それはきっと、今こうして結ばれ、深く交わった俺達に向けての喜びの声なのだろう……いや、きっとそうだ。そうに決まっている。

「……んむん……☆」
「……んん……」

びゅくん……びゅくん……
とくん……とくん……

精液が止まるまで、俺たちは寝転がったままキスを続けて……二人同時に果てた……。

☆★☆★あふたーわーず☆★☆★

「いぁはぁあああああんっ☆★☆★」
いいよぉっ★このパトスぅ☆かいかんがぁっ☆★き、きも、ンギモヂイイィィィィィィィィィッ☆★☆★あ、あた、あたしもイッちゃうぅぅぅぅぅぅっ☆★☆★☆★
んあはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっっっ☆★☆★☆★☆★☆★

……はぅ……はぅ……はぅ……☆
はぅぅ……すてきだよぉ……☆みんなすてきだよぉ……☆★はぅぁぅぁぅぁ……☆★……ぅぁ……☆★

………☆
うふふっ★おにいちゃんも、おねえちゃんも……お幸せに☆★
じゃあ……★

「とぅいんくる★たんくる☆とりっくすたあ★二人以外は元通りになぁ〜れっ☆」

☆★☆★☆★ちょっと未来★☆★☆★☆

この事件の後、俺達二人は付き合うことになった。まぁあの事件の後色々と悶着があった……と語りたいところだが、実はそんなに無かったりする。恐らくミーティの奴がアフターケアのようなものをしたんだろう。魔法で。にしても……俺ら以外全員の姿を、学校含めて元通りにするとは……ありえん(笑)魔法万能過ぎ。幽かにエッチぃ記憶が残ったらしいが、別に問題は――。
「……先輩、実は私――あっ///」
「ふふっ……、恥ずかしがらないでいいのよ。思う存分、甘えてちょうだい……☆」
……少しあったな。何か一部でレズカップル成立してるし。
「すっ……杉本くん……僕には……僕には君しかいないんだ!」
「……中目白……」
あああああああああっ!何で男同士も結ばれてんだ!脳内ライフカード!俺に理由を!

『愛だよ、愛☆★』

……何と分かりやすい。つか、それ以外無いわな。……普通のカップルはいねぇのかよ!誰か教えろ!

……まぁいい。
で、委員長……麿菜はあの日以来変わったか……と言えば、少なくとも学校では変わった様子はねぇ。いつも通りの委員長だ。俺に対しても……?

「解堂!早く授業に急いで!単位が危ないんでしょ!?」
「おわっと!ヤベェ!」

……呼び方から君が抜けた、程度かな。それでも気付く奴は気付いたが。中には……?

「あ……あの委員長……あの委員長がこいつと……?」
「天狗じゃ!天狗の仕業じゃ!」
とか叫ぶ奴がいた。信じられねぇのは分かったが取り敢えずお前ら表に出ろ。ふるもっふにしてやんよ。

……とまぁこんな感じで、学校ではわりと今までの関係が続いていたりするが、学校外では……まぁ……ラブラブとまでは行かないにしろ、それなりの関係は続いている。
まぁ、S☆Xの回数を愛してる度合いの基準にするなら――絶対ラブラブの範疇に入るだろう。
……あ、携帯バイブ。別にケツに挟む趣味はないのでポケットから取り出し中身を確認。

『今日は……何処でする?早くしようよ(>_<)いつもの公園で待ってるからね(^O^)』

「……ははっ」
実は麿菜は、堅苦しい自分にある程度のコンプレックスを持っていたらしい。でも、同世代の女子と同じように振る舞うことに抵抗を感じていた……んだが、今回の一件で確実に何か吹っ切れた。RED ZONEバリバリオーバー、想
いが瞬を駆け抜けて大気圏突入するレベルで突き抜けた。
「……あぁ、こんなものなんなんだな、って思ったんだ」
とは当人の弁。拘ってたものを剥がしてしまえば、後はただ進むのみ。こうしたメールの顔文字も、自分を変えるための一つの方法としてやっているらしい。尤も……顔文字古いな〜。
まぁ当人、それ言うと怒るしな。あまり言わないようにしよう。

で……何を思ったか、この前のあれが原因で、青姦趣味がついたらしい。で、色々な公園に週三くらいのペースで連れ出される。……流石に冬場にこれをやられたらキツい。
何とか控えさせないとな……そんな事を考えながら、俺は麿菜が居るであろう公園へと、足を進ませるのだった……。

☆★☆★いんざすかい★☆★☆

「ィィィィィィィイイイイイイイイヤッホォォォォォォオオオオ☆☆☆」
さいこうにハイってやつだよぉっ☆☆カップル成立いたしましたぁっ★★ついでに美味しくいただいたよぉっ☆★☆★
はふん……★☆(味の余韻に浸っている)

はふん……☆★(まだ浸っている)

……はっ☆
さぁてっ☆次の子はどんな子かなぁ〜★今から楽しみだなぁ☆
キラッ☆と星間飛行で……ィィィィィィィイイイイイイイイヤッホォォォォォォオオオオ☆☆☆

【第一話:HER NAME IS 'METER'!】

fin.

See You Later!

☆★☆★じかいよこく!★☆★☆

ィィィィィィィイイイイイイイイヤッホォォォォォォオオオオ☆☆☆
早速幸せをあげたあたしにとどく願い☆それはおさななじみを純粋に想う少年の……★

よ〜しっ☆★あたし、頑張るからね〜っ☆

次回、
【魔法淫魔少女ミーティ第二話:I MISS YOU SO LONG!】
とぅいんくる☆とぅいんうる★すたーらいと
見ないとミーティアフォーレンをお見舞いだぁっ!

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