『フェンリル、逃亡に失敗し名前を付けられる』





………あぁもぅ性に合わねぇ!兎も角、こんなところからはオサラバしてや…………うわっ!


「わんちゃ〜ん!」
だ〜か〜ら〜俺は犬じゃねぇ!つーか離せ!首に腕が絡まるっ!また死ぬ………
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!わんちゃん死なないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」
おうわちょちょちょちょちょ!それやられたらヤバイヤバイヤバイヤバイッ!ああまた気管が絞まりそうだっ!
「ほらほら〜、レイちゃん、わんちゃんから手を離して。またおねんねしちゃうよ〜」
しちゃうよ〜、じゃねぇだろ!早くしねぇと俺が死ねる!
「…………うんっ」
………はぁっ、はぁっ…………何だよ。ちょっと逃げ出してノラ生活をレッツエンジョイしようとしただけだろうが。何でそこまで引き留めんだよ。
「レイ、わんちゃんといっしょにいたいの!」
わんちゃんわんちゃんゆ〜な!俺は犬じゃねぇ!
「えっ、わんちゃんじゃないの?」
そうだよ!俺は狼、狼は一人で生きるもんだ!
「あら?狼は群れで行動するものじゃなかったかしらわんちゃん?」
知るかっ!つーかわんちゃんゆーな!俺にはフェンリルって名前があるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!わんちゃんじゃカッコ悪すぎて憤死すっぞ!
「ふぇんりる?」
ああそうだ。俺の名前だ。
「じゃあリルって呼んでいい?」
何でそうなんだよ!そんな女みたいな名前、
「…………だめなの…………?」
んなもん駄目に………っておい泣くな!高々名前のことぐらいで!
「あ〜、レイを泣かした〜」
母親うっさい!てめぇは黙れ!むしろその口調は何だ!てめぇいくつだよ!?
「あたし?永遠の18よ♪」
勝手にほざいてろ!いつの時代の冗談だよ!
もういいっ!俺はここから出ていくっ!
「いやぁっ!リル、でていかないでぇぇぇぇぇぇぇっ!」
あがあああああぁぁぁぁぁっ!首っ!また首に入ってるっ!ガキの腕は細いから気管支にきっちりまんだよ!離してくれっ!
「いやっ!リルっ!リルっ!いかないでっ!おいていかないでっ!」
どこでそんな言葉覚えた…………あがががががががっ!

(やばいっ!死ぬかも………)

わ、分かった!分かった!出ていかねぇから!出ていかねえから頼む!腕っ!腕を離してくれっ!
「………ホントに?」
ホントだっ!だから腕を……。

(あ、花畑が…………)

「リルッ!リルッ!だめっ!しなないでっ!」
「ほらレイちゃん、腕をはなさないとっ」
「……………うん…………」




…………はぁっ!はぁっ!はぁっ………。
…………レイ、少しは学習してくれ〜っ!こんなこと何度もやってたら俺の身が持たねぇよ!
しっかし、あんなこと言っちまった以上は、しゃあねぇ。ほとぼりが冷めるまでは、この家にいてやっかな。











………いつになることやら。



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